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2011年3月

『ウェディングシンガー』(2)

2011.3.21(Mon.) 17:30~20:25
シアタークリエ 22列センターブロック上手側

こんな時こそノーテンキミュージカル。

・・・と思っていたわけでもないのですが、結果としてそうなってしまいました。
しかも前日はお葬式のお芝居で、この日は結婚式のお芝居。
何やってるんでしょうか自分。

2008年2月の日生劇場初演→レポこちら に続けての再演で、劇場はコンパクトになってシアタークリエに変更。思ったよりも客席は埋まっていて、8割方の入りでしょうか。

初演からプリンシパルが一人も変わらずに再演というのは実に珍しくて、それゆえ井上君いわく「再演は色々変えたがる自分だけど、今回は初演をなぞる」と言っていることもあり、実に初演のままです。

逆に言うとその安定感というか完成度がそのまま帰ってきてくれていることが、今だからこそ何よりかなと思えて。客席も手拍子が始まるのが1幕前半からだし、この作品に「気持ちを乗せてもらいたい」んだろうなというのが、否が応でも分かります。

再演でちょっと残念だったのが、日生からクリエに変わって、通称・罰ゲーム(←本人はその呼び名を否定。)の水かけシーンが地味になっちゃったこと。まぁそりゃ地下2階の劇場ですから、日生と同じ量の水ぶっ放したら排水が大変なのは水を見るより明らかですが(←意図的に誤用)、そこはちょっと物足りなかったかなと。

ヒロイン役・ジュリアは前回に引き続きSPEEDの上原多香子さん。

初日の囲み会見で、「島袋さんが妬いちゃうかも(←前作「モーツァルト!」での奥様、コンスタンツェ役)」と言った井上君に、「いや、寛子ちゃんは妬かないですよ」とばっさり答えていて激笑したんですが、彼女の魅力はそういう「感情のなさ」だと思うんですね、逆説的に言ってしまうと。
(ちなみに井上君は「えー、妬いてくれないかなぁ・・・」と執拗でしたが笑)

いわゆるステレオタイプ的なヒロインというか、どこか醒めているところが、特定のシーンで大爆笑を引き起こすんですね。
あの「ゴミ溜めの歌」と、グレンに「申し訳ない気持ちが全然なくなっちゃった」ってところが、もう絶対的に誰も出せない味ですあれ。

井上君の前回のお相手・島袋さんは今期の「モーツァルト!」で明らかにミュージカル的な歌唱にベクトルを動かしていましたが、上原さんはそんな感じは微塵もなくて、対照的だなと思うのですが、この作品に限って言えばそれがいいような気がします。

というかこの味を出せて井上君と一緒に出来る人が今のミュージカル界にはいないと申しますかですね(以下自粛)。

井上×新納の名コンビも、樹里×綜馬の迷コンビも健在で、そこまで笑うシーンはないのですが、客席と舞台が一体になれるあの拍手の波は凄く気持ちいいです。

笑うシーンがないとはいえ、1幕で新納氏の楽器が井上君の背中に引っ掛かっちゃって大爆笑を誘っていましたが。

2幕ラスト、井上君演じるロビーが、ジュリアに歌いに行くシーンがあるのですが、たまたまとはいえ自分の席、井上君までたった50cm・・・・
初演はもっと前で見ていたので気づかなかったのですが、ふと見たら目の前にいきなり井上君がいてびっくりしました(笑)。




ここのところカーテンコールのラストは井上君の挨拶があるようで、この日のご挨拶の一部。

「本日はご観劇いただきありがとうございました。こんな状態の中、またお足元の悪い中ご来場いただき、本当にありがとうございました。この『ウェディングシンガー』、先日より東北関東大震災チャリティー公演ということで、収益の一部を日本赤十字社さんに寄付させていただくこととなりました(会場の一部から拍手)。

ありがとうございます。実はまだまだ告知がありますので、あとでまとめてお願いします(笑)。お気持ちは伝わりました、ありがとうございます。
ロビーに置かせていただいておりますキャストが作りました義援金募金箱にも、できましたらお願いをできたらと思います」

ここで新納氏から不規則発言(新納さん的には確信犯でしょうけどね・・・笑)があり井上君がそれを拾いつつ。

「この後、キャスト有志で1階ロビーにて募金を募っております。本日から新しいパネルも完成致しましたのでご覧ください。お客さんの入りもだんだん戻っては参りましたが、それでも今日こられなかった方の席がいくつもあり、そんな皆さまにも気持ちが届けばいいなと思っています。」

「僕たちはこの作品を通じて、自分たちができることをやっていきたいと思います。みんなで元気になりましょう! 本日は本当にありがとうございました(拍手)。」



久しぶりに舞台と一体になれたのは何より嬉しくて、きっとこんな時だからキャストの皆さんスタッフの皆さんのプレッシャーは凄まじいものなのだろうけれども、色々な意味で「人を楽しませる執念」みたいなものを肌で感じられたのは良かったです。

とりわけ「みんなで元気になりましょう」は凄くいい言葉だなって。
井上君は「今やっている作品がこの作品で良かった」とおっしゃられていたそうですが、今やっている作品の座長が井上君で良かったな、というのが掛け値なしの感想でした。
この安定感は何物にも代え難いものがあります。

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『凄い金魚』

2011.3.20(Sun.) 14:00~16:00
座・高円寺(杉並芸術会館)1列目下手側

劇団HOBOを3作品見ているのに、その親方にあたるラッパ屋を見ていないのはどうなのだろう、と思い続けて早3年。

3月11日の地震以来、何もかもが落ち着かず、何もかもが心穏やかじゃない中、と言うかこんな時にシステムトラブル起こすみずほ銀行はメガバンクの資格ないやろとか思いつつ、きっとやさぐれた気持ちを癒すには一番いいかなと思って、当日券で初ラッパ屋です。当日券、5枚ぐらいしか出ていなかったわけでこの状態なのに結構な入りです。

とはいえ、急遽決まった翌日(21日)の夜公演はまだまだチケットが捌けていないらしく、はじめさんいわく「客席がスリリング」なのだそうですが(笑)。

開演前に、鈴木さんとラッパ屋の制作さんが登場されて、ユーモアを交えてのご挨拶。
ちょっと吹いちゃったのが鈴木さんのコメント。
「この劇場、地震じゃなくても揺れるんですよ。何しろ可動式な客席ですから。お客さんが遅れて入ってきただけで揺れますし、隣の人が笑ってるだけでも揺れます(笑)ですから、地震かどうかはステージ上の照明が揺れてるかどうかで認識してください」


ここのところ、見た事ある人いっぱい、という芝居ばかり見ていたので、今回の「凄い金魚」は見たことがあるのが金魚のおじさんことおかやまはじめさんだけ、他の役者さんすべて初見というのも、とても新鮮でした。

ともあれ「凄い金魚」、タイトルからじゃ何の話だかさっぱり分からないわけですが、それを楽しむのも初見劇団の楽しさ。
とはいえ、HOBO体験組の自分としては、テイストがもう勝手にホームな気分(笑)。
ここまでHOBOにラッパ屋テイスト持ってきていたんだなぁということを改めて痛感。
というか鈴木さんが忙しすぎるから、おかやまさんが鈴木さん頼らないで第二のラッパ屋やってるようにも思えていたんですがHOBO、あながち間違ってもない気もする。

それにしても配られたチラシの似顔絵が絶品に似すぎてて、舞台上にいる人と見比べて感心してしまった。



祖父が亡くなったことをきっかけにして始まる、ある一家の物語。

大学教授なのに型破りな祖父、同じく大学教授なのに実直そうな父、主人公は映画プロデューサー、という三代の関係を軸に展開していくわけですが、やっぱり凄いなーと思うのが登場人物一人一人のキャラクターの立ち方。全然かぶってませんもんね。

おかやまはじめさん演じる金魚のおじさんの怪しさは癖になりますね(笑)。
怪しさ満開の割に、誰も逆らえない感じが面白すぎる。HOBOノリとしては直近の「ハロルコ」の大ちゃんが近いかな。
最初は怪しんでいたはずなのに、妙に馬があっていく映研の後輩・中野君との掛け合いも面白い。

この作品の舞台って葬儀の場で、自分も体験したことがあるので分かるのですが、相当なリアリティですこれ。
鈴木さんこれを14年前に書いたということだそうですがなんでそんな若くてこれが書けるんですか・・・成井さん(演劇集団キャラメルボックス主宰、鈴木さんの後輩)が鈴木さんを「天才」と言っていた意味がよく分かります。

当たり前ですが葬儀ってその人の人生の縮図なんですね。
家族にも知られていない来訪者があったりして、「?」が点灯したりもする。
でもそれをひっくるめて「その人」を改めて認識する場なんです。
この作品でも、型破りではあってもそこまでしてると思ってなかった祖父のことを、家族は時には呆然と、時にも当然に、エピソードや来客を受け止めているわけですが、その人の人生の、色々な意味での総決算。良かったことも、困ったちゃんなところも、全部分かって見送ってあげられるところに、葬儀の意味はあるように思っていて。

ちなみにもっと言ってしまうと、葬儀って、夢と現実の境目なんです。
身内が亡くなり、呆然としている期間を「夢」と表現するとしたら、葬儀はそれを「現実」に戻す場所なんです。いつまでも亡くなった人を引きずっているわけにはいかない、だからこそ”葬儀”という場で気持ちに区切りをつけなければ、生き残っている人が行き続けてはいけない。

この作品では、家庭内の、いや家庭をとりまく色々な人たちのよもやまとんでも話が展開するのですが、結婚式に比べて人間のリアルというか、生々しさが如実に表れて。

でもこの作品の登場人物は誰一人として負の感情を引きずらないところに良さがあるなぁと思う。

「うじうじしてたってしょうがないじゃん」と一人突っ走る主人公の姉の様も突き抜けすぎてて凄いと思うし、主人公の前妻の”勢い”も、それを受ける主人公の格好良さも、後半とみに清々しくて。

※ちなみに女性陣でいいなーと思ったのは夏子さん(主人公の前妻、岩橋道子さん)と京香さん(歌舞伎町の風俗嬢、遠藤留奈さん)だったりする。
あ、自分の好みってこの主人公そのものなのか(爆)。

最終盤、「肝が据わった」と主人公が語っていますが、これ、実感としてよく分かります。以前、自分の会社の社長から「弔事を仕切れたら一人前の人間」と言われたことがありますが、今回の舞台で出てくる『青春は終わった、人生が始まるよ』というフレーズはまさにそれ。

目を背ける自由もあるけど、目を逸らさない責任もある。
無為に過ごす自由もあるけど、自分のやるべきことをやる責任もある。

この舞台は3月11日を挟んで前後を見た観客はほとんどいないのでしょうが、そういえば自分自身にとっては唯一、あの日前後で見た「国民の映画」でも同じ印象を受けたことがあって。

この地震を明確に予期した人などだれもいなかったろうに、それでも芝居から受ける想像力は、あたかもこの地震を予測していたかとさえ思えてくるのがとても深いなと思う。

「(目を背けたい現実を)なかったことにしないでくれ」という叫びも、「せっかくの人生、馬鹿やってなんぼ」という思いも、矛盾しそうでしないのが面白いなと。

見るべきものを見て、やるべきことをやって、そしてその上で自由に生きる。

人生ってそういうものなんだろうなと、そう思えたことが、この日、ラッパ屋みて良かったなぁと思ったことでもありました。

そういえばタイトルの「凄い金魚」、どう凄いのかを振り返ってみるに、祖父の死を機会に、そこを取り巻く人々を全て前向きにさせたことなのかなと、そう思ってみたり。

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ご報告。

きちんと書いておりませんでしたが、無事です。

当日は仕事中で、7階ビルの5階で地震に遭遇しましたが、入社以来一番長い揺れでした。
結局、都バス~都営大江戸線~メトロ副都心線を乗り継いで、6時間30分かけて自宅にたどりつきましたが、お世辞にもいつも綺麗とは言えない自宅、足の踏み場がない×2乗の状態になっていました。

地震の影響としては、なぜかメインPCの電源が上がらない状態になっています。
物が上からたくさん落ちてきていたので、変な衝撃があって壊れたかなと思います。
むろん、被災地の方の状況に比べてこんなことは些細なことですが。
電源コードの断線かもしれないので、テストしてからメーカーに連絡を取ってみようと思います。

お芝居も休演が相次いでいますね。

今日は「国民の映画」マチネの予定なのですが、まだ微妙に余震が続く中、あの暗い空間で芝居を見る
・・・あまり気が進まないのは確かです。

ご贔屓さんの皆さまも相次いでblogUPで無事が確認出来て何よりですが、予想通り姫様はまだ更新してくださらないのですねぇ。今回ばかりは段筆宣言(←いや、本人はしてないんだけど)撤回でお願いしますよ。

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『国民の映画』(1)

2011.3.10(Thu.) 19:00~22:00
パルコ劇場X列センターブロック

芝居絡み3連投の最終日はパルコ劇場。
日比谷の歌姫が、3月は渋谷でそれぞれ競演です。

コクーンは1幕が長くて(110分)、2幕があっという間(60分)でしたが、パルコはその全く逆で、1幕があっという間(60分)に対して2幕が長くて(105分)。
作品そのものが違いますから、比較してもしょうがないのですが、個人的には最初が長い方が気分的に楽。

何の因果かコクーンに続いてこの日も最前列。

劇中ほぼ唯一の歌シーンであるシルビアグラブさんのソロ、そして新妻さんとのハモり、そして新妻さんの高音ソロは、さすがに迫力&拍手物でした。

舞台はナチスドイツ、宣伝大臣ゲッペルスを取り巻く映画にかかわる人々。
権力とかかわらなければ映画が作れなかった監督、俳優、作家たち。
そこにあるのは本意か、邪心か・・・・




ネタバレ入ります


新妻さんが演じるのは女流映画監督、レニ・リーフェンシュタール(しかし舌噛みそうな名前だなぁ)。
実在の人物だそうで、当時の映画界のトップに君臨するやり手の方。

三谷さんは「nine the musical」の正妻・ルイーザ役を見てこの役をアサインされたそうですが、なるほど全員を尻に敷く感じがぴったりです(爆)。

何しろシルビア・グラブさん演じる女優でさえレニには頭が上がらないわけで、という見方をするととても興味深くて面白いです。

まぁこれだけの上手い人の中にいると、演技的にはちょっと押されちゃうところは致し方ないところですが。

それにしても、登場人物の中で、一番「権力」に対して「利用する」という点でアクティブ。
確信犯的にしたたか、という点で、俗に言う「女って強い」って役です(笑)。

某所の画像の残像をものともせずに格好良く振る舞い、男を手玉に取る様はあぁなるほど女王様属性ばりばりだなぁと思ったりしてしまうんでありますが。

この舞台の登場人物は大きく分けると3つのカテゴリがあって、一つが政府側、まぁナチス側の人。
小日向さん演じる宣伝大臣・ゲッペルス、段田さん演じるヒムラー、白井さん演じるゲーリング。もう一つが映画関係の方々。そして最後のカテゴリがゲッペルス家、石田ゆり子さん演じる奥様と、執事。

「国民の映画」がこの作品のタイトルでありますが、ゲッペルスが国威発揚のために「国民的な映画を作ろう」として映画関係者を呼び出す、というのがこの物語の導入部。
次第に話が進みながらも時代の歯車は止めることもできずに加速していき、全てが明らかになったとき、そのとき「映画」を作ろうとする人々は、どのように振る舞っていくのか・・・・が後半部です。

観劇が終わったあとにパンフレットを読んで思ったのですが、この「国民の映画」、ある意味、役者論であり芝居論であり映画論なのかなと。

戦時中、「映画」を「戦意発揚の道具」として使われることを、映画を愛する人たちが、心から拍手できたとは思えないのですが、それでも「その究極の制約」の中で、どうやって「自分のレゾンテール(存在価値)を保ちながら」「映画の中で生きていけるか」が表現されていて。

本来、人間の人生なるものは種々の制約の中で、自分や、時には自分以外も含めた最大の利益(お金に限らず、満たされた気持ちとかでもいいと思いますが)を志向するものかと思います。

この作品で出てくる映画関係者の方は、それぞれ大切にしている価値観は違えど、自分の価値観の中で、「戦時中」そして「ナチス」「ヒトラー」と向き合い、時には無謀とも思える行いにも出たりする。

2幕後半、明らかになったある事実と対峙した人々が、それぞれの言葉とともにゲッペルス邸を去る様は、それぞれとても重くて。

究極の割り切り型はレニで、とにかく「映画が作れるなら」一本槍。ゲッペルスに罵倒されようが、それでも生きていく強さは印象的。

思い切ったのが、別の意味でゲッペルスと距離を取った俳優たち。この時代にゲッペルスに反抗することは「死」さえ意味しただろうに。

そしてその中間にいて、自分的には一番興味深かったのが作家であるケストナー。
彼は著作を発禁扱いにされた中、「国民の映画」の映画のホンを書くことを依頼されて、それを承諾しています。

表現者にとって表現を許されないことがどれだけの苦痛か。
むしろ、自らの信念で生きる表現者が、表現を許されなくなったとき、それに耐えるのは凄いことなのだ、ということを感じたのが、自分的には一番興味深いエッセンスでした。

人から評価も批評もされない”一人だけの仕事”に興味はない、的なことをおっしゃっていた三谷氏の発言もとても興味深かったです。



役者さんは皆さま素晴らしかったのですが、小日向さんは特に素敵でした。
執事役の小林隆さんも良かった。
あと石田ゆり子さんの佇まいが綺麗でした。

リピート型の芝居ではないかと思いますが、幸いにもあと1枚あるので、日曜日マチネ、また違う側面から眺めてきたいと思います。

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『笹本玲奈 舞台の魅力を語る』

2011.3.9(Wed.) 19:00~20:40
朝日カルチャーセンター公開講座

「日本人のへそ」公演記念と銘打たれた公開講座。
とかいいつつ、半年前に朝日カルチャーセンターと同業の池袋コミュニティカレッジで催された某お方への対抗としか思えない(爆)企画ですが。

前日の「日本人のへそ」初日にもチラシが入ってたぐらいですので、満員にはならなかったようですが、とりあえず形にはなったようで何より。

会場は新宿住友ビル47階、住友スカイルームですが、さすが地上100mから見下ろす新宿の夜景は綺麗でした。

まぁ、私含め夜景なんぞ見ていなくて笹本玲奈嬢を見ているわけですけれども(笑)
ピンクを基調にしたセンスの良いお衣装で登場です。

この日司会をされるのは演劇評論家の扇田(せんだ)昭彦さん。昨日シアターコクーンで数mという接近をしておりましたので、扇田さんも何か見覚えがある風の反応をされていました(苦笑)。

90分の時間を、前半30分が昨日初日の「日本人のへそ」の話、中盤30分がいままでの舞台を振り返っての話、後半30分が参加者からの質疑応答(アンケート用紙で)という流れでしたが、扇田さんの進行がとても上手く、この種の機会では史上稀に見る玲奈嬢の絶好調さがとても楽しい。

扇田さんがしみじみ語っておられましたが、「この種の会ってほとんどの場合は女性9割なのに、今日は男性が多いですね」と。
平日の夜というせいもあるのでしょうが、ざっと見たところ男性8割女性2割でした。ちなみに玲奈ちゃんいわく、FCの構成は「半々ぐらい」だそうです。

全般的なところなんですが、受講者は勝手知ったる皆さまと申しますか、実質的に「rena's tea party part5.5」みたいな状態になってました(笑)

前半の「日本人のへそ」部分こそ普通でしたが、中盤からもはや歌なしのFCイベントと何一つ変わらないというか、むしろエンジン全開バージョン(笑)

◇「日本人のへそ」について。
井上ひさしさんとは生前お会いできなかったそうですが、もともと井上先生のファンで、特に「父と暮らせば」が大好き(パンフにも書かれています)。再演したらやりたいぐらい好きだそうですが、ちなみに玲奈ちゃん抜きでの(爆)今年夏の再演が決まっています。

「日本人なのに、日本人役が少ない(「プライド」の麻見史緒役が初の日本人役、今回が2役目←朗読劇は除く)」玲奈ちゃんにとっては「日本人を知るいい機会になった」とのこと。
井上作品については、「ハンディキャップを笑いに変えてしまうエネルギーが凄い」と感想。

「浅草という街についてもほとんど知らない」ということに扇田さんが驚かれていました。

今回の作品の舞台は昭和30年代の浅草ということで、玲奈ちゃんは栗山さんから「いわゆる今の渋谷とか新宿のような盛り場」という説明を受けたそうなのですが、そういえば、それでも今の浅草雷門の前とか、あのカオスっぷりは昔の名残をちょっとは残しているように思えます。

「ストリッパーという仕事そのものも分からなくて不安」だったそうですが、ある意味「美術館の絵と同じく芸術なんだ」という理解に至って安心したそうで。

扇田さんからは「一幕最初、ヘレンが岩手から出てくるところと、段々とのし上がっていく様のコントラストがしっかり表現されていた」とのお褒めの言葉を頂戴していました。

玲奈ちゃんいわく「一幕前半のヘレンはほとんど地(笑)」だそうです。

栗山さんは駄目出しが長いことで有名、通し稽古の時とかは4時間とかで、駄目出しの間に休憩がある人は初めてだったそうです(笑)。
これ、シアターガイドでも発言してて石丸さんが絶句してましたね。

「そんなに長い人は珍しいですよね」という扇田さんの振りに、楽しそうに答える玲奈ちゃん。「もう一人知ってます。鈴木裕美さん(ピーターパン)。長いですよぉ。」


◇舞台出演作を振り返って

扇田さん「出演作見てるとホリプロより東宝が多いですね」
玲奈ちゃん「どこの所属かと思いますよね(笑)」

・・・とこんな感じで始まるぐらいなので流れは推して知るべしで。
確かにホリプロ作品って、デビュー作の「ピーターパン」のほか、「回転木馬」、「ウーマン・イン・ホワイト」 しかないですね。東宝作品は両手使い切らないと終わらないのに。

デビュー前にダンスに通ってた地元のダンススタジオの名前が出てきて、受講者の席の一部が湧いたり、なかなか反応も含めて面白かったです。

基本はいままで玲奈ちゃんがテレビや雑誌で言っていた内容通りですが、随所に知らないエピソードが出てきて楽しめました。

その中でも直近の「プライド」のエピソードを。

”新妻さんとの初共演”を扇田さんに振られて、その感想を
「稽古では違う歌歌うのが不思議だった」のに、
「本番ではなんで今まで一緒にやってないか不思議だった」
と表現していたのが実に簡にして要。

ちなみにその後のオチは、
「あれだけの言葉投げつけられたからこそ、
二人で歌声を重ねるときが感動が凄い」

だったんですが(笑)

聖子ちゃんはさぞかし爽快だろうなぁと思ってました(会場大笑)」
というのもありました。

オペラ曲をそのまま歌うことについて、
原作通りの曲を歌うことが私たちの『プライド』
と断言した玲奈ちゃんに後光が差して見えました。

扇田さんはNHK-BSの「プライド」をご覧になったようで(というか扇田さんの笹本さん・新妻さんへの詳しさは凄いです)「(2人の対談で話が出ていた)役代わりはいかがですか」という問いをされていましたが、「聖子ちゃんも萌に思い入れがあるだろうし、私も1ヶ月間史緒を演じてきて誰にも渡したくない」とはっきりおっしゃっていました。



初めて聞く話もけっこうあって、質疑応答ともどもとても楽しかったです。

「日本人のへそ」マチネの熱演終わりの疲れを全く感じさせない、玲奈ちゃんのリラックス振りも良かったですが、何よりこの日は扇田さんの名司会ぶりに感動しました。素晴らしかったです。

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『日本人のへそ』

2011.3.8(Tue.)18:30~21:45
シアターコクーン XA列下手側

1幕115分、休憩15分、2幕55分、つまり3時間の長丁場。
ついつい「にほんじん」と読んでしまいそうですが「にっぽんじん」です。

こまつ座公演は一昨年の天王洲銀河劇場「組曲虐殺」の井上芳雄氏&石原さとみさん以来なので2回目。

笹本玲奈さんがストリッパー役ということで、どないになるのか心配しつつ、それでいて見透かしたように最前列をくれる某FCの深謀遠慮に困惑しつつ(笑)。

2回目でしかないこまつ座でさえ今キャスト14人中、笹本さんを含めて5人までが見たことがあることにちょっとびっくり。何だかんだいっても芝居見てる数は多いんだなぁ。

ちなみに初見組でないのがたかお鷹さん(「エル・スール」)、植本潤さん(「SHIROH」、「苦情の手紙」)、山崎一さん(「ジェーン・エア」)、今泉由香さん(「ピーターパン」)と笹本さんで5名の皆さま。
やっぱり知ってる方の安心感と申しますか、目はどうしてもそちらに向いていくわけです。

それにしても、年始以来、女性が男性を利用していく物語を立て続けに見続けてるわけですが(「白夜行」→「ハロルコ」→「日本人のへそ」),私の人間形成大丈夫なんでしょうか(爆)。




事前におけぴの稽古場レポートで、「笹本さんがありえない役をしている」という話は見聞きしていたので、心の余裕が出来てたいそうありがたかったですが、驚きたい方は絶対見ないで!いきなり見た方が絶対楽しめます。
そんな方はこれ以降のちょびっとは含まれるであろうネタバレにも、回避の方が推奨です。




「今までにない役」と言われていた笹本さん。

岩手の片田舎から上京し、ありとあらゆる下積みを経てのし上がっていく女性・ヘレン天津という役。
一幕はヘレンがのし上がっていく過程を描くのですが、なぜかわからないんですが個人的にはイメージがサリー・スミス(「ミー&マイ・ガール」)とかぶってしょうがない(笑)

育ちの悪さを隠しもしない、無鉄砲さやりたい放題さのイメージがしっくりというか。
あの物語は好きな人(ビル)とくっつく目的があるとは言っても、悪賢く男を利用するとかいうそういう「悪女」的な面はありませんからね。

ある意味、笹本さんファン的には念願の悪女です(こら)。

いわゆる目力のある女優さんというのは自分のご贔屓さんの共通点なのですが、目的のために手段を選ばず的な役どころと、ご本人との、ゼロとは思えないシンクロ振りが、自分的にはたいそうツボで(←また本人の前で言えないことを言う・・・)

衣装的には実際のところそこまで心配したほどではないと言いますか、「ミス・サイゴン」のキムでビキニを着ているわけで、一番派手な衣装であのあたり。
まぁ、ご本人いわく「弁当箱ダイエット」が必要であったことと、その成果がありましたことは何よりでございましたが、これも本人いわく、「ダイエットすると落ちて欲しくないところから落ちる」らしい(苦笑)。

役柄的な激しい踊りもあったりして、その辺りはダンスの名手でかつ長身ですから格好良さに見惚れること。
その辺りは最前列のありがたみを堪能しました。

他の役者の方は下手をすると場ごとに役が変わっていたりしますが、ヘレンだけは出続けるために衣装でのイメージ変化が多く、最初の黒セーラー服(どこの不良のねーちゃんかとおもた・・笑)はインパクト勝負なのでわかるけど、好きな衣装は青のドレスのすらっとした感じと、真紅のチャイナドレス。白&赤の半ば浴衣じゃないのそれ(爆)みたいなのも何気に高ポイントでした。

個人的な感覚かもしれませんが舞台とビキニって相性が良くないというか、むしろ舞台でのセクシーさって今回の作品でもありましたが、影絵だったりそれこそ青のドレスだったり、むしろ見せないことで表現されるような気もします。変な感想ですが。

あと実は2幕で和服姿になって、追い詰められてびくびくしてるヘレンが目の前だったのですが、これが案外にツボでした。
ヘレンの台詞にもありますが、「駆け上がってきた」だけに「落ちる早さ」も知っているということで。

それにしても東北弁上手すぎな玲奈ちゃん。これ、褒められるのも納得です。
東北弁での歌とかあるんですがちゃんと成立しているのが素晴らしい。

何にせよパワフルにしてテクニカル、女性としての弱さも見せつつも、野太く強く生きていくヘレンの様は、玲奈ちゃんの新境地。新鮮です。

相手役の石丸幹二さん。

私は四季を見た経験がないので(先日体験し損ねたこともあり)、実は初見でいてそれでいて多分12月には新妻さんとの組み合わせで拝見することにはなるんですけれども-といいますか-今までの石丸さんの役どころを実体験として体験していないために、今回の石丸さんを見る面白さを少し減って体験するのが悔しくてしょうがない(笑)。

でもそれを差し引いても何というか役者としてこの割り切り方の潔さと言いますか、井上さん脚本&栗山さん演出の後押し上手と申しますか・・・面白いこの人(笑)

元は二の線のはずなのに、1%のためらいを残しながら三の線をやる役者さんって、案外に自分はツボ系です。

玲奈ちゃん&石丸さんのデュエットもイイ。玲奈ちゃんとこれだから新妻さんとしかもクリエで・・・楽しみ楽しみ。

他の役者さんで印象的だったシーンは何と言っても教授役・辻萬長さんの「駅名長台詞」。噂には聞いていて何をやるかと思っていたら・・・

ヘレンの家は岩手県の遠野(遠野物語で有名ですね)で、ここから花巻乗り換えで上野まで、半日以上の旅。釜石線で花巻、そこから各駅停車で上野まで。
その間の駅名をひたすら言い続けるんでして。

品井沼とか松川とか東那須野(新幹線開業に伴い那須塩原に名称変更)とかの駅名を聞いて場所が浮かんだりとか、東大宮の次はやっぱり大宮なんだよなとか(この中間には現在は土呂駅がある),そんなところに反応にしちゃうのは私が元鉄だからですが。

たかお鷹さんも抜群に面白いし、植本潤さんの面白さも折り紙付き。
いやはやみなさんいい味出してます。

作品的には1幕がミュージカル、2幕がサスペンスストレートプレイといった印象で、まるで別の舞台。1幕で「動」だったヘレンが2幕では動きを封じられてもがく様、という感じ。

そう言えばこの作品タイトル「日本人のへそ」。
自分的には「へそ」は「コア」と理解しました。

ラストシーン、ヘレンとそれを取り巻く他の人たち。
ヘレンを囲い込み、襲いかかろうとする「日本人としての常識」
それを軽々と飛び越えるヘレン。

「常識」という柵を作るのが好きで得意で、
それが日本人の良さではあるけれども、それ故にそれを限界にもしてしまう。
ヘレンというある意味常識外れな存在がそれを無にしてしまうことに、心地よさを感じたのは、
「いつも常識にとらわれて生きている」”日本人”としての、内向的心理が開放されたからなのかなと、思ったりしました。

劇場では本日、講演会で進行役をされる扇田さんと、毒舌で有名な俳優のM井さんがいらっしゃいました。M井さんと劇場でお会いするのはこれで2度目だなぁ。

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