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『ミス・サイゴン』(14)

2012.12.22(Sat.) 12:00~14:55
2012.12.22(Sat.) 17:00~20:55

アクトシティ浜松大ホール1階7列20番台(センターブロック)

●始まる前のお楽しみ
この日は浜松マチソワ日帰りということで、往復ぷらっとこだまを利用。
浜松と言えば鰻、ということで色々調べたのですが、基本的に本場の鰻は注文受けてから捌き出すので時間がかかる。
それでもってマチソワ間、ソワレ後は予定があるのでマチネ前しかないのですが、開演は12時。

結局、11時開店で「出てくるのも早い」という話だった駅前の八百徳さんへ。当初は本店(北口)を予定していたのですが、駅南店が新幹線口から2分なのでこちらを最終的に選択。10時30分に到着のフォロワーさんと合流して店に一番で入り、11時5分には鰻が出てきて、20分に食べ終わり、アクトシティに着いたらなんと開場(11時30分)前という効率の良さ。

近年の不漁で値は少々張りますが、ひとまず浜松に来た理由の1つはクリアです。

●到着
アクトシティ浜松大ホールは収容人数2336人ですが、4階席(265席)は入れておらず1~3階席のみで運用していたので、2000人強。客席はかなりいい入りでした。
ただこのホール、地下1階からホールに入るまでの入口が1箇所しかなく、とにかく延々入場列が途切れません。入る時はまだしもこれ、何か起こったら出るとき大変だなぁ。

●席の不思議
この日、マチネは新妻キム、ソワレは笹本キムのマチソワ。
それぞれ新妻FC、笹本FC、で別々に取ったにも関わらず、マチソワで1番違いなことにびっくり。
7列とありますが、5列目までオケピで潰しているので、実質2列目です。
1列目は関係者席だったようで、マチネはセンターブロックを中心に10席空き、ソワレは下手側中心に10席が空きという大変残念な事態になっていました。

その上、更に残念なことに、前方列はフラット(平坦)な割に千鳥配置になっておらず、完全に前の方の頭に遮られて見られないシーンがいくつも。

何しろマチネに至っては新妻キムの絶命シーンが声しか聞こえないんですから、ホールとして致命的に何かが間違っている感が。
この日は何とか音響調整がされていましたが、前日ソワレ(サイゴン冬の陣初日)をご覧になったフォロワーさんからは、「プレビュー感満載。音響調整が全然ダメで、1幕はクリス(原田君)のマイクまで入ってなかった」という話でしたので、それに比べるとこの日はマチネ・ソワレともそれなりの出来ということだったようです。

●見つけたっ
ドリームランドは最近、キムだけじゃなくてミミも探すので眼が忙しないです(笑)。ここはオレンジのパンツルックですからすぐ分かりますね。
青山郁代嬢の登場シーンで回収してなかったナイトメアのシーンも、アメリカンドリームのシーンも無事発見。つかどっちもど真ん中じゃないですか。これを分からなかった今までの自分っていったい(爆)。

●両極キム
3ヶ月振りとなる「ミス・サイゴン」。この日2回を見て新演出盤の観劇が2桁(10回)に乗ったのですが、久しぶりということもあって何もかもが新鮮。
一番印象的だったのは、マチソワで変わるキャストの中でもやっぱりキムのお2人。

マチネの新妻キムはとにかく重いキム。自分自身を抉っているかのようにキムを掘り下げる様は、青山劇場公演までと比べても更に自傷的な印象。
ドリームランドに連れてこられたときには何が起きたのか自覚していない感じで、どこか上の空のようなところを感じます。
翻ってソワレの笹本キムはスピード感のあるキム。とにかく感情の赴くままに突っ走る。
ドリームランドに来た時点で一旗揚げようとしているような印象。

今までの印象だと、どちらかと言えば笹本キムの立ち位置が新妻キムの方向性で、新妻キムの立ち位置が笹本キムの方向性だった印象があるので、この日感じた印象は意外でもありました。

2回を見てキムの立ち位置としての違いを感じたのはもう一点あって。

新妻キムの場合、「エンジニアへの敵意」を感じたんですね。1幕でエンジニアを頼るシーンがありますが(「命をあげよう」の直前)、このシーンでこの日の新妻キムはエンジニアを睨んだんです。新演出版でのある意味新たな特徴とも言える「キムからエンジニアへの敵意」がこれほどまでに早く現れたことは自分の記憶する限りなくて、せめて「最後の仕事を」の時に初めて分かるぐらいだったかと思うんですが。”「女を売る」人間”に頼らないと生きていけない自分への不甲斐なさを、エンジニアへの敵意としてでしか解消できなかったのではと思わされて。自分のちっぽけさを自分自身が責めているような、そんな印象を強く感じました。

笹本キムの場合、「クリスへの怨念」を感じて。2幕、クリスとエレンが自分たちの世界へ行っちゃっているとき(爆)のキムの表情が完全に怨嗟と化していまして、”「クリスの悪夢」にキムが怨念として登場する”んじゃないかと思うぐらい(爆)の逆怨みっぷり。よりクリスを愛していたからこそ、自分の思いに応えてくれなかったことへの憤りが、怨念となっているかのように思えて。その意味でキムとして幼いという点はあるかもしれません。
そういえば2幕のムーランルージュでダンスをしているときにあまりのやる気のなさ(という役作り)に苦笑い。そのおざなりな感じの役づくりが、どこか「割り切った」水商売との付き合い方に見えて、その辺はずいぶん現代的なのかなと。

●キムとエレン
キムの役作りとの関係で影響が出ているように感じたのはキムとエレンの関係性。

新妻キムと花代エレンだと、冷静な大人の対決になる感じで、理性と理性のぶつかり合いみたいなところがあって、ある意味法廷みたいな空気を感じる(苦笑)。キムがぶつけてくる感情自体も冷静だから、受けるエレンも冷静になれる。
キムにとってもエレンへの「子供を引き取って」という事柄はある意味”申し入れ”(という儀式)に過ぎないような感じ。
エレンが本気でタムを引き取れるとは思っていない、と最初から落としどころを冷静に見ているような感じ。

それに反して、笹本キムと花代エレンだと、笹本キムが精神的に子供のキムなので、感情と理性のぶつかり合いになって、エレンへのダメージ度が半端なくて。キムの感情を直接食らってHP0みたいな状態で立ちすくむものだから、ついクリスをなじる言葉も強くなって。更に受けるのがあの激しい優ちゃんクリスだから、もうスパイラルにこじれて。

それを思ったのは、ラストシーンでエレンがタムを引き取るときに、ソワレのエレンが今までにないほど自分からタムを迎えに行ったように思えたから。今までのどんなエレンよりも、そして花代エレンの今期いつの回にもまして。

今まで感じたことのない感情だったのですが、「エレンがなぜそこまで自分の子でもないタムを”自分から”迎えに行くか」というのは、エレンの自己防衛本能かなと思えて。

キムとクリスの間の激しい愛情を目の当たりにして、クリスがキムを喪った今、「エレンは、タムを引き取ることでしか自分のことをクリスに認めさせられない」という立場に陥ったように見えて。

今回の新曲「Maybe」でエレンがいみじくも語っている「クリスにとっては(過去のトラウマをひきずることになる)キムよりは私が支える方が良いはず」というメッセージを、結果としてキムは逆手に取ったような感じさえします。

●カーテンコール
両極の2キムの様はカーテンコールにも現れていて、完全にキムから抜け出せずに放心状態のまま出てきた新妻キム。いままで何十回も見ているけど、ここまでの憔悴した新妻キムは初めて。それに反して笹本キムはお辞儀して、すかさず笑顔が出るという何とも好対照。思った通りに出来た会心の笑顔といった感じ。

その意味で2人とも方向性は違うとはいえご自身のキムを突き抜けきった感じが眩しくて素敵でした。
新妻キムを「自傷的」と書いたのは、カーテンコールでの憔悴しきった様から感じたことでもあるんですけどね。
キムの苦しさに、寄り添いすぎたからこその憔悴なのかもと思う。

浜松公演では初めての試みで、地元キャストのご挨拶があって、ジジ役の池谷祐子さん(静岡県磐田市出身)、アンサンブルの可知寛子さん(静岡県浜松市浜北区出身)のお2方からご挨拶。マチネでは池谷さんの両親、ソワレでは可知さんのお母上がいらしていたそうで、「久しぶりにご覧になる娘がこんな露出度の高い衣装でねぇ」と突っ込んだ市村さんのことを、新妻さんが手で突っ込んでて笑いました(マチネ)。

ご挨拶では池谷さんがソワレでおっしゃっていた「学生時代に通っていたこの劇場で演じられる喜び、そしてこの劇場に実家から通える喜び」って言って会場の笑いを誘っていました。
地元ネタ的には「うなぎもいいですけどレストランさわやかの『げんこつハンバーグ』もお勧めです」って言って会場内から拍手されてました(笑)。

・・・・

冬の陣、浜松の後大阪、熊本、長野と回るわけですが、私的にはラスト盛岡のみ観劇となります。まぁまだ休暇申請してないことに気づいたわけですが(爆)

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