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『ハロルコ』(5)

2011.2.20(Sun.) 17:00~19:20
 赤坂REDシアター C列センターブロック下手側

短かった劇団HOBO第3回公演も、この日が楽日。

6日間の公演中、16日を除く5日間日参、1日1公演ずつというのは振り返ると多すぎもせず少なすぎもせずといった感じで、しかも千秋楽が一番私的にも満足がいく席と回で、何よりの回でした。

前日は噛みまくっていたハロルコこと由美子さんも、さすが楽日は外しません。

チュッパチャップスを回して落っこちたところに持ってきて「チュッパチャップス、回すと落ちるね~!」とかやって笑いとったかと思えば、チュッパチャップス舐めながら右のほっぺたにコロコロ美顔ローラー当てたもんで、本気で痛かったらしい(笑)。

古川さんが「チュッパチャップスの方に当てたら痛いやろ」って突っ込み入れてたのも笑えました。

旦那さん役の大ちゃん(大場さん)ことはじめさんとの再会シーンも、もはや台詞吹っ飛びまくってましたが、かえって喜んでる感じでちょいとじーんと。とかいってハロルコがラストで手紙送ってくるところで一番素っ気なくあしらってるのも大ちゃんなんですけどねー(「大ちゃーん、いつ帰れるか分からないけど待っててねー」で終わりという・・・)

で、この日の席が「満足がいく席」というのがですね、
昨日書いたハロルコの一番好きなシーン、有川さん演じる功に言う「ボタンのかけ直しのススメ」がですね、ハロルコ・功の目線の先は・・・・対角線上が自分の席だったりしてですね。功の気持ちになって聞いちゃいましたよ。

「その時その時で一生懸命話してくれる」という功の言葉を、これほどまでに体感できると思わなかったのが、もう鳥肌物で。
そのハロルコの言葉に、泣きじゃくりながら焼きうどんを食べている功と、暗転する直前に、椅子に座ったハロルコが見せた「良かった」という心からの笑顔は本当に良かった。

それとスペシャルナイトの時の古川さんとのダンスシーンも、実は由美子さんの立ち位置がちょうど自分の目の前(しかも赤坂REDシアターは千鳥配置をちゃんと実現しているので、空きスペースに由美子さんがすらっと立っている)。この1列前、B列(最前列)のこの位置も体験しているのですが、B列はちょっと見上げるようになるので、それよりかは実はC列の方が満足度は上でした。

振り返ってみて実に味わい深い台詞がありまして、それというのも功が言う「黙っているのが嘘だというのなら、人はみんな嘘つきだ」という台詞。
後半、ハロルコと大ちゃんが結婚していることが明かされますが、これはそれと対になった話で、「聞かれなかったから答えなかっただけ」というのは確信犯にも思えますが、「あ、そういえば独身かなんて聞いてないね誰も」と「ハロルコに一本取られた」になっている滑稽さが笑えます。
ま、正確に言えばその場にいたらその一員になっちゃうことは濃厚ですけどね(笑)

そんなハロルコについて「客観的に見ればひどい女なのであろう」と書いておられた舞台女優さん(こちら)がおられたのですが、この表現、とても的確にこの役柄を捉えていて、それでいてこの役を演じた由美子さんのことを”魅力的”と褒めていただいてとても嬉しかったです。

ハロルコにダメダメにされるおじさま方は、同じ男性として身につまされるというか、同調してしまうところはあるわけですが、実は女性がどう捉えるものなのかちょっと興味があったので。

これ、前回も書いたのですが舞台上に、女性が由美子さん一人しか出ていないからでもあると思うのですが、”誰かと明確に比べられるわけではない”ということがメリットなのだろうなと。

ハロルコと一番近い女性となると淳さんの奥さんということになるのでしょうが、実体として表に出てきていないから、見ている側としては想像の中だけの女性なわけです。

つまり、由美子さんが2役をやったり、もしくは他の女優さんが演じたりすれば、そこで無意識に「比べる」わけです。
そこでハロルコが奥さんよりも「なんだかなぁ」と思われることもありえなくはない。

淳さんにお別れを告げるにしても「奥さんを大事にして」と去るのは、ずるいと思えなくはないんだけれども、「自分は思い出になっても、『いい人』を大事にしてね」という”実体”のハロルコは、客席から見れば”想像”の奥さんより、大人に見えるわけで、その意味でお得だなと。

それに、正直なところを言ってしまうならば、HOBO以外の舞台だと、どうしても女性キャスト相互間は、役者や役の間でのパワーバランスだとかを気にせざるを得ないわけで、その意味では、私的に精神衛生上たいへんありがたい(笑)。何しろ女性キャラは由美子さん以外が担当しないわけなので。

それにしても、これだけの上手い男性俳優さん6人相手に、全員をがっちり受け止められる由美子さんで良かったなぁと、それは心から思うわけで。
日本中探しても、おかはまはじめさん以上に由美子さんの力量を正確に(力不足な部分も含めて)認識している人はいないんだろうなぁ。

今回の第3回公演では、HOBO始まって以来の、「由美子さんの歌」が登場。
ミュージカルに出続けている由美子さんの歌を心配することなんてあり得ませんが、それでも一抹の不安はあったんです。
HOBOとしての毛色が変わったらどうしよう、という。

でもその曲が「つぐない」だったことで、あぁこっち方面なのね、と。

由美子さんの歌の良さである「芝居歌」が一番生かされるムード歌謡・演歌系の曲でしたから、そのシーンは毎回本当に楽しみでしたし、それでいて芝居から一欠片も浮かないことが、何より心地よかったです。



この回のカーテンコールではおかやまはじめさんから、各キャストの紹介があり、挨拶を誰に振ると思ったら、何と大穴の有川さんへ。

有川さんは結局、いつも省吾さんがやってる番宣をした揚げ句(ちなみにみなさんから「宣伝かよ」と突っ込まれていた笑)、鳴き真似しながら「ありがとうございました」と。

はじめさんのご挨拶は3日目以降ほぼ同じでしたが、「白井良明さん(ムーンライダーズ、今回のテーマソングの作曲をされています)、笑福亭鶴瓶師匠(声の出演でした)、ほか色んな皆さまのご協力で成り立っております。まだまだ弱小の劇団です。4回目・5回目、そして行けるところまで行こうと劇団員一同思っておりますので、今後とも応援のほど、よろしくお願い致します」

とのご挨拶で幕。

終演後は木野花さんが出口にいらっしゃいましたし、KAZZさんもいらっしゃいました。

HOBOの今後は、はじめさんの言葉にもありましたが、普通に考えて小屋は1年~2年前から押さえざるを得ないわけで、もう決めてはあるのでしょうが、赤坂は現在の動員からするとかなり割高に思えますので、次回は下北と予想してみます。

何にせよ、素敵な作品と出会えたことに心からの感謝を。

HOBOの皆さま、今日は思う存分打ち上がってください!こちら

・・・今日から早速稽古の方もいらっしゃるようですが(爆)

有川さん、そう、あなたさまでございます(ちなみに赤坂の路上ですれ違いました)

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コメント

今更ながら楽しいお芝居でした。
1回より2回3回と進化を遂げているのは
うれしいです。本間さんのイメージ良くなりました。ハロルコを連れてきたときの
シャツが赤く染まったのは、血ではなく
ドムドムバーガーのケチャップだったのですか?

投稿: てるてる | 2011/02/23 18:34

てるてるさん>
仮にも警官の斑目さんが血とケチャップの違いを分からないわけがなく・・・

拓君がいないところで「あのバカ」と言っている以上は淳さんのことを疑っていることは間違いないでしょうから。

巡査レベルの方の聞き込みということなら、淳の慌てようから見てひき逃げだと思いましたけどね。(拓くんは「車をどこに止めた」かを聞いていましたし)。

拓くんの機転に免じて、犯人が分からなかったことにしたんじゃないかとは思いました。

投稿: ひろき | 2011/02/23 20:15

お邪魔します。
ちょっと時間空いちゃいましたが、一応ネタばれ封印していたので、観劇して晴れて読ませていただくことができました。

淳さんの奥さんの描写を聞いた時は、実は私も由美子さんを思い浮かべました。ネタばれ封印してたとはいえ、オジさまたちを振り回す役だってことはわかっていたので、淳さんの奥さんってことはないだろーとは思ったのですが、やはり由美子さんをイメージしてしまうのは、はじめさんの確信犯でしょうか?(笑)

「その時その時で一生懸命話してくれる」のは、「お金」目当てってわかっても、「話している」その時は「真実」ってことなのかなと。だから、関係性としては「与え与えられ」なんだろうなと思いました。

投稿: ぴらふ | 2011/02/24 08:11

ぴらふさん>

お世話様です。

今回はいつにも増してネタバレ先行で突っ走りましたので、そろそろいらっしゃる頃と思っていました(笑)。

淳さんの奥さんでみんなに色目使ってる・・・って役だったらどうしようとちょっと心配したんですけどね(爆)。「あの小さな身体にー」ネタをはじめさんが使ったということは、由美子さんを怒らせたことがあるということですね(笑)。

結果として「騙されている」と客観的に見えたとしても、その場その場が「真実」なら、それは「嘘をつかれている」でも「騙されている」でもなく、「満たされている」という図式はいろいろと興味深かったですね。

女優さんとファンの関係にも見えたりもして(爆)

投稿: ひろき | 2011/02/25 02:20

ハロルコが終わって今日で1週間が経ちましたが おかやまさんの演出は、由美子さんのいいところを知っていてやってくださってるように思います。でもモーツァルトが終わってすぐ、この公演に入ったのですが
短期間にあの、ハイテンションのセリフを
どう覚えたのかなんて、感心しています。
彼女は、プロ中のプロ尊敬します。

はじけるような役どころの方が楽しい。
アデレイドもそうでしたが、ハロルコ最高に楽しかったです。

投稿: てるてる | 2011/02/27 18:03

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