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『リンダリンダ』(6)

2012.7.28(Sat.) 18:00~21:10
大阪・森ノ宮ピロティホール
K列1桁番台(下手端)

東京で7回観劇し、この日の大阪で8回目。
それだけ見た中でも、この回の満足度は群を抜いていました。

席は下手端で、見切れるシーン続出なうえ、前列の男性の座高が高く、いままでで最悪レベルの席でしたが、物語としては一番しっくりきました。

今回のキーはなんと言ってもケン(伊礼彼方さん)とカオリ(高橋由美子さん)が本気でぶつかり合う別れの場面。

このシーン、今まではただひたすら「カオリかわいそう」と男なのに(笑)カオリに同情していたのですが、正直カオリが由美子さんでなければ、男性としてはケンの気持ちをもっと早くわかっていたんだろうなと。

カオリはできた女性ですが、正直踏み込みすぎるところがあるんですね。
それは年齢的な焦りもないわけではないのでしょうが、男性にしてみるとすべての逃げ道が閉じられている息苦しさって確かにあるんです。

カオリは別にケンを拘束しようとしているわけではなく、むしろ今まではかなりケンの意思に任せていた部分があったでしょうし、ただ、この作品で描かれている部分は、「カオリの焦り」と「ケンの焦り」が平行線をたどった、という時期の内容。

カオリの言っていることは間違いなく正しくて、逆に間違いがないからこそ、ケンにとっては受け入れられない面がある。
面と向かってケンの人生を否定するような言葉を投げつけるのも、「ケンのためを思って」と「自分にとっての賭け」の両面があって。

もともと男という生き物は、正しいことを言われると否定したくなる生き物で(笑)、それが自分が目を背けたい部分に関する自分に対する言葉であれば、更にムキになるんですね(爆)。

ただでさえ冷静さを失っているケンだから、今のカオリの正論は「みーみーにとどかなーい」(爆)だと思い込んでいたんですが、この日の芝居の自分の感じ方はちょっと違いました。

ケンは、自分がどうしようもないところに入り込んでいることを自覚してる。

自分の音楽的才能に限界があることはとうにわかっている(「ライブ」に熱するあまり、ミキに問い詰められるまで音楽活動のことを忘れていたのもその一面かと)。

そんな時カオリに突きつけられた最後通牒を、ケンはなぜあれほどまでに強く拒絶したのか。

ここが今まで見ていたときは感じなかった部分だったのですが、まずケンのことを一番わかっていたのは間違いなくカオリだと思うのですね。ミキじゃなく。自分のことをカオリに100%言い当てられて、ケンはどう思ったか。

この回で見たケンは、「自分のことを一番よくわかっているカオリだからこそ、そして自分が一番愛している女性だからこそ、自分の愚行によって人生を狂わせたくはない」「自分が悪者になって別れを告げれば、カオリもこれ以上苦しまなくて済む」だからこそ激しい声で罵倒して追い出した。

・・・・

というのを、すべて受け止めたように思えたんですカオリが。

ケンに対してケンを思って言った言葉が、自分たちの関係の終焉を導くであろうことは、当然カオリだって予測していたはず。
当然、自分の言葉に対する責任を取る覚悟もある女性。

そしてケンから返ってきた予想以上の拒絶。

これは理屈じゃなくてそのときの空気なのでなんとも形容したがたいのですが、「ケンはカオリが本当に自分のことを心配してくれているのは身にしみてわかっていた。だからこそカオリを巻き込みたくないから自分から遠ざけた。カオリはケンが自分のことを思って(自分が悪者になって身を引く)くれたことがわかったから、そこで身を引くしかなかった」という空気が完全に共有されていて。

それがどういう意味を持つかというと、由美子さん(カオリ)がなぜ「ラブレター」を歌うのか、という部分につながると思うんです。
この曲、ケンに拒絶されたカオリが歌う曲にしては、歌詞はおかしいんですよね。
「あなたよ、あなたよ、幸せになれ」って・・・

ここ、東京公演からうすうす感じてはいたのが、「カオリはケンの悲鳴を受け止めたんじゃないかな」という点。
本当の意味でケンを思って身を引いたからこそ、「あなたの幸せを祈る」ってことが成立する。

この回は、その前のやり取りも含めてひとつの物語になっていて、とても素敵な空気だったのです。



由美子さんが自身の芝居をどう評価しているかは、カーテンコールでわかるんですが(リトマス試験紙みたいでわかりやすいことこの上ない)、この日のはじけ方がハンパなかった(笑)。

「リンダリンダ」で白帽子かぶってハンドルもってやってきて「運転手さんそのバスに僕を乗っけてくれないか」の運転手さんになって遊びまくってる(爆)

乗客に(佃井)皆美ちゃんと(大杉)さほりちゃんがいたのにも笑った・・・

カーテンコール前の「終わらない歌」のときも満足そうな笑顔だったし、いつにも増してお得な回でした。



この回の小ネタ

1)「そういうことはちゃんとインターネットに書いておいてほしいよな、そうだよね?」

 と1階A列20番台のお客様に聞く某バンドリーダー(笑)

2)バンドのドラマーに吹っ飛ばされて起き上がったときに脳震盪起こしたかのような反応の鈍さを見せる某バンドリーダー

3)舞台上に上がれずにもたついたのを1階A列のお客様に笑われてしまう豹柄の人

4)客席に「カエルがいっぱいいる」と某シーンで言ったのをラストカテコで謝る破目になった豹柄の人

5)鼻に紙ふぶきがついているのを(うちのご贔屓さんに)取ってもらってたマネージャーな人

いずれにしても仲が良さそうなカンパニーで何よりであります。

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コメント

お疲れさまでした。
今日は、マチソワしましたが、ソワレの方が姫様は、良かったです。マチネではテーブルをウエイトリフテング状態してましたけど
ケンとかおりの関係なるほど、ということは
将来的には結ばれないのかな?全員がサインって座長の計らいかしらね。今回のカンパニー仲よさげで、姫様機嫌がいいことが多いですね。明日もカテコではじける姫様であってほしい。

投稿: てるてる | 2012/07/29 01:44

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