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『MOZART!』(22)

2010.11.6(Sat.) 17:45~20:35
帝国劇場2階J列センターブロック
アマデ役:松田亜美(3人中唯一の女の子)

2002年の初演以来2005年、2007年と再演され続け、「2010年・2011年版」(井上君命名)の4演目初日。
初演から数えると、333回目の公演になります。
自分の観劇記録見たら、33回目の観劇でした。もちろん観劇生活で一番多い回数見ている作品です。

演出的には、第3演(2007年)と大きく変わったところはなく、おおむね従来通りです。

今月1日に発売された「月刊ミュージカル」11月号に由美子さんのインタビューが掲載されており、「かなり役作りが変わる」とご本人がナンネール役について言及されていたこともあり、そのコメントをかなり意識しての観劇です。

そういえば、リトルナンネールは今回も登場せず(苦笑)、最初から最後まで今まで通り、高橋由美子さんがナンネールを務めます。奇跡の少女をまさか3回目の年女までやることになるとは・・・・

で、ナンネールについては「初日が出てない」感じと、この日を見た限りでは思わざるを得ないかなと。
いつも伸びるように歌う歌が、妙に区切るもんだから流れがあまり良くないし、役作りを変えた分、気持ちが追いついていっていない印象。ずいぶん慎重に歌っていたから、調子が良くない自覚はあるんだろうなと。
それゆえにか、特に1幕はシーンごとの印象がずいぶんばらばら。

やっぱり歌い手としても年齢的に厳しくなりだしているのか、前なら余裕でこなしてたところを結構苦戦しながらこなしているので、結果として完成度が今ひとつ。彼女の力量はこんなもんじゃないはずなので、長丁場ではありますが盛り返していって欲しいと切に願います。

今回のナンネール役の演じ方の変化と言うことで言えば、彼女の言葉で言えば「より父親に近く」なっていると。
それに関して大きく変わったのは2箇所。
一つは一幕「星から降る金」。

2007年までの、ヴォルフを励ます感じではなく、ヴォルフに対して、「父親を説得して行く」ように促してる感じ。

星金1番が終わったときに、家族3人のうちいち早く男爵夫人の言いたいことに気づき、男爵夫人と目を見合わせ、「あなたには言いたいことが分かったようね」と目で会話するのは好きだなぁ。
由美子さんと涼風さんは感じが似ているせいか、「影を逃れて」で2人が下手側を向いている時に、母娘に見えるのが摩訶不思議(笑)。

ナンネの呼びかけにヴォルフが力強く頷いてくれるのは嬉しい。

前回までなら「いつまでも弟扱いして」とヴォルフが拗ねるほど構っていたのに比べると、ずいぶん弟離れしたというのか、女性として自立した故にヴォルフに対する感情はより複雑になっているという感じかもしれません。

実際、演出の小池先生も「裏の気持ちを強調して演じてもらっている」と言われていますし、「プリンスは出ていった」で人形を呪いまくるだけの前回までより、より多くの場面でヴォルフに対してきつく当たっている感じ。

「パパが亡くなったわ」のシーンは、より今回の方が納得できるかなと。
今まではヴォルフに対して愛情もあったパターンだったけど、父親は苦しめるわ、自分は結婚もまともにさせてもらえないわ(最愛の人とは結婚できずに、ベルヒトルトとの結婚を余儀なくされているうえ、結婚の準備金も結局飲み代に)、今から考えれば前回までのナンネールはほとんどマリア様みたいな物わかりの良さでしたからね。

表面的に母親不在の中、今までは母親的な役割を果たしていたナンネールから、その部分が抜け落ちたことによって、ヴォルフガングにとっての救いはよりコンスタンツェに絞られたような、そんな印象は持ちました。

もう一つの大きな変更は二幕最後、まさにラストのシーンです。
ヴォルフガングが息絶え、セシリアがお金を奪い取った後、亡骸の第一発見者はナンネールなわけですが。

ヴォルフの亡骸を見て180度Uターンするのはちょっとした衝撃。
ヴォルフに対して顔向けできないという意味なのかどうか、これは次見た時に改めてじっくり考えてみたいところ。

前回はここが呆然自失だったので、そっちの方がしっくりは来ていたのですが、多分今回の変更はナンネールとしての役作りの行き着く先としての必然という意味なはずで、で、まだ一幕から二幕にかけての「新たな」ナンネールとしての感情の縦線が、まだつながりきっていないようにも思えるので。

そのあとは箱見つけて開けて、というのは同じなんだけど、涙こらえて歌ってるのは今回も印象的。
ただ前回はヴォルフガングの死への引き金を引いてしまったことに対する自責の念、というものを感じたけれど、今回はヴォルフガングが勝手気ままに生きたことは前提で、むしろ「これでひとりぼっちになってしまった」感さえ感じて。

今回1回見た限りでは、ナンネールはヴォルフガング離れして「大人の女性」になったけれども、ヴォルフガングを失ったことで「子供」に戻ってしまったかのような、そんな印象を受けました。

あ、旦那のベルちゃんとのブリザードトーク、ちょっと感じが変わってました。一番印象的だったのは夫にやゆされたときの「あなた」が甲高い感じから、「そういうことじゃないのよ(分かってないわね)」って感じのところ。

しかしこの仮面夫婦ぶりみるとM!が帰ってきたと実感します(笑)。
2幕、芝居ではさすがに由美子さんの力量発揮といったところ。

閑話休題、他キャストの話も。

○ヴォルフガング/井上芳雄さん
すごく安定したのは良いし、吉野さんとかと遊び放題遊んでるそんな感じはいいなと(突き合ってたし抱き合ってた)。
プラタ-公園で180度開脚(@キャンディード稽古場)とY字足上げ(@カレンダー)を見せていたのは噴いた。
(拍手が上がるぐらいインパクトがありました)

最後、ヴォルフガングが自壊するところは、なんかあっきーに似てきた感じがした。
天才が破滅する瞬間って、案外似たところに落ち着くのかもしれません。

○コンスタンツェ/島袋寛子さん
2007年の経験を経て随分としっくりくるコンスに。芝居が安定してきました。
歌は悪くはないんだけど、あの甘えるような歌い方は曲によってはちょっと・・・
SPEED風ともちょっと違う、なんか妙に松田聖子風(爆)
hiroコンスで一番好きなのは「このままのあなた」だったりする。
その甘い歌い方が妙にはまる。
そういえば歴代コンス5人の中で、最多出演なのは、hiroコンスだったりするのはあまり知られていない話(今期終了時点で146回)。

○ヴァルトシュテッテン男爵夫人/涼風真世さん
全般的に歌が地ならしモードだったこの日にあって、涼風さんの完成度は正直出色。
もともとあまり得意なタイプの人ではないですが(ミーマイのマリア公爵夫人のみ例外)この日一番の拍手をもらっていたのに納得です。

○シカネーダー/吉野圭吾さん
いやはや、この人登場すると空気変わるんだもんなぁ(笑)
客席が暖まってないのがわかったせいか、わざと台詞を外人風にいじって笑い取ってたあたりが絶妙。
ヴォルフガングとのじゃれ合いが年期が入りすぎてこちらも絶妙すぎます。



カーテンコールは既に東宝youtubeチャンネルにupされていますこちら
が、ほとんどカットされていません。
挨拶は井上君と小池先生。

小池先生「比較的長くやっていただいている方がおおございますので」
 ・・・の言い方にちょびっと噴いたり。あぁ、古株ですねよくわかります(笑)

井上君「2002年から2007年まで、ずっと中川晃教君と一緒に作り上げてきて」
 ・・・前キャストを公言できる井上君はやっぱり別格なんだなぁ。

究極は
小池先生「クンツェ、リーヴァイさん来てなくて私一人でごめんなさい」

由美子さんの両隣が市村さん、阿知波さんで、由美子さんから手を組みに行ったり、市村さんに笑わせられてたり、阿知波さんと一緒になんか左右に揺れてたり(笑)、しまいには珍しくもお手振りがあったり。
とりあえず初日が終わったことにとっての安心なのかな、と。
最初にも書きましたが、初日で仕上がっていなかったのは久しぶりなので、心配もありますが、徐々にでもベストの状態に持っていってもらえることを願っています。
次回は13日(土)のマチネに観劇予定です。


○余談1
帝劇1階売店に「Complete Single Collection」、「花の紅天狗」、「ゴールデン☆ベスト」、「SHIROH」、「高橋由美子コンサート'92 夏だ! 由美子だ! 全員集合! 」、etc・・・という1コーナーが出来ていたことに噴き出しました。クリエでやってたのは分かるけど帝劇でやる日が来るとは思わなかった(笑)

○余談2
終演後限定でポスター(1,200円)販売。土日でなくなっちゃうだろうなぁ・・・

○余談3
終演後、協賛の読売新聞の号外が出てたのですが、帝劇玄関大混乱。
あまりに押し合いへし合いで、「本日初日」の看板が揺れて帝劇扉にぶつかるハプニングまで・・・
(けっこう大きな音がしてました。) 何やってるんだもぉ。

○余談4 2010/11/10追記
blog巡りしていたら、赤石路代先生がこの日観劇されていたことが分かってびっくり。
こちら
しかも井上君FC会員でろっくりばー会員だったとは・・・・
山口祐一郎さんのファンなのはコミックスの柱で書かれていたことがあるので覚えてはいたのですが。
観劇作品がかぶりまくっていて苦笑してしまいました。

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コメント

CDやDVDの販売をやってたんですね。
東宝芸能に所属したから?
由美子さんブログ更新なし
悔しいけどロッテ優勝なのに
初日の号外騒ぎ、怖かった。
あの渦の中にすっぽりとはまってしまったので、配りかたが下手。
由美子さんのどの調子どうかしら?

投稿: てるてる | 2010/11/08 00:36

てるてるさん、こんばんわ。

CDやDVDは終演時にはカバーがかけられていましたが、開演前・休憩時にはありました(入口から向かって右側のスペースで、正面の次に良い場所)。いつまで置いてもらえるかはわかりませんが、売上が直接自社の売上になるので、前向きなのでしょう。

うちの日記は飛び抜けて由美子さんに厳しいものだったみたいですが(苦笑)、おおむねblogとかでの感想は良い感じなので、次回はもっとニュートラルな気持ちで見たいと思っています。

号外は凄かったですね。やっぱり巻き込まれましたか。号外要らない人と要る人に列を分けておかないとまずかった気がします。早く帰りたい人もいるでしょうし。

投稿: ひろき | 2010/11/08 01:18

初日おめでとうございますheart02
個人的に大好きな作品なのに、初日を見逃す事となり、真っ先にココを訪問させてもらいましたeyeshine
再演というのも、何度あっても別の楽しみやドキドキを下さるのが由美子さんですねwink
由美子さんのブログも更新がありませんでしたし、ちょっと少し心配していました。でも、ロッテの優勝も背中を押してくれてるみたいですし、公演は長いですので楽しみにしたいと思いますhappy01

投稿: なんねる♪ | 2010/11/08 14:32

>なんねるさん

お久しぶりです。
今回は初日観劇ではなかったのですね!
今までのようにご自身で課題を作られているのとはまた違った形での新鮮さみたいですが、だんだん落ち着きを見せてきているようですので、由美子さんを信じてまた観に行きたいと思っています。

観に行かれたらぜひ感想を聞かせてください。

投稿: ひろき | 2010/11/09 01:11

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