« 『ハロルコ』(5) | トップページ | 『笹本玲奈 舞台の魅力を語る』 »

『日本人のへそ』

2011.3.8(Tue.)18:30~21:45
シアターコクーン XA列下手側

1幕115分、休憩15分、2幕55分、つまり3時間の長丁場。
ついつい「にほんじん」と読んでしまいそうですが「にっぽんじん」です。

こまつ座公演は一昨年の天王洲銀河劇場「組曲虐殺」の井上芳雄氏&石原さとみさん以来なので2回目。

笹本玲奈さんがストリッパー役ということで、どないになるのか心配しつつ、それでいて見透かしたように最前列をくれる某FCの深謀遠慮に困惑しつつ(笑)。

2回目でしかないこまつ座でさえ今キャスト14人中、笹本さんを含めて5人までが見たことがあることにちょっとびっくり。何だかんだいっても芝居見てる数は多いんだなぁ。

ちなみに初見組でないのがたかお鷹さん(「エル・スール」)、植本潤さん(「SHIROH」、「苦情の手紙」)、山崎一さん(「ジェーン・エア」)、今泉由香さん(「ピーターパン」)と笹本さんで5名の皆さま。
やっぱり知ってる方の安心感と申しますか、目はどうしてもそちらに向いていくわけです。

それにしても、年始以来、女性が男性を利用していく物語を立て続けに見続けてるわけですが(「白夜行」→「ハロルコ」→「日本人のへそ」),私の人間形成大丈夫なんでしょうか(爆)。




事前におけぴの稽古場レポートで、「笹本さんがありえない役をしている」という話は見聞きしていたので、心の余裕が出来てたいそうありがたかったですが、驚きたい方は絶対見ないで!いきなり見た方が絶対楽しめます。
そんな方はこれ以降のちょびっとは含まれるであろうネタバレにも、回避の方が推奨です。




「今までにない役」と言われていた笹本さん。

岩手の片田舎から上京し、ありとあらゆる下積みを経てのし上がっていく女性・ヘレン天津という役。
一幕はヘレンがのし上がっていく過程を描くのですが、なぜかわからないんですが個人的にはイメージがサリー・スミス(「ミー&マイ・ガール」)とかぶってしょうがない(笑)

育ちの悪さを隠しもしない、無鉄砲さやりたい放題さのイメージがしっくりというか。
あの物語は好きな人(ビル)とくっつく目的があるとは言っても、悪賢く男を利用するとかいうそういう「悪女」的な面はありませんからね。

ある意味、笹本さんファン的には念願の悪女です(こら)。

いわゆる目力のある女優さんというのは自分のご贔屓さんの共通点なのですが、目的のために手段を選ばず的な役どころと、ご本人との、ゼロとは思えないシンクロ振りが、自分的にはたいそうツボで(←また本人の前で言えないことを言う・・・)

衣装的には実際のところそこまで心配したほどではないと言いますか、「ミス・サイゴン」のキムでビキニを着ているわけで、一番派手な衣装であのあたり。
まぁ、ご本人いわく「弁当箱ダイエット」が必要であったことと、その成果がありましたことは何よりでございましたが、これも本人いわく、「ダイエットすると落ちて欲しくないところから落ちる」らしい(苦笑)。

役柄的な激しい踊りもあったりして、その辺りはダンスの名手でかつ長身ですから格好良さに見惚れること。
その辺りは最前列のありがたみを堪能しました。

他の役者の方は下手をすると場ごとに役が変わっていたりしますが、ヘレンだけは出続けるために衣装でのイメージ変化が多く、最初の黒セーラー服(どこの不良のねーちゃんかとおもた・・笑)はインパクト勝負なのでわかるけど、好きな衣装は青のドレスのすらっとした感じと、真紅のチャイナドレス。白&赤の半ば浴衣じゃないのそれ(爆)みたいなのも何気に高ポイントでした。

個人的な感覚かもしれませんが舞台とビキニって相性が良くないというか、むしろ舞台でのセクシーさって今回の作品でもありましたが、影絵だったりそれこそ青のドレスだったり、むしろ見せないことで表現されるような気もします。変な感想ですが。

あと実は2幕で和服姿になって、追い詰められてびくびくしてるヘレンが目の前だったのですが、これが案外にツボでした。
ヘレンの台詞にもありますが、「駆け上がってきた」だけに「落ちる早さ」も知っているということで。

それにしても東北弁上手すぎな玲奈ちゃん。これ、褒められるのも納得です。
東北弁での歌とかあるんですがちゃんと成立しているのが素晴らしい。

何にせよパワフルにしてテクニカル、女性としての弱さも見せつつも、野太く強く生きていくヘレンの様は、玲奈ちゃんの新境地。新鮮です。

相手役の石丸幹二さん。

私は四季を見た経験がないので(先日体験し損ねたこともあり)、実は初見でいてそれでいて多分12月には新妻さんとの組み合わせで拝見することにはなるんですけれども-といいますか-今までの石丸さんの役どころを実体験として体験していないために、今回の石丸さんを見る面白さを少し減って体験するのが悔しくてしょうがない(笑)。

でもそれを差し引いても何というか役者としてこの割り切り方の潔さと言いますか、井上さん脚本&栗山さん演出の後押し上手と申しますか・・・面白いこの人(笑)

元は二の線のはずなのに、1%のためらいを残しながら三の線をやる役者さんって、案外に自分はツボ系です。

玲奈ちゃん&石丸さんのデュエットもイイ。玲奈ちゃんとこれだから新妻さんとしかもクリエで・・・楽しみ楽しみ。

他の役者さんで印象的だったシーンは何と言っても教授役・辻萬長さんの「駅名長台詞」。噂には聞いていて何をやるかと思っていたら・・・

ヘレンの家は岩手県の遠野(遠野物語で有名ですね)で、ここから花巻乗り換えで上野まで、半日以上の旅。釜石線で花巻、そこから各駅停車で上野まで。
その間の駅名をひたすら言い続けるんでして。

品井沼とか松川とか東那須野(新幹線開業に伴い那須塩原に名称変更)とかの駅名を聞いて場所が浮かんだりとか、東大宮の次はやっぱり大宮なんだよなとか(この中間には現在は土呂駅がある),そんなところに反応にしちゃうのは私が元鉄だからですが。

たかお鷹さんも抜群に面白いし、植本潤さんの面白さも折り紙付き。
いやはやみなさんいい味出してます。

作品的には1幕がミュージカル、2幕がサスペンスストレートプレイといった印象で、まるで別の舞台。1幕で「動」だったヘレンが2幕では動きを封じられてもがく様、という感じ。

そう言えばこの作品タイトル「日本人のへそ」。
自分的には「へそ」は「コア」と理解しました。

ラストシーン、ヘレンとそれを取り巻く他の人たち。
ヘレンを囲い込み、襲いかかろうとする「日本人としての常識」
それを軽々と飛び越えるヘレン。

「常識」という柵を作るのが好きで得意で、
それが日本人の良さではあるけれども、それ故にそれを限界にもしてしまう。
ヘレンというある意味常識外れな存在がそれを無にしてしまうことに、心地よさを感じたのは、
「いつも常識にとらわれて生きている」”日本人”としての、内向的心理が開放されたからなのかなと、思ったりしました。

劇場では本日、講演会で進行役をされる扇田さんと、毒舌で有名な俳優のM井さんがいらっしゃいました。M井さんと劇場でお会いするのはこれで2度目だなぁ。

|

« 『ハロルコ』(5) | トップページ | 『笹本玲奈 舞台の魅力を語る』 »

コメント

本日初日を向かえました‼
まず地震、大変でしたね。。。
阪神大震災を経験した身では、人ごとではなかったです。
そんななか、もしかしたら休演になるかもという舞台でしたが、無事に終了しました。
恐らくひろきさんと同じような位置からの観劇で、玲奈ちゃんの目ヂカラと、衣装に目のやり場に困ってしまいましたσ(^_^;)
それとあの舞台、拍手のタイミング難しくありなせんでしたか⁇

投稿: ぜんきょう | 2011/03/13 20:46

ぜんきょうさん>
余震の続く中、観劇お疲れさまでした。
多分、1kmと離れていない場所にいました(パルコ劇場の「国民の映画」マチネでした)。

それそのものがそこまでsexy・・ではないにしろ、”あの”玲奈ちゃんですからねぇ。目のやり所に困ったのは私もです(笑)

拍手はもともと求めていない感じがするので、しにくいのはしょうがないかなと。

できれば今週のトークショーを見たかったのですが、こんな状態で多分仕事優先になるので、見られないのが残念です。

投稿: ひろき | 2011/03/13 23:49

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/51071056

この記事へのトラックバック一覧です: 『日本人のへそ』:

« 『ハロルコ』(5) | トップページ | 『笹本玲奈 舞台の魅力を語る』 »