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『ミス・ダンデライオン』(3)

2010.3.14(Sun.) 14:00~16:30
サンシャイン劇場 1階21列(最後尾)20番台前半
2作品券(ミス・ダンデライオン→南十字星駅で)

本来は初見のはずだった2010年スプリングツアー。
中野ZEROでダンデを見たので、この日が2回目。
2作品券で、「南十字星駅で」は初見となります。

いつものごとくネタバレ混じりますので、回避の方はよろしくお願いします。





時を跳ぶ「クロノス・ジョウンター」の完結作となる「南十字星駅で」(さざんくろすえきで)、今回はこの日だけの観劇ですが、うん、何というのか1回で納得かな。

クロノスシリーズは今まで全部見てきているので、完結作となれば求める物が高くなってしまうきらいはあるのだろうけど、それにしてもこの思い入れの湧かなさは何なんだろう。

今回の「野方耕一の軌跡」は実は原作は読んでいないので、今回のストーリーはそもそもが原作通りと言われる以上、舞台に対して言うのは多少の筋違いなのは分かっているのですが。

クロノスシリーズの大きな「味」は、時を跳ぶことへの罪悪感だと思うのですね。
だからこそ、過去に跳んだ分、過去にとどまろうとした分、その分のエネルギーが未来へとはじき飛ばすわけで、そこには本質的に「やってはいけないことをしたことに対する罰」という側面がどうしてもあるわけです。

今までの作品ではその「罪」に気づかせる部分を野方がやっていた以上、今回の「野方耕一の軌跡」ではその役目を化幻博物館館長が担っているわけですが、この辺の構成が多少中途半端。

あれだけ他人を止めていた野方が、自分が跳ぶときには、当時以上に罪悪感を感じて良いはず。
それが、親友を救いたいから老体にむち打って跳ぶんだから、それが全てを超越しているよね凄いよね、と言われてもちょっと。

キャラメルボックスの作品に限らない話ですが、作り手側が過度な思い入れを持つときは大概の場合はお客から見れば良い作品にならないというか。作り手の思い入れに自分を没頭させられればいいんだろうけど、何というか作り手の時点で完結していて、ただ与えられるだけの作品には感動は感じにくいかな。

お客さんが入って初めて作品として完成する、のが演劇の醍醐味だと思うし、そこに「完成品です」と見せられるのは映画やテレビと変わらないと思うんだけど。

ちょっと話を戻して。

この作品(南十字星駅で)で強く印象に残ったのは、「過去に跳ぶ罪悪感の薄さ」もそうですが、それ以上に「過去を変える罪悪感の薄さ」、これが決定的に自分にはダメでした。

タイムトラベル物の解説で、多分クロノス系の本で見た話だと思うのですが、”過去に跳ぶ”という行為は何通りしかなくて、基本線は「過去は変えられない」だと思うんです。もし過去を変えたとするのだとすれば、それは変えた後の過去自体がそもそもの過去だったという話。

今回のペア作品の「ミス・ダンデライオン」がまさにそれで、11歳の樹里は「ひー兄ちゃんは死んだ」と”思い込んだ”のは間違った過去で、過去へ未来へ跳んだ樹里が、未来で「ひー兄ちゃんが生きていた」と認識したのが正しい過去、というところに上手さがあったし、「あぁそうか」という感動があったと思うのです。

それに比すると、「南十字星駅で」は、野方が過去に跳んで、跳ぶならともかく、親友と、親友の恋人(かつ自分の思い人)と会話して、ことごとく未来を口走って(それが信じてもらえるのはある意味すごく絵空事だけど)、最終的には人2人の命を蘇らせてるわけです。

確かに野方耕一は優れた科学者かもしれないけど、時を変える権利を持っているわけじゃない。
だからこそ、それを前提とした上で、時を跳ぶ人に対する厳格さを持っていて、それがクロノスシリーズの味だったわけで、それが自分のためなら何でもしていいというんじゃ、開発者メリットなのかと、何だか微妙な気持ちになってしまうのです。

まぁそんな微妙な印象を持ったクロノスシリーズ完結作「南十字星駅で」だったわけですが、ストーリーテラーの役目の安理嬢がちと微妙。というかちょっと前は實川さんがよくやってて、黒川智花嬢のキャラにどうもかぶる「うろちょろ」ぶりがちょっとばかし、うるさい(←これでも安理嬢は好きな女優さん)。

今回舞台デビューの原田樹里(きり)さんが思った以上に良かった。野方の息子のお嫁さんですが、役に恵まれたせいもあってか、とても光っていて(緑色の服も高ポイント)。なんか一時間前に変なお嫁さんを見たから特にかもしれませんが(笑)(ダンデの武子嬢、前田綾さんが演じてます)

さてさて。

「南十字星駅で」が完結作なだけに、上演順が定まっている今回のハーフタイムシアター、前半はお気に入りの「ミス・ダンデライオン」。初演2回、再演2回目で今回4回目。もう1回行く予定だし、下手するとハーフのハーフを足すかも・・・

というぐらい、こっちがお気に入りすぎるのも、「南十字星駅で」には分が悪いかと。
感情の機微がちょうど1時間にすっぽり収まるというか、この「ミス・ダンデライオン」はハーフ向き。多分2時間にしたら間延びしてきつい。逆に「南十字星駅で」は2時間にすると、もっと野方の迷いとかが上手く加味させられたと思う。

岡田さつきさんが「最後の恋愛「W岡田」かもしれない」と言っている今回のダンデ。
いやーあの相性からしたらまだ出来そうな気もするんですが、というか「水平線の歩き方」で完璧な母と息子をやった上で、また恋愛を恋愛として見せられるW岡田て凄すぎる。

blog見てるとさつきさんは自称「ロクデナシ」だし、達也氏は自称・他称「ジャイアン」だし、はたまた達也氏は他称「色気」だし、さつきさんは自称「消臭剤」だし、なんかそれだけ見てると素敵になりそうもないのに(笑)、舞台の上でのシンクロが完璧すぎる。

稲野さん演じる若樹里の「嘘つき!」の叫びに不意に涙が浮かんで困った。
大きくなった樹里が、若い頃の自分とひー兄ちゃんの間を邪魔した相手がまさか自分だったとは。

で、これ先ほどの「南十字星駅で」との対比になるのですが、樹里の場合は「11歳の時にある意味、既に罰を受けている」のですね。
それを、樹里が再び横浜大学附属病院に来て気づくのです。「自分が乗り越えた壁は、未来の自分からの大きな投げかけだったんだ」と。

原作はこのあたりがきちんと描かれているのですが、自分が壁を乗り越えたからこそ今がある、今過去に来れたからこそひー兄ちゃんを救える、そして救えたからこそ、予想もしなかった未来が自分の前にはある。

そこのストーリー構成が抜群で、どのピースが欠けても成り立たないのに、それにも増してW岡田ですから、作品上素敵にならないわけがない。




カーテンコール。この日の担当は飛び道具・前田綾さん。

ひとしきりおきまりの挨拶をした後、今回サンシャイン劇場で開催中の写真展に触れて。サンシャイン劇場の階段は、いつもはキャラメルボックスキャラクター・みき丸中心に絵が描かれているのですが、今回はキャラメルボックス25周年を振り返る、ということで写真展が開催されています。
一番下が新しい公演、2階席上まで行くと最古公演となり、つまり下から上に行けば現在から過去へ、上から下に行けば過去から現在になります。ちなみに右側通行なので、下から上に行く、現在→過去が順路です。

で綾さんいわく。
里芋のような顔をした岡田達也が見れます。」

岡田さん「えぇぇっ!」

綾さん「武子マーク付けてありますのでぜひご覧下さい
(会場爆笑)」

岡田さん「えっ、いつ付けたの?!」(といつになく狼狽)

綾さん「さっき私が付けましたよ
~今日は本当にありがとうございました(と強引に締める)」

岡田さん「(えっえっ綾ちゃんそりゃないよ~とジェスチャーで。さつきさんにまで助けを求めるが、ももこさんは当たり前のごとく助けない(笑))」

「ミス・ダンデライオン」終演後の30分(事実上20分)休憩の間の階段。

武子マークを探す人多数(笑)。

ちなみに場所は1階席上の7番扉前の踊り場、「キャンドルは燃えているか」(1999年)で、見つけた人が口々に「里芋だ」と言っているのが面白すぎる(爆笑)。

ちなみに「No Life! No Takeko!」も面白かったです綾さん。

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