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『プライド』(2)

『プライド』原作本完結記念。

舞台化決定前は存在さえ知らなかった作品にこれほどまでに惹かれるとは、ちょっと予想外の展開です。

2月19日に完結巻の12巻が出ました。
最終回の評判がネット方面ではずいぶん微妙だったので、あえてすべての情報を排除して発売を待ちました。あまりに待ち遠しすぎて、国立国会図書館までコピーしに行こうと思ったぐらい(笑)

結果から言うと自分は納得はしました。
「満足」でないところがミソです。

ちなみに今回の12巻、帯の裏側が笹本さん&新妻さん写真付きの『舞台化決定』になっています。(笹本さんblogに載ってます)

えーとネタバレいつものごとく全開です。
よろしくお願いいたします。




途中の話の展開からして、史緒が主人公らしく成功して、萌がフェードアウトするのはだいたい予想の範囲内でした。

まぁちょっと安易なシチュエーションではあったけど、萌にとって『存在しないと思ってた』母親の愛情を受け取れたのはよかったなと。
見たくなかった全身の拒絶、が最後の対面になるはずだった神野氏にはお礼を言ってもらえたわけだし。
敵対し合っていた史緒とは本当の仲間になれたし。

ただ、史緒に向かい合った萌が『自分の罪に気づいた』ってのは史緒が美味しいところ持っていきすぎじゃないの?とちょっと違和感。

オペラ界で成功した勝ち組とはいえ、史緒は人間的には微妙なとこいっぱい描かれてるし・・・そりゃ「綺麗ごと言える余裕がない」とはいえ、萌も褒められたもんじゃないとこいっぱいあるけど。

でも史緒は、萌のことを-本人の前では言わずとも-「萌さんはいつも本当のことを言ってる」って言ってるし、萌の言葉はその時は悪意だけのものではなくて、ある意味で正鵠を得ていた部分もあったはず。

萌が史緒の前で「自分の罪」とまで言うほど、萌が圧倒的に悪いように描かれるのはちょっとイヤだなぁ。そんなところは「終わり急いだ感」を感じたり。
最後になって史緒一人主役説がよく分かる終わり方ではありました。

ちなみに最終巻、萌が史緒の歌を評して「表現力まで手に入れたんですね、何て欲張り」って言う台詞がありますが、萌のこういう台詞は大好き。

史緒に対して下手(したて)に出るわけでなく、だからといって100%の賛辞でもない、絶妙な黒さが混じるのにそこに悪気を感じない。最初の頃は意識的に悪気を混ぜていたような感じ。素直に褒める気はないあたり、萌とベティには性格的に通じるものを感じたりする。

全巻読み通して感じたのは、

史緒=正論
萌 =正義

なんだな、ということ。

2人ともそれぞれにおいて正しい、というところがこの作品の根幹かと。

史緒=上から目線
萌 =下から目線

ってのもありますね。特に映画版で萌をやった満島ひかりさんの上目遣いの目線が絶妙でした。

だからこそ、史緒だけがスターダムに立ち、拍手を送られるのは、ちょいと心の片隅にもやもやが残る。(あの描き方だとマレーヌにも大差つけたっぽい)

史緒も萌も、「自分に欠けたものを手に入れられた人生」だったことには変わりはないけれど、(そこに努力があるのだとしても)成功するのが当たり前の人が成功しても、あんまり面白くないんだよなぁ。

原作のラストでここまで明確に立ち位置に差が付いた2人を、舞台版であの2人がやるというのは色々な意味で興味深いです。

2人の性格、2人の演技プランはある程度分かっているだけに、そういう微妙な関係をW主演、五十音順でやるチャレンジャーさに脱帽せざるを得ません。
この2人の友情、大丈夫なんでしょうか(笑)。

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コメント

こんにちは。
あらすじを知ってさんざん「あんまりだー」と思っていたのですが、実際に読んだら、意外に悪くなかった。泣きそうになったところもあったし。大事なのは過程ですね(苦笑)
満足ではなく納得というのは言い得て妙だと思います。

投稿: ぴらふ | 2010/02/22 07:10

コメントありがとうございます。
先に読んだ皆さんの「あんまりだ」フィルターがかかりまくっていたこともあるのでしょうが、先入観って怖いですね。

12巻を読み終わった瞬間、自分の感情とシンクロしたシーンがありまして、それは4巻、史緒が神野氏にぶち切れるシーン。

「理解できるのと感情とは別です」

これが長大作の最終回完結の感想ってどうよって話なんですが(笑)

投稿: ひろき | 2010/02/23 01:58

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