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『ウェディングシンガー』(2)

2011.3.21(Mon.) 17:30~20:25
シアタークリエ 22列センターブロック上手側

こんな時こそノーテンキミュージカル。

・・・と思っていたわけでもないのですが、結果としてそうなってしまいました。
しかも前日はお葬式のお芝居で、この日は結婚式のお芝居。
何やってるんでしょうか自分。

2008年2月の日生劇場初演→レポこちら に続けての再演で、劇場はコンパクトになってシアタークリエに変更。思ったよりも客席は埋まっていて、8割方の入りでしょうか。

初演からプリンシパルが一人も変わらずに再演というのは実に珍しくて、それゆえ井上君いわく「再演は色々変えたがる自分だけど、今回は初演をなぞる」と言っていることもあり、実に初演のままです。

逆に言うとその安定感というか完成度がそのまま帰ってきてくれていることが、今だからこそ何よりかなと思えて。客席も手拍子が始まるのが1幕前半からだし、この作品に「気持ちを乗せてもらいたい」んだろうなというのが、否が応でも分かります。

再演でちょっと残念だったのが、日生からクリエに変わって、通称・罰ゲーム(←本人はその呼び名を否定。)の水かけシーンが地味になっちゃったこと。まぁそりゃ地下2階の劇場ですから、日生と同じ量の水ぶっ放したら排水が大変なのは水を見るより明らかですが(←意図的に誤用)、そこはちょっと物足りなかったかなと。

ヒロイン役・ジュリアは前回に引き続きSPEEDの上原多香子さん。

初日の囲み会見で、「島袋さんが妬いちゃうかも(←前作「モーツァルト!」での奥様、コンスタンツェ役)」と言った井上君に、「いや、寛子ちゃんは妬かないですよ」とばっさり答えていて激笑したんですが、彼女の魅力はそういう「感情のなさ」だと思うんですね、逆説的に言ってしまうと。
(ちなみに井上君は「えー、妬いてくれないかなぁ・・・」と執拗でしたが笑)

いわゆるステレオタイプ的なヒロインというか、どこか醒めているところが、特定のシーンで大爆笑を引き起こすんですね。
あの「ゴミ溜めの歌」と、グレンに「申し訳ない気持ちが全然なくなっちゃった」ってところが、もう絶対的に誰も出せない味ですあれ。

井上君の前回のお相手・島袋さんは今期の「モーツァルト!」で明らかにミュージカル的な歌唱にベクトルを動かしていましたが、上原さんはそんな感じは微塵もなくて、対照的だなと思うのですが、この作品に限って言えばそれがいいような気がします。

というかこの味を出せて井上君と一緒に出来る人が今のミュージカル界にはいないと申しますかですね(以下自粛)。

井上×新納の名コンビも、樹里×綜馬の迷コンビも健在で、そこまで笑うシーンはないのですが、客席と舞台が一体になれるあの拍手の波は凄く気持ちいいです。

笑うシーンがないとはいえ、1幕で新納氏の楽器が井上君の背中に引っ掛かっちゃって大爆笑を誘っていましたが。

2幕ラスト、井上君演じるロビーが、ジュリアに歌いに行くシーンがあるのですが、たまたまとはいえ自分の席、井上君までたった50cm・・・・
初演はもっと前で見ていたので気づかなかったのですが、ふと見たら目の前にいきなり井上君がいてびっくりしました(笑)。




ここのところカーテンコールのラストは井上君の挨拶があるようで、この日のご挨拶の一部。

「本日はご観劇いただきありがとうございました。こんな状態の中、またお足元の悪い中ご来場いただき、本当にありがとうございました。この『ウェディングシンガー』、先日より東北関東大震災チャリティー公演ということで、収益の一部を日本赤十字社さんに寄付させていただくこととなりました(会場の一部から拍手)。

ありがとうございます。実はまだまだ告知がありますので、あとでまとめてお願いします(笑)。お気持ちは伝わりました、ありがとうございます。
ロビーに置かせていただいておりますキャストが作りました義援金募金箱にも、できましたらお願いをできたらと思います」

ここで新納氏から不規則発言(新納さん的には確信犯でしょうけどね・・・笑)があり井上君がそれを拾いつつ。

「この後、キャスト有志で1階ロビーにて募金を募っております。本日から新しいパネルも完成致しましたのでご覧ください。お客さんの入りもだんだん戻っては参りましたが、それでも今日こられなかった方の席がいくつもあり、そんな皆さまにも気持ちが届けばいいなと思っています。」

「僕たちはこの作品を通じて、自分たちができることをやっていきたいと思います。みんなで元気になりましょう! 本日は本当にありがとうございました(拍手)。」



久しぶりに舞台と一体になれたのは何より嬉しくて、きっとこんな時だからキャストの皆さんスタッフの皆さんのプレッシャーは凄まじいものなのだろうけれども、色々な意味で「人を楽しませる執念」みたいなものを肌で感じられたのは良かったです。

とりわけ「みんなで元気になりましょう」は凄くいい言葉だなって。
井上君は「今やっている作品がこの作品で良かった」とおっしゃられていたそうですが、今やっている作品の座長が井上君で良かったな、というのが掛け値なしの感想でした。
この安定感は何物にも代え難いものがあります。

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