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『リタルダンド』(2)

2011.7.20(Wed.) 18:30~21:35
パルコ劇場B列20番台(センターブロック上手側)

この日は、朝っぱらから大忙しの仕事の中、昼過ぎには笹本玲奈嬢の「ジキル&ハイド」出演情報、その後すぐ新妻聖子嬢の映画主題歌(「とある飛空士への追憶」)発売情報と立て続けに入ってきて、何とまぁ落ち着かない1日でしたが、仕事を何とか終わらせて、駆けつけるのはやっぱりPARCO劇場の「リタルダンド」。

初日以来、二度目の観劇です。

二度目に見ると、やはり初日は緊張のあまり流れてたところも、かなり丁寧に進むようになっていて、さすがに噛む人もほとんどいなくて、一幕終了時点で既に涙腺が危なくなっておりました。

(ちなみにネタバレが豊富に含まれますので、一切の情報を入れたくない方、回れ右でお願いしますっっっ!)




一幕は編集長・潤治が自分の症状に不安になり、また心配する周囲の声もあって病院に行き病名が発覚、そんな中でも妻・洋子を初めとした周囲は、それぞれの立場・思いから潤治を支えようとする・・・・というシーンで、ご覧になる方によって誰に感情移入するかは変わるとは思うのですが、自分的には高橋由美子さん演じる吉野に端っからロックオンなわけで。

彼女はどんな作品でも感情移入できない役作りを絶対にしない人なので、彼女の役作りからストーリーに入っていけば、自然に周囲のキャラも含めて作品が理解できるという、とてもありがたい女優さんなわけです。

今作、男性俳優が5人、女優が2人ですが、実は女性役は3役あります。

一路真輝さん演じる洋子、高橋由美子さん演じる吉野、そして演者がいない恵。

こういったことになると、実は演者がいない役の方が存在感は大きくて、というか言葉だけで語られるだけに、見ている方が想像力を働かせやすい、いきおい大きな存在として闇に在ることになります。

正妻である洋子、過去一度関係を持ったことがある吉野、そして前妻の恵。
その関係において誠に不思議なのが、洋子と吉野の関係です。

吉野は編集長・潤治との仕事関係も長く、あまりはっきりは語られていませんが、実は洋子と潤治は仕事で知り合っての結婚(洋子は撮影関係のコーディネーターとして潤治と知り合って結婚)なので、時系列では洋子より吉野の方が潤治との関係は長いわけです。

洋子は吉野と夫との関係について、疑わないわけではないのですが、それでも吉野が洋子に対してそれをほのめかすのはたったの一回、

吉野「私は編集長とは長い関係です」
洋子「それどういう意味?」

ただ実はここも洋子が単純に気を回しただけで、吉野も実は匂わせたわけではないんですね。

吉野「最近の編集長、ちょっと変です」

と続けたことで、吉野は洋子に対して、あてつけたわけでも匂わせただけでもなく、単純に心配してくれたと思うことで、その後洋子は吉野に対しては、「ライバル」という見方はしないようになります。

吉野も潤治に対しては「結婚しちゃうんだもんなー」と愚痴ってはいるものの、正妻である洋子の前ではそれは一切出さないというのも、それはそれで凄い自制心。

妻の前で自分の存在をそのように見せること自体が、吉野にとっては恥ずべきことだったのだとは思いますが、それ故に自分を自分で縛ってしまい、結局自分の思いはどこにも出せない。伊礼君演じる藤原にそれを気づかれてはしまうけれど、表には出さない。

吉野のどこがいい女かって、藤原への突っ込みのタイミング。

自分の思いを口にできないだけじゃなくて、藤原の勢いも堰き止めている。
言いたいことを言うことは、ともすれば相手を傷つけることになりかねないことを吉野は分かっている。

だけれども、相手をおもいやって言わないこと、それは本当の優しさではないこともある、ということを市川しんぺーさん演じる泉は見せていたりする。

最初は「来るな」とまで言った泉を吉野が認めていく様子というのが、意外に興味深くて、「おおっ」と思ったのでした。

言いたいことを言わずにいた吉野が踏み出した、「社長への直訴への同意」、そして「独立」。
そして、忘れられてしまったと思っていた自分のコアを射貫いた潤治の眼差し。

洋子と吉野が共有していたのは、「恵」という存在への恐怖だったのかなとふと思ったりして。

前妻の名前「恵」で呼ばれ続けた洋子の名前を、「忘れたくない」と書き留めていた潤治。新しい記憶だからこそ、忘れてしまうかもしれない、その恐怖を書き留めることで逃れようとしていたのだと思うと、「忘れない記憶」として存在した”恵”と、「忘れたくない記憶」として存在した”洋子”の違いが、なんだかすごく重く感じてしまって。

では吉野がどっちだったのかというと、「そのどちらでもない」からこその不安だったのかと思う。「忘れない記憶」ほど古くもない、「忘れたくない記憶」ほど新しくもない。

一幕で潤治に対して発せされる「私は新しい?それとも古い?」と言う言葉は、多分演出&演者の意図もあってわざと軽くされているだけに、笑いまで起こるわけですが、その言葉の本当の意味が客席に一瞬で伝わったときの張りつめた空気が、実はこの作品で一番好きな時間だったりします。



この作品、重いテーマの割に笑いがしょっちゅう起こるわけですが、その中でも日替わりメニューなのが、二幕、笹岡家3人で写真を撮るシーン。
カメラマンは藤原が務めるわけですが、潤治を笑わせるためのアクションを藤原(伊礼君)の背後で吉野(由美子さん)がやるんですが・・・

初日はノーマルで、吉野(由美子さん)が背後から近づいて、藤原(伊礼君)の頭をバックで”すぱこーん”と叩いていましたが、あれではカメラのピントがぶれます(笑)。

2日目は行った人いわく、コマネチだったそうです(笑)。

そしてこの日・・・DVD収録日のネタは、何とどじょうすくい(笑)。
超入念に30秒以上やって、会場中の大爆笑を誘っていました。

というか、由美子さん、終えたらすました顔して椅子の方に戻って飄々としていました(私がどうかしましたか、みたいにすっとぼけて・・・笑)が、意識が薄くなってるはずの鋼太郎さんが、吉野を指差して「お前何かやっただろーーーーー!」みたいにやってたのが笑いました(会場内も気づいて笑ってた)。

鋼太郎さん、遊んでるなー。そして由美子さん、流石すぎです。



この日は終演後、トークイベントが開催。
上手側から吉田鋼太郎さん、中央に一路真輝さん、下手側に山崎一さん。
司会はキューブの「出来る奴」(←山崎さん談)こと佐々木さん。

司会からの「私服に着替えての登場です」に初っぱなから「そんなこと言わなくたっていいんだよ」「お前は私服じゃないじゃないか」と突っ込んでいるのは鋼太郎さん(佐々木氏は背広)。

この進行役の方、とても真面目風味なのですが、山崎さんが「出来る」とおっしゃるだけあって、すっとぼけ方が、鋼太郎さん的にとてもいじりやすかったらしい(笑)。

あれだけいじられればあわあわして我を忘れるはずなのに、それでも結構耐えてました。凄いなーと変な感心。

この日は、事前にtwitter公式アカウントで質問が募集され、それに合わせて答えていく形式でした。
(Q:佐々木氏、Y:山崎一さん、I:一路真輝さん、C:吉田鋼太郎さん)

Q「稽古・公演通して、忘れたくない、忘れられない思い出は何ですか」
Y「何と言っても初日の終演直前の地震ですね。続けるかどうするのか・・・あの時は忘れられないです」
I「私も同じですね。あれを超えるものはないです」
C「私は、初日の終演直前の地震ですね(←違うこと語ると思わせておいて同じだったので、会場内に笑い)」

Q「お互い、初印象と共演してみての違いってありますか」
Q「鋼太郎さんから一路さんへ」
C「一路さんは共演させていただく前は、綺麗で、凛々しくて、素敵だなと思っていたのですが・・・・(会場内笑)、共演してみて、既にご存知の方も多いとは思いますが、天然なんですよ(会場内爆笑)」
I「そこまで先に持ち上げなくていいです(笑)」
Q「一路さんから山崎さんへ」
I「あ、完全にこのまんまです(笑)ただ同世代でメカに詳しくないのにipad買ったりして偉いなと思いました(笑)」
C「だってipadって簡単だよ(笑)あれそういえばメールつながらなくなって慌ててたよね」
I「そうそう、大騒ぎしてたよね」
Y「いきなりメールつながらなくなって、G2(演出)に”直してよ”って言ったりして」
I「職権乱用よね(笑)」
Q「山崎さんから鋼太郎さんへ」
Y「・・・・・・・(鋼太郎さんの役者イメージ保持のため省略)・・・・・・・」

役者ってフリーダムだ・・・・。

Q「好きな音楽ってありますか」
I「好きな音楽があるって羨ましいんですよ」
C「というと」
I「15からずっと音楽と言えば「好きだから」より「必要だから」と歌ってきたので」
C「あぁ、『××××××××』とか(曲名自粛)」
I「はい」
C「嫌いなの?」
I「好きですよ! 誤解されるような発言しないでくださいよ(会場内大爆笑)」

役者ってフリーダムだ・・・・。

I「そういえば由美ちゃん、高橋由美子ちゃんとも楽屋で話してたんですけど、『山崎さん、どんどん歌が上手くなってきてずるいよねって(笑)』
C「何を言ってるんですか。私らは芝居でなんとか歌にしてるのに、全然ジャンル違うじゃないですか(笑)」

あ、一路さんも呼び方は「由美ちゃん」で、誰のことか分からないと困ると思って「高橋由美子ちゃん」と付け加えるんですね。
息子さん(某ルドルフ王子)と同じじゃないですかーーー。

※パルコでは女子楽屋で一緒みたいですね。仲良さそうで何より。

Q「最後にお客様にメッセージをいただければということで、一路さんに締めていただきたいと思います。では、まずは鋼太郎さんから
C「えぇぇぇ(会場内爆笑)。一路さんに締めてって言ってなんで俺に来るの?」
Q「いや、最後は一路さんと思っておりますが、まずは鋼太郎さんからということで(笑)」←この人も意外に自由な人だ
C「アルツハイマーがテーマということで、自分も親父がアルツハイマーだったので、写真のシーンでは映った自分が本当に父親に似て見えるんですね。やっぱり身近にそういった人がいると、お客さんの中でも辛い思いをされる方がいるかと思いますが、ただ”悲しい”とかだけではない作品になっているかと思いますので、ぜひそういう方も含めて、お知り合いの方にお奨めいただければと思います」
Q「では山崎さんお願いします」
Y「全く同じなんですけど、色んな方にみていただきたい思いでいっぱいです。そしてなでしこJAPANおめでとう(←いきなり)」
Q「では最後に一路さん、お願いします」
I「はい、今山崎さんからなでしこJAPANの話がありましたけれども、日本を元気にするにはどうしたらいいんだろうかという気持ちに対して、私たちはこういった芝居というものを通じてメッセージを届けていきたいと思いますし、今日来ていただいた方の思いを周りの方にも伝えていただければと思います。映像と比べて限られたキャパシティの中での(メッセージ)発信ということになりますけれど、一人でも多くの人の心に伝えられればいいなと思っています。ぜひ、またおいでいただいたり、お友達をお誘いいただければと思います」

一同「本日は誠にありがとうございました」



という内容で、20分の予定だったトークイベントは、正味25分。
本編も笑い&涙でありましたが、トークイベントは爆笑だらけのけっこう面白い空間でした。
DVD収録日ということもあって、カメラも回されていましたので、特典映像化を期待しています。

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