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『水平線の歩き方』(2)

2011.6.16(Thu.) 20:30~21:30 1階19列10番台後半
2011.6.17(Fri.) 19:00~20:00 1階16列10番台前半
サンシャイン劇場

キャラメルボックス・ハーフタイムシアター。

今回は「水平線の歩き方」(2008年初演、今回再演)と「ヒア・カムズ・ザ・サン」(今回初演)の2本建て。

6月から自社はサマータイムという名の出勤時間繰り上げがありまして、実は夢見ていたことがありまして。

「仕事してからハーフタイムシアター2作品をハーフプライスチケットで見る」

という、知る人が聞くと実はすごーく難しいことで。

キャラメルボックスのハーフプライスチケットは当日券を更に半額で提供するシステムで、有楽町と池袋のぴあ2店舗限定で、当日10時から開演2時間前までの発売。
ただしハーフタイムシアターの場合は、1作品目の開演2時間前で2作品とも締めきるので、平日の〆切は17時。

会社のチャイム5分後に会社を出て、購入終了が16時58分。
ただ隣のお客さんもハーフプライスチケット&ハーフタイムシアター(ダブル)だったのが苦笑でしたが。

東京千秋楽を来週日曜日に控えていますが、その日はドラロマで品川だし、前日は実家戻りで1作品しか見られない(しかも1作品目は「ヒア~」)ということでさんざん困った揚げ句、それでも見られたのはこれ幸いでした。


「水平線の歩き方」の初演は前述の通り2008年。新宿・シアターアプル。
いまはなき新宿コマ劇場の地下にあった劇場です。岡田達也さん演じる幸一がお酒を飲んだ場所、「新宿・歌舞伎町」の台詞はまさに初演の場所そのものなのですが、今回も場所は変わりませんでしたね。酔っぱらっても府中あたりまでは帰ってこられるとなると、起点は池袋だと厳しいでしょうね(別に経験はありませんが)。

初演の時のレポ見たら、その時同時上演の「ハックルベリーにさよならを」(ちなみに今回の2作品とも、実はこの作品の数年後のパラレルワールド作品です)が私的にぴんと来なかったので・・・って書いていたのですが、すいません今回も全く同じ感想です。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」が西川さんご病気による降板で、岡田達也鉄人がダブルヘッダー(時にはクアトロヘッダー←あるのかそんな言葉・・・1日4回舞台に立つということ)なのは凄いとは思うのですが作品としては・・・

「水平線の歩き方」の完成度の前では相手が悪すぎて。

キャラメルボックス作品は全部見るタイプではないのですが、それでも今まで見た10強の作品群の中では、2時間物だと「嵐になるまで待って」、1時間物だと今回の「水平線の歩き方」と「ミス・ダンディライオン」がツボ中のツボ。

1時間物の2作品はいずれもW岡田(岡田達也氏&岡田さつきさん)作品なわけですが、もう「芝居の相性」という言葉を説明するのに、これ以上の組み合わせはないと思います。

この作品、岡田さつきさん演じる母・アサミが亡くなってから、一人で生きてきた息子・幸一(岡田達也さん)が、なぜかアサミと再会して、今までの自分の人生を語り始める物語なのですが、まぁ本質的に、「男とはいつになっても、母親に甘えたいものなのです」という物事に集約されるのですが(笑)、もう、ももこさん(岡田さつきさん)の包容力が半端なさ過ぎて、そりゃ達也氏も容赦なく甘えるわみたいな。

母としての優しさ、母としての厳しさ。
生きたくてももう死んでしまった自分が息子にしてあげられる、最後のプレゼント。

「好きな人に遺されたくないから、もう自分は誰にも頼らない」と言う息子に対して言う、「身体は大人になったのに、心はあの頃のまま。何も成長してない」と言う母。

これ、男って生き物からすると一番の痛いところなんですね。
大人の男って生き物は基本的に「子供扱いされたくない」生き物なんですね。

「一人前だと認められたい」って気持ちは個人の差はあれ、大人男性の大部分の人が持っている気持ちだと思うんです。

人生にとって最初の女性である母親に認められたい、褒められたい。でもそんな母親から「心は何も成長していない」と思うことが、男性にとってどれほどショックであるか。

初演の時に思ったショックは、再演でも同じように感じられて、でもそれは不快とかそういう感情ではもちろん全然なくて、「成長が遅くたって構わない。生き続ければ、そして成長しようと思い続ければ、人間は変わっていけるんじゃないか」と思える気持ちってとても心地よくて。

この作品、ハーフタイムシアターなので60分しかないのですが、60分としての短さも、60分としての長さも感じさせないという意味で素晴らしい作品だと思うのですが、とにかく笑わせどころの多さも半端ない。

何しろ年がら年中何か仕掛けていないと気が済まない、猫みたいなももこさん(岡田さつきさん)がメインですから。

幸一「母さんはアリとキリギリスならアリだった」
アサミ「二択?」

・・・いやその突っ込み間違ってるけど面白い。
ちなみにもう一つのバージョンは

幸一 「母さんはアリとキリギリスならアリだった」
アサミ「私チョウがいい!」
幸一 「チョウは出ないの!」

ってのがありましたがこっちはちょい微妙。

あと今回の新規ネタで笑ったのがこれ。

幸一 「母さん、今は看護婦って言わないんだよ。看護師って言うんだ」
アサミ「看護士って男のことじゃない」
幸一 「看護師の師は「医師」の「師」なんだ。男性と女性どちらも看護師なんだよ」
アサミ「ありえない! 
看護婦ってその言葉自体が医療行為じゃない!

うわーももこさんテイスト全開
(ちなみにこの台詞は戯曲にはないのでももこさんオリジナル)。

幸一がラグビーで入った会社・初芝で同期の豊川(左東広之さん)とのくだり。
豊川は補欠で4年で引退、退社。ところがその後、社内報記者の一宮(初演は青山千洋さん(引退)で、今回は井上麻美子さん)と結婚することになり・・・

アサミ「ラグビーはダメだったけど、女を口説くのは上手ってわけね。
見習え。
幸一 「ほっとけよ」

ってのもツボ(笑)。

そしてそして幸一を茶化すもう一人、外科医師役の阿部知香子、こと前田綾さん。
声も通るし背ものっぽさんですらっとしてるし・・・そして何より笑いが取れる(笑)。そういえば「ミス・ダンディライオン」も綾ちゃんいましたね。
W岡田+綾ちゃんは岡田達也王子に気を抜かせない鉄壁の布陣なんですよね(爆)。

阿部先生も戯曲と見比べているとだいぶ綾ちゃんテイスト満開で、あの「新手のプロポーズですか」が台詞として存在していなかったのにかなりびっくり。

あ、でも家族抱き込んで外堀から埋めていった阿部先生先導の食事会、初演の「叙々苑ーーー!」の方がテンポ良かったよなぁ。



キャラメルボックスを観に行くと、なぜかカーテンコールスピーチが綾ちゃんな法則。
(多分、今までで5割以上の確率の予感)

6/16編
綾ちゃん「緊急公演『銀河旋律』出る人!」
「(綾ちゃん以外全員が手を挙げる)←笑」※綾ちゃんはその時期に客演。

綾ちゃん「申し訳ありませんが、今回のカーテンコールは1回とさせていただきたいと思います。その代わりに、キャストが通路から退場させていただきます。そこでお願いがあります。役者の匂いを嗅がないでください(笑)。だからといって息を止めないでください(笑)。傷つきます(笑)」

・・・これこれ。

補足(ヒア終了時。次は水平線なので15歳の若返り)
大森さん「岡田達也が若返りの薬を飲んで若返りました
達也氏「自分で若返るってば」


6/17編(水平線終了時。次はヒアなので15歳の老化)
綾ちゃん「ハーフタイムシアターということは何を申し上げたいかわかりますね?」
「(会場内笑)」
綾ちゃん「そうです。これから私たちは20分以内にこのセットを解体して、岡田達也の歳を取らせなければなりません
達也氏「自分で(歳)取るよ」
綾ちゃん「そうなんです。達也さんはこの次の作品にも登場します」
「(場内拍手)」
綾ちゃん「今の役以上に頑張ってくれるものと思います」
達也氏「ハードル上げるなよ(笑)」

・・・本編でももこさんが突っ込みまくってるから、カーテンコールでの岡達突っ込み担当は、綾ちゃんな次第。

あぁもっと前半に行っておくべきだったぁと後悔しても後の祭り。

小多田さんもまみゅーんも良かった(いつのまにあんなにキュートになってたんだ、まみゅーん)けど、凄く良かったのが奈穂子役の原田樹里ちゃん。あの堂々とした佇まい(岡田達也氏さえいじる小多田直樹を完全に尻に敷くという時点で、ある意味ももこさんの後継者の系譜の予感)、思った以上に素敵でした。

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