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2010年7月

『DRAMATICA ROMANTICA』(2)

2010.7.27(Tue.) 18:00~21:00(休憩20分含む)
渋谷C.C.LEMONホール 2階25列50番台(上手側)

ドラロマ千秋楽。
シアタークリエ公演に続く、追加公演のこの回。
チケットを入手するチャンスは、意外にもかなりありました。

チケットの神様・新妻FCの先行予約に始まり、
e+でのプレオーダー、
一般発売も完売とはなったもののそこまでの瞬殺ではなく。

でも、実はそれだけの機会をすべて回避していました。

なぜか、それは開演時間が18時ということ・・・

開演が18時なのは、この日、公演の最後に井上君から理由が明かされたのですが、この「渋谷C.C.LEMONホール」(旧:渋谷公会堂)の門限が21時という理由。

職場は都区内ですが、この時間に腰が退けてしまい、”クリエ1回見るからそれで十分だろう”と思っていました。クリエを見るまでは。

クリエを見終わった後めちゃくちゃ後悔しました。
追加公演のチケット、なんで取っとかなかったんだろうって。
不可能な時間ならともかく、裏技駆使すれば見られる時間帯なのに。
(ちなみに裏技とは会社~タクシー~駅~JR~駅~タクシー~会場です。どっちも初乗りですけど。)

まぁ、諦めていたんですね。

そんな日曜日の昼下がり。
東宝ナビザーブから神様(別名は悪魔)のメールが・・・
キャンセル席発売中、との宣伝文句につられて「決済」ボタンを押してしまった男が1人(笑)

その足で帝劇にチケット引き取りに行くと、堂本くん&内くんの「SHOCK」開演直前。超アウェイでした。そういえば内君はもう「ガイズ&ドールズ」の稽古に入ったそうですね(本稽古は8月頭かららしい)。

やー、C.C.レモンホール2階席、男性ほとんどいませんでしたね。
あれ、2%いればいいほうでしょうか。
ここでもアウェイ(笑)。
1階席はけっこう男性いましたけど。

なんか案内が拙くて興ざめ。
何しろ、1幕M-1の真っ暗な時に、扉開けて案内するってどう考えたって変だし(怒)。
「ラマンチャの男」の始まるときに係員が客席案内してるの見て、何考えてんだと呆れました。

本来、ここの会場は扉の内側にカーテンがあって、そこを下げておけば、光は全部が入らないようになっていたのですが、見た感じ、一日限りということもあり、制作側と会場側の連絡体制があまり上手くいっていなかったようです。
(クリエはその辺り、帝劇以上にきっちりしているので安心できます。)

曲順はクリエの時と同じ。
若干、フォーメーションクリエに変わって、フォーメーションC.C.レモンがありましたが。客席降りが若干長かった。

1幕のトークパートはクリエと一緒でしたが、
2幕は前述の通り”けつかっちん”なので、トークコーナーゼロの歌いっぱなしでした。
(最後にダブルアンコールで、M-1の「Le Bien Qui Fait Mal」があり。「生きろ、ドラマチックに。生きるんだ、ロマンチックに。」でした)

トークの流れも基本は同じで、まずはM4とM5の間の「初トークパート」。

「こんにちは~」と始める王子(井上芳雄氏)。

ここはNHKホールじゃないんですが(あれは向かいです)、いつから歌のお兄さんに(笑)

王子は姫(新妻聖子嬢)に突っ込まれなかったことにほっとして、で、曲紹介を姫に振ります。

M1からM4までを澱みなく説明する姫。
王子が突っ込めなくて悔しがってるのが面白い(笑)。
そういや姫、昔TV局の面接受けていたんでしたっけ。

トークの話題といえば本来は井上君と新妻さん、ということになるのでしょうが、この日は意外な伏兵が。

井上君と彩吹真央さんのトーク。

井上君「女性になった彩吹さん」
彩吹さん「いやいや、前から女性です
井上君「女性に戻ってこられた彩吹さん、申し訳ないのですがこの曲は男性に戻ってください(笑)」

という小ネタ(爆)からスタートしたのですが。

M5-6「ラマンチャの男」(新妻さんソロ)が終わり、
ショーストップ状態でなかなか拍手が終わらず。

井上君「もうその辺でいいでしょう(笑)」
新妻さん「何するんですかっ!・・・」って感じで手を払いにいく

単に時間的な巻きの問題だったらしいんですが、
良い感じのいじめでした(笑)

井上君「自分以外への拍手って何か嫌なんですよ。
小さい男なんで(笑)」

・・・またやってる(爆)
これは”巻き”を客に悟らせないために笑いでごまかす彼のテクニックなんですけどね。彼のブラック度が進行上はとても大事なのです。

で、本題のとんでもトーク。

井上君「なんか『C.C.LEMON』ぽい衣装ですね
(彩吹さんは黄色い衣装)」
彩吹さん「いや、もっと本当は濃い(黄色)なんでしょうけど」

彩吹さん「そういえば、新妻さんと楽屋で話してたんですけど。」

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彩吹さん「『C.C.LEMON』ホールだから
『C.C.LEMON』のことを振らなきゃいけないのかな」
新妻さん「振ったら爆発しますよ!」(場内、大・爆・笑)
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井上君「基本あの人(とうとう「あの人」呼ばわり:笑)、
 人の話聞いてないですからね。
 (新妻さんは)自分が褒められていれば聞いてる
んですけどね。」

腹筋崩壊するかと思いましたよ。
これを話題に出す方も、話題を提供する方も凄いわ。

当然、彩吹さんは「『C.C.LEMON』のことを振る=『C.C.LEMON』の話をする」の意味だったわけですが、言葉通りに取った姫(笑)

ちなみに
井上君「ホールの2階の蛇口から『C.C.LEMON』が出てくるって噂があるんですけど」

彩吹さん「本当ですか?」
井上君「もし本当だったら、
知念ちゃんが『それは衛生上どうなのかな』とか言いそう(笑)」
彩吹さん「あるある(笑)」

・・・性格読んでますな。

ちなみに、CCレモンホールの入口前の自動販売機、ものの見事に「CCレモン」色(黄色)でした。

そんなジグザグコンビ5人が繰り広げるソングショー。
トークも面白いのですが、やっぱりこの5人の本筋は歌です。

1幕「ラマンチャの男」、2幕「Time To Say Good-bye」はクリエと変わらず素晴らしかったのですが、2回目に聞くということもあり、より他の曲も印象強く聞けるというか。
1幕「Cinema Italiano」(知念ちゃんソロ)と「Listen」(金さんソロ)は凄く良かった。
2幕の「The Rose」も2階席から見ると、はらはら落ちてくる花びらがとても綺麗で。
雪が空から舞い落ちてくる演出も、会場のサイズが大きくなったことも効果的に作用していて。ミラーボールの回転もめくるめく世界、って感じで素敵。

というか明らかに劇場のサイズ違うのに、使ってるセットは同じっぽい。
クリエと横幅同じところ探したんだろうなぁ。縦(客席の奥行き)が違うだけって感じですね。

そんなこんなで2幕最後。
2幕は歌だけで突っ走ったので、
トークコーナーがなんとカーテンコール。
けっこう斬新です。

一言コメントで印象的だったのは王子。

井上君「俺って結構男ぽかったんだな、って思いました。」
「女性大好きですが、女性に囲まれて、でも俺が頑張らなきゃって部分があって。」

そんなコメント中、笑ってる姫をめざとく見つけて。

井上君「なんですか人が話してるのに・・・
何か言いたいことがあるなら言いなさいよ!笑ってないで!

新妻さん「なんか女っぽいですね」
井上君「両方持ってるんです(ヤケクソ気味に)」



井上君「東京サイコー!」
新妻さん
「あれ、みんなで「渋谷」って練習してませんでしたっけ」

井上君「いや、渋谷には皆さん思い入れがないかなと。
日比谷にはあるんでしょうけど(会場内笑)」

・・・と、最後まで漫才合戦で幕を閉じたのでした(笑)。

「これからも、この企画、第2幕、第3幕と続いて行ければ」との井上君の挨拶で大団円。
”21時”と締め時間が決まっていたのは、言われてみるとかえって良かったのかもしれませんね。

会場の外にはグッズ販売の長蛇の列。下敷き?に心惹かれたけど、あれに並ぶ元気は残ってませんでした。

何はともあれ、シンガーの皆さまの素晴らしさに心からの拍手を。
井上君、心おきなく夏休みに戻ってください(笑)。
新妻さんは稽古頑張って(爆)。

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『DRAMATICA ROMANTICA』(1)

2010.7.20(Tue.) 19:00~22:00(休憩20分含む)
シアタークリエ 18列1桁番台(下手側)

実際には2時間40分近い上演時間のはずのソングショー。初日のあまりの盛り上がりに、カーテンコール連発まで加えて、ほぼ3時間のオーダーでした。


というか、曲目書くと完全にネタバレになっちゃう気がするんですが、
どうしましょう。


1幕(約1時間)は「DRAMATICA」ということで、日本で上演されたりされなかったりのミュージカル作品を中心に構成。

1回だけトークタイムがあったのですが、女性4人の中に1人たたずむ”自称”黒一点、井上芳雄さん。そして隣におわすは歌姫・新妻聖子さん。

ここ、井上君は新妻さんに対してボケるタイミングを図っていて、新妻さんは井上君に対して突っ込むタイミングを図っているという(笑)

ある意味、もう一つの『魅惑のスタンダードポップス』(井上&新妻コンビ)でした(←いろいろ間違っている・・・あっちは井上順さん)

「キャンディード」では疲労の極致だったらしく、トークショーで口数少なめだった新妻さんも、この日は5人のチームワークの良さもあって、トークもはじけるはじける。
井上君も久しぶりに突っ込みまくれる相手がいて実に楽しそうでした。

井上君「この曲(1幕のM5-1のこと)、大好きな作品なんですよ」
新妻さん「あれっ? 見たことあるんですか」
井上君「いや、見たことないけど(笑)。好き過ぎて見られないんです。」
「ロンドンでは何度も見てるけど、自分が出てないの見るのがねー。ちっちゃい人間なんですよ(爆)」

2幕(約1時間20分)は「ROMANTICA」で映画音楽などの音楽を使ったノンストップソングショー。トークは最後に1回あったきりですが、

井上君「皆さん本当にいい人ですよ。僕の誕生日も祝ってくれたし」
新妻さん「でも(みんながプレゼントで)あげた靴履いてないですね」
井上君「だってサンダルじゃん、べたべたって(たじたじ)それはいいんですけど」

それを生温かく見守る他3名
(2人をお互い知っててほっといてる知念ちゃんの立ち位置が笑える)。
※これ東宝チャンネル(youtube)でノーカットで見られます→こちら
※音出ます注意!

井上君「今回は女性の皆さまに囲まれて、僕は”黒(こく)一点”って感じで」

それに対して、この日が宝塚退団後初の舞台になる彩吹さん、

彩吹さん「私は”黒(こく)1.5”って感じですけど(会場笑)」

てな具合で。

井上君、「女性としてのスタートですね」とか言わないの(笑)

彩吹さん「井上さん、遅れて稽古に入ったのに、歌詞も振りもすぐ覚えるんですよね」
井上君「なぜか出来ちゃうんですよね」(笑)

・・・変わんないですねー王子。

トークシーンは全般的に漫才でしたね。
ま、井上君と新妻さんがいる時点でそれは予想の範囲内ですが。

全般的には、
新妻さんがリードボーカル、知念ちゃんがダンスキャプテン、
井上君は終始エスコート役に専念し、
彩吹さんがスタイリッシュモードへの切替役、
金さんがエネルギッシュモードへの切替役、
といったところでしょうか。

やっぱり歌となると、このメンバーの中でも新妻さんは頭抜けています。
それぞれのキャストにソロ曲がありますが、ソロの時のバックコーラスでもひときわ伸びのあるコーラスの声はまず間違いなく新妻さん。

小林さん、新妻さんのリミッター外しすぎですよぉ・・・・

この辺からネタバレスタートです



井上君「なんかさっきは2人(新妻さんと知念ちゃん)で余興やってましたけど」
新妻さん「余興じゃないですっ!」
井上君「あれ、あの作品の宴会でやったって話だけど?」
新妻さん「ち、が、い、ま、す、っ!(会場笑)」

そして新妻さんの抗議文(笑)→こちら


ではそろそろセットリスト(敬称略)

1部「DRAMATICA」

1.Le Bien Qui Fait Mal/ミュージカル「MOZART L'Opera Rock」(全員)
2.Bim Bam Boum/同(全員)
3.Elephant Love Medley/映画「ムーランルージュ」(井上&新妻)
4.EL Tango De Roxanne/同(井上&知念)
5.東宝ミュージカルメドレー
5-1.キッズ・ゲーム/「ブラッド・ブラザーズ」(全員)
5-2.ビッグ・スペンダー/「スイート・チャリティ」(彩吹)
 5-3.リトル・コゼット/「レ・ミゼラブル」(新妻&知念)
5-4.Moment Of Truth/「スーザンを探して」(彩吹&金)
5-5.Too Darn Hot/「キス・ミー・ケイト」(井上&金)
 5-6.ラ・マンチャの男/「ラ・マンチャの男」(新妻)
6.Cinema Italiano/映画「ナイン」(知念)
7.Listen/映画「ドリームガールズ」(金)
8.ガブリエラの歌/映画「歓びは歌にのせて」(井上)
9.No Me Diga/ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」(彩吹&金&新妻)
10.Kissing You/映画「ロミオとジュリエット」(知念)
11.The Show Must Go On/映画「ムーラン・ルージュ」(全員)

で、井上君が「余興」と言ってて新妻姫の不興を買った(笑)のはWリトコゼ(M5-3)のことです。ちなみに演出の小林さんは「洒落」と言ってました(パンフで)。
・・・どっちも扱い的に似たり寄ったりな気がするけどなぁ(爆)。

すごかったのはM5-6の新妻さんソロ「ラマンチャの男」です。

松さんと同役を張っただけのことはあるせいなのかは分かりませんが、とてつもなくはまってます(松本幸四郎さんは松さんのお父上なわけで)。
迫力といいテクニックといい、既に女性が歌っているって状況じゃないです。

正直、この1曲でチケ代半分以上の価値はあります。
さすがは女だてら(爆)にモーツァルト「影を逃れて」を歌っただけのことはあります。
でもなんだか歌い方に工藤静香さんの「くちびるから媚薬」を感じてしまったのは内緒。
だからどこまで伸ばすんですか貴方の歌声ーーーー
絶対あそこまで突き抜けるだろうなと予想してたら、やっぱりやるんですか姫。

2部「ROMANTICA」
1.Nella Fantasia(全員)
2.I'll Fly Away(女優陣4名)
3.A World To Believe In/セリーヌ・デュオン(全員)
4.The Prayer(井上&金)
5.A Question Of Honour/サラ・ブライトマン(新妻)
6.Angel/映画「シティ・オブ・エンジェル」(井上&彩吹)
7.Halo/ビヨンセ・ノウルズ(新妻&金&知念)
8.You Raise Me Up/シークレット・ガーデン(知念)
9.Canto Alla Vita/ジョシュ・グローバン(全員)
10.The Face/RyanDan(彩吹&金)
11.Time To Say Goodbye/アンドレア・ポチェッリ(井上&新妻)
12.The Rose/映画「The Rose」(彩吹)
13.Joyful Joyful/映画「天使にラブソングを2」(金)
14.Lullaby/ジョシュ・グローバン(全員)


2部も私的に持っていったのは井上&新妻ペアのM11ですね。
新妻さんコンサートのエンディングとして不動の位置を誇るこの曲ですが、音響のいいクリエで聞けるのも涙物なのに、そこに持ってきて伸びやかな歌声を持つ王子の声が全力でぶつかってくるわけですよ。
何ですかこれ。
これホントにただの歌ですか、ってぐらいの深い感動。新妻さんがデュエットでここまで全力出せる相手って藤岡君以来でしょうか。
井上君もいい意味で新妻さんに遠慮がなくなったからなぁ。「キャンディード」に感謝。

知念ちゃんが思ったよりずっと健闘していて正直見直したりして。
今まで彼女の出演回はことごとく回避してたからなぁ。
避けようもないシングルキャストの「ルドルフ」以外は、コゼもエポも回避で、キムさえたった1回だった記憶が。
食わず嫌いって良くないのかも。

知念ちゃんと新妻さんの相性もすごくいいなぁ。お互いがべたべたじゃなくて信頼しあってるのが良く分かる。


Encore.We are the World

アンコールがあまりに舞台上と客席が一体になりすぎて、なんかどこかのチャリティーショーのフィナーレかと思ってしまったのも内緒(笑)。

知らない曲もいっぱいあったけれども、でも5人の一体感、そして舞台と客席の一体感(特にアンコール曲の構成は流石)が感じられて、とても気持ちよくクリエを後にしたのでした。

もうちょっと漫才の時間あったら、もう少し気楽に聞けたかも(笑)

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『ピーターパン』(3)

2010.7.19(Mon.) 15:30~18:30
東京国際フォーラムホールC
1階2列10番台後半(下手側)

”タイムマシンがあったら見たい役”の常に上位にあった笹本玲奈ピーターパン。

私にとって彼女の舞台を見たのは「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ(2003年~)が初で、それ以降の作品(役)は全部見ています。
が、この役だけは当然生で見れるチャンスが無く、自分にとっては「幻」そのものでした(アルゴはどうなの、とかいう人もいそうだけど、公式にはこの作品が彼女のデビュー作)。

2002年の玲奈ピーターパンの千秋楽が彼女の149回目。
「149回という微妙な回数で終わって“何なんだ”と思ってた」そうです(笑)→記事
つまり、再登板の初日、この日が150回目のメモリアル公演ということになります。
まさか8年前から見通していたとは思えませんが・・・

作品自体は去年、今年ダブルキャストで共演する高畑充希ちゃんのピーターパンで見ているので今回が2回目。
玲奈嬢単体で見れば、よくもまぁここまで男になれるなぁ、というのが率直な感想。

実は先日とある事情で8年前の玲奈ピーターパンを10分ほど見られる機会がありまして。
それと比べると、前は「男の子」、今回は「男」といった感じ。
一人称では前が「僕」で今回が「俺」という印象。

女の子が男を演じると、「ボーイッシュ」って言葉が使われますが、それとも違うんですよね。”本能で生きてるピーターパン”って玲奈ピーターパンを喩えた共演者がいますが、その形容に納得。理屈とかを超越してますね。

いやーここまで満面の笑顔で飛び回ってるの見るの、ミーマイ以来2度目だと思うんですが、あのはっちゃけるような笑みが見られただけで来た甲斐はあるってもんです。

ウーマン・イン・ホワイト、レミ以来3作目になる”れなさや”ペアこと、玲奈ピーターパン&沙也加ウェンディの組合せですが、さすが萌えカップル。

ただでさえ玲奈ちゃんが”男”なので、普通に夫婦っぷりが堂に入っていまして。
ウェンディが役的にピーターパンに迫って、ピーターパンが役的にデレデレになってニヤつく様がいじらしすぎる。

この2人、演技的にどうとか以前に空気感がぴったり。多分年齢的に最後になるであろう今年の玲奈ピーターパンのお相手が沙也加ウェンディで本当に良かった。沙也加嬢は技量以上に相手役をかっこよく見せる達人的な腕を持っているし、単体でも素晴らしい玲奈ピーターパンをますます魅力的に見せてる。

ピーターパンが拗ねてるときに、中途半端にしか相手しない沙也加ウェンディの手捌きが絶妙すぎて。わかってやってる沙也加嬢が、というかウェンディの意地の悪さが絶妙(笑)

ラストシーンはピーターパンにしてみればウェンディへの意趣返しにも見えますが、あれは仕返しって奴ですね。

それとフック船長役の橋本じゅんさん。去年も拝見してますが、さらにエンジン全開中。
充希ピーターパンより、より鼻であしらう玲奈ピーターパンとの組み合わせが面白い。
つかウェンディの方がもっと鼻であしらってますけど(笑)
この日もさんざんに笑いをかっさらって行ってました。
じゅんさんがとある場所から這い出てくるシーンも毎回腹抱えて笑えます。





この辺からネタバレ始まる。


じゅんさんファンの知り合い曰く、「フック船長が、というか『じゅんさんが』、ウェンディに『お母さんになってくれ』というの自体が腹筋に悪い」(笑)だそうな。
ま、いろいろ納得。

玲奈ピーターパンは色々お行儀が悪くて、海賊との戦闘シーンで座りながら足のばして蹴り入れてたり、フック船長のお尻に剣さしてその香りを嗅いでたり(ちなみにクサイらしい・・・・笑爆)、そこまで遊ぶかって感じなんですが。やー本当に好き放題に遊んでます。

ピーターパンは”母親”という存在に心の傷を抱えていて、これもパンフに載ってたけど、特に玲奈ピーターパンは「ウェンディを母親として見ている」感じは強く感じて。

みんなに頼られる”強い”ピーターパンであればこそ、頼れる相手を探していたのかなと。去年充希ピーターパンを見たときはそこまでの依存度は感じなかった気がする。

ピーターパンを自立型として見せるか、依存型として見せるかという違いかなと思うのですが、見たところ玲奈ピーターパンはかなり思い切ってウェンディによりかかってる感じ。この日までに149回も演じて、作品を熟知しているからこそ”甘える勇気”を持てているような感じがしました。

シーン別で言えば玲奈ピーターパンはとても格好いいし、あのフライングのありえない曲芸師ぶりには脱帽物ではあるのですが、自分の弱さとか自分の脆さを気づいていて、それをウェンディにだけは見せられる。沙也加ウェンディも玲奈ピーターパンのそんな訴えをきちんと受け止められる包容力を持ってる。

沙也加ウェンディは去年見たときからきちんと包容力を持っていたけど、充希ピーターパンをひと夏支えてから玲奈ピーターパンを迎え入れているのが、とても良い方向に結果を出せている理由な気がする。

2幕中盤から一気に玲奈ピーターパンが「大人になんかなりたくない」とふさぎ込むシーンがありますが、このあたりの感情表現とかはさすがの技量なんですが、気づいたことが一つ。

玲奈嬢の役作りってある意味一貫していて、憑依型というよりは作り込み型。良くない言葉を使えば段取り型。別の言い方で言えば「演じてる自分をもう一人の自分がコントロールしてる」タイプだと思うのですが、ウェンディを拒絶してみんなとの別れを惜しむくだりは、良い意味で玲奈ちゃんぽくなかったというか、魂で引っ張っていかれる感じ。

実際、8年前に卒業した作品をもう一度演じることについて言ってた人もいたけど、今の玲奈嬢にとって、小手先でどうこう出来ないこの役をやるのはとても大きかったと思う。

本人がそもそもとてもイキイキしていたし、ことさら年齢話を表に出しておきながら、それが言い訳にもならないことを本人が一番よく知ってるという。

ウェンディじゃないけど「素直じゃないんだから」というのがまさにピーターパンそのものであり、今回の玲奈ピーターパンの意義そのものだったような気がします。

人間がただ一つ逆らえない物は「年齢」なのだから、そんな中で好きな役をやる自由があるのは素晴らしいことだし、正直、羨ましくも思えます。

見たかった玲奈ピーターパンを見られたのはとても嬉しかったけれど、好きな役を好きな時にやれるのって、本当に恵まれている人だよなぁ、と。
ある意味、今年の3作品(ガイズ&ドールズ、ピーターパン、プライド)、全部本人の希望が通っているとも言えるわけで。

嬉しさ反面、心の中にちょっとしたすっきりしない気持ちがあるのも、掛け値無しの正直な感想なのでした。

でも、また見るけど(笑)。

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『エネミイ』(3)

2010.7.18(Sun.) 13:00~15:40
新国立劇場小劇場 RB列20番台後半

エネミイ3回目、そして千穐楽。

3回見た中で、一番すーっと中に入ってきた感じ。
由美子さん演じる紗江は間違いなくこの日が一番光っていて。
千穐楽に調子を合わせてくるあたりはさすがです。

もうあまりに自由に動きすぎてどうしようかと思いましたけど(笑)。
役としての本分は外さずに自由に遊ぶ遊ぶ。

成本とお酒飲んでるときに、酔いまくって、鼻つまみながら酒かっくらっているところに笑いました。
そうそう、どうしようもなく酔って、でも、飲まずにいられない時にこれやる人いますね。
隣で見てると他人のふりしたくなりますが(爆)。
なんか先日、職場の歓送迎会で見たような気もするんですが。

それにしてもさすがリアル酒飲み。
もはや演技指導とかいう話じゃない(爆)

紗江「みずーーーーーっ」
礼司「自分でやって」(と冷たくあしらわれる。一生君ここ上手すぎだ)
紗江「けち」
礼司「けちでもいいから自分でやって」

(笑)

あの空気感がたまらなく姉弟。
なんか”キッチン”にいた礼司に、酔った紗江がボディーラングリッジしてましたが、とりあえず見た限り千穐楽限定の姉君のお遊びだった模様。

あと何度見ても面白いのが紗江のぶち切れシーン。
結婚相談所に登録して婚活に明け暮れる紗江。
そんな紗江に、

成本「そこのねーちゃんは三十路過ぎてるのは分かるけどな」

(笑)

・・・・毎回ここ楽しみで。
由美子さんのぶち切れ演技って大好きなんですが、
いわゆるコメディ風のぶち切れって凄く少ないんで貴重。

そして空気を読まない母親。

母「どうしたの紗江ちゃん、なんで怒ってるの」
「お前のせいだろ」

正しい、正しいです父上。
妻に呆れつつも紗江には頭が上がらない父上のスタンスが絶妙でした。

そんなギャグパート(そんな名前では無い。)はさておき、
マジパート(そんな名前でも無い。)の話。

7月3日のシアタートークで司会の中井美穂さんがいみじくも言っていた言葉、
「娘にとって、『父親と息子の対話』って羨ましいものなんですよ」

その時、なるほど、と思ったのですが。

前回も書いたのですが、私は父親世代とはあまり苦もなく話せるタイプなので、父親世代の我々世代に対する「どう話して良いか分からない」というスタンスはとても分かる”つもり”だったりします。

典型的な特徴が、

『父親とは、息子を褒められない生き物』

だということです。

今回の「エネミイ」でも礼司は引き籠もり状態とはいえ、父親の境遇や考えをかなり正確に見抜いています。派手さはないけれど、父親は息子に押されているようなシーンさえある。

でも、不思議なことに、偏見かもしれませんが、この世代の父親って、息子を褒めることは出来ないんですよ。

これ、自分がこの世代の父親の息子だから分かるんです。
他人の息子は褒められるんですよ、不思議ですよね(笑)
自分の娘は褒められるんです。これもまた不思議ですよね(笑)

で、母親は息子も娘も褒められるんです。これもまた不思議ですよね(笑)

父親にとっては、息子はいつまでも自分を超えられないと信じていたい存在なんです。
似ていればいるほど、自分を見ているように思えるのでしょうし。
「今時の若者は」と言いたい父親世代にとって、究極的に褒められない対象が息子なんだと思います。

自分自身、去年父親を亡くしたので、父親の本心はもはや永遠に聞けないのですが、少なくとも自分が記憶している限り、ある程度の年齢になってから父親に褒められた記憶はないんですね。

ただ、自分にしてみれば、それが父親としてのプライドだろうと思っていましたし、父親が望むもの全てを息子が受け継ぐ必要もないと割り切ってもいましたし。

そういう意味からすると父親と礼司との会話はとても身につまされる物がありました。
礼司がことさらに父親を追い詰めないところも、「優しさ」という言葉とはちょっと違うのですが、シンパシーを感じるところがありました。

それにしても、「世代間の対立」という形で括られた今回の作品のテーマではありましたけれど、3回見ての感想は

『言葉にしないと納得できない世代』

『言葉は持たないけど感覚でとらえる世代』

の対比という感じがしました。

だからこそ上の世代からは「言葉の危機」とか言われるんでしょうけど、上の世代の「やり残した思い」を勝手に「受け継ぐべきだ」とかいう”上から目線”の考え方には、どこか30代として微妙な反感は感じますけどね。

自分の世代の総括は自分の世代でやって欲しい。
どんな世代でも自分は自分と闘っているのだから。
それはちょっとした本音かなと。

芸術監督世代からの挑戦を、(内輪話(11稿まで行ったそうです)はともかく表面的には)飄々と返した作家さん。
そこをクールにぶった切った女性陣。

演出家が鈴木裕美さんだったのも今回の作風にはとても大きく感じましたが、
そんな中、自由に遊びまくった母上・梅沢さんと娘君・由美子さんのフリーダムさが実に心地よかった作品でありました。

この日のカーテンコール、4回ありましたが3回目では珍しく由美子さんの満面の笑顔が。粕谷さん、長英さんとじゃれていたりしましたが、究極が4回目。
由美子さん、捌ける時に長英さんに甘えて背中から抱きつきそうになってました。

めずらしーーーーー

ものを見ました。

何にせよ、終わり良ければ全て良し、でございます。

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『また逢おうと竜馬は言った』

2010.7.17(Sat.) 18:00~20:10
サンシャイン劇場 1階21列20番台後半(上手側)
*ハーフプライスチケット

この日は『ガイズ&ドールズ』名古屋・中日劇場公演の一般発売日ということもあり、土曜出勤を外していたのですが、予想通りというか先行で全部取り終わってしまい(正確には1枚余分に取ってしまい)、ぽっかりと1日空いてしまいました。

翌日からは3日連続3作品観劇を予定(18日新国立「エネミイ」千秋楽、19日東京国際F「ピーターパン」初日&笹本ピーターパン150回記念、20日クリエ「DRAMATICA」)しているので、この日にあえてぶつけてまで、「4日連続4作品観劇」の個人的新記録を樹立する必要は別になかったのですが。

この作品、キャラメルボックスの代表作の一つと言われますが自分自身は今回が初見にあたりまして、最初はそこまで積極的に見るつもりではなかったのですが、「もし見るなら『空組』」と最初から決めていました。

ところが、空組はことごとくマチネに偏っていて、平日含めてソワレを選択しようとすると7月中が無理と言うことが判明。ならばと無理してこの日にセッティングすることにしたのでした。

今回のこの作品、主役の岡本と相手役の竜馬がダブルキャストで、海組が畑中さん&大内さん、空組が左東さん&岡田さん。でなんで空組を選択するかというと、男だてらにおっかーが好きな役者さんということに理由は集約されるのですが。

私的には「ミュージカルに出ない黒王子」が岡田達也さんなのですが、まぁ良い意味でちゃらんぽらんなところが役者としてはすごーく魅力的と言いますか(一応褒めているつもり)

海組を見ていないので比較しての語り方はできないのですが、見たところ竜馬経験もあり、おっかーの竜馬の立ち位置はある程度想像ができて安心できたので空組を選択した次第。

で、ここからネタバレ発動です。
ご注意くださいませ。




ストーリーは”ダメ男”で竜馬に頼っているばかりの岡本が自立していく物語なのですが、見た感想は何しろ「暑い」芝居ってことです。

普通、漢字で書くなら「熱い」芝居って書くはずなのですが、印象からしてこの芝居は「暑い」芝居なのです。

ただでさえ存在が濃いタイプの左東さんに、「キャラメルボックス史上一番汗をかく役」と言われる岡本を演じさせたらどうなるか、暑苦しくなるに決まってるじゃないですか(一応褒めているつもり)

※左東さんいわく
「あなたの近くのナイアガラ、さとーひろゆき」だそうでございまする。


終わったときに冷房が効いているはずのサンシャイン劇場の客席で、至る所で扇子扇ぐ人が出る始末(含む私・・・笑)。

今回、ちょっと気になったのは客演・楠見薫さんの立ち位置です。
キャラメルボックスの客演は「雨と夢のあとに」以来2度目の楠見さんですが、今回の作品の役どころには違和感があって。

「雨夢」の時のマリアは存在感から演技から、キャラメルの女優さんには出せない味を出していたけど、今回は脚本ゆえにか、どうにも岡田さつきさんか坂口理恵さんがやる役なんじゃないか、という思いを捨てられず。

岡本、そして同僚の本郷の上司にあたる小久保役ですが、キャラクター的には「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」の奥尻さん(岡田さつきさん)か、「南十字星駅で」のウェイターさん(坂口理恵さん)とかぶったというか。

そのお2人とも、来月の明治座公演で出張中なので今回のサマーツアーには出ようがないのですが、持ち味と違うという点で、楠見さん、なんかやりにくそうに見えた。

今回の芝居を見に行く積極的な理由に乏しかったのは、女優さんに惹かれなかったからというのが正直な本音で、岡内さんが正直苦手で、安理ちゃんも最近どうも微妙で・・・って感じだったのですが、そんな中で一人気を吐いた温井摩耶さん。自分にとってのキャラメルボックス女優陣のキャスト選択基準は岡田さつきさん、前田綾さんが2強なのですが、温井さんの安定感は流石の一言で、次あたりに入ってきても良い感じ。

今回、温井さんは女性キャスト中唯一、江戸時代と現世の役を両方やってますが、「実は気が強いのにそれを良い意味で表に出さない」役柄はかなり素敵です。

でも温井さんがヒロイン格やった「全ての風景の中に~」は相手役がおっかーだったのに萌えなかったんだよなぁ。その辺がちょいと不思議。

安理ちゃんも「嵐になるまで~」は抜群だったけど「エンジェルイヤーズストーリー」はちょいと可愛げなさ過ぎたし、今回の作品もキャラの位置付け的にはちょっと微妙かな。好感度という観点からすると相当ぎりぎりなポジションの役ですが、立ち位置に技量が追いついていないような感じがして。

ストーリーの話をちょっとしますと、「巻き起こる事件」が荒唐無稽すぎて、あっけにとられた感があって。

あべじょー演じる棟方の会社の新入社員・石倉(渡邊安里さん)がツアーに参加して日本に持ち込んだもの、それがボストン美術館で盗まれた絵のうちの3枚だった、その絵はお土産のワインの包み紙として偽装され国内に持ち込まれ、でも石倉はその絵をなくしてしまった・・・・

物語が進むにつれてその3枚の絵はひょんなところから見つかるのですが、あの大きさからして土産のワインの包み紙にして変なシワがはいっていないのは変。
郵便ポストに隠したって言ってたけどあの大きさで郵便ポストに折れ無しで入るのもありえない。

・・・と本線とは全く関係ないところが気になって気になって。

岡内さん演じるケイコはイラストレーターで浮世絵にも造詣が深く、絵の価値も正確に把握できた、ってあたりも「へぇー」という感じでちょっと偶然に過ぎるかなぁと。

この作品、印象的には「嵐になるまで待って」と似た感じで、展開のジェットコースター感といい、「正義と悪」的な対決要素を持っていたりしてる点に印象の類似を感じるのですが、「嵐の~」がそれぞれのピースをきちんとはめ込んでいた感じなのに比べると、「~竜馬は~」は個別のエピソードを無理に繋げたような感じがして、どうも芝居の流れに乗るのが難しかったです。

結構笑ったしそれぞれのシーンで唸らされるところもなくはないのですが、今の自分にはちょっと合わなかったかな、というのが総体的な感想です。

そういえば、トーク&フォトブックで3人の竜馬対談(初演の川原正嗣さんと、今回のお2人)にタイトルに関する突っ込みが載っていますが、「また逢おうと竜馬『に』言った」が実質的には正しいのかなと。

竜馬に頼っているばかりの岡本が自立できたとき、それこそ「『岡本が』また逢おうと竜馬『に』言った」ということなわけで。
「また逢おう」という言葉を「別れの言葉」として捉えるのであれば、岡本がその言葉を言えたことこそ、岡本にとっての成長であり、新たなスタートだったのかもしれません。

追記7/19
この日のカーテンコール一言挨拶は、岡田達也黒王子。

「最後に一言。『来週の平日に”また逢おう”』

・・・なんつー凄い締めされるんですかあなたは。

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『エネミイ』(2)

2010.7.11(Sun.) 13:00~16:35
新国立劇場小劇場 バルコニー席(RB列)30番台

エネミイ2回目。

安席(Z席)なのでしょうがないとはいえ、今まで何百回と芝居を見てきた観劇経験の中でも、一、二を争う酷い席。

というか舞台と直角に座席を配置するってそもそもの設計思想としておかしいでしょ。
バルコニー席全員が背中を席に付けてくれればいいけど、そもそもそんなことはありえないわけで、前屈みになる人がいたら背中から舞台を覗くという困った話(笑)。

アンケート用紙捨ててきたけど、アンケート書きたくなるぐらいの気持ちでした。
ちなみに千秋楽も3つしか違わない席なので、早くも後悔中という(苦笑)。

そういえば昨日、「ガイズ&ドールズ」演出家の菅野こうめいさんがご覧になっていたそうです(@ご本人twitter)。
「早口の演出が多い」って言ってましたが、今回の由美子さん演じる紗江も相当な早口ですけど・・・・ま、アデレイドほどじゃないですけどねぇ・・・

はてさて、7月3日(土)終演後のシアタートークも見ていて、その時の話を書いていなかったので、その辺も織り交ぜながらの話を。

この作品の最初のシーン、高橋一生さん演じる長男と、高橋由美子さん演じる長女が部屋にいるところのシーン。
このシーン、シアタートークで高橋一家の父親・高橋長英さんが褒めてらっしゃいまして、とても嬉しかったですね。

いわく、「我々の世代は構えて、というか構えないと芝居ができないところがあるのに、一生君と由美子君、2人のあの自然な佇まい、自然な芝居が何で出来るのか不思議だし、とても素晴らしいと思う」と。

ちなみにそれについては劇場に貼ってある記事にあったのですが、この作品の作家・蓬莱竜太さんも同じようなことをおっしゃってまして。

「我々の世代は感覚的に舞台に立つんだけれども、上の世代の人は『なぜ自分がこれをやるのか』を納得しないと先に進んでくれない。曖昧なことに反発する人は予想以上に多い。だから曖昧なホンは提示できない」と。

あらゆる意味でなるほど、と思った感想でしたね。

この作品で投げかけられている「戦い」ということに対する世代間の隔たり、という点ですが、一つの対抗軸は「人生を3分の2過ぎた男」と「人生を2分の1過ぎた男」との対比というのが一点。もう一つは「男性」と「女性」。

自分は一生君世代で、年上の男性とやりとりすることも多いので、「父親世代と若者の間のコミュニケーションの不在」というのは肌で感じていたりします。
いわゆる「経験世代」と「知識世代」の違いといいますか。

「角材」のイントネーションが違ったのは、一生君が本読みで発音したのを、おじさま方3人が突っ込んだのを演出の鈴木裕美さんが吸い上げた話らしく、「三里塚ってどんな字書くの?」は蓬莱さんが言った実話らしい。

この作品を見てつくづく共感したことがありまして、それというのも、年上の男性とやりとりする時には、「見てきたようには語らない」ようにしている、という点。
父親世代の経験に対してリスペクトをしていないわけではないけれども、正直言って「面倒くさい」という空気を持っていないわけじゃない。

「何故戦わないのか」と問われるけれども、若者が戦っていないわけじゃないし、「なぜ我々のように戦わないのか」と問われても、それこそ同世代の高橋長英さん演じる男性が語る「我々は何も手にしていない」という現実を、実は若者は理屈ではなく感覚で捉えているような気が、一生君の存在感から伝わってくるような気がするのです。

確かに今の30代は「戦い方を知らない世代」なのだけれども、「やり過ごすことには長けた世代」という実感はあって、『それだけではいけない』という問題提起をされているような気がしたのでした。

今回、60代の物語を30代の蓬莱さんに書かせる、という点で蓬莱さん的には「いじめ」としか思わなかったらしいですが、それをオファーした鵜山さんの発言を聞いていると、何かちょっと思うことがありまして。

「団塊の世代」が会社勤めを終えて、自らの総括をしきれていない今、「自分たちで出来ない総括」を若者世代である蓬莱さんに委ねるしかなかったのではないかな、と思えます。
蓬莱さんをさんざ痛めつけているように見えて、実は蓬莱さんに助けや救いを求めたんじゃないかな、とふと思えます。

その、世代間の格差のど真ん中世代である演出家の鈴木裕美さん。

見ている限り、その「思いの違い」をある程度理解した上で、「大らかさ」という作品的な救いを、母親役の梅沢昌代さんと、娘役の高橋由美子さんに振り分けたような気がするのです。

何となく「しょーがないわねー男の人はこれだから-」という裕美さん的な「がばっ」というような包容力を、そのパワーでうやむやにする母上と、弁舌でうやむやにする娘に配分して。

今日見てて、面白かった紗江さん@由美子さんのシーンがありまして。

2幕後半、煙草を吸いに行く弟と、客人2人。
「あれ、お前は吸わないのか」と言う瀬川に対して、「いや、禁煙に成功したから。」と胸を張って答える幸一郎(父)に・・・・

「そんなことに威張ってどうしようってのよー」
のジェスチャーに大爆笑。

男はいつだって見栄を張りたい生き物なんだな、ということが心底実感できたのでした。
ま、その通りなんですけどね(笑)。

ちょっと由美子さん的にはお疲れ気味というか、初日の全力疾走ぶりからするとちと調子落とし気味な感じ。
休演日を一日はさみ、ラスト一週間、後悔がなく終われますように。

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『エネミイ』(1)

2010.7.1(Thu.) 19:00~21:35

新国立劇場小劇場
3列目上手側

梅沢昌代さん演じる母親にして、
高橋由美子さん演じる娘あり。

高橋長英さん演じる父親にして、
高橋一生さん演じる息子あり。

そして姉が弟をあごでいじるあたりが堂に入ってて(笑)

妙に血のつながりを感じる、名前からしてほとんど高橋家(笑)。

全国第3位の名字(日本人の100人に1人は高橋姓です)とはいえここまで高橋を揃えますか。

男性陣が大御所揃いにあって、女性2人のいい意味でのKY系(母)といい意味での和み系(娘)。
意外や意外、テーマにしては笑い声も起きる、摩訶不思議な公演でした。

「人はなぜ戦うのか」をテーマにした新国立劇場今シーズンの最終作。
元全共闘系と思われる父の昔の知人、その招かれざる客を迎えた一家に起こる、何だか変な空気。
「戦わない世代」の代表として位置づけられるのが高橋一生君演じる若者。というか彼を炊きつけていつ怒りだすのか待ってる感じさえするんですが。

作家の蓬莱さんとも一生君とも自分は同世代なので、年長世代からどう見られているかという感覚は普段の生活ともシンクロする部分もあり、なかなか興味深いものがあります。

自分の意見はないと思いたくないけれど、言葉にするほどのものを持っているとは思えない。
だからこそ苦し紛れに出てくる「大丈夫です」という言葉は確かに「戦ってきた」世代からはもどかしく、物足りなく見えるのだと思います。

傷つきたくなくて、自分の枠の外には本心を見せない、世代間の気持ちの乖離のようなものは感じるものがありました。

男は自分の経験や過去から自由に生きられないのかな、とも思えます。
(なんか「モーツァルト」の「自分の影から自由になりたい」みたいだ)

「ただ酒を飲みたかった」と語った林隆三さん演じた男性の言葉は、これから年を取っていく自分にとっても、なんだか人ごととは思えないところがありました。

父親と息子、その間の対話という話は心にひっかかりもあるので、次見たときにでも書こうと思います。

それにしても・・・
それに比べてこの作品の女性2人ときたら本当に自由で羨ましい(笑)

フラメンコに興じる母親に、婚活にいそしむ姉(笑)

高橋由美子さん、2作連続(前作と次作が「ガイズ&ドールズ」ミス・アデレイド役)で「結婚したい症候群」ですが、そんな役ばかり来るのはやっぱり適齢期をちょっと過ぎたってことですか・・・

由美子さんがここのところ結婚した役やると、お手洗いで首吊ったり、DV夫に追っかけられてトラックにひかれて絶命したりとか、ろくなことない(苦笑)かわりに、「結婚したい症候群」やると何なんでしょうかね、このイキイキさ。

ご本人の結婚願望がないから安心して見られるんでしょうけど、わざわざ「私のいい人連れてこい」とか言ってたのはやっぱりこの役どころのなせる技なのでしょう。

招かれざる客の一人、瑳川哲朗さんとの凸凹コンビがハイテンションで実に面白いです。

さすがは鈴木裕美さん、高橋由美子という女優をどう活かせばいいか熟知していらっしゃる。
爆発系は梅沢昌代さんに振って、芝居のテンポを由美子さんが受け持つからテーマの割に進行がポップ。
やっぱりコメディエンヌの由美子さんが一番安心。
がぶり寄り系なのにやり過ぎ感もないし、同じ演出家さんとあって予想通り「淫乱斎英泉」の役と印象がかぶる部分あり。

由美子さんの2幕最初の白ベースの普段着がとってもスタイリッシュで素敵。下手側から見たい。
・・・と見たらあとの2回は上手側のグランドサークルか、残念。

特に1幕、飾ってさえいないシーンとかだと、20年の恋も醒めそうなシーンがあった気がするけど(笑)、あのべろんべろんに酔うシーンは地なようで案外にそうでもなさそう(飲んだ由美子さんを知る人はすべからく「いくら飲んでも顔に全然出ない」そうで)。

そんな娘も母には「かなわないわ」って脱帽してるあたりも面白いし興味深い。

母と娘という関係もあるのだろうけれど、「人を認める」=「負けではない」という女性の観念と、「勝ち負け」という概念からどうしても抜け出せない男性との対比を見せているように思えました。

でも、由美子さん演じる紗江は最初は弟に対して「負けてる」って何度もつついてるんですけどね。弟なりの「苦しみ」に対して、姉らしく見守ろうとしているような感じに変わっていった感じが姉に甘えたい属性がある自分なんぞはとてーも好き(勝手に一生君の立場になってみる)。

男が迷いながら悩みながら、もがいているのに比べると、多少もがいてた娘でさえ、あっけらかんしてた母にしろ、女性って強いのねぇ、というのが初見の感想。

あと2回、さてどんな面から見直せるか楽しみ。

カーテンコールは2回。粕谷さん(一生君演じた息子の友人役)に突っ込んでる由美子さんが笑顔で実に楽しそうだった。
そして、本編ではあれほど一家らしかった4人が、カーテンコールでなぜあんなによそよそしいかがとても謎(笑)。

●7/3追記
e+movieに、W高橋こと高橋姉弟のコメントが出ております→こちら

こんなにしゃべってる由美子さんを見たのは何年ぶりだろってぐらい、しかもラフにしゃべってます。
一生君と姉弟役やったのちゃんと覚えてたのが超意外です(←暴言)。

良い意味でこの作品のテンポが反映してるテンションの動画です。
「驚いたり笑ったり、驚いたり笑ったりの連続だと思います」って由美子さんの発言は「エネミイ」の作品をとても正しく表現してると思います。

楽しそうで何よりでございます。

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