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『地球の王様』(1)

2012.11.18(Sun.) 14:00~15:45
紀伊國屋サザンシアター 2列目1桁番台(センターブロック)

「リンダリンダ」楽日以来3ヶ月半ぶりの紀伊國屋サザンシアター。

ちぃちゃん(大塚千弘嬢)をお芝居で見るのって・・・え、いつぶりだろう。
5月のBWML(新国立劇場)はお芝居じゃないし、その前の朗読(3月、PARCO劇場)もそうだし・・・何と遡ったら去年1月のZORROまでなかった。そんなにお芝居やってなかったんだ・・・って結構意外。ちぃちゃんのイメージってテレビ女優さんじゃなくて舞台女優さんなのになぁ。

そんな彼女の初ストレートプレイ。

時は近未来の地球。地球全土で猛威を振るったウィルスにより、人類はほぼ死滅。
残った6人は、ある会社の同僚で、とある製品を口にしていたことが免疫になって感染を逃れて生き残った。
そこに宇宙から帰ってきた宇宙飛行士が合流し、「地球に7人しかいない」状態で、「誰がリーダーか」を決めることに。

それはすなわち初代『地球の王様』を選ぶことに他ならなかった-

という物語。

えーと、ネタバレあります




この作品、「オレガ&ドリスコレクション」のシリーズで、主宰が西村雅彦さんなので、この方が主役ということになりますが、その会社の商品開発部部長を務める彼が、”会社時代のヒエラルキーをそのまま引き継ぐ形で”リーダーになっている。
が、それはあくまで”流れ”であって、実は自説を上から押しつけらるだけのタイプ。
何しろキャッチコピーが「世界で一番嫌われた男」(笑)

この作品で興味深いのが何しろ世界に7人しかいないので、そこの中の一番が即ち世界一。
つまり、誰もが『地球の王様』なんです。

日本には一億以上の人が住んで、地球には五十億以上の人が住んで・・・という日常の中では、「日本で一番」とか「世界で一番」ということはもの凄い確率でたいがいにおいて想像が付かないわけですけれども(スポーツが一番わかりやすくて次が政治ですかね)、この空間が地球すべてと言われると、途端にぎゅっと凝縮されて色んなことが見えてくる気がするから不思議です。

作品公式には西村さんだけじゃなくて全員に「世界で一番」の枕詞でキャッチコピーが付いているわけです。それがとても興味深い。

七人の内訳は男性五人、女性二人だから「子孫を残すためには」女性二人はとても大切な存在。片や「かっこいい」属性を持つ高橋ひとみさん、片や「かわいい」属性を持つ大塚千弘ちゃん。
その二人を巡って周囲の男性は滑稽なばかりの戦いを繰り広げるわけですが、本来なら蝶よ花よとなるはずの大塚千弘嬢演じる明梨(あかり)ちゃんの不遇さと来たら、ただの虐められモード(笑)。
それなのにめげない。
がんばれ女の子(笑)

彼女について凄く分かりやすく描かれているのは、「自分が好意を抱いていない人から好意を寄せられても、別に嬉しい訳じゃない」ってことですね。

自分の好きな人はひとみさん演じる先輩女性が好きで、自分のことを見てはくれない。他の人から好意を寄せられても、別にありがたくも感じない。そんなこんなで階段にうずくまっていじけまくっている明梨(あかり)ちゃん@千弘嬢がむちゃくちゃ可愛かったです。なぜならちぃちゃんのmyイメージが「いじいじ」だから(笑)。

そこに実に楽しそうに上から目線で勝利宣言する高橋ひとみさん演じる佐和子さん。そして負けを認めるあかりちゃんの反応が面白すぎる。

そういえば、実は役柄の設定を聞いた時にもっと”若い”かと思ったんですね。年齢の問題じゃなくて。もっと空気が読めないかと思ってたし(笑)、もっと天然かと思ってたんですが、ずっと見てると他の人たちより少し早く本質に気づいているんですね。
永井大さん演じる宇宙飛行士の「できた人」ぶりを実は仮面、と見抜くのも早かったし。

この物語は最初から最後まで笑いっぱなしなのでとにかく見るのが楽なのが良いです。
笑いの総量だと渋谷PARCO劇場の「こどもの一生」と大差ないと思うのですが、あちらはラストがそういう方向だし・・・

この作品、佐和子さんも語っていますが「人間って強いよね」ということを凄く感じる。
7人しか生き残っていないということはそれ以外の知り合いは家族含めてみんないなくなっているわけだし、数え切れない悲しみを乗り越えても、それでも生きること楽しむことに貪欲な「人間」という生き物。

この作品、「7人になった」ことで見せているから逆に言うと今の日常をぎゅーっと凝縮してるってことでもあるわけですよね。
「リーダーを決める」ってことさえ、実はそれほどまでに必要がないかもしれない。西村さん演じる梅木のように”肩書きなしでは生きられない”人もそれはいるだろうし。
パンフレット(ちなみにA4サイズじゃなくて手帳サイズのじゃばらなのが面白い。そして写真のちぃちゃんもむちゃくちゃ可愛い)にもあるのですが「ルールを決める」ことさえ、それほどには必要じゃないかもしれない(永井さんが「ルールを決めないことがルール」って書いているのは深いと思った。こう言うタイプの役者さんは好き)。

台詞も実に日本的というか、日本の組織のことをちょっとおちょくっているようなところもあるのですが、やりすぎ感がないので笑い飛ばせる。「役職名と権力は反比例する」って深いと思った。
確かに無駄に長い役職とか無駄に長い部署名とかってそれ自身が目的化しちゃっている感じしますからね(苦笑)。目的がはっきりしないから形だけでも整えるみたいな話が。

この物語って最終的には、部長である梅木の”本音”が部外者である里見の乱入によって皆が共有することにある訳なのですが、その”本音”を聞いた時のみんなの表情がぐっと変わった気がして。
ただ怒鳴り散らして上から押さえつけるだけだと思っていた部長が・・・というのが凄く良いなぁって。だけどそれはある意味当たり前でもあるわけですよね。
気持ちは言わなきゃ伝わらないんだし。
いくらいいことを思っていても、それをちゃんと出せなきゃリーダーじゃない。
いくらいいことを思っていても、行動に反映できなきゃリーダーじゃない。

最後は肩書きだけを求めてた梅木を、みんなは苦笑して見つめていたけれども、多分それは今までなら「冷笑」だったと思うのに、でも最後は「苦笑」だったことに、とっても暖かいものを感じられて。

みんなが「この人はリーダーに相応しい人だ」と認めたのに、梅木本人だけ「肩書きがないと生きられない」と言っている好対照がなんだか面白かったです。
そのギャップをいじることで、きっとこの組織は今よりずっとスムーズに回っていくんだろうな、とちょっと思ったりしました。

明梨ちゃん@ちぃちゃんが言いそうなんですよね。
「部長は肩書きがあればいいって言ったじゃないですか-。
権限なんていらないってことですよねー」

(笑)

なんだか日曜昼に見るより、仕事帰りに見る方が相応しい舞台な気がしました(笑)。

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コメント

実は近くまで(しかも2か所)来る舞台なのですが
12月だし忙しくて休み取れなさそうだし、チケット売れまくってるし、と一度はあきらめてたんです。
が、感想を読ませていただいたら
これ面白そうだなぁ、かわいいちーちゃん見たい見たいなぁ…と(笑)

シフトが決まって運良く休みが取れたら当日券で頑張ってみることにします。

投稿: judy | 2012/11/19 19:04

judyさん>
コメントありがとうございます。

理屈ぬきに笑えますし、ちーちゃんは可愛いですしお勧めです(笑)。

ただ笑っていただけなはずなのに意外にblogが長文になったってことは良いお芝居だったのかなと(^^;)

投稿: ひろき | 2012/11/19 21:46

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