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『ルドルフ』(6)

2012.7.16(Mon) 13:30~17:00
帝国劇場2階最後列50番台(上手側)

なぜか再演ルドルフ、今年2度目の帝劇です。

新眼鏡は帝劇2階最後列でさえそれなりに見えて、時たまオペラグラスが必要になる程度。
やっぱり早く眼鏡市場に行っておくべきだった・・・。

再演版の「ルドルフ」は何しろ舞台構造丸々使っての舞台なので、2階向きな作品。
多分前方だと色々と見えないものが多いんじゃないかと思う。

例えば最初の劇場シーン、マリーとラリッシュは実は下手上側のバルコニー席(クリエのボックス席というと分かりやすいですが)にいるとか、前方だと見えないんじゃないかと。あのシーン、自害した女性に駆け寄っていくマリー、そこでルドルフと出会っていますが、え、2階のバルコニー席からどだだだだだ(←音は勝手に想像)と降りて舞台上にまで登るマリー、と考えるとどんだけ行動的な女性かがよく分かります。

初演と再演のマリーの違いは前回も書いていますが、初演のマリーとルドルフが「運命」の出会いなのだとしたら、再演のマリーとルドルフは「宿命」の出会いなのかなと。

初演は2人の間は「一目惚れ」をきっかけにした「愛」がメインテーマだったと思うのですが、再演は2人の間は「同じ自由」を求めた「夢」がメインテーマのように思います。故に、初演は「運命」、再演は「宿命」。
時代が2人を結びつけたかのように、ふと再演版は思ったのでした。

初演版と再演版の好みの分かれる点だと思うのですが、初演版のマリーは、ルドルフにとって唯一の安らぎだったと思うのです。あえて言うなら責任はじめ全ての人から追い詰められるルドルフにとって、無条件で自分を愛してくれる存在がマリー。

それに比べると再演版のマリーは、マリーさえルドルフを追い詰めるわけです(爆)。
マリーにとっては、ルドルフは自分の夢を叶えるための駒でしかないんじゃないか、とさえ思えることがあって。

再演版ではその癒しを求める相手がマリーじゃなくて初演にはいなかった娼婦のミッツィー(演:樺島麻美さん)だったりしますが、でも、ルドルフはマリーの前だからってミッツィー(たち)のことを「彼女たちは何の意味もない」って言ってたりする酷い男だったりもしますけどね・・・

その意味では、初演のマリーは「愛に生きた少女」で、再演のマリーは「夢に生きた少女」のように思えるのですが、そこで興味深いのがラリッシュの存在。

初演のラリッシュ(演:香寿たつきさん)はマリーのことを「愛でなく夢に生きるならまだ許せるのに」と言っているように見えて、
再演のラリッシュ(一路さん)はマリーのことを「夢でなく愛に生きるならまだ許せるのに」と言っているように見えて、
なんだかそのすれ違いぶりが興味深かったです。

途中まで、「(再演の)マリーはルドルフを利用しているだけじゃないか?」と思って見ていたのですが、2回目に見ておおっと思ったのは、マリーは、夢に破れたルドルフをちゃんと受け入れているのですね。
「皇太子のまねごとではなく皇太子として生きろ」とけしかけ、それでルドルフが敗れた時、全てを失ったルドルフを受け入れるのですね。つまり、「戦った彼のことを認め、戦って負けたからには、その責任は自分が取る」という・・・ある意味、「お前の亡骸は俺が拾ってやる」属性でしょうか(爆)。

自分の夢のために戦ってくれたルドルフのことを、マリーは愛したのだと思うと、再演の初回を見たときにちょっと釈然としていなかった部分がちょっと回収できてほっとしました。なんか再演のマリーって計算高すぎて・・・(苦笑)。

1幕最後、初演は「愛してる、それだけ」だった歌詞に「私を抱きしめて」がありますが、再演は「二人を信じて」になって「自由を抱きしめて」に変わっていて、マリーにとってもルドルフに向ける感情が完全に別なのがよく分かります。

再演版では、マリーはルドルフに愛されることを別に望んでいたわけではないのですね。


そういえば、初演と再演で大きく位置づけが違うターフェですが、初演の岡ターフェが「大物であることを隠しもしない」に対して、再演のサカケンターフェが「小物であることを隠せようもない」となっているのがとても興味深く(笑)。

役作りの違いでもあるのでしょうが、ある意味時代に対する危機感という意味では、実は似ていたのかもしれません。
所詮時代の流れに逆らえないと、あえて細々と動くサカケンターフェと、何とかしようとしたいがために却って自分のちっぽけさに恐れをなして、大きく出ようとする岡ターフェと、その意味では対照的なのかなと。
登場人物としてどっちも小物という意味では似たりよったりというか。


この日印象的だったのがステファニー。ハプスブルク家の墓でマリーと対峙し言う言葉に「ハプスブルク家の者にも心があったことを知るために私はここに来る」という言葉があるのですが、再演版で一番印象的な台詞これかもしれない、というぐらい私は印象的でした。

ステファニーは自分の意でハプスブルグ家に嫁いできたわけでもない(政略結婚)ですが、それでも自分の役割を全うしようと徹している。ルドルフはそれが息苦しいわけだけれども、ステファニーは自分が壊れないように必死に生きているんだなと思えて。初演版のステファニーはただ叫んでるだけの印象しかなかったんで(苦笑)、キーキーどなられてルドルフも気の毒だなぁ、ぐらいに思ってたんですが、今回はもう、「ルドルフ、あんたが間違ってる」ぐらいになってる(爆)。

ラリッシュとステファニーは、ルドルフを「守旧」で生きて欲しいと願っている点で運命共同体なんですよね。
でもルドルフは自分の生きる意味を、「自由」という名の未来をマリーとともに目指すことに賭けたと。


この日は終演後トークショー(正味20分)。
司会は東宝演劇部宣伝室の若手男性(アライさん)。舞台向かって左側から、アライさん、和音さん、井上さん、吉沢さんで4人。司会氏が劇場内アンケートを読む形で進行します。

結論から言っちゃうと、正直司会進行を経験がない人にやらせるのは止めた方が良いと思います(※)。

(※)ちなみに、エリザトークショーで何度か登板しているらしいです。え、それであの仕切り・・・?

最初ありえない程盛り上がらなくてどうするのかと心配になったぐらい。

素直に井上君に司会進行やってもらえば本人嬉々としてやるだろうし(笑)、他に司会適任者がサカケンとか松澤さんとか、塩田さんさえありがたいってぐらい・・・(苦笑)。

3人が口々に言ってたのは、この日が5連投(土日×マチネ+この日のマチネ)のラストで、
「とにかくほっとしている」と言ってたこと。

井上君「お客さまには全く関係ないことでしょうけど(笑)」

司会氏「アイススケートとか階段を背中から降りるとか大変なシーンが多いですが、一番大変なシーンは」
井上君「アイススケートという名のローラーブレイドですね(笑)」
井上君「ルヴォーは素晴らしい演出家ですけどこのシーンだけ
    は・・・・(文句いっぱいw)
    初演だと実は自分とマリーは滑ってなかったんですよ。
     でもルヴォーはやれと。
    稽古終わってから『アイススケートに出る方は居残りです』
    って言われて1時間とか、
    『明日はアイススケートの方は早出です』と言われて1時間
    とか。」
和音嬢「しかも靴履くときに舞台上で履きますし」
井上君「そうなんですよ、舞台袖に捌けることも赦してくれない
    んですよ(笑)」
井上君「主役特権でアイススケートシーンを無くせないのとか
    思ったんですけど(爆)、ダメで」
和音嬢「終わるとほっとします」

以下順不同で。

司会氏「フランク・ワイルドホーン氏の音楽は歌っていてどうですか」
井上君「ワイルドホーン氏の音楽を歌っているという印象が
    今回あまりなかったです」
吉沢嬢「歌稽古って感じもあまりなかったですよね」
和音嬢「演技と歌が一体という感じで、歌ってるという感じは
    なかったです」
吉沢嬢「2人(井上君と和音嬢)の歌を聞いてるとほんとうっとりで。
    素敵な曲だなぁと」
司会氏「吉沢さんはご自身の曲ではどんな感じですか」
吉沢嬢「私の場合、1曲歌い上げって感じなのですけど、
    あの曲を稽古の都合上4回とか歌って、
    さすがに最後はヘロヘロでした」
井上君「しかもあの曲、最後はベッドに倒れ込みますが・・・」
吉沢嬢「稽古場ではあれ、板だったんですよ(笑)。
    痛くて大変でした」

井上君「演技と歌が一体と言えば、マリーの1幕最後の曲、
    歌っているマリーを持ち上げるじゃないですか。
    あんなこと普通ないですよ(笑)
    最初言われたとき冗談かと思いましたもん(笑)
    あぁいう時って女優さん、『歌っている私に触らないで!』
    って感じの方多いんですよ。
    マックス緊張してますから。
    『私のポジショニングそこだから!』みたいな」

・・・なんか脳内で特定の人が想像付いたけど、あえて名前は挙げないでおこう(帝劇内で同志多数と想像)

司会氏「和音さんはその辺は何ともなかったんですか」
和音嬢「何ともなかったですね。先ほども話が出たんですが
    演技と歌が一体って感じなので特に違和感なくて。
    こんなに高いところで歌うことないなーとか(笑)」
井上君「下から歌っている人見上げるとか普通ないですよ(笑)」

司会氏「和音さんと吉沢さんお互いで共感できるところ
    とかありましたか」
吉沢嬢「やっぱり(2人が直接対峙する)お墓のシーンですね。
    あそこのシーンはある意味、『ルドルフのことをよろしく』
    って面もありますからね」
和音嬢「私的にはあのシーンは
    『絶対ステファニー』なんですけど(笑)
    だから気持ちがすごく分かりますね」

井上君「そういえば、ルヴォーに演出付けてもらう前に、
    とある曲で、帝劇の舞台いっぱいに動きながら歌った
    んですよ。『この動きで帝劇の舞台を埋めてやる!』
    って思ったら、見た後のルヴォーの反応は『わかった。
    じゃ、動かないでやってみてくれ』
    ・・・・えぇぇ?みたいな(笑)」



とにかく司会氏が慣れてなさすぎるので、井上君が孤軍奮闘でなんとか形になった印象。
ちなみに本編のルドルフに関して井上君いわく

「ルドルフは孤独な人だと思われがちだけど、(劇中に出てきた娼婦の)ミッツィーにも、そしてステファニーにも、(関係があった)ラリッシュにも実は愛されていて、『なんだそれで良かったんじゃん』みたいに思った(笑)」

というのが結局印象的でした(爆)。

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