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『モーツァルト!』(30)

2011.1.30(Sun.) 12:00~15:30
金沢歌劇座2F自由席(最後列下手側)

 上演424回目(今期92回目、金沢2回目)
 観劇41回目(今期9回目、金沢1回目)

2011.1.30(Sun.) 16:30~20:05 
金沢歌劇座1F15列上手側

 上演425回目(今期93回目、金沢3回目)
 観劇42回目(今期10回目、金沢2回目)

2010年・2011年シリーズの「モーツァルト」、大千穐楽は金沢です。

金沢は今年暖冬だったそうですが、現地の方いわく「この冬初めての大雪」が前日から降り続くコンディション。

土曜日夜、赤坂レッドシアターで「青空!」のmy楽を見届け、日曜日の朝、上越新幹線「とき」とほくほく線経由特急「はくたか」とで金沢入りするつもりだったのですが、どうも様子がまずそう。

前日、夜行急行「能登」号を押さえたのですが、土曜日10時にあっさりと運休が決定。
夜行バス「ドリーム金沢1号」を押さえ、18時に確認したところ運転が確定しており、なんとか「青空!」3回目を見た上で金沢に入ることができました。(「青空」レポは東京に戻ってから。)

金沢公演は席種が4種類あり、プラチナ席が1階席前方13列(通路より前)、S席がその後ろ、B席(自由席)が2F最後列3列、残りがA席でした。
昼公演、B席を売りすぎたのか、開演直前に後ろから4列目を後から来た人のB席に割り当てようとして猛抗議を受けてましたが、そりゃそうでしょうて。
そもそも自由席というのが危険すぎです。
この雪の中1時間以上外で待ったのに・・・という気持ちは正常な感覚だと思いますはい。

もともと大阪で終わるはずの公演が金沢まで延長になったのは、この金沢歌劇座の改装(去年12月)後のオープニングシリーズとして派手な作品を呼びたかったのだそうで、契約は通常月末までありますので、急遽2日間3公演が追加されたということのようです。

客層としては2階は遠征組6割、地元組4割といった感じですが、こと1階に関しては遠征組8割、地元組2割という感じで、盛り上がり方がいつもと同じです(笑)。

キャストは男爵夫人の香寿たつきさんが土曜日で楽を迎えた以外は、全員がこの日が楽。
昼が山崎ヴォルフガング&坂口アマデの楽、夜がそれ以外のキャストの楽(井上ヴォルフガング&松田アマデ)。

1936氏が大阪楽を「大千秋楽」と呼んでいたのは「大阪千秋楽」の略だったんだよねとか野暮な突込みをしつつ、前大楽と大楽でしたが、ヴォルフガング2人の違いが感じられたとはいえ、帝劇よりずっと井上ヴォルフの存在の大きさを感じました。
もちろん、山崎ヴォルフの必死さは分かるんだけれども、でも、やっぱり井上ヴォルフはヴォルフガングとして「MOZART!」という作品を支配しているなぁ、とそう痛感しました。

というのも、ソワレでこんなことがあったからで。

●ハプニングは盛り上がりの母である。

1幕最初の盛り上がりどころ、座長シカネーダー氏まさかのステッキ落下。
40回以上見てきて、しょっぱなで落としたのはまず間違いなく初見。
何しろアンサンブルさんみんな「あっ・・・・(一瞬の間)」というほどの華麗な落下。

とりあえずごまかしきれないまま本線に戻していくも、ちょっと空気が微妙な状態になったそのとき・・
井上ヴォルフ、ステッキいじりしながら華麗に落としまして

客席から拍手が起こるほどのそれはそれは非のつけようのないフォローでした。

で、2幕で「姉さんへのお祝い金」をヴォルフの頭上で投げゲームしてるときに、またもや座長が拾い損ねて
ヴォルフが「また落としたっ!」って突っ込んでたのが、そこまでやるか井上君、って感じでしたが。

休憩挟んで1幕の失敗を2幕で笑いで突っ込みなおしたのはミーマイの玲奈ちゃん相手にもやってましたな。
ありがたかったんですが同時に、火が出るほど恥ずかしかったと、後日玲奈ちゃんが言ってましたが。

話は戻ってステッキ落としをヴォルフがやってくれたもんですから、それから後は会場の盛り上がりが完全にロック解除状態(笑)。まさに、タイトル通りの話だったのであります。

●姉さん的な楽日

マチネは鏡を蹴りに行ってましたが(笑)、マチソワで改めて見ると、やっぱり井上ヴォルフとのじゃれあいは年季が入ってて熟練されてるなぁと。
ピアノを弾くふりまねるあたりはいつものことですし、鏡もないのに左右対称にポーズ取るあたりはいつものことではありますが。

そういえば、コロレド大司教に面と向かって刃向かったのはヴォルフガングだけですが、コロレド大司教の代理という意味合いで言えばアルコ伯爵に面と向かって刃向かったのはナンネールもなんですよね。はねっかえり的なところはやっぱり姉弟だなと。それでいて父レオポルトはコロレド大司教には面従腹背みたいなことが限界だったわけですね。

ナンネールはこの日マチネ、ソワレともに絶好調。ソワレで一箇所地声があった以外はほとんどパーフェクト。
この劇場、東宝さんの技術指導が入っているらしいのですが、1階席と2階席の音響の違いはまぁなんというか値段相応と申しますか正直ですなぁと思うのでございますが、1階席で聞いたソワレは絶品そのものでした。

そういえばナンネールといえば以前も書いたことがあるのですが、春に単館上映されるナンネール(ナンネル)をテーマにした映画「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」(渋谷/ル・シネマ)の前売りを先日買ってきました。前売特典としてA5クリアファイルがついてきます。

●アマデの嫉妬
これだけこの作品を見ていると、その日の気持ちの動きによってスルーしたりする場面はどうしてもあるわけなのですが、なぜだかいままで気にしていなかったところが浮かび上がってきたりして、なんだかとても新鮮。
その中でこの日印象的だったシーン。

ヴォルフがアマデと作曲しているとコンスタンツェが乱入してきて、「家に入れて」というコンスタンツェの願いをヴォルフガングが聞き入れる、「愛していればわかりあえる」のシーン。
かまってもらえないアマデが怒り心頭で何をするかと思いきや・・・セシリアとトーアヴァルトに2人の居場所を教えているんですね。アマデが2人に「こちらですどーぞ」をやってるというのをきちんと認識していなかったので、ちょっと鳥肌、というかちょっと悪寒。

そういえばアマデといえば、どこのシーンか忘れたのですがソワレの松田アマデ、楽譜をぎゅーっと抱きしめてたところがあって、なんだかとってもじーんときました。

●M!M!にいない人
2幕のラスト直前の「MOZART! MOZART!」。ここ、MOZART!カンパニーほぼ総出演なわけですが、ここにいないのがナンネールとコンスタンツェとレオポルトの3人だけ。
ヴォルフガングを音楽家として求めた人たちと、人間として求めた人たちの違いかなと思うと、なんだか考えさせられるところがあって。「神が使わした子供」として奉っているようで、実は利用しているだけだったりするその冷たさ。
「魔笛」を一緒に作ったシカネーダーでさえ、ヴォルフガングは仲間ではあったとしても音楽家として利用する対象だったりするように思うと、なんだか切ないなぁとも思ってしまう。

●時が止まるとき、時が動くとき
2幕後半、混乱するヴォルフガングに止めを刺す、ナンネールの「パパが亡くなったわ」。

正の感情一切なし、負の感情100%のナンネールの表情は、前期までにも増してすさまじい破壊力ですが、楽日に見ていて、ふと思ったのは、「レオポルトの死とともに、ナンネールの”時”は止まってしまった」のではないかなと。

家族が再び一緒になれる日を夢見て、意に反する結婚を余儀なくされながらも、心は家族のもとにあったナンネールにとって、「レオポルトの死」は、呆然自失そのものだったでしょうし、だからこそのヴォルフガングへの容赦のない責めだったのだろうと。

そこでふと思い出すのはナンネールがアマデ(才能)の箱を開けたときのその表情。

ナンネールの中で止まっていた”時”が、あの「才能」の箱から溢れ出た物を見たことで、再び動き出したのかなと思った。
今期初期はナンネールが絶望を感じて終わっていたように思えた物語だったけれども、ずっと見続けてそれはおかしいよなと思い続けたことが、ようやく楽で腑に落ちて。

すっきりとした形で見終えられたことが、雪の金沢まで出かけてきたことの、最大の収穫でもありました。
やっぱりナンネールは「MOZART!」の作品の中で唯一、モーツァルトの死後を体現する存在であって欲しいから。




この日は大楽ということで、井上君進行で特別カーテンコール。
400回カーテンコール同様、挨拶は山口氏と市村氏という、ある意味、安心のブランドです(理由説明は大人の事情により省略)。
そういえばこの日はカテコ登場時、お辞儀した後、阿知波さん・松澤さんあたりにガッツポーズしておりましたな、お姉さま。

●山口祐一郎さん(コロレド大司教役)
本日は、北陸放送様、北國新聞社様、財団法人石川県芸術文化協会様(←固有名詞がパーフェクトでした。さすがは社長さま)のおかげをもちまして、皆様とこの「モーツァルト!」の作品でご一緒することができましたことを、心から御礼申し上げる次第でございます。

本日の北國新聞様の一面、「強風注意報、大雪警報・・・・・・(笑)(←なんかたくさん覚えていた社長さま)」となっておりまして、みなさまご存知のとおり外は雪でございまして、われわれキャスト一同、帰りの飛行機、列車とも運休でございまして、どう帰ろうか困っております(会場内爆笑)。

・・・つか自分もどう帰ろうか決めてない・・・火曜から仕事だし。

(1/31追記)
JR全面運休ということで、東京方面昼行最終バスの金沢エクスプレス6号(金沢13:30発、池袋20:42着)の予約を急遽入れて(最後の1席でした。午前8時のことです)、バスで東京に帰ってきました。
まさか行きも帰りもバスになるとは思いませんでしたが、飛行機(小松空港)も半分の便が欠航ということで、そうとうな幸運に恵まれたようです。金沢もう1泊の方もいらっしゃるようですから・・・。

●市村正親さん(レオポルト役)
金沢という街は以前何度か公演にお邪魔させていただいたことがございますが、~(中略※)~何といいましてもミュージカルは生のオーケストラの存在があってこそでございます。東宝ミュージカルは生のオーケストラで興行させていただいております。
祐一郎はいなくとも、私は東宝ミュージカルにおりますので(←祐一郎氏から蹴りが入るという珍しい一幕も)ぜひまた皆様とお会いしたいと思います。
明日帰れずに金沢でうろうろしておりましたら、「おぉ、帰れなかったのか!」と声をかけてください。「そっちもな!」と返しますから(爆笑)。

※えーと、市村さんの名誉と大人の事情により、いささか表現を軟らかくさせていただいております(爆)。
父上の暴走に突っ込み&頭を抱えている娘&息子を見てたら大爆笑ものでした。

●井上芳雄さん(ヴォルフガング役)
こうなってしまうとどう締めればいいのか困ってしまうわけですが(会場内笑)、明日帰れなかったら、明日こちらで「MOZART!」追加公演とか(客席から拍手、舞台上でみんな大慌て※)・・・・・・いや冗談です(笑)。

この作品で皆様とまた再びお会いできることを願っております。本日はありがとうございました!

恒例のヴォルフ&アマデラストカテコは、亜美ちゃんの「ありがとうございました~」で幕。
「さぁ、元気に東京に帰るぞ-!」という井上君のかけ声で終了でした(客席みんな笑顔)。

※由美子さんは速効で否定してましたが、まぁ要するに今日から稽古ってことですかね?→こちら

大雪という大ハプニングで終えることになった「MOZART!」2010年・2011年シリーズですが、金沢という「MOZART!」の作品では初の地方都市公演で、これほどまでに熱気をもって終われたことを見届けられたことは何よりの幸せでした。
カンパニーの皆さん、遠征組みの皆さん、地元組の皆さん、本当にお疲れ様でした。

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コメント

大雪の中遠征お疲れ様でした。
天候といい、公演といいハプニングだらけみたいですけど、レポを拝見してこちらもその空間にいたかのような錯覚を覚えて楽しめましたhappy02
特にカテコの様子、面白すぎてたまりません。
どうか無事に帰宅できるようにお祈りします(キャストの方々も。。。)coldsweats01

投稿: ぜんきょう | 2011/01/31 16:54

ぜんきょうさん>
コメントありがとうございます。

知力体力時の運、というどこかのクイズかというような熾烈な遠征でした。もうこんな遠征はないだろうなぁ・・・

金沢が大楽ということで盛り下がったらどうしようと心配をしていたのですが、遠征組と地元組のコンビネーションで素晴らしかったです。
カテコはこの後追記します。

キャストの皆さん、飛行機組は帰れたようですが、陸路組はJR全面不通ということで、貸切バスを主催者が手配するという話が出ていました(実際にどうなったかは確認の術もありませんが)。

投稿: ひろき | 2011/01/31 21:58

東京経由でやっと家に着きました。由美子姫がまた大雪をよんだ気がします。
キャストのみなさんは、連泊して次の朝バスで帰ったようです。井上君は両親と温泉に香寿さんも金沢から温泉に行ったようです。山口さんはタクシーでかえったようです。これは祐さんファンの方と知り合いになり得た情報です。
だけど由美子さん絶好調でしたね。次回のモーツァルトもあるようですし(祐さんファンの人の情報)ナンネールは由美子さんしかないと確信しました。

投稿: てるてる | 2011/02/01 10:13

てるてるさん>
金沢ではお世話になりました。

とんでもない雪の中、それでも行って良かったと思える前楽・楽だったことが何より良かったです。

帝劇の頃の心配がどこかに吹っ飛んだかのような由美子さんの歌声。難役ですしまた多く演じたからこその苦心もあったと思いますが、今回の役柄上の変更の苦労が、また次の機会にもつながることになれば、それはとても嬉しいです。

投稿: ひろき | 2011/02/02 00:08

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