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『アンダンテ~稲の旋律~』(2)

2010.1.23(Sat.) 12:30~14:40
ポレポレ東中野 上手側端

公開初日、舞台挨拶付につられて2度目の鑑賞。
試写会の時に前売り券を買い忘れ、先週、映画館まで行って前売り券を購入。

その時、初日舞台挨拶の日が、10時10分から整理番号設定(前売り券・制作協力券への受付)ということは頭の片隅で覚えていたのですが、全く間に合わず、映画館着は12時。
整理券番号は100番を超えていて、ぎりぎりセーフ。

この映画館、定員110人ですがこの回は完全に満席御礼。パイプ椅子から階段の座布団席まで登場して117番までの整理番号で打ち止め。

何とかぎりぎり座席を確保して座れてほっとしつつ、2回目の鑑賞です。
試写会で既に1回見ているせいか、見ていてもかなり安心できます。

ちなみにこの「ポレポレ東中野」の「ポレポレ」は新妻さんご自身がラジオで触れていましたが、「ゆっくりと」という意味です(ケニア・タンザニアの公用語であるスワヒリ語)。この作品の「アンダンテ」と同じ意味なのです。

笹本さんがテレビドラマ(「ぼくの妹」)に出た時も「意外に似合うなぁ」でしたが、新妻さんの映画も、同じく「意外に似合うなぁ」という感想です。

1回目の感想はこちら

基本的に新妻さんという女性は、監督始め皆さんおっしゃってる通り「陽」以外の何物でもない女性なので、「引き籠もり」をどう表現するかに興味はあったわけですが、この作品の藪崎千華役は、舞台作品でいうと「骨歌」の栞役に似ています。

今回の相手役の筧さんがパンフで語っていますが、「ああいう娘は親にとってホラーですよ」って表現してますが、前回も言いましたが、もろに貞子です(笑)。

劇場公開されましたのでネタバレあります。







2度目に見て気づいたところ。

千華が筧さん演じる農業家・広瀬さんに最初に会いに行ったときに、迎えに来た男性が広瀬さんじゃないと気づいた理由。
千華が「メールで連絡したい」と言ったときに広瀬さんが「携帯電話もパソコンも持ってない」と答えたのに、目の前で携帯電話が鳴ってるわけですからね。
あ、そんな単純な演出だったのかと納得。

この作品の軸は一つに「千華(引き籠もり)と晋平(農業)」で、もう一つに「千華と母」の関係の見せ方があります。

この後者の「母親の重圧と潰れる娘」の関係は、最近の流行なのか、今年正月にTBS系で放送された「筆談ホステス」も全く同じ図式で。
あちらはあちらで作品に恵まれない感のあった北川景子さんの最高傑作だと思うのでありますが。

ある意味「映画」における普遍的なテーマと思われる「家族の絆」はやっぱり最強。

こういうテーマで最初に見たのは由美子さんが主演だった「時の輝き」で、主人公・由花が橋爪功さん演じる父親に反抗するシーンだったなぁ(1995年松竹系公開)。

今回、食卓のシーンはある意味その時に随分似ていたんだけど、父親の比重の低下というか、今の家族における父親の存在の難しさを垣間見たような感じで。

作品が違うとはいえ、確か10年前に見たときは「父親の言い分にも一理ある」と思ったはずなのに、今回の父親の言い分があまりに強圧的だったせいもあるのか、それとも母と娘を軸にした物語構成のせいなのか、とても父親が”無色”に見えて。

重圧を与え続けた母親だから、最後は真の意味で娘と分かり合えたのかも知れない。
向かい合おうとしなかった父親と娘は、まだ分かり合えないのかも知れない。

(後者は監督が「問題は問題として残しておくべき、とあえて父親を横芝光に行かせなかった」とコメントされています。「母親と娘も全てを分かり合えたわけでもない」とも)

・・・と思えて。

今回の映画、パンフレットがシンプルながらとても出来が良くて、新妻さん・筧さん・金田監督それぞれが実に味のあるコメントを残されています。

筧さんなんて新妻さんについて「お互いにいつ歌い出してもおかしくない」とか言ってるし(笑)。新妻さんが筧さんについて「役に近づいていくというより役にご自分を近づける方」と表現しているのは、広瀬役が原作と違いまくりになったことをとてもオブラートに包んで表現しているように思われます(苦笑)。

いや、でも筧さん&新妻さんの「ミス・サイゴン」コンビが、まさかここまで全然似つかない役柄もぴったりはまるとはちょっとした驚きです。

新妻さんはあまり演技的には相手役との相性の良さを感じさせるタイプではないように思われるのですが(その点が笹本さんと対照的。新妻さんだと多少感じたことがあるのは石井一孝さんと照井裕隆さんぐらい)、筧さんとは凄くバランスが良いです。




1回目の鑑賞で度肝を抜かれた千華ちゃんPV(当方命名)「アンダンテ~稲の旋律~」の曲の醍醐味を存分に堪能した後、この回は舞台挨拶が控えています。

待ち時間の間、客席から聞こえてくる声に耳を澄ませると、やっぱり最後の曲の威力は絶大なようで、「知らない女優さんだったけど歌が上手いわね~」としゃべってるおばさん、プロフィール見つけて「『ミス・サイゴン』やってたこともあるんですって」と答えてる人がいたりして、ちょっとした即席新妻ファン作成市と化していました(笑)。

10分ほど待って上手側に司会者が登壇、下手側から新妻聖子さん、紗綾さん、旭爪あかねさん(原作者)、金田監督と4人登壇。

監督が女優2人に喋らせようとするも「横芝光町の皆様が毎日ご飯作って下さって美味しいんですよ」(新妻さん)、「まるかじりの野菜がこんなに美味しいなんて」(紗綾さん)、「食べ終わったらすぐ(新妻さんが)お腹すいたーって言ってるんですよ(笑)」(紗綾さん)と終始食べ物話(爆)。

「ねー」と言い合ってる新妻さんと紗綾さん、写真見ると本当に姉妹みたいですが、仲すごく良さそうです。

これではいかんと監督自ら方向転換。「撮影時のエピソードを」ということで、

「監督らしいことをしようと思いまして、新妻が祭り寿司を食べるシーンで一番いい顔をさせたい、と思いまして。『ご飯断ちしろ』、って言ったんです。
でも見てたらいっつも何か食べてるし、
何食べてもすっごいいい顔をしてる(笑)
もういいや、それでいいよってなった(笑)」

結局食べ物話(爆)。

「監督はあんなこと(何も演出してないって)おっしゃっていますけど、手の動きで千華の感情の動きを見せるところとか、とても事細かに指示してくださって。千華の8割は監督でできています」と新妻さん。

新妻さんは先週のラジオ(NHK「サタデーホットリクエスト」)でもおっしゃっていましたがこの回が初鑑賞ということで後方の「関係者席」での鑑賞、途中から自分が出てるのに自分だったのを忘れた、この作品について皆さんとこれから1時間でも語り合いたい、といつもの通り程々暴走モードで飛ばしてました。

歌のシーンはあの曲だけでなく、夕暮れ前のあの風景が大好きだそうです。
ご自身が千華ちゃんの視線から歌詞を書いた、というところも客席から「へー」という声が上がっていました。

この日の舞台挨拶の締めは新妻さんからのいつも通りのプロフェッショナルな締め挨拶があり、その後、プレスの写真撮影に移行。

多少写真が撮られた後、舞台下手側でちょっと暗い空間だったのを新妻さんが気がついて、「ちょっと中央にずれましょうか」と皆さんを舞台中央(ここだけ明るかった)に移動。それに気づいた一部の観客からは「凄いわねぇ」と感心する声が上がっていました。

この回が終わり映画館から出ようとすると、2回目上映の列が映画館の外までつながっていて、恐らくこれも満員。3回目以降の状況は分かりませんが、キャパを小さめに絞った分、上々な出足じゃないでしょうか。
これから順次全国上映となっていきますが、新妻さんがお話された通り、この作品が1人でも多くの方に見ていただけますように、願っています。

2010.2.25追記
劇場公開の第2弾は、名古屋だそうです。
名古屋駅西口駅前の「シネマスコーレ」という映画館で、4月3日から3週間の予定とのこと。

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コメント

ひろきさんこんばんは~♪

ぜーんぜん関係ない内容で恐縮ですが
今日、ゲキシネ「SHIROH」を見に行ってきました。
(福岡ではゲキシネのレパートリー上映というのをやっています)
中川晃教ファンの人と話をしているうちに見に行くことになったのですが
しょっぱなから高橋由美子さんが出てきてびっくりしました。
そう、出ている事を知りませんでした(笑)

ひろきさんはもちろんご覧になっていることでしょうね。
とっても良かったですよ!
歌が抜群にうまかったです。
男は中川さん、女は高橋さんが群を抜いてうまく
役どころも重要で出番も多かったですね。
素敵でした。

高橋さんを見てひろきさんを思い出したので、急遽コメントしました。
記事と関係なくてごめんなさい。

投稿: 観世 | 2010/01/24 00:40

観世さん、こんばんわ。
コメントありがとうございます。

「SHIROH」ご覧になりましたか!
由美子さん出演作で一・二を争う好きな作品です。(当BLOGに「SHIROHを語る」って作品で40回近く書きまくったことがあります)
上演とゲキシネとDVD合わせたら20回ぐらい見ています(笑)。
再演を願い続けて丸5年が経ってしまいました。

何しろ最初のシーンが由美子さんから始まりますからねあの作品。バンデラスとはさぞかし違った印象でしたでしょう。楽しんでいただいたようで何よりです。

舞台女優さんの映画画面でのアップって、時にびっくりするほど魅力的です。
「SHIROH」の由美子さんの最後のシーンのアップは女優人生に残る1シーンだと思っています。
「アンダンテ」の新妻さんも素敵でしたよ。機会がありましたらこちらも是非。

追伸
現在発売中の「演劇ぶっく」にバンデラスの舞台写真がたっぷり載ってます。本屋で見つけて仰け反りました。

投稿: ひろき | 2010/01/24 01:07

ふふ、やっぱりいらしてましたね。
私も誘惑に負けて行ってしまいました。
こちらで試写会の時の様子を伺って、そんなこともあるのかと思いましたが、今回はいつもの新妻さん、いつものトークの流れ(笑)でしたね。

投稿: ぴらふ | 2010/01/24 12:12

ぴらふさん、こんばんわ。
試写会の時は本当に「初めて見る新妻さん」だったんです。

それに比べると、完全に水を得た魚というかマイクを持った新妻さんって感じでしたね、今回(笑)

後ほどblogにもコメントにお伺いします。

投稿: ひろき | 2010/01/24 21:39

> ひろきさん

連投すみません。(しかもテーマ違いなのに)

あの由美子さんのラストシーンは素晴らしかったです。
死んでしまって上川さんの腕の中で目をつぶっている顔。美しすぎ!!
そして、上川さんの口づけを受けて生き返る、あのシーンのロマンチックな事!
さらに生き返った由美子さんのまっすぐな表情。
すばらしいシーンでした。
私でさえこうですから
ファンにはたまらないでしょうねっ!(わかるわかるっ)

新妻さんは「ミス・サイゴン」に出ていましたね?
私は笹本さんの回を見ましたが
全体的な評判としては新妻さんが一番良かったようでした。
もちろん笹本さんもすっごくステキでした。歌もうまかったです。
私はあまりミュージカルは見ないんですけど、新妻さんはストレートプレイにも出ているし、見てみたいですね~。

演劇ぶっく、購読しています(^^)v
写真、たくさん載っていましたね!
もうすぐWOWOW放送、楽しみです♪

投稿: 観世 | 2010/01/25 22:42

観世さん>

再びのコメントありがとうございます。

映画話ってことでここに繋げちゃいます。新妻さんごめんなさい(爆)。

何度も見ていると、決め所が分かってくるわけでして、「SHIROH」だと、
由美子さんのあの表情のシーンと、少し前の「ここは我らの死に場所ではない!」のシーン。映画館で見るときは、それぞれのシーンの一〇秒ほど前に居住まいを正して、全神経を集中させてその瞬間を待ったものでした。
元々舞台作品なのに、映画以上に映画なあのシーンなんですよね。

新感線&東宝の作品で、しかも由美子さんは事務所が東宝に移ったのに、もろもろの事情で再演の可能性が限りなく低いという皮肉な作品です。それでもこうして、何度もゲキシネで見てもらえる機会があるだけ、まだ幸せなのかもしれませんが。

WOWOWは実は自分では見られないので、録画をお願いしてあります。
よって、感想のupは時差ができる予定です(と予告でした)。

投稿: ひろき | 2010/01/26 01:19

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