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2012年2月

『ウィーンミュージカルコンサート~2nd Season~』(1)

2012.2.28(Tue.) 18:30~21:10
シアタークリエ1階21列20番台(上手側)

my初日にして楽だったはずの3月4日マチネ、でも待ちきれなくて四方八方に手を伸ばして、何とか入手出来たこの日のチケット。聞きしに勝る凄さでした。

セットリストだけで長編ですが、記録のために残しておきます。

●:持ち曲以外

<第1部>
1.オープニングメドレー
 a.プロローグ~我ら息絶えし者ども~/エリザベート
 b.奇跡の子/モーツァルト!
 c.もう無くすものもない/MA
 d.夢に見るマンダレイ/レベッカ

[レベッカパート]
2.幸せの風景(山口祐一郎)
3.永遠の瞬間(新妻聖子)●
4.レベッカⅠ(一路真輝)●
5.誠実さと信頼(石川禅)
6.今宵マンダレイで
7.レベッカⅡ(一路真輝)●

[MAパート]
8.ILLUSION~或いは希望~(山口祐一郎)
9.100万のキャンドル(新妻聖子)
10.流れ星のかなた(新妻聖子・土居裕子)
11.神は愛してくださる(土居裕子)
12.もしも鍛冶屋なら(石川禅)
13.心の声(新妻聖子)
14.なぜあなたは王妃なのか<ドイツ語>(パトリック・シュタンケ)
15.すべてはあなたに<英語>(新妻聖子、パトリック・シュタンケ)
16.苦しみの彼方に<ドイツ語>(パトリック・シュタンケ、新妻聖子)

<第2部>
[モーツァルト!パート]
1.ここはウィーン
2.僕こそ音楽(山崎育三郎)
3.モーツァルト!モーツァルト!
4.心を鉄に閉じ込めて(石川禅)●
5.終わりのない音楽(土居裕子、石川禅)●
6.ダンスはやめられない(新妻聖子)●
7.チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに(山崎育三郎)●
8.何故愛せないの?<ドイツ語>(パトリック・シュタンケ)
9.星から降る金(土居裕子)●
10.神よ、何故許される(山口祐一郎)
11.影を逃れて(山崎育三郎)

[エリザベートパート]
12.私だけに(一路真輝)
13.ミルク(山崎育三郎)●
14.私が踊る時(一路真輝、山口祐一郎)
15.最後のダンス<ドイツ語>(パトリック・シュタンケ)
16.夜のボート(一路真輝、石川禅)
17.闇が広がる(山口祐一郎、山崎育三郎)●

[全員]
18.影を逃れて

 この日は総勢37曲。地方公演、東京国際フォーラムホールC公演は担当曲のシャッフル・追加も発生するので、もう何がなにやらってぐらいな話ですが、それをこの2時間強で収めるためには、なにしろひたすら歌です。司会の武岡淳一氏(アルコ伯爵役)のしゃべり以外、ほとんど歌・曲が流れています。

 上記のセットリストに持ち歌以外の場合は「●」を付けましたが、これを見ると、今回の公演が「MA再評価」ありきで作られていて、キャストもMAキャストが中心で、そこから他作品にも手を伸ばし、結果初お目見えの組み合わせが登場する・・・という流れになっていることがよくわかります。

 全てがオリジナルキャストなMA、ほとんどオリジナルキャストなエリザベートパートの迫力が群を抜くのも、やっぱり持ち歌のホームさが際だっているためかと。

 個人的にはエリザベートを見たことのない人なので、特に「私が踊る時」はとても心躍りました。一路さんの男前さが上手いこと祐一郎さんとフィットして、さすがは名コンビです。

 レベッカパートは、大体予想通りの印象。一番気になっていたのは新妻さんの「わたし」ですが、やっぱりこの曲はちーちゃんの「いじめられっ子オーラ」(爆)があって成立しているのだと実感。新妻さんにしてはとても柔らかく弱めに歌っていてはいても、ついつい歌い上げたい願望が首をもたげるという(笑)。
 それと間が持たなくなると妙にコブシ入って演歌風になるという(笑)。

 曲の最後、「生きていくわ、明日から一人で」が、「生きていくわ、最初から一人で」に思えちゃう(爆)のはやっぱり・・・(苦笑)。

 ダンヴァース夫人は今回、一路さんが歌っていますが、この役に関しては一路さんの気品がかえって邪魔をしている印象。本役のシルビアさん、涼風さんはいい意味で黒いというか、役柄をまとう重苦しいコートみたいな空気を上手く表現しているというのに比べると、一路さんのダンヴァース夫人は一路さん自体が真実一路過ぎるというか何というか・・・

 で、それと全く同じことを感じたのが個人的にかなり気になっていた2幕、土居裕子さんのナンネール「終わりのない音楽」。土居さんが歌が上手なのも、そして温かみがあるのも、十二分に分かっているので、はてさて50回以上聞いた高橋由美子さんのナンネールとどういう印象の違いになるのかと思っていた訳なのですが、もう第一声から完全に空気が違いました。

 無論歌い手が違うから違うと言えば当たり前なのですが、一路さんのダンヴァース夫人に対して感じた感想と全く同じく、土居さんのナンネールは要約すると「まっすぐ」な印象。

 逆に言ってしまうと、由美子さんが演じ歌うナンネールが、どれほど屈折した人物造型になっているかが、身にしみて分かったのが実は一番の収穫(大笑)。そうとうひねって演じているなと思ってはきたんですが、役柄上合うと思われる土居さんで聞いて「まっすぐ」と思ったと言うことは、どれだけ屈折してるんだと。

 『クンツェ・リーヴァイ作品には「影」という用語が良く出てくる』とは司会の武岡氏の言ですが、まさにその通りで、基本的にクンツェ・リーヴァイ作品っていい意味で「暗さ」というものを持っていると思うんです。

 作品全般を貫く「暗さ」に光を注ぐという意味で、土居さんのアニエスはクンツェ・リーヴァイ作品では珍しい「太陽系」の役、逆にヒロインキャラは揃いも揃って一筋縄じゃ行かないキャラクターばっかり(爆)。
男爵夫人も「太陽系」だけど、あの役は一筋縄じゃ行かない役回り兼任だからなぁ。

 そんな、クンツェ・リーヴァイ作品のヒロイン像を再認識できたのは面白かったです。

 持ち歌がいずれも飛び抜けてイイ中、その中でも出色なのが1幕・MAの「百万のキャンドル」と「心の声」の新妻マルグリット2連発。

 本公演当時、「百万のキャンドル」は笹本さん派、「心の声」は新妻さん派で、それは今でも変わってはいないのですが、その2人のマルグリット、賊としての佇まいに違いを感じるというか。
イメージは笹本マルが短剣で敏捷に動き
新妻マルが真剣で大鉈を振るうみたいな(爆)。

 「心の声」のラストの拳の振り上げがどんぴしゃり決まって、しかも指揮者ともぴったり合って、うぁー気持ちいいだろうなー(なんかシロー@あっきーみたいだった)。

 何しろ「心の声」は前回はサブリナさんがやっていますから、MAオリジナルキャストとしては内心忸怩たるものがあったでしょうから、感無量でしょう。

 持ち歌以外で良かったのは新妻コンスタンツェの「ダンスはやめられない」。
 これは期待通り良かった。
 思ったよりずっと松コンスと違う味で、なんか食べ物取り上げられたらこんなんなりそうだなとか(こら)。

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 最初にも書きましたが、何しろ歌が多い今回の2nd Season。トークがないかと思いきや、実は1コーナーだけあります。
 ドイツからのお客さま、パトリック・シュタンケさんをご紹介するシーン。

武岡「英語もドイツ語もダメなんで、助っ人をお呼びしたいと思います。新妻聖子さんーー」
新妻「どうもーーー(と下手側から真っ赤なドレスで登場←見覚え有り。確かNHKで着てた)」
武岡「よろしくお願いします」
新妻「はい」
武岡「今日は初めての2回公演ですが、昼と夜の間は(パトリックさんは)何をされていたんでしょうか」

新妻「(パト氏にマイクを通さず英語で質問、パト氏は英語で答えるけれどもそれもマイクに入らない)
   ・・・そうなんです、今日はお食事ご一緒したんですよ」
武岡「それは通訳じゃないんじゃ(会場内笑)」

新妻「(一顧だにせず。本人いわく「いっぱいいっぱい」だったらしいこちら)
   パトリックに『何食べたい?カフェでも行く?』って聞いたら
   『日本に来てまでフレンチはイヤだ』と(笑)。
   日本そば屋に行きました」
   (※ちなみにいっくん同席こちら
武岡「ほぉ」
パト氏「(お腹をぽんぽんとジェスチャーで)(会場内笑)」
新妻「(パト氏のお腹をぽんぽんとジェスチャーで)(会場内笑)
   ここには日本そばとカツ丼と抹茶ラテが入ってます(会場内大笑)」

 ・・・・えーと、いつもの新妻さんトーク炸裂でした(笑)

ちなみにおまけ

武岡「パトリックは今日変な日本語を覚えたそうで」
パト氏「『まじでーーーー!』(会場内笑)」
新妻「(苦笑いで放置してました)」

犯人はいっくんだそうです。

それにしてもこの新妻さん×パトリックの漫談コーナー、日替わりでほとんど食べ物ネタだそうです(爆)。

武岡「パトリックは日本のミュージカルって見ました?」
新妻「(ちゃんと聞いて)『ハムレット』見たそうです」
武岡「いかがでしたか」
新妻「(ちゃんと聞いて)『歌も演技も演出も素晴らしかったです』だそうです」
パト氏、あの辺から見ましたーーと上手側2階席を指差してました。

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この漫談の後、この2人が歌う英語版「すべてはあなたに」とドイツ語版「苦しみの彼方に」の2曲が凄すぎる。
ただでさえ大変な2曲なのに、そんなの物ともせずに突っ走りまくる2人。お互いの容赦しなさすぎなのが気持ちいいだろうなこれーってぐらい凄かったです。

そうそう、何の不思議もなく見ていたんですが、「すべてはあなたに」って、新妻さん初のマリーアントワネット役じゃないですか。違和感なさすぎる。
玲奈マルグリットちょっと出演してもらって、この組み合わせで・・・(願)。

1幕が新妻さんオンステージだよーと行った人から聞いていましたがさもありなん。
2幕が思ったより育三郎氏オンステージじゃなかった(むしろ祐一郎氏が印象残る)、でした。

あと何回見られるかな-。個人的にとても満足公演でした。

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『ハムレット』

2012.2.19(Sun.) 13:00~15:10
シアタークリエ 7列20番台後半(上手側)

平成24年初観劇・・・では実はないのですが(RHSの東京リターン公演が今年初観劇)、すっかりご無沙汰してしまいました当blogでの初観劇upになります。

この日の開演をなぜか14時と間違えていて、12時台に大手町で作業していて、変な第六感が働いてチケットの時間を確認してみて・・・血の気が引きました(笑)。大手町と日比谷は幸い近いので、事なきを得ましたが。

「ハムレット」は原作も他バージョンも未見の作品なので、せめて開演前にパンフだけは読み終えておきたいと思っていたので、何とか開演20分前に入れてほっとしました。

とはいいつつ、実は「ハゲレット」という「ハムレット」のオマージュ作品(2006年)を見ているので、完璧に導入部が邪道(笑)。
ラッパ屋主宰・鈴木聡氏翻案、山田和也氏演出で、若ハゲに悩むハムレットという設定で近藤芳正さん、ヒロインのオフィーリアがこの時初めてのストレートプレイだった(ただ、その後もストレートプレイは出演していません)笹本玲奈嬢。

という原体験があるからして、今回の「ハムレット」がどう見えるかというのがあったのですが。

ハムレットを演じる井上芳雄氏は、ずいぶんとご無沙汰したのですが(三銃士を結果的にスキップしたので)、芝居としては2011年1月の「モーツァルト!」大雪の金沢大楽以来1年以上ぶり(ステージとしては品川ステラボールのドラチカ以来半年ぶり)。

悩める人物を演じさせれば一級品の井上氏。現実に苦悩して理想を追い求めながらも、それは自らも周囲も不幸にする、そんな影から逃れられない負のスパイラルの中心にいるのが、これほどまでに似合う人を他に知りません。

今回、おやっと思ったのは父との関わり。井上氏は「ルドルフ・ザ・ラストキス」で王であるフランツと対立、「モーツァルト!」では父・レオポルトと対立。

父親に反抗しているイメージしかない(苦笑)ので、「ハムレット」になぞらえると、父である王が毒殺され、憤りを抱き暴走する、というのはよく考えると初めてで新鮮でした。

ヒロイン・オフィーリア役はお初にお目にかかります昆夏美嬢(なっちゃん)。ミュージカルデビュー作となった「ロミオとジュリエット」以降今回が3作目ですが、今まで都合が合わずにこの日初めて見ました。
聞きしに勝る小ささですね。公式155cmってことですが、いや、絶対もっと小さい・・・。

オフィーリアの最初の歌の歌い出しはオフィーリアの親友・ヘレナ役(ミュージカル版オリジナルの役)の平田愛咲嬢(あずりん)。噂に聞いていましたが、歌い方がとても新妻聖子嬢に似ています。で、オフィーリアの原体験は私にとっては笹本玲奈嬢なわけで、しかもなっちゃんは玲奈嬢に歌い方が似ているわけで・・・

このシーン、とても素敵なデュエットなわけですが、聖子嬢&玲奈嬢の「姫ペア」並みに、あずりん&なっちゃんで「姫ペアジュニア」って感想を持ってしまい・・・(あー石投げないでっ)。

オフィーリアが狂って身を投げるシーンのヘレナの背中が印象的。
でも実はヘレネで一番ツボだったのは、王妃ガートルード(涼風真世さん)の再婚の結婚式でブーケを奪い合って、結局奪い取られてしょげて、でも最後はガートルードが取り上げてオフィーリアにあげて「それなら良かった」って表情になるとこ。

オフィーリアといえば、兄であるレアティーズに触れないわけにはいきません。
お久しぶりの伊礼彼方さん。

・・・ってをい(笑)

去年から「リタルダンド」「GOLD~カミーユとロダン~」と来て「ハムレット」、その次1作飛んで「リンダリンダ」で拝見している(する)というに(爆)。

男性俳優さんでここまで連続で見ることになるって本当に珍しいのですが、井上氏とまた違った格好良さを見せてくれる俳優さんで、苦悩タイプというところがとても似てますね。私感で言えば、井上君の体温を5度あげると伊礼君になるような印象があります。・・・どっちも平熱です念のため。

妹のオフィーリアを溺愛する兄・レアティーズですが、それ故に後半の決闘も父への憎しみだけじゃないという。

妹と歌で会話するところの「ブラザー!」「シスター!」はちょっと間が抜けてて苦笑してしまいました。
いや、「シスター!」って言うから、どこに尼さんいるんだ?と実は本気で勘違いしました(爆)。

空気からすると「お兄様」「妹よ」がぴったりだと思うんですけどね。

自分の趣味が多く入っていることはあえて否定しませんが、突き詰めると自分がやけどしそうなのでこのあたりで(苦笑)。

そういえばパンフで、井上氏がなっちゃんと話していると伊礼氏がいちいちツッコミ入れてくるって話があって笑ってしまいました。
本人は実は兄キャラなそうで、すると「リタルダンド」で由美子さん演じる吉野姫、「GOLD」で新妻さん演じるカミーユへの気持ちというのは、そうすると逆だったんですね。年上の女性に惚れるような役柄設定を続けて見たせいか、今回はとても新鮮でした。



ご覧になった方が皆さんおっしゃっていますが、とにかく展開が早い早い。
135分と言っても20分の休憩が含まれてですから、短い短い。

音楽はロックミュージカルと銘打ちつつも、どこかポップス寄りのところもあり、メロディーラインも滑らか。

涼風真世さん、苦手な女優さんだったけど、ガートルードは流石の妖艶さ。
演出が栗山民也さんということもあり、どことなく「MA」の空気もちょっと感じてしまうのでした。

山路さんの空気感も癖になりますね。ある意味あんなんアバウトに生きられる(役の上ですけど)が羨ましい。

見る前から想像が付いていましたが、やっぱりまた見たくなる作品でした。1回しか見られなかったのが悔やまれます。
時間があればもう一度見てみたいと思える佳作でした。

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