« 2011年1月 | トップページ | 2011年3月 »

2011年2月

『ハロルコ』(5)

2011.2.20(Sun.) 17:00~19:20
 赤坂REDシアター C列センターブロック下手側

短かった劇団HOBO第3回公演も、この日が楽日。

6日間の公演中、16日を除く5日間日参、1日1公演ずつというのは振り返ると多すぎもせず少なすぎもせずといった感じで、しかも千秋楽が一番私的にも満足がいく席と回で、何よりの回でした。

前日は噛みまくっていたハロルコこと由美子さんも、さすが楽日は外しません。

チュッパチャップスを回して落っこちたところに持ってきて「チュッパチャップス、回すと落ちるね~!」とかやって笑いとったかと思えば、チュッパチャップス舐めながら右のほっぺたにコロコロ美顔ローラー当てたもんで、本気で痛かったらしい(笑)。

古川さんが「チュッパチャップスの方に当てたら痛いやろ」って突っ込み入れてたのも笑えました。

旦那さん役の大ちゃん(大場さん)ことはじめさんとの再会シーンも、もはや台詞吹っ飛びまくってましたが、かえって喜んでる感じでちょいとじーんと。とかいってハロルコがラストで手紙送ってくるところで一番素っ気なくあしらってるのも大ちゃんなんですけどねー(「大ちゃーん、いつ帰れるか分からないけど待っててねー」で終わりという・・・)

で、この日の席が「満足がいく席」というのがですね、
昨日書いたハロルコの一番好きなシーン、有川さん演じる功に言う「ボタンのかけ直しのススメ」がですね、ハロルコ・功の目線の先は・・・・対角線上が自分の席だったりしてですね。功の気持ちになって聞いちゃいましたよ。

「その時その時で一生懸命話してくれる」という功の言葉を、これほどまでに体感できると思わなかったのが、もう鳥肌物で。
そのハロルコの言葉に、泣きじゃくりながら焼きうどんを食べている功と、暗転する直前に、椅子に座ったハロルコが見せた「良かった」という心からの笑顔は本当に良かった。

それとスペシャルナイトの時の古川さんとのダンスシーンも、実は由美子さんの立ち位置がちょうど自分の目の前(しかも赤坂REDシアターは千鳥配置をちゃんと実現しているので、空きスペースに由美子さんがすらっと立っている)。この1列前、B列(最前列)のこの位置も体験しているのですが、B列はちょっと見上げるようになるので、それよりかは実はC列の方が満足度は上でした。

振り返ってみて実に味わい深い台詞がありまして、それというのも功が言う「黙っているのが嘘だというのなら、人はみんな嘘つきだ」という台詞。
後半、ハロルコと大ちゃんが結婚していることが明かされますが、これはそれと対になった話で、「聞かれなかったから答えなかっただけ」というのは確信犯にも思えますが、「あ、そういえば独身かなんて聞いてないね誰も」と「ハロルコに一本取られた」になっている滑稽さが笑えます。
ま、正確に言えばその場にいたらその一員になっちゃうことは濃厚ですけどね(笑)

そんなハロルコについて「客観的に見ればひどい女なのであろう」と書いておられた舞台女優さん(こちら)がおられたのですが、この表現、とても的確にこの役柄を捉えていて、それでいてこの役を演じた由美子さんのことを”魅力的”と褒めていただいてとても嬉しかったです。

ハロルコにダメダメにされるおじさま方は、同じ男性として身につまされるというか、同調してしまうところはあるわけですが、実は女性がどう捉えるものなのかちょっと興味があったので。

これ、前回も書いたのですが舞台上に、女性が由美子さん一人しか出ていないからでもあると思うのですが、”誰かと明確に比べられるわけではない”ということがメリットなのだろうなと。

ハロルコと一番近い女性となると淳さんの奥さんということになるのでしょうが、実体として表に出てきていないから、見ている側としては想像の中だけの女性なわけです。

つまり、由美子さんが2役をやったり、もしくは他の女優さんが演じたりすれば、そこで無意識に「比べる」わけです。
そこでハロルコが奥さんよりも「なんだかなぁ」と思われることもありえなくはない。

淳さんにお別れを告げるにしても「奥さんを大事にして」と去るのは、ずるいと思えなくはないんだけれども、「自分は思い出になっても、『いい人』を大事にしてね」という”実体”のハロルコは、客席から見れば”想像”の奥さんより、大人に見えるわけで、その意味でお得だなと。

それに、正直なところを言ってしまうならば、HOBO以外の舞台だと、どうしても女性キャスト相互間は、役者や役の間でのパワーバランスだとかを気にせざるを得ないわけで、その意味では、私的に精神衛生上たいへんありがたい(笑)。何しろ女性キャラは由美子さん以外が担当しないわけなので。

それにしても、これだけの上手い男性俳優さん6人相手に、全員をがっちり受け止められる由美子さんで良かったなぁと、それは心から思うわけで。
日本中探しても、おかはまはじめさん以上に由美子さんの力量を正確に(力不足な部分も含めて)認識している人はいないんだろうなぁ。

今回の第3回公演では、HOBO始まって以来の、「由美子さんの歌」が登場。
ミュージカルに出続けている由美子さんの歌を心配することなんてあり得ませんが、それでも一抹の不安はあったんです。
HOBOとしての毛色が変わったらどうしよう、という。

でもその曲が「つぐない」だったことで、あぁこっち方面なのね、と。

由美子さんの歌の良さである「芝居歌」が一番生かされるムード歌謡・演歌系の曲でしたから、そのシーンは毎回本当に楽しみでしたし、それでいて芝居から一欠片も浮かないことが、何より心地よかったです。



この回のカーテンコールではおかやまはじめさんから、各キャストの紹介があり、挨拶を誰に振ると思ったら、何と大穴の有川さんへ。

有川さんは結局、いつも省吾さんがやってる番宣をした揚げ句(ちなみにみなさんから「宣伝かよ」と突っ込まれていた笑)、鳴き真似しながら「ありがとうございました」と。

はじめさんのご挨拶は3日目以降ほぼ同じでしたが、「白井良明さん(ムーンライダーズ、今回のテーマソングの作曲をされています)、笑福亭鶴瓶師匠(声の出演でした)、ほか色んな皆さまのご協力で成り立っております。まだまだ弱小の劇団です。4回目・5回目、そして行けるところまで行こうと劇団員一同思っておりますので、今後とも応援のほど、よろしくお願い致します」

とのご挨拶で幕。

終演後は木野花さんが出口にいらっしゃいましたし、KAZZさんもいらっしゃいました。

HOBOの今後は、はじめさんの言葉にもありましたが、普通に考えて小屋は1年~2年前から押さえざるを得ないわけで、もう決めてはあるのでしょうが、赤坂は現在の動員からするとかなり割高に思えますので、次回は下北と予想してみます。

何にせよ、素敵な作品と出会えたことに心からの感謝を。

HOBOの皆さま、今日は思う存分打ち上がってください!こちら

・・・今日から早速稽古の方もいらっしゃるようですが(爆)

有川さん、そう、あなたさまでございます(ちなみに赤坂の路上ですれ違いました)

| | コメント (5) | トラックバック (0)

『ハロルコ』(4)

2011.2.19(Sat.) 15:00~17:10
 赤坂REDシアター K列下手側

4日連続「ハロルコ」の3日目。

短い会期といいながらも、もはや千秋楽までカウントダウン。
思いつきで追加したこの日の席が、唯一の後方席。

客席が「新幹線のグリーン車」だったこの公演も、後半になって何とか形になってきたようで、この日も空いていたのは最後列の2列弱ということで、とりあえず何よりです。

この日もHP直前予約でK列(最後尾から3列目)なので、150ぐらいは埋まったことになります。

劇団員の皆さまは連日の飲みまくりで、特に由美子さんが壮絶に噛みまくっていますが、このハイテンション芝居やった上にあれだけ飲めば・・・・(爆)
何とか持ちこたえてはいたけど、本番に支障がないようには頼みます、はい。

とかいってこっちはこっちで連日の観劇と、ありえないほどの忙しさで、客席で見てるのけっこうきつかったんですけどね。
普段、観劇前には何も食べないのですが、この日は何を間違ったか開演30分前にスパイシーチキンなんぞを口に入れちゃったもんですからきつかったきつかった・・・

赤坂REDシアター、開演すると出口は事実上ありません。
明日(千秋楽)は絶対に何も口に入れずに行こうと心に決めました。

何はともあれ、この日は初の後方席ということで、前方席にはないメリットが。

由美子さんの白いドレスの全体が見えるわけで、どう見ても痩せたような・・・

「つぐない」の歌詞は何度聞いても、今回の「ハロルコ」のインスピレーションソングにしか思えず。

「こんな女でも忘れないでね」と淳さん(古川さん)に話しかけて、「子供みたいなあなた」と、3人(功さん・清文さん・斑目さん)に話しかけて、しまいには「明日は他人同士になるけれど」ですからね。

※由美子さんの「つぐない」の動画が存在するのはとってもありがたいです。
聞くといつでも「ハロルコ」が思い出せます。

由美子さん演じるハロルコで好きなシーンはいっぱいあるのですが、一番好きなのは有川さん演じる功の家庭内嫁姑喧嘩について、話しかける言葉かな。

あのシーン、ほとんどまかないの女性って感じの服装なんですが(なんか「スジナシ」のラーメン屋さんおかもちを思い出した)、あの包容力、男性からすれば女神様ですね。

HOBOの作風って、基本「男ってどうしようもない生き物だよなぁ」なわけで、それを決して卑下するわけでもなくて、でも嘆くでもなくて、だからといって威張るわけでもなくて、でもそれを唯一の女性として全部一人でひっかぶる割に、役的にも役柄的にも何のプレッシャーも見せない由美子さんというのは、ある意味凄いなぁと思うわけです。

何というか男性はみんな女々しいんで、この劇団の唯一の男前が由美子さんな気さえしてるんですけどね(大笑)。

昔っから役者イメージに反する役をやりたいと言い続けただけあっての今回の役なわけですが、ずっと見続けてる私のような人にして見れば意外でも何でもなくて、でもこういう場があるのは本当にありがたくて。

「飲んべえ劇団」ことHOBOですが、ふと見ていたら、
「HOBOは、『ほのぼの』」
ってキャッチフレーズが浮かびました。
次回、使いませんか?(笑)



カーテンコールは最近の定番になった省吾さん→はじめさんコースですが、
「挨拶が長いよ」と古川さんが突っ込み入れたらしく、短くします、と省吾さんが林さんに振ったら

「本日はありがとうございました」

の一言で終わって全員撃沈(笑)

結局省吾さんが引き取って物販案内もしてましたが、なぜ毎回「手ぬぐい」という言葉が出てこないのかというか、あれは皆さんの突っ込み待ってるんでしょうか。

この日のサプライズははじめさんから、
「それではハロルコに挨拶してもらいます」

で、由美子さん「へっ?」と目が点(笑)

結局押し問答した揚げ句、「あぁ、役で挨拶すればいいんだ」ということに気づいたらしく、「今日はありがとねー 上がったとこでチケット売ってるからよろしくねー」とハロルコイントネーション(←新語)でかました上で「ありがとうございました」と。

無茶苦茶恥ずかしかったらしく、照れ隠しに本間さん叩きに行ってましたが、何かあると叩く相手は絶対本間さんですね。羨ましい(爆)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ハロルコ』(3)

2011.2.17(Thu.) 19:30~21:40
 赤坂REDシアター C列(2列目)下手側

2011.2.18(Fri.) 19:30~21:40
 赤坂REDシアター B列(最前列)上手側

怒濤の4日連続「ハロルコ」の1日目・2日目。

木曜日は諸々の事情で気持ちが乗らないままの観劇でしたが、この作品の中で出てくる台詞、「大人って、傷ついても立ち直っていくもの」ということをつくづくと身をもって痛感しました。まぁ、男爵夫人様も「大人になるということは、倒れた後も立ち上がること」って言ってましたしねぇ(←作品違う)。

初日、my2日目と続けて上手側からの観劇だったので、My3日目も下手側からの観劇はとても新鮮。由美子さんのドレス姿は最前列で見上げたときも綺麗でしたが、下手横から見たmy3日目が、一番眼福でした。
ほっそー。

南国の女性と言うことでドーラン塗って色黒な由美子さんというのも、初日はびっくりしましたが、さすがに3日目ともなると慣れてきます。

そして何というか、もう色んな意味で由美子さんはハロルコだなぁと、おかやまさんの由美子さんイメージへの確かさに感服。
HOBOの中での由美子さんの存在感は、まさにこの作品の中のハロルコと合いすぎるぐらい合っています。

あれだけおしゃべりなのに、でも引くときは引く。突っ込んじゃいけない部分はちゃんと見守れる優しさがあって。
林さん演じるまらだめ、もとい斑目(まだらめ)さんのお母様の話のときの「・・・・」とか。

「ハロルコになら、騙されてもいい。」

そう、有川さん演じる功の言葉に頷く2人の男性(林さん、省吾さん)の姿は、滑稽なはずなのに、なぜだか「そうだよなぁ」と思わせてしまう説得力。

そして、これ前回の「明日の幸福論」の時もそうだったのですが、HOBOの脚本の特徴的なところは、紅一点が由美子さんということを最大限活かしているということなのですね。

普通、男性6人と女性1人という組み合わせは、脚本上の制約になるはずなんです。
基本的にむさ苦しくならざるを得ない(笑)のですが、女性の役で表に現れる役を1つしか作らない代わりに、表に出て来ない役を作って、そこに想像上の由美子さんを割り当てるのですね。

「明日の幸福論」では林さん演じる旦那さんに対する奥さんが本役でしたが、それ以外にも本間さんの恋人であったり、古川さんの奥さんだったりというのをイメージ化していたわけですが、今回の「ハロルコ」もご多分に漏れずで。

恐妻家の古川さんの奥さんのことを有川さん(功)が語って曰く「いつもにこにこしているんだけど、怒ると『その小さい身体のどこにそんなパワーが・・・』って思うんだよなぁ」なんてのも、まさに由美子さんにイメージが被さるし(先だっての20周年CDの時に当時のディレクターが『当時から怒ると怖かった。目が笑ってなかった』って言ってたし・・・笑)。

ある意味、由美子さんの(イメージとしての)多重人格的なところを上手いこと利用しているなと。

1役しか演じていないのに、女性が複数登場するように見せるのは、おかやまさんの脚本の巧さもありますが、そこに由美子さんがいるからだろうなと思えて、それはやっぱり嬉しいなーと。



日替わりネタ。

金曜ソワレは古川さんが珍しくやらかして「ぞっとするって何だよ」って言ってて(正しくは「ぞっと『しない』って何だよ」)、しまいに自分へのフォローが「並んで載ってるから間違えたよ」って(笑)

ドンキホーテ袋の中の大人買いのチュッパチャップスが妙に傾いて1個落ちちゃってましたが、由美子さん、ちょっと慌てたものの拾いに行って差し込み直してました。

大ちゃん(はじめさん)に抱きつくときに完全にコアラ状態(宙に浮く)のがキュートでした。



今回、由美子さんが演じるハロルコのチャームポイントというかアピールポイントは、外国人特有の変な日本語ですが、あの何とも言えないイントネーションが笑いを誘います。金曜ソワレは特にそうでしたが、男性と女性が上手いこと混じり合った客席で、男性だけでなく女性の笑い声も聞こえるのは嬉しいものです。

以前に由美子さんが言っていたことがありますが、「ミュージカルでは歌うように台詞を言う」というのはこの「ハロルコ」でも生かされていて、イントネーションの上下で飽きさせないテクニックはさすがだなぁと。出てきて1分間しゃべくりっぱなしのところとか、客席を我に返らせる前に突っ切るあたりは相変わらずのパワフルさ。

作品全体の話に戻りますが、初見で笑っていたところと、複数回見たときでは、笑いの場所がどことなく変わってきたような印象。前半は初見以上にゆったりというか、笑いどころがわかっている感じなんですが、中盤以降は展開がわかっているのに笑えるのが不思議。

有川さん・省吾さん演じる2人から立て続けに同じ言葉を投げつけられる林さん演じる警察官氏のところはいつみても大爆笑。

初見のときも書きましたが皆さん面白いときにはちゃんと笑ってくれるし、客席から見ていて変な話ですが、笑い声に嘘がないというのか、笑い方を知っている客席というのか。大人の舞台に、大人のお客さんという感じで、お互い変な力みがないのはすごく心地いいです。構えないで見られるお芝居って素敵。



カーテンコールはいつのまにやら告知役が省吾さんに変わっていて、さすがに国立演芸場花形演芸大賞金賞を獲った噺家の技はダテじゃないわけでございまして、そこに突っ込み入れてる由美子さんという図式はとても気が楽です(笑)。

木曜ソワレで省吾さんが言及した
「今日夜はそこそこ席が埋まっておりますが、
お昼は『新幹線のグリーン車』状態でございまして(客席爆笑)」
というのが名言中の名言でございました。

ちなみに金曜ソワレでも「新幹線のグリーン車」発言があったほか、
「みなさま『リピーター』と言う言葉をご存知でしょうか」
ってのもありました(笑)

・・・えぇ、私ですが何か(爆)。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『ハロルコ』(2)

2011.2.15(Tue.) 19:30~21:45
赤坂REDシアター B列(最前列)下手側

劇団HOBO第3回公演、たった2週間ぶりの赤坂REDシアターです。

おかたつ(キャラメルボックスの岡田達也)氏のも観に来たかったんですが、日程調整できずに結局「青空!」の後が「ハロルコ」になりました。

とりあえず(1)の時に書いた
「オジサンを振り回すことを無意識でやる小悪魔ちゃん」

「白いドレス」
は両方当たりました。わーい(笑)

この作品、世田谷FMの時から予想はしていましたがネタバレなしで面白さ語れません。公演会期も短いですし、ネタバレ全開で参ります。

ほぼ2時間の舞台で休憩がありませんが、多分由美子さんが今まで出た作品全てひっくるめても、登場が一番遅いのがこの作品だと思います。開始3分で出てくる「モーツァルト!」、開始1分で出てくる「SHIROH」等々、どんな遅くとも10分以内に出てきていた由美子さんですが、この作品は恐らく40分ぐらいは登場せず、男性だけで物語は進行します。

舞台は片田舎の床屋、名付けて「高橋理髪店」(笑)←由美子さんの実家は床屋さんです。初日、ご両親がご観劇でした。

いやはや、まさに技術指導要らずという話でして。

そんな理髪店のご主人が本間剛さん。そこに集まる悪友のみなさまがた。
酒屋の古川悦司さん、介護ホームの従業員の省吾さん、葬儀屋の有川マコトさん、警察官の林和義さん。

そんな皆さまの掛け合い漫才はいつものごとく絶好調でございますが、第1回公演「喧嘩農家」、第2回公演「明日の幸福論」とちょっと違うのは、今回の時代設定がそれほど昔ではないということでしょうか。割と現代的、といってもここ10年ぐらい前の話でしょうか。ノスタルジックでもなく、かといってばりばりに現代でもない床屋。

というか床屋さんって独特な「時の止まり方」をしていますからね。1000円散髪屋さんに通い始めて以来、そんな空気とはとんとご無沙汰していますが、言われてみればなんかどうでもいい仲間が、どうでも良い時間を過ごす空間という意味では、床屋さんって最適なのかもしれません。

そんなただの日常の繰り返しをちょっと変えてみたくて、都会の高崎(ということは舞台は群馬県の郡部なのでしょう)にみんなで出ていって、その店で働いていた女性を古川氏演じる酒屋さんが連れてきて、理髪店の2階に匿ってもらう・・・

その女性こそが「ハロルコ」。
てっきり愛称なのかと思っていたのですが、実は本名。
いずこかの南国から出稼ぎに来ている女性、その役を演じるのが劇団HOBO紅一点、高橋由美子さんというわけです。

主宰のおかやまはじめさんいわくの「むさくるしい空間」が続いた鬱憤を晴らすかのように(爆)、ハロルコの放つマシンガントークはある意味アデレイド級の台詞の多さ。
登場時間一番短いのに、台詞は一番多い気さえしてきます。

海外からの出稼ぎということで、日本語が色々可笑しいわけですが、おかやまさんが描いた台本の台詞も絶妙に面白いのですが、それを由美子さんのあのマルチテクニックでいいように遊ぶもんだから、その面白みはますます増幅。ご本人「アイドル生命を投げ打つとこんなに弾けられるのか!?と思っていただけるほど体はってます! 」と珍しくも派手にぶちあげていますが→こちら、言うだけのことはある面白さです。

やっぱり由美子さんは弾けさせてナンボだと、それをつくづく再認識。

ハロルコ狙いのみんなが、お互い他を出し抜こうと必死で抜け駆けをする様は滑稽ながらも、それでもそうさせるだけのものはあるなぁと。

ある意味、何の意味なのか分からない「ハロルコ」って言葉自体が、意味として「女神」とかに見えてくるから不思議です。
中盤まではピンク色を基調にした、パジャマとの境界線の薄い服装ですが(爆)、後半の衣装の白いドレスはもう壮絶に綺麗です。

何しろこの日は最前列でしかもこの赤坂REDシアターは舞台と客席の距離はほとんどゼロ距離ですから、目のやり場に困ってしまったりして。

由美子さん以外の劇団員の皆さまも一人一人本当に安心のブランドで、脚本に逆らうことなく他の人を邪魔することなく、でもみんな一人一人が愛らしくそこにいるのは流石だなぁと思う。キャラ立ちの上では前回に比べてちょっと省吾さんが弱いかなぁと思ったけど、実は第1回公演で苦手だった林さんは第2回公演で苦手意識がなくなったし、第2回公演で苦手だった本間さんは今回苦手意識がなくなって、なんか本当にいいなぁと思う。

HOBOで不思議なのは、あれだけ笑いまくって涙を流すのに、でも実はネタをほとんど覚えていない。今回は実は下ネタ率が案外に高いのに、いい意味きれいさっぱり忘れていられるから精神衛生上誠に有り難いです。

男性を”金のなる木”としか思っていない、ように描かれる途中までのハロルコと、おかやまはじめさん演じる人から、みんなを代表してあるものを渡されるときのハロルコ。
そして母国に帰ったハロルコから送られてくる手紙。

なんだか、みんなとハロルコの距離が、実際に遠くなればなるほど近くなるような、そんな錯覚を心地よく感じたりして。

小悪魔から女神へ変わっていく様は本当に美しかったし、それが内面から見えてくるかのような衣装はとても綺麗でした。

おかやまさんが言及していた「由美子さんが歌うかも」は、実はこの曲(音流れます、動画注意→こちら)。

ちなみにこの動画は日本テレビ系の「サウンドパーティー」のレギュラーだった当時(1992年、当時18歳)なので、歌唱力は今はその比ではないわけですが、今でもカラオケに行くと由美子さんの十八番らしいこの曲は、その歌詞からしてハロルコの役どころにぴったりで、何となくこの曲からインスピレーションを得たのでは?と思わせるぐらいで、ぞくぞくしました。

オチはネタの笑いどころなので省略するとして、カーテンコール、1回目のご挨拶は主宰のおかやまはじめさんから。やはりチケットは苦戦しているようで、「ぜひよろしく」と。また、次回公演(第4回公演)にも言及されていましたが、初日にしてそこに言及するからには、逆に言うと今回のプロモーション不足に対する反省と、「言っておかないと第4回が実現しなくなるかも」という危機感なのかもと受け取りました。

特に由美子さん的には宣伝といったものと無縁でしたし、妙に意地張って事務所に頼まないようなことしなくても、せめて帝劇のラックにチラシ入れてもらうぐらいはやっても良かったんじゃないかな-と思う次第。

「由美子さんの意外性」って他の女優さんで代替が利かないので、間口を広くしてたくさんの人に観てもらってこその頑張りだと思うんですけどね。

ちなみにこの日、2回目のカーテンコールでは、はじめさんが無予告で中央の由美子さんに無茶振り(笑)。

由美子さんはぼそっと「聞いてないけど」と言いつつ(最前列はこういうのが聞こえるんで・・・笑)「色々と大変な役ですけど頑張ります」と普通に締めておりました。

なおこの日の物販で劇中歌CD+HOBO手ぬぐいのセット(1,000円)が出ておりました。はじめさんいわく「物販にも手を出してしまいました」とのことでしたが、ちなみにHOBOの歌姫さんの歌はCDではちょびっとなので、劇中でお楽しみを、ということのようです。

短い会期ですがあと3回観劇予定。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『白夜行』

2011.2.13(Sun.) 16:10~18:40
HUMAX池袋 シアター4 10列目センターブロック

ドラマ版に大塚ちひろ嬢が出ていながら見てもおらず、今回の映画化でようやく原作本を読み出したにわか白夜行ファンといいますか、堀北真希嬢隠れファンといいますか(爆)

前日、東京都区内一周の間にバス車内で文庫本を読み終え、この日観に行ったのですが、原作を読んでないと「?」が点灯する代わりに、サプライズは薄くなるという、まぁ当たり前の話でもありました。

質屋殺しの被害者の息子・桐原亮介と、容疑者の娘・西本雪穂。
その2人の成長とともに巻き込まれていく人々たち。
闇に生きる亮介と、光を浴びる雪穂の対照的な人生の行き着く先とは・・・

こう、事前予告的に書いてしまうわけですが、この作品、「救い」とかいう甘いものはほとんど存在しません。読後感とか見終わった後の爽快感とか、求めるだけ無理。

とはいえ、そういうのって自分は結構好きだったりします。全部の作品がファンタジーである必要もないし、見た客に結論を委ねる作品だって、別にいいと思うクチ。

なので何らかの結論を「与えてもらおうとする」見方にはとんと向かない作品ですが、意図をほじくろうとするといくらでもほじくれる作品。
この事件を探る刑事・笹垣の気持ちになって作品をたどるという見方が、文庫本以上に映画版にはしっくりきます。

若干のネタバレを含みますので取扱注意でお願いします----



今作品のヒロインにして「悪女」という言われ方をする主人公・雪穂役には堀北真希さん。まぁ、映画版を観に行った理由の80%ぐらいがこの役を堀北さんがやるからですが(笑)、何と言いますか、容易に他人になびかないといいますか、独自の空気を持つことに何のためらいもないといいますか、誤解されることに引け目を感じないといいますか(ここまで来ると褒めてるんだか何なんだかわかりませんが)、なんというか堀北嬢へのイメージはこの作品の雪穂そのものなんですね、私的に。

いわゆる女優的な不器用っぽさみたいなところが、なんか若い頃のご贔屓さんと重なるようで妙に気になる女優さんだったりします。

今回、深川監督がおっしゃっていますが「彼女に関しては監督いらず、本人の感性で演じてもらった」というのはある意味いい選択だなと。

彼女自身も「あえて雪穂を全部理解しようとせずに演じた部分がある」ともおっしゃっていますし、その意味で、雪穂が「すべてをさらけ出さない(むしろ全く表に見せない)」からこその不気味さ、怖さを醸し出せているのは、監督と女優の方向性のフィットにあるのだろうと思います。

実は「ミステリアス」とまでは感じなかったのですが、原作を読み進めていくと感じる「あれもこれもそれもこっちも、雪穂が全部手を引いてるよね、これ」とまでは映画版には感じず、その意味での悪魔的な落差というような印象は薄かった気がします。

雪穂はラストシーンでまさに”勝ち組”を象徴するかのような純白のドレスを着て現れますが、このときのことについて堀北さんが「女性はああいう(豪華な)衣装を着てしまうと、もう二度と以前の自分に戻りたくないと思うもの。ずっと着続けていたいと思うもの」と語っているのですが、これがまさに雪穂だなと。

ある意味、女性の欲望を一直線に体現した役が雪穂で、それをかなりの点において堀北さんが認識していたからこその、この役の完成度なんだろうなと、そう思わされたのでした。

映画版で印象的だったシーンを1つ。
桐原の質屋で働いていた松浦(田中哲司)が、成長した雪穂を見つけて、舐め回すように「あんたはどんな思いで今生きてるのかな」というシーン。雪穂が心底嫌悪しながらも、それでも一切の嫌悪感を表に出さないように振る舞うあたりが、いかにも雪穂だなぁと。
しかし田中哲司さん、気持ち悪いよなぁここ(役者的には褒めてます)。

その雪穂の親友が川島江利子役。この役がドラマ版では大塚ちひろ嬢がやっていた役なんですね。そのちひろ嬢はドラマ公式で「自分が頑張らなくていいと言うか、ダサくていいみたいな所が楽だった」と語ってて、いやまぁ何というか女優って神経が太くないと務まらない仕事だなぁとつくづく(爆)。だって江利子役って雪穂の親友でありながらただ一度だけ雪穂の前をふさいだという理由だけであぁなる役なんですから・・

原作の記述で一番衝撃だったものが、「それが手っ取り早く”魂”を奪える方法だと信じるから」というものだったのですが、ある意味この作品は「魂を失った2人がさまよい、2人に立ちはだかる人間の魂を奪っていく」物語なのだと思うのです。

それはもう一つの言い方だと”愛”なのかもしれないけれども。

映画版は基本的に原作に忠実ですが、尺の関係もあって登場人物がすっぱり削られていたり、原作上極めて重要な役なのに映画版ではちょい役になっていたり、というところがあり、その中でも印象的だったのは雪穂の夫・篠塚一成の娘にあたる篠塚美佳という女の子。

雪穂を疑う存在はこの作品の中では全編に亘って疑い続ける刑事(元刑事)・笹垣を除いてしまうと、恐らく表層的に最も強い抵抗をしているのがこの美佳という少女。

学生時代に雪穂をライバル視したあまりに、悲惨な目に合う藤村都子という同級生がいますが、彼女が雪穂に対して強く当たらなかった代わりに、その藤村さんのポジションを含めて美佳に重ねています(映画版では美佳がバイオリンを弾く設定ですが、原作は藤村さんがバイオリンを弾いています)。

父である一成に、雪穂を指弾しているその後ろにはいつの間にか雪穂がいて・・・
という後半部の1シーンは、原作を読んでいただけに見ていて恐怖でした。

ただあえて言うのだとすれば、この作品の真骨頂は後半部分、今枝という探偵、笹垣(刑事)、そして映画よりはるかに鋭い篠塚一成の3人がもたらす、「雪穂という女性の本質を明らかにし、追い詰める過程」だと思うんですね。原作ではそれがほとんどあと一歩のところまで雪穂を追い詰め、ですがぎりぎりのところで雪穂は逃げ切る。

映画版でも基本そこは変わらないのですが、印象という観点で言うと、映画版の雪穂にはまだ余裕があった感じがして。確かに押されてはいるんだけれども、土俵際まではまだまだ距離があったような気がして。
そこが何か「甘さ」に見えて、ちょっとだけ惜しかったかなと思ったのでした。

そういえばこの作品、昭和50年代~平成に入るまでの20年間なので、基本的に画面が暗くて重苦しいのですが、そんな中、自分の実家がある町が撮影協力に名を連ねていて噴き出してしまいました。
今回のロケ地、R&Yのきらびやかさを表現した長野県松本市、学校通学シーンを撮った千葉県市川市を除いては、そんなに明るい場面が残ってないんですね。

ということは、やっぱりうちの地元はくすんでるってことなのか(苦笑)。
まぁ、東京から近い割に昭和の香りが強いことは認めますが。

ちなみにラスト、どうでもいいひとりごと。
世の中で怖いものは多々あれど、やっぱり暗闇に響く女性のハイヒールの音はちと怖すぎる。
というかあのハイヒールの音って、なにがしかの意図を持って聞こえますよね。

・・・と、某舞台の喪服姿のご贔屓さんの冷たい足音を思い出した今日。

さーて、ドラマ版レンタルの手配でもしよう(爆)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ハロルコ』(1)

2011.2.9(Wed.) 21:15~21:25
世田谷FM「石橋征太郎のふらり600seconds」

劇団HOBO第3回公演の番宣。

いずれノーカットでネットにupされることになっている同番組。
なんか今のペースだと間違いなく公演終了後になりそうだったので(笑)、芝居も見ないのに三軒茶屋に行ってきました。

午後9時過ぎにSEPT(世田谷パブリックシアター)前の広場でイヤホン付けてラジオ聞くのはただの変な人ですが(笑)、そこは東京、他人の迷惑にならなければまぁ気にしてもらえないものです。ま、その方がいいんですけど。

この番組の進行役はかの植本潤さん(由美子さんと「SHIROH」で共演した”真っ黒組”の飲み友達)ですが、このコーナー自体には絡みはないので、まぁ何というか由美子さんはいつものごとくローテンションです(苦笑)。

聞いていて気づいたのですが、2週同じものを流すのかと思いきや、先週が前編、今週が後編だったのですね。当たり前の話ですが。

様子を聞いてみるに、先週は劇団HOBOの日常についてのよもやま話(夜の出来事を含む)で、今週が第3回公演「ハロルコ」のお話。

・・・なのですが。

タイトルからしてネタバレだそうで、主にしゃべってた、おかやまはじめさんが、いかにしてネタバレ回避で話すかに無茶苦茶苦心しておられました。
そんな時に、特段盛り上げにもかからず、助け船も出さないあたりがさすがはHOBOの紅一点(笑)。

おかやまさんいわく、舞台は田舎の床屋さん。

テーマは「40代の恋愛」らしく(オフィシャルコメントでは「オジサンのふりしぼる最後の恋心」だそうで)、四十代のおじさんの可愛らしいところとか、ちょっと淋しいところとか。メンバーそれぞれが今まで培ってきたものが芝居に投影されているとは思いますけど、とりわけ自分は(所属している)ラッパ屋の空気を色濃く反映していると思います、と。

ご自分の役の解説を、ということで省吾さんが「がたいを活かした役」と言っていたのが笑えました。糖尿とか痛風とか、そんなのばっかりらしい(笑)。

で、このメンバーの中では紅一点ということで、そんなオジサン方のヒロインになるのが由美子さんというわけなのですが、

司会氏「高橋さんはそういうシチュエーションということは・・・」
由美子さん「えぇ、モテモテらしいです(苦笑)」
司会氏「あれ、不本意ですか(笑)」
由美子さん「いやぁ、モテに見えるように頑張ります(苦笑)」

というトークでした(爆)。
いやぁ、本当にちやほやされることが面倒くさいんだなぁ(こら)。

ちなみに某所では”オジサン達をブンブン振り回す”ということを書かれておったのですがこちら、その辺りについていわく

はじめさん「高橋さんは意外な登場しますから、その辺をお楽しみに」

だそうです。

”意外”ということをどう捉えればいいのか、若干頭が混乱しますが(むろんそれは開演前までの楽しい頭の体操ですが)、普段から由美子さんを見ている人に取っちゃ「男前」なんぞあっても”意外”でも何でもないし、でもそれこそナンネールの後に見たらそれはまさに”意外”なんだろうし。

個人的には「オジサンを振り回すことを無意識でやる小悪魔ちゃん」を予想&期待しておきます(笑)。
意外さと言えば清純系かなーと。白いドレスとか。←ほんと普段どんなイメージ持ってるんだと小一時間。

この日の放送の小ネタでいえば

司会さん「飲みの話題では高橋さんに振られるんですね」
由美子さん「なんででしょうね。みんな一緒に飲んでるのに」

というのが妙にツボでした。

由美子さん「5千円あればチケット+飲めます」
はじめさん「いや足りないってば。俺がおごるの?」

というトークも何だか変な空気でした(笑)
※ちなみにチケットは4,300円(前売)。

そういえば、この作品は1年ぶりにほぼ日刊イトイ新聞にプロモーション登場。
劇団員の皆さんがテレホンオペレーター役を演じます(←ちょい違う)
こちら

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『プライド』(19)

2011.2.5(Sat.) 23:00~25:55
NHK BS-hi プレミアムシアター
2010年12月14日収録(シアタークリエ)

自宅はBSが入らないのでこれだけのために実家へ遠征するワタシ(爆笑)。

というわけで待望の「プライド」テレビ放送。
いやぁ、すんばらしく良かったです。

冒頭部分に挿入されていた笹本玲奈さん・新妻聖子さんの対談も実に興味深くて、特に新妻さんの表面上そつがない割に、妙に裏を読んでしまいたくなるかのような発言がいちいちツボでございましたが、あまりに面白くて記憶が飛びまくったので、ここは録画をお願いしている方から上がってきてから、補足予定です。

シアタークリエの座席(この日のマチネとソワレの間だったのでしょう)で最初一瞬だけ新妻さんが司会役を始めて、妙に形ばったように始まったかと思ったのに、なんか10秒ぐらいでいつもの仲良しモードだったのに笑かされましたが。

司会要らずでエコな女優です、新妻さん。
もう端っから進行役やるつもりありませんからね玲奈ちゃん(笑)。

役とのシンクロとしては笹本さんが萌、新妻さんが史緒だったようで、何しろ新妻さんに至っては「萌と唯一の共通点が『歌が私のプライド』」という話だったわけで、そりゃ新妻さんも「30cmヒールぐらい履いて役代わりやりますか」とも言いますわな(笑)。

これ見てると、新妻さんが萌をやってものすごいハードだった理由が分かる気がして。
役的にはシンクロしない萌と「歌だけでつながってる」感覚は、むしろ「史緒と萌の『歌だけでつながってる』感覚と、それこそシンクロしていたのかもしれません。

自分のプライドはと問われて、自分のプライドの高さを認識しながら、苦笑しつつ答えている玲奈ちゃんが何気にチャーミングでした(笑)。

オペラもミュージカルもスイッチを入れると言う点では同じかも、という新妻さんの答えは本質を言い当てている感。

「歌はもちろん芝居でも一回に一箇所は必ず鳥肌が立つ」とは新妻さん談。
「史緒をいたぶってると快感で」との新妻さん談に、「Sなのね」と返す玲奈ちゃんが味わい深すぎる(笑)

「同世代でミュージカルに深く強く関わっている同志とやれることはなかなかないこと」と新妻さんが(言葉をとても選びながら)語っていたのは実はちょっと意外で、玲奈ちゃんいわくの「新妻さんとやれることが私のプライド」に照れ照れだった新妻さんの、お礼の返事だったのかもしれません。

「結局ラブラブトークになってるし」とか(大笑)

「次はぜひ、いがみ合わない役で」というのも面白かった。

はい!!!(大声で同意)



しっかしお2人のこの日のTV放送告知が対照的で

新妻さん・・・テーマが「食」って(笑)→こちら
  そして「いかがわしいタイトル」に大笑い。
笹本さん・・・宣伝文句その一言ですか(笑)→こちら

ふたりとも自由ですな。



本編は全編に亘ってカメラアングルの素晴らしさにただただ脱帽。

抜いて欲しいアングルは必ずといっていいほどアップだし、ラストも直前まで史緒&萌しか映してない(そのまま終わったらどうしようかと思った・・・笑)し。

アップでは回数的には玲奈ちゃん演じた史緒の方が良いところもらっていた感じはしますが。

そういえば、玲奈ちゃんが恐怖に怯えると目が中央に寄るというのは特にこの「プライド」で実感しましたが(あえて過去を遡ると「ウーマン・イン・ホワイト」のマリアン役でもそんなシーンがありましたが)、人に頼るときは目を右に寄せ、人に食ってかかるときは目を左に寄せるというのが分かりました(爆)。

今回、ご覧になった方と話をしていて興味深かったのが、「史緒は『逃げる』という感情を持っていないんじゃないか」という話。

史緒と萌の初デュエットシーンを神野氏に奨められた時、私的な見解は神野氏にしてみれば「プライドの高い史緒は萌とのデュエットを断るだろう」だったのですが、史緒にしてみれば「チャンスは平等に与えられるべき」と語っているのが実は本心で、「一緒に歌わせろ」という萌の”挑戦”から逃げるという選択肢自体がないのではということに気がついて。

むしろ、自分が負けることなんてつゆほども考えていないのかもしれませんが、その割には直前にコンクールで萌には負けているわけで・・・

自分のメリットがあるとはいえ、神野からの怒濤の攻撃から逃げない史緒は、本当に「逃げる」ことを知らないってオチだったら苦笑ですが、案外当たっているような気がするんです。

史緒は育ちに恵まれた人なので、その場からわざわざ逃避する必要がなくて。

自分を遠巻きにしてきた人たちばかりに囲まれた史緒にとって、逃げる必要を感じなかった”居心地のよい”蘭ちゃんは例外としても、自分がいつも通りお嬢様ぶっていれば、周りがみな逃げていったから、自分から逃げる必要はなかったんだろうと。

これは以前も書いたのですが、「史緒にとっては自分を本当に必要としてもらったのは、萌が初めてじゃないか」と。これは逆もまた真なりで、「萌にとって自分を本当に必要としてもらったのは史緒が初めて」だったんだろうなと。

事あるごとに自分にぶつかってくる萌の存在が、史緒にとっては不思議でもあったんじゃないかと、ふと思ったんですね。心の中に感じていた、「他の人と違う自分への気持ち」を萌に感じていて、それが実体化した瞬間が、あの歌だったんだろうなと思います。

どう生きていけば分からなかった自分、プライドを捨ててまで神野に身を売りオペラ歌手としての成功のレールに乗った自分。
無意識で踏み台にした萌への贖罪意識がラストシーンにつながったんだろうなという思いは劇場で見たときと変わらず。

物語的にはそもそも原作からしてあぁいう出来なわけで、後味の良さを求める自体が八百屋で魚って感じではあるわけですが(苦笑)、何はともあれ「新妻さん&笹本さんの共演」というパンドラの箱(爆)を開けてくれた金字塔という称号は、未来永劫語り継がれるわけで、その点だけを取ってみても意義ある作品だと、心から思う次第です。

※とりあえず朝が早いのでここまででupします。後ほど追記。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2011年1月 | トップページ | 2011年3月 »