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2010年1月

『プライド』(1)

笹本玲奈さんと新妻聖子さんの初共演は、12月シアタークリエで。

http://www.tohostage.com/pride/index.html

キャスト表記が「五十音順」となっていて、色々な大人の関係が見えて苦笑い。

4月だけじゃなくて12月も帝劇(MOZART!←キャスト未発表だけど。)とクリエの往復やれってことかしらん・・・

以上、あまりに興奮して錯乱して昼間に更新(笑)

笹本さん自身がブログで「永遠に共演が叶わないかも」と書いていたこの組み合わせ、まさかの実現です。

この2人が組むとしたら”がらかめ”系だろうなーと思ってたら、やはし対決モード。

「何不自由なく育った」役柄が笹本さんで、「這い上がった」役柄が新妻さんというのも、2人の役者イメージそのまんまで、誰が考えたんだこのベストキャスティングって感じです。
新妻さんはそれでいて「お嬢様」的な雰囲気も出せる不思議な女優さんですが、今回の役柄は新妻さんの成り上がり系の仁義なき役柄が楽しみすぎます。

原作方面の方からすると、イメージ的には逆なんだそうですけどね。
え、笹本さんってそんなに成り上がり系かなぁ、新妻さんってそんなにお嬢様系かなぁ・・・・
そういうところを隠すか(新妻さん)、隠さないか(笹本さん)の違いはあるけれど。

”魂で歌う”萌のキャラはどっちかと言えばやっぱり新妻さんだと思うし、
「自分の歌には(萌に比べて)気持ちがこもっていない」と落ち込むキャラはどっちかと言えばやっぱり笹本さんだと思うし。
やー、でも黒キャラの萌は新妻Verと笹本Verと両方見たいなぁ。
史上初のWキャスト役代わりとか、この2人なら出来そうに思えるから怖い(笑)。

「2人のディーヴァ」というセールストークもことここに至っては納得だし、いやはや、年末まで頑張って仕事しよ(笑)

4月のクリエで由美子さん&笹本さんの「私的ご贔屓共演」も、実現しない組み合わせ(ちなみにこちらは本日スチール撮影→こちら)だと思っていたのに、まさか笹本さん&新妻さんの「私的ご贔屓共演」が来るとは。
クリエのイメージがここのところずいぶん変わりました。

そして色んな場所で常に比較される笹本さん&新妻さんですが、今回の共演を2人とも実に喜んで発表してて、なんだか嬉しい。
今回の物語じゃないけど、周囲は色々と大人の事情があるんだろうけれど、「誰より互いの実力を認め合う2人」って、リアルにこのお二人だよなぁとつくづく。

「私は貴方を越えてやる。私が認めるライバルはこの世の中で1人だけ、それはあなた」

とかいう少女漫画の世界、本当にぴったりですねぇ。

どんなキムとエポとの間とも違った、笹本さんと新妻さんとの間だけにある空気って、やはり「MA」のマルグリット・アルノー役の存在がとてつもなく大きいのでしょうね。

7ヶ月間のロングラン、当時のことを新妻さんは「7ヶ月間電話をしなかった。家族ともずっと筆談だった」と語っていますが、この2人だっただけに、「自分が先に倒れるわけにはいかない」という「プライド」こそが、あの作品を維持してきたエネルギーだったのだと思います。

主演ヒロイン格を別々にこなしてきた2人が共演するには、またとない題材なのは間違いないと思いますが、大人の事情を乗り越えさせるほど、芝居小屋を埋めるのは大変、ということでもあるのだと思います。

ちなみに、ここのところ両FCともずいぶんありがたい席をくださるので、今回も頼りにしてます、どっちが良席かなぁ(爆)

2009/1/31追記

悪い癖で、クイーンズコミックス『プライド』1~11巻を大人買い&一気読破。
最近完結したばかりなので、最終巻はまだコミック化されていないので(最終巻は2月19日発売予定)、終了直前までということになりますが。

えと、原作ネタバレあるので、真っさらで見たい方は回れ右で。






原作派の人が、絶対に史緒@新妻&萌@笹本だー!とあまりに叫ばれるので、自分の感覚を確かめながら読んでみました。

少女漫画大好きという自分の属性を差し引いても、ストーリーがとても面白いです。
ちょっと後半微妙だけど。

人物評で印象深かったのが、棘の抜けた萌が史緒に対して語った「彼女(史緒)は成功するまで努力できる人。それが彼女の一番の才能」(11巻)という言葉と、史緒の婚約者の母(史緒の義母)が婚約者に語った、「史緒さんには正論しか通じないのよ」(同)という言葉。

自分の感じる限り、この史緒像によりフィットするのは笹本さんだなぁ。
別に新妻さんが努力家じゃないって言ってるわけじゃ断じてないけど、四角四面で頑なだった史緒が協調性を得ていく過程とかは、イメージ的には笹本さんだな。
萌に新妻さんイメージが付いているのは、海外生活経験ありの帰国子女というのも多分に影響している気が。

萌が史緒の歌について「媚びることなく誇り高く歌う」語った台詞は萌(笹本)→史緒(新妻)イメージだし、史緒が萌に言った「自分もきちんと持ってるのに、自分を見なくて他人ばかり見てる」台詞は史緒(新妻)→萌(笹本)イメージだし。
「史緒にはかなわない」とずっと思っていた萌が、「史緒が萌の歌を聞いて落ち込んでいた」ことに心底驚いていたシーンは、史緒(新妻)→萌(笹本)イメージだし。

おおまかなストーリーを聞いたときに、印象でぴったり、と書きはしたものの、改めて読んでみると、当たり前だけど役と役者はイコールじゃないわけで。

多分、シーン毎に史緒@新妻&萌@笹本と、史緒@笹本&萌@新妻がシャッフルするような印象でした。

で、この作品の2人を取り巻く神野副社長(史緒の婚約者)と、ピアニスト(史緒と萌とのユニットを組んでいる人)のキャストですが、やり手副社長は岡さん以外に思いつかず、”女装が大の得意”のピアニスト蘭丸は新納さん以外に思いつかない(笑)

ママさんは香寿さん以外に想像できなかったりして。あの親切なおばさんは阿知波さんかな。2人とも「MOZART!」なんだろうけど。

ちなみに「シオ」って役名を聞いて最初に思い出した役名は「志緒」でした。
日テレ系で榎本加奈子さんでドラマ化されたことがある赤石路代先生の「P/A」(プライベート・アクトレス)。
笹本さんにやって欲しい役だったりします。


2009/2/7追記
勢いに乗って(苦笑)、映画版も鑑賞。

満島ひかりすごいっ。
ステファニー歌すごいっ。

映画版は原作よりずっとイメージが湧きやすくていいです。
後半が駆け足で、史緒と萌が「お互いに自分に足りないものを相手から得ていく過程」がすっぱり削られているのはちょっと残念ですが。

ふと映像見ていて、笹本さんは以前は殻に入った歌い方してたなぁとか、新妻さんは一人突っ走る歌い方だったなぁ、と2人の東宝デビューの頃を思い出して。
2人が変わるきっかけは笹本さんはWIWで新妻さんはマドモアゼル/モーツァルトな気がする。
2人の関係が変わったのはMAじゃないかな。
2人のマルグリットは、出会った頃の史緒&萌にそっくりな印象。

新妻マルグリットを横目に、「気持ちが伝わらない」と悩む史緒は笹本マルグリットとかぶるし、
笹本マルグリットを横目に、「何が何でも」と突っ走る感じは新妻マルグリットとかぶる。
そういえばこの役は、直線的で深みが薄い新妻さんより、ストーリー性のある笹本さんの方が好きだったなぁ。

お互いが一番近いところで居続けた分、まさに史緒と萌のような立場をたどってきたように思えて。
何か、今年だから2人がこの役で共演する意味があったんじゃないかなと思えました。

2人って今まで一度だけサイゴンのイベントでデュエットしたことがあるんですが、声質はかなり合っていた(笹本さんも2008/8/11のblogで「声質の相性がいい」って書いてました)ので、ますます期待度UPです。

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『ウーマン・イン・ホワイト』(6)

2010.1.24(Sun.) 13:00~16:00
青山劇場 1階R列上手側

再演4回目、初演も含めると6回目。
FCのS席とあってか、前方ではありませんがとても見やすい席。
周囲は帝劇組の方が多いようで、岡さんのところでオペラグラスが一気に上がるところとか壮観です(笑)。

初演に比べて再演は「薄い」と何回も書いていますが、再演で好きなシーンが3つあります。1つは既に(3)で書いたマリアンとフォスコの関係(目で糾弾するシーン)。

1つは、マリアンとローラの関係。パーシヴァル卿署名強要シーンの、ローラの「もう誰も信じない」という叫び。ここは初演時の神田沙也加さんと再演時の大和田美帆さんの、「強さ」の強弱がかなりはっきりしているシーンで、バランスから言うと大和田さんがちょっと強すぎるかな、神田さんがちょっと弱すぎるかな、という絶妙な感じなのですが、マリアンを中心に見ているとこの大和田ローラの強い拒絶が、凄く印象的なのです。

というのも、「もう誰も信じない」と『マリアンを振り払う』んですねここ。

マリアンは「自分だけはローラを助けてあげなくては」と思っているのに、ローラは「もう誰も信じない」と言っていて、その「誰も」に「マリアン」が含まれていると思って慄然とするのです。

それにここでのマリアンはローラに対して、「真っ直ぐ支えられる」立場では実はなくて。家のことを思い、ローラとパーシヴァル卿の結婚を勧め、ローラとハートライトの仲を引き裂いた・・・それは「仕方なかった」、とマリアンは自分で自分を納得させているけれど、一ミリたりとも自分自身のハートライトへの思いが影響しなかったとは言い切れない・・・

マリアンが、ローラに「綺麗な心」で向かい合えていないこのシーンで、自らが拒絶される。
「ローラはマリアンを信じていない、とマリアンが思っても仕方ない」タイミングだからこそ、マリアンはショックを受けるのだと思うのです。

マリアンがショックを受けるシーンだからこそ、ローラは強く強く否定するほど、マリアンにとっての衝撃は大きくなるわけで。

でも当然、ローラは「もう誰も信じない」にマリアンを含めたつもりなんてなくて。
自分が言ったことがマリアンに強い衝撃を与えてしまったことに気づき、すぐにマリアンにすがりつきます。(ここでスカート引っ張る演技なのが初演はどうだったか忘れたけど絶妙だと思った)

止まるマリアン、振り返ってローラを見返したときの「自分を100%信じてくれるローラの表情」を見たときのマリアンの気持ち・・・・地獄から天国へ、あまりの強烈な落差が印象的です。


もう1つのシーンは、マリアンとハートライトの関係。マリアンがロンドンにハートライトを訪ねるシーンです。

もう色んなところで書かれている話ですが、今期のハートライト様はマリアンもローラも愛してはいません。正確に言えば、愛してるのかもしれないのですが、愛しているように見えません。

冷たいわけじゃないけど暖かいわけでもない、というなんだかよく分からないキャラクターなのです。(初演の別所ハートライトは間違いなく「暖かい」方)

ここのシーンも1つ目のマリアン&ローラと同様、「マリアンが拒絶される」という観点から見たときに、マリアンの絶望が初演比200%増しです。

なぜかと言えば、つかみ所がない人を説得するのは、怒る人を説得するよりずっと難しいわけで、「マリアンとハートライトが心の深い部分で価値観を共有『していない』からこそ、ハートライトがマリアンを拒絶することで、マリアンの絶望が際だつ」と申しますか。

言葉を恐れずに言えば「田代ハートライトだとマリアンの説得に応じないんじゃないか」と思ってしまう恐怖。それゆえにマリアンももっと必死になるわけです。
ハートライトが冷たくなればなるほど、マリアンは自らをさらけ出して弱くなるしかなくなる。

「ローラのためよ、私じゃない」というマリアンの懺悔は、初演のどのときよりも再演の方が弱々しく思えたのです。

初演の別所ハートライトは、マリアンに対して怒りながらもとりつく島はあったし、この場でマリアンを受け入れる確証がかなり早い段階で持てたから、ある意味安心できたんですが、再演は「本当にいいの?」ってマリアンが言うまで確信にならない(苦笑)。

矛盾しているかもしれませんが、ハートライトが田代さんが演じたことによって見えたそんな”違った”風景は、とても興味深いものでした。

そんなこんなで、東京千秋楽記念、各プリンシパルキャストを順に振り返ります。

●マリアン役/笹本玲奈さん
 千秋楽の彼女はまさに神がかっていました。「All For Laura」の前半部の呆然とした部分から後半部の逆襲への転換といい、「このままではいない」のどこまでも続く意志の強い叫びといい、これほどまでに女性は強くなれるのかということを実感しました。
 途中までは座長の責任感に追われてか動きすぎな感じがありましたが、後半かなりきっちり整理されていて、千秋楽は「理想的」でした。

 ちなみに千秋楽で気づいたのですが、あの赤い服を着せられて、女性に肩を出された後に、恥ずかしげに1cm服を戻すマリアンの演技が丁寧すぎて好きです。
 「やるときはやる」とはいえ、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい、と。

 プリンシパルキャスト中最年少が彼女、という事実に改めて驚愕します。

 次のお芝居は「ガイズ&ドールズ」でお会いします。今からとても楽しみ。

 笹本さんを楽しむもう一つのエピソード→実は天然 from田代さんblog

●ハートライト役/田代万里生さん
 本当に歌、素晴らしかったです。艶のある歌声を初めて体験し、なるほど高評価の理由がよく分かりました。芝居に関しては、場数を踏んでもらうしかないのですが、例えばラストのシーンで「全てが変わった」と言ってるのにマリアン見てなくてローラ見てるときがあったり(爆)突っ込み所は満載なのですが、歌えるのは大きな武器なので、芝居の襞を経験で会得していって欲しいです。

●ローラ役/大和田美帆さん
 前役を見ているので本人同様びっくり仰天玉手箱状態です(笑)。当初イベントにもなかなか出てこなくて苦戦しているのが丸わかりでしたがさすがの頑張り屋で、公演中もどんどん変化していきました。見た目がお嬢様ぽくないのはもうしょうがないし、少しキャラ違いと思えたこの役を、笹本さんより2つ年上なのに、仕上げた彼女の力量に拍手。

●アン・キャスリック役/和音美桜さん
 田代さん同様、前評判通り美しい歌に聴き惚れました。本編にちょくちょく絡む割に表通りを歩けないので(苦笑)どことなく損な役回りにも思えてしまいますが、他人と絡む関係性がとても良かったです。「3人揃ってこれで完璧ね」が完璧に聞こえたのも、和音さんの貢献大かと。

●パーシヴァル卿役/パク・トンハさん
 アンに反抗されて「何言ってんだこいつ」ってニヤっとするところ大好きです(笑)。初演の石川禅さんもかなりの怪演でしたが、今回もかなり味のある悪役でした。今回初見だったのですが、また別の役で見てみたいです。

●フォスコ伯爵役/岡幸二郎さん
 期待通りの最たるものです(笑)。今期は岡さんなしでは何も語れません。
 こんなに頼りになるお方だとは、もう7年も見てきたのに認識したことはなくて・・・今回改めて骨の髄まで実感しました。
 これからも笹本さんをよろしくお願いします。
 しかし、公式blogにまで「マリアンとお似合いかも」と書かれてしまうフォスコってある意味凄い世界だ・・・主役と敵役がお似合いって言うんですから(笑)

 追記。千秋楽で「もうサボテンじゃない」時にマリアンに拒絶されて

 「あ゛?」

 というのがマイクに入ったのが爆笑でした。面白すぎる。

●フェアリー役/光枝明彦さん
 初演から続投、いつ見ても安心できる大御所です。唯一の初演経験プリンシパルとして笹本さんを見守っていただいたことに感謝。
 この方の良い意味の愛嬌がとても好きです。


 そして、ここからはカーテンコールレポ。

 いつものカテコ×2→オケピからオーケストラ合流→またカテコ

 で挨拶大会。

 座長の笹本さん。

「毎日命を削られるような思いで舞台をやっていた。キャストスタッフそして何よりお客さまの拍手で乗り切ることができ、感謝の気持ちでいっぱい」

 ここで青山劇場1200人による「笹本さんを泣かせる会」が急遽結成、されたかのごとく会場中から割れんばかりの大拍手が続き、感極まって笹本さんの目から涙が。
 彼女の涙、いつぶりだったかな。

「私だけじゃ間が持たないので、何か言いたい人!(会場内笑)」

 まずは、ということで田代さん。

「大きな挑戦となる試練の役だったけど、この数ヶ月間とても楽しかったです」
「私だけじゃ何なのでパク・トンハさん」
「短く、ね」

 そうしたらトンハさんの挨拶長い長い(笑)そか、「短く」って強調したのはそういうことだったのか。
 オールスタンディングの客席指して「皆さん隣の人と手を繋ぎましょう!隣は敵じゃないです!」に会場内苦笑、キャスト一部爆沈(笑)。

 あまりに長いのでみんな「巻いて巻いて」ってしに行くんだけどトンハさん止まらない。

 笹本さんが「じゃ、そういうことで」と抱き抱えても止まらない(笑)
 大和田さんなんか舞台際まで行って座り込んで「巻いて巻いて」ってジェスチャーまでしててそれがけっこう笑えたり。

 「じゃ、私の妻、ローラへ」(よく考えると意外でも何でもないが不思議な振りだ)

 大和田さん。

 「初演をその辺(1階席前方下手を指さし)から見ていたので夢のようでした、幸せです」

 そして笹本さんが引き取り、「やー、劇場中トンハワールドになっちゃってどうしましょう(笑)。じゃ、アンちゃんどぞ」(会場内笑)

 和音さん。

 「舞台上の不幸を一身に背負う役だったけど、このカンパニーでやれて良かった」

 光枝さん&岡さん。

 「この組み合わせって何の劇団のカーテンコールだろうね」(笑)
 「大阪でもお待ちしてます」


 そんなこんなで20分に亘る東京千秋楽・カーテンコールは終了。

 笹本さんがつい、「何か言いたい人」って放り投げた(爆)割には、結局プリンシパル全員が挨拶するという結果オーライの結末で、何だやっぱり「案ずるより産むが易し」なんだなぁと変な感想でした。

 ちなみに再演見終わって頭に残っちゃったフレーズ

 「良く描けてるラブラドール、彼女が鍵だ」

 色々違うのは分かってます(爆)。

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『アンダンテ~稲の旋律~』(2)

2010.1.23(Sat.) 12:30~14:40
ポレポレ東中野 上手側端

公開初日、舞台挨拶付につられて2度目の鑑賞。
試写会の時に前売り券を買い忘れ、先週、映画館まで行って前売り券を購入。

その時、初日舞台挨拶の日が、10時10分から整理番号設定(前売り券・制作協力券への受付)ということは頭の片隅で覚えていたのですが、全く間に合わず、映画館着は12時。
整理券番号は100番を超えていて、ぎりぎりセーフ。

この映画館、定員110人ですがこの回は完全に満席御礼。パイプ椅子から階段の座布団席まで登場して117番までの整理番号で打ち止め。

何とかぎりぎり座席を確保して座れてほっとしつつ、2回目の鑑賞です。
試写会で既に1回見ているせいか、見ていてもかなり安心できます。

ちなみにこの「ポレポレ東中野」の「ポレポレ」は新妻さんご自身がラジオで触れていましたが、「ゆっくりと」という意味です(ケニア・タンザニアの公用語であるスワヒリ語)。この作品の「アンダンテ」と同じ意味なのです。

笹本さんがテレビドラマ(「ぼくの妹」)に出た時も「意外に似合うなぁ」でしたが、新妻さんの映画も、同じく「意外に似合うなぁ」という感想です。

1回目の感想はこちら

基本的に新妻さんという女性は、監督始め皆さんおっしゃってる通り「陽」以外の何物でもない女性なので、「引き籠もり」をどう表現するかに興味はあったわけですが、この作品の藪崎千華役は、舞台作品でいうと「骨歌」の栞役に似ています。

今回の相手役の筧さんがパンフで語っていますが、「ああいう娘は親にとってホラーですよ」って表現してますが、前回も言いましたが、もろに貞子です(笑)。

劇場公開されましたのでネタバレあります。







2度目に見て気づいたところ。

千華が筧さん演じる農業家・広瀬さんに最初に会いに行ったときに、迎えに来た男性が広瀬さんじゃないと気づいた理由。
千華が「メールで連絡したい」と言ったときに広瀬さんが「携帯電話もパソコンも持ってない」と答えたのに、目の前で携帯電話が鳴ってるわけですからね。
あ、そんな単純な演出だったのかと納得。

この作品の軸は一つに「千華(引き籠もり)と晋平(農業)」で、もう一つに「千華と母」の関係の見せ方があります。

この後者の「母親の重圧と潰れる娘」の関係は、最近の流行なのか、今年正月にTBS系で放送された「筆談ホステス」も全く同じ図式で。
あちらはあちらで作品に恵まれない感のあった北川景子さんの最高傑作だと思うのでありますが。

ある意味「映画」における普遍的なテーマと思われる「家族の絆」はやっぱり最強。

こういうテーマで最初に見たのは由美子さんが主演だった「時の輝き」で、主人公・由花が橋爪功さん演じる父親に反抗するシーンだったなぁ(1995年松竹系公開)。

今回、食卓のシーンはある意味その時に随分似ていたんだけど、父親の比重の低下というか、今の家族における父親の存在の難しさを垣間見たような感じで。

作品が違うとはいえ、確か10年前に見たときは「父親の言い分にも一理ある」と思ったはずなのに、今回の父親の言い分があまりに強圧的だったせいもあるのか、それとも母と娘を軸にした物語構成のせいなのか、とても父親が”無色”に見えて。

重圧を与え続けた母親だから、最後は真の意味で娘と分かり合えたのかも知れない。
向かい合おうとしなかった父親と娘は、まだ分かり合えないのかも知れない。

(後者は監督が「問題は問題として残しておくべき、とあえて父親を横芝光に行かせなかった」とコメントされています。「母親と娘も全てを分かり合えたわけでもない」とも)

・・・と思えて。

今回の映画、パンフレットがシンプルながらとても出来が良くて、新妻さん・筧さん・金田監督それぞれが実に味のあるコメントを残されています。

筧さんなんて新妻さんについて「お互いにいつ歌い出してもおかしくない」とか言ってるし(笑)。新妻さんが筧さんについて「役に近づいていくというより役にご自分を近づける方」と表現しているのは、広瀬役が原作と違いまくりになったことをとてもオブラートに包んで表現しているように思われます(苦笑)。

いや、でも筧さん&新妻さんの「ミス・サイゴン」コンビが、まさかここまで全然似つかない役柄もぴったりはまるとはちょっとした驚きです。

新妻さんはあまり演技的には相手役との相性の良さを感じさせるタイプではないように思われるのですが(その点が笹本さんと対照的。新妻さんだと多少感じたことがあるのは石井一孝さんと照井裕隆さんぐらい)、筧さんとは凄くバランスが良いです。




1回目の鑑賞で度肝を抜かれた千華ちゃんPV(当方命名)「アンダンテ~稲の旋律~」の曲の醍醐味を存分に堪能した後、この回は舞台挨拶が控えています。

待ち時間の間、客席から聞こえてくる声に耳を澄ませると、やっぱり最後の曲の威力は絶大なようで、「知らない女優さんだったけど歌が上手いわね~」としゃべってるおばさん、プロフィール見つけて「『ミス・サイゴン』やってたこともあるんですって」と答えてる人がいたりして、ちょっとした即席新妻ファン作成市と化していました(笑)。

10分ほど待って上手側に司会者が登壇、下手側から新妻聖子さん、紗綾さん、旭爪あかねさん(原作者)、金田監督と4人登壇。

監督が女優2人に喋らせようとするも「横芝光町の皆様が毎日ご飯作って下さって美味しいんですよ」(新妻さん)、「まるかじりの野菜がこんなに美味しいなんて」(紗綾さん)、「食べ終わったらすぐ(新妻さんが)お腹すいたーって言ってるんですよ(笑)」(紗綾さん)と終始食べ物話(爆)。

「ねー」と言い合ってる新妻さんと紗綾さん、写真見ると本当に姉妹みたいですが、仲すごく良さそうです。

これではいかんと監督自ら方向転換。「撮影時のエピソードを」ということで、

「監督らしいことをしようと思いまして、新妻が祭り寿司を食べるシーンで一番いい顔をさせたい、と思いまして。『ご飯断ちしろ』、って言ったんです。
でも見てたらいっつも何か食べてるし、
何食べてもすっごいいい顔をしてる(笑)
もういいや、それでいいよってなった(笑)」

結局食べ物話(爆)。

「監督はあんなこと(何も演出してないって)おっしゃっていますけど、手の動きで千華の感情の動きを見せるところとか、とても事細かに指示してくださって。千華の8割は監督でできています」と新妻さん。

新妻さんは先週のラジオ(NHK「サタデーホットリクエスト」)でもおっしゃっていましたがこの回が初鑑賞ということで後方の「関係者席」での鑑賞、途中から自分が出てるのに自分だったのを忘れた、この作品について皆さんとこれから1時間でも語り合いたい、といつもの通り程々暴走モードで飛ばしてました。

歌のシーンはあの曲だけでなく、夕暮れ前のあの風景が大好きだそうです。
ご自身が千華ちゃんの視線から歌詞を書いた、というところも客席から「へー」という声が上がっていました。

この日の舞台挨拶の締めは新妻さんからのいつも通りのプロフェッショナルな締め挨拶があり、その後、プレスの写真撮影に移行。

多少写真が撮られた後、舞台下手側でちょっと暗い空間だったのを新妻さんが気がついて、「ちょっと中央にずれましょうか」と皆さんを舞台中央(ここだけ明るかった)に移動。それに気づいた一部の観客からは「凄いわねぇ」と感心する声が上がっていました。

この回が終わり映画館から出ようとすると、2回目上映の列が映画館の外までつながっていて、恐らくこれも満員。3回目以降の状況は分かりませんが、キャパを小さめに絞った分、上々な出足じゃないでしょうか。
これから順次全国上映となっていきますが、新妻さんがお話された通り、この作品が1人でも多くの方に見ていただけますように、願っています。

2010.2.25追記
劇場公開の第2弾は、名古屋だそうです。
名古屋駅西口駅前の「シネマスコーレ」という映画館で、4月3日から3週間の予定とのこと。

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『サタデーホットリクエスト』(2)

2010.1.16(Sat.) 14:00~17:00
NHKスタジオパーク505スタジオ

1年2ヶ月ぶりのNHKスタジオパーク。
新妻聖子さんのゲスト出演を知ったのが1ヶ月前。

意外なことに新妻HPでの告知が遅くて、普通なら観覧申込が間に合わないところなのですが、”芸能界1の新妻ファン”ことAKINAちゃんのblogの、しかもコメント欄を見ていて知りました(笑)

前回は2008年11月で、その時は声優のゆかなさんとの組み合わせでしたので、座席満席で立ち客までいたのですが、今回は空席も見られるほどで70人定員で50人ぐらい。その半分がライブのBig Birdのファンの方でしたので、ライブ終了後はちょっと寂しい感じ。

新妻さんの登場は16時30分頃ということで事前告知があり、安心して待ちます。長時間番組のゲストに登場時間をきっちり告知してくれるのはとてもありがたいです。
出番ずっと待ってて結局10時間聞いちゃった、先月のNHK-FM「今日は一日 宝塚三昧(ざんまい)」とは大違いです(←それはそれで楽しかったのですが)。

前回もそうだったのですが、AKINAちゃんの衣装が気合い入りすぎです(笑)。→写真2枚目
真紅のスカートがとても綺麗です。

新妻さんはblogの通り「綿帽子」で登場。
新妻さんとAKINAちゃんの挨拶が「お久しぶりです」なんですが、隣にいるヒロシさんはちゃんと分かっていて「いつぶりですか」と突っ込むと新妻さん「1ヶ月ぶりです(笑)」

AKINAちゃんが新妻さんの「nine」の楽屋を訪問して以来だそうです。そういやblogでそう言ってたなぁ。(

このメンバーだと、新妻さんを知り尽くしたAKINAちゃんが分かって突っ込むところに、絶妙にヒロシさんが突っ込みを入れるんで面白い面白い。

1曲目はアルバム収録になる「ひとつ」のスタジオ録音バージョン。これ、この曲初披露の品川ステラボール同様、新妻さんの弾き語りなのだそうです。
その曲がかかると、新妻さんの様子が変です。

「ちょっと席を外していいですか?」とAKINAちゃん、ヒロシさんに声をかけて舞台裏へ。
「曲2分30秒ぐらいですね」と言って裏に行きます。
見ていたお客さん一同びっくり。

何が起きたかというと・・・・・

新妻さんがAKINAちゃんにタイ土産のサプライズ(笑)→これ

「サタリク前に会いたかったんだけど」と言ってAKINAちゃんに渡したはいいのですが、ヒロシさんに何も持ってきていないことに気づき(爆)、平身低頭で謝っておりました。(なんかその代わりにヒロシさんの人生相談に乗るらしい)

ラジオを聞いているとわからないのですが、曲がかかっている間、マイクオフにして司会とゲストは喋るものなわけで、この2人が揃ってるわけだから普通のトークになるわけがなく・・・

AKINAちゃん「全キャストオーディションあるじゃないですか」
新妻さん「受けちゃえ受けちゃえ」

何の作品かはご想像の通りです。

新妻さん「私も最初ファンテーヌで受けたのよ。でもエポニーヌの楽譜渡されて、楽譜見てもいいから明日歌ってって言われて、意地になって覚えて歌ったの」

・・・あ、作品バレ。

話していて興味深かったのは舞台の稽古の時間帯。

新妻さん 「稽古ってだいたい午後1時からなんですよ」
AKINAちゃん「え、(私のやってる)今の稽古、午前10時から午後10時30分までですよ」
新妻さん 「えっ!?」

ミュージカル畑と普通のお芝居の違いですね。

この日、会場内からの質問が1つ。
「今までご自分でやった役を、1つだけ見せてもらえるとしたら何が見たいですか」
・・・と言う質問の主は実は私なのですが、

「ミス・サイゴン」と言うところでむせて噴いた新妻さん。
そこ、笑うところじゃありません(爆)。

会場的には大爆笑だったんですが、うむ、完璧超人の新妻さんの割には面白いネタ振り。
多分キムだろうなぁ、と予想通りで嬉しかったです。
サイゴンネタだから、(2009年1月公演の)博多まで追っかけたAKINAちゃんも食いつきすごかったし。

そういえば、先ほどの「ひとつ」の曲のところで、お姉さんが作曲、ということをAKINAちゃんが触れていましたが、「お姉さんって『RENT』初演を見に行かれたんですよね」と発言。

新妻さん  「え、そうでしたっけ」
AKINAちゃん 「新妻さんいらっしゃったときおっしゃったんですよ」
新妻さん  「よく覚えてるねー」
AKINAちゃん 「ええ、blogもずっとチェックしてますから」

自分もある程度記憶力には自信があったのですがさすがにこれは覚えてなかったです。
AKINAちゃんさすがです。

ちなみにこれもラジオで流れずに2人のトークで発覚したことですが、新妻さんの舞台作品、
「去年は7本、今年は3本」だそうです。
つまり、今年は「キャンディード」(帝国劇場、6月)以外に2本あるそうです。

この番組、杏子さん&ヒロシさん&AKINAちゃんで進行しているときも結構あっという間に時が経つのですが、新妻さん&AKINAちゃんともなるとその速さが輪を掛けて早い早い。3曲も曲がかかったのに(ひとつ→アンダンテ→愛を止めないで)、曲の間もトークが油断ならない(むしろこっちが面白すぎる)ので2時間30分待ちも気にならない、楽しい時間でした。

この日は観客がそれほど多くなかったせいか、前回以上に客席放置モードだったので、なおさらこの時の楽しさが印象に残っているのかもしれません。

この枠、4月改編で時間帯変更の噂がありますが、この「仕事なのか営業なのか、はたまたプライベートなのか分からないガールズトーク」、また機会があればいいなぁ。

追伸
この日のラジオが周波数微妙にずれてて録れてなかったのが大ショックでした。
「アンダンテ」のフルバージョンはいつ録れるのかなぁ・・・
(日曜日の「落語でデート」は1番のみだったので。)

追伸その2
最近、若手女優さんの新妻さん詣で、笹本さん詣で、がけっこう凄いです。
AKINAちゃんが新妻さんファンの東の横綱なら、西の横綱は音楽座ミュージカルの高野菜々さん。
TOKYO-FMの番組ゲスト第1号に新妻さんを呼んで、AKINAちゃんにも負けないファントークを繰り広げていました。

かたや高野さんは今年初のゲストに笹本さんが来てそっちでも興奮してたなぁ。
笹本さんは今の妹の大和田さんに「笹本玲奈さんってミュージカルオタクにはたまらない人じゃないですかぁ」(月刊ミュージカル12月号)って言われてたりする(笑)
あっちでもこっちでも賑やかですね。

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『ウーマン・イン・ホワイト』(5)

2010.1.17(Sun.) 13:00~16:15
青山劇場 1階XA列センターブロック

再演3回目は、青山劇場最前列。
この劇場の最前列は初めての体験ですが、舞台が高いので見切れまくります。
目の前に障害物がないので嬉しいのは嬉しいんですけど。

笹本玲奈さんが演じる舞台は、過去両手2回分を優に越すぐらいは見ているのですが、日ごとの調子のぶれが少ない彼女にあって、この日は史上最悪と言っていいコンディション。
念のためですが「出来」じゃなくて「コンディション」です。
いつもと変わらず凛として立ってます、マリアンとしてしっかりと。

最初の異変はパーシヴァル卿とフォスコ伯爵が訪れ、マリアンがフォスコ伯爵に話しかけるシーン。
マリアンなのに台詞噛みまして(「あなたの才能もお聞かせ、お聞かせ願いたいわ」)。台詞は危なっかしいところがある玲奈嬢ですが、ことマリアンでの台詞噛みは5回目で初めて聞きました。

あれっ?と思っていたら「All For Laura」でまさかの作詞。ラスト直前、「もう二度と苦しませない」が「もう二度と苦しめないわ」に変わって心臓飛び出るかと思いました。いい歌詞ですけどね、ちゃんと意味通ってるし。

前回「好きなシーン」に挙げた2幕、喪服を着たマリアンの「このままではいない」では勢い余って、頭に掛けていたベールが曲ラストで、はらりと落ちて。
ヒヤッとしましたが、さすがは笹本さんと言うべきか、右手を逆手にして、落ちてくるベールを掴まえて力強く握って歌いきる、という超絶な技を見せてくれました。
調子が決して良さそうに見えなかった分、この時の笹本マリアンの気迫といったら凄いものがありました。

もう一つ、この日のハプニングエピソード。
フォスコ宅に殴り込みに行って書類を見つけたマリアンが、とっさに背後に書類を隠すシーンがありますが、普段ならかなり後までフォスコに見えないようになっているのですが、この日はマリアンがしまうタイミングを秒単位未満遅れたがために書類をぐしゃっとする音は聞こえるわ、ほとんど書類は開いたままだわ、と「それじゃフォスコにバレバレじゃん」状態。

いつもと違う冷や汗でハラハラしました。自分の作品出演回全部を録音している笹本さん、この日のMD聞いて海の底まで落ち込みそうな感じです。

そういえば当blog、昨日付けの検索キーワード第3位が「ウーマン・イン・ホワイト もうサボテンじゃない」で腹の底から大爆笑させていただきました。

海の底と言えば、最前列から見た青山劇場の舞台は、ちょうど水平線のようで。
「All For Laura」でローラに懺悔したマリアンが、落ち込みまくったところから這い上がる感じが、水平線から顔を出す太陽のようで、ある意味印象的でした。

初演と再演を比べてつくづく思うのは、マリアンにかかる比重の重さ。

先述のように、結果的に神がかり的なシーンを含めて、再演ではマリアンの落ち着きが減じているように思えます。若返っているようにも思えます。
今回、共演者が一気に若返って、「同世代のメンバー」になったことで、玲奈嬢が「4人でいるとつい輪の中に入ってしまう。いかんいかん、私は36だと常に言い聞かせている」という発言に、悪い予感はしていたのです。

共演者が仲がいいのは、良いことだと思うし、ここまで役者さんのblogが普通になると、お互いがお互いの話を出すのは興味深くて嬉しかったりもしますが、こと今回の作品作りにはマイナスにならなければいいな・・・と危惧していたりしました。

実年齢24歳の笹本さんが、1回り上の36歳のマリアンを演じるのは、年齢差で言うと玲奈さん(24)が由美子さん(36)を演じるようなもの。
そこには並々ならぬ情熱と努力が要るはず。
それが初演で成し遂げられたからこそのあれだけの評価だったわけです。

ただ、そこには年上だった別所さんの存在がとてつもなく大きくて。
別所さんが笹本さんの年齢を引き上げていた要因が凄く強かったかと。
かつ、妹ローラを演じた神田沙也加さんも、良い意味で甘え上手だったんですね。

妹として姉を立てるローラと、(当初は恋愛感情がなくても、マリアンの)佇まいに一目置いていたハートライトの心配り。
笹本さんが月ミュインタビューで「2人に助けてもらった」と語っていましたが、まさにそうだったと思います。

ただでさえ曲も多い、出ずっぱりの主役であるマリアンが、再演では自分だけでなく周囲にまで気を取られ、かつ周囲は(悪気はないけど)マリアンの俗世間性を薄めるように存在しているように見えて。

端的に言ってしまうと、「キャスティングでマリアンの存在を薄める共演者を選びすぎた」ことが、再演版がしっくりこない一番の要因かと思うのです。

皆さん歌はお上手ですし非のつけどころはほとんどない。
だからこそ「隙のなさ」が感情移入を妨げている気がします。

マリアンの魅力が何って、ハイパー最強ヒロインの振りして、実は随所に隙がありまくりで、人間的に幅があるからだと思うんですね。
絵筆で描いたハートライトがラブラドールだったり、フォスコ疑ってたはずなのに睡眠薬(精神錯乱剤も混ざってるかも)入りのブランデーを易々と飲まされてみたり。
笹本さん本人もパンフで語ってますが、「失敗もするけどとても強く生きている」ところが彼女の魅力。それが、マリアンを一筋縄ではいかない存在にせしめているのだと思うのです。

再演版でそのマリアンの魅力を最も正しく理解しているのは、「もう一人の一筋縄ではいかない」人物である、フォスコ伯爵なわけで。
マリアンが語る、「フォスコの弱点はわかっているわ」の
説得力が初演比200%増しです(笑)
似たもの同士は弱点もよくわかるって話で。
初演よりずっとフォスコ→マリアンの軸が太いのは、フォスコがマリアンの本質に惚れているからだと思うのですね。だからこそマリアンの戸惑いも活きるというか、恋愛下手なところも含めてマリアンの個性を表現するのに一役買ってる。

ローラとハートライト、アンについて、今回何が気になるかというと、普段から仲がいいだけに「マリアンに一目置いている様子」が薄い点。
確かに笹本玲奈という女性は役で凄く化けるんですけど、初演版はそれにもまして「マリアンという存在を見上げている」ハートライトとローラの両輪が頑丈だったかと。別所さんは多分意識して笹本さんを支えていて、沙也加さんは多分無意識で笹本さんを支えていて。

 ハートライト→(意識して支える)→マリアン→(無条件で支える)→ローラ
 ローラ→(無意識で頼る)→マリアン→(半ば意識して頼る)→ハートライト

の関係がとにかく絶妙で、お互いがお互いを絶対に必要としていたからこそ強固だったのだと思うのです。

前々回、再演版を「高校生同士の恋愛」と書いたのですが、それは初演版で(存在として)「神」の位置にいたマリアンが、再演版だと「同じ人間」の位置にいて、他の登場人物から頭1つ出た存在でしかない、ということを痛切に感じたからで。

初演時、笹本さん自身「マリアンじゃなくてローラかと思った」そうですが、ある意味あのキャストであれば、マリアンは決して早すぎる役ではなかったと思いますが、今回、このキャストでマリアンをやるのは明らかに早すぎたと思います。
笹本さんは素晴らしい女優さんだけれど、まだ作品と共演者を引っ張るまでの力量は持ち得ていないと思います。今回、岡さんがいなかったらどうなっていたか、背筋が寒くなります。

この日の回で見せた笹本さんの異変は、本人も気づいていない「初演との違い」の現れのように見えて。周囲に何の悪気もないのに、結果的に「再演としてのプレッシャー」と違う点で、彼女を疲れさせているように思えたのです。

マリアンが無理して他の役に近づかない方がいい、ローラ演じる大和田さんも勘がいい人だから歩み寄ってくるのを待てばいい、そう思います。田代さんは歌は確かに抜群だし、歌えば気持ちも伝わってくる。でも演技では、他者との関係性に踏み込めてない感じがする。”懐に飛び込む”ではないけど、ローラを愛して、マリアンを立てれば空気が変わると思う。

この日のカーテンコール、3回目で岡さんが自ら笹本さんの隣から抜けて大和田さんを真隣に。
今期初の姉妹両並びが実現しましたが、会期最後までに、ローラ挟んでマリアン・ハートライトとか、ローラ挟んでマリアン・アンとか、実現したりしないのでしょうか。
そしてこの日はカーテンコールでのスタンディング。3回目で自然に皆が立って。
岡さんのblogでも触れられていました。今期初だそうです。

今期の「ウーマン・イン・ホワイト」、次の観劇は早くも東京千秋楽となる24日マチネ。「再演を見られて良かった」と思えるかどうか、あと1回を楽しみに待ちたいと思います。

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『ウーマン・イン・ホワイト』(4)

2010.1.15(Fri.) 13:30~16:45
青山劇場 2階E列上手側

再演WIW、まだ5回目上演なのに既に2回目観劇(笑)
トークショーに釣られて今月の休暇はこの日に決定。

前回の観劇からたった3日しか経っていないのですが、笹本さんの落ち着きが戻ってきました。このマリアン役では特に繊細に発揮される、感情表現の豊かさは当たり役と名付けるに相応しいものがあります。

前回見たときは、舞台上方にあるオケピが、指揮者・塩田さんの頭しか見えなかったのですが、2階席最後列から見ると、オケピの高さとそんなに変わらないので、同じ作品を見ているように思えません。
配置的には銀河劇場でオケを上に上げたときの印象に似ています。

今回からネタバレ発動です。ご注意くださいませ。






初演を見たときにマリアンの一番好きな曲は「All For Laura」だったのですが、今回の再演の好きなのは同じ音符で奏でられる2幕20場後半の「このままではいない」。

「All For Laura」は初演以降も「Jewel」複数回、山野イベント(註:サンタ姿)だけでなくCDでも何十回と聞いていて。
こっちもこっちで再演ならではの笹本さんの感情の苦しさが伝わってきて素晴らしいのですが、マリアンの「強さ」を改めて認識させるのは「このままではいない」の方かと。

自らの失敗でローラを苦しめたことはこの2曲の前シーンともに共通してはいます。

「All For Laura」では「(自らを)全て(ローラのために)捧げた『はず』よ」という歌詞に、「自分は100%ローラのために生きてきた」と言えない、マリアンの懺悔が含まれています。

「このままではいない」の前には、「All For Laura」でローラに全てを捧げることを心に決めたマリアンにとって、”痛恨の失敗”が存在しています。
その失敗を乗り越える、そのためのエネルギーが凄くて。
ローラのために生きてきたマリアンがローラを失ったとき、「諦めることをしなかった」からこそ、あの結末が導き出されたのだと。

「All For Laura」→「このままではいない」→「あの子のために」(ロンドンのハートライトの部屋でハートライトにすがる)→「これが私」と続くマリアンの気持ちの動きが、決して不自然でなく見せられているのはさすが笹本さんです。

ただ、前回も書いたのですが、初演に比べてちょっと弱いのは「マリアンがローラのためになぜそこまでするのか」というところ。
「支え合って2人生きてきた」のは確かにそうだろうけど、前回もあった、フォスコ伯爵がマリアンに投げかける、「あなたは影で生きるのですか」という言葉の方を強く感じてしまうのです。
ある意味、フォスコの誘惑が初演以上に強いので、マリアンがフォスコから逃げまくってる方が印象に残りまくりでして。

この辺はフォスコ伯爵が1幕からマリアン狙いまくり。ってのが影響しているように思えます。
岡さん→笹本さんの再演版を見てしまうと、上條さん→笹本さんって実はずいぶん淡泊だったんだなぁというのを今更ながらに思い出します。

初演はマリアンとハートライト、ローラの関係が絶妙だったのですが、再演はハートライトは歌は抜群なのに気持ちが伝わりにくいし、ローラは頑張ってるけど「努力賞」の域を抜け出ていないし、マリアンとフォスコの息の合いすぎた敵バトルが突出して良いんですよね。

そういえば、玲奈嬢がトークショーでいみじくも語ってた「同世代が多いのでOFFとONの切替が難しい」という感想はまさに暗喩的。

笹本さんと岡さんの芝居の呼吸って、笹本さん・井上芳雄さん間と同様に「何も言わなくても合っちゃう」レベルに達している(ように見える)ので、それと比べてもしょうがないのでしょうが。
OFFで垣根がなさ過ぎる分、「作品内で必死に距離を取ろうとしている」という話を聞くにつけ、この作品にこのキャストは、かえってハードルを高くしただけのような気がしています。

作品の感想はまた日曜日に見るのでそこでまた。

ということで、この日のトークショーです。

●トークショー(16:15~16:45)
この日の登壇者は笹本玲奈さん、岡幸二郎さん、和音美桜さん。司会は指揮者の塩田さんです。正直な本音を言っちゃうと塩田さんの司会ってあまり好きじゃない・・・
「こんな素晴らしい作品、キャストを相手に振ってる自分って凄いでしょ」が表に出すぎというか、そりゃ凄い人なのを否定するつもりはないんですけど。

○出会いは1回だけ
 塩田「岡さんと和音さんは初共演ですが、いかがですか」
 岡「会うシーンたった1回しかないんですよ」
 和音「注射打たれるところなんですよそれ(笑)」

○岡さんから質問です
 岡「サボテンのシーン、あれ初演からあんなに
    笑い起こってましたっけ」
 玲奈「あれはわりかし前から鉄板ネタですよ」
 塩田「初演で笑い待ちがこんな長かった記憶はないですよ(笑)」

○ここはロンドン
 玲奈「同世代が多いので、稽古場でのOFFからONへの切替が
     大変で」
 岡「そういえば玲奈、台詞がお友達モードにならなかったっけ」
 玲奈「(笑)『ハートライト、任せて!』と言うところを
    『だいじょーぶっ!』て言っちゃってめちゃくちゃ焦りました」
 岡「いつからここはミーマイになったんだと思いましたよ(笑)」

○いつもより大きい
 塩田「オケは出演者の前にいないから、
     久しぶりに(等身大の)皆さんの姿を見ました(笑)」
 岡「この作品の何が難しいってオケと合わせるのが、
     小さいディスプレイ越し」
 「ただでさえこの作品の曲、難しいのに」
 和音「音と歌声が合ってないと思ったら合ってたりしますね」

○24(22)歳で初めて
 玲奈「台詞で噛むことは(今まで)ありましたけど、
     歌で噛んだのはこの作品が初めてです」
 岡「音符凄い多いもんね」

・・・このメンバーにしては随分無難なトークショーというか、岡さんが思ったより弾けてくれなかったのでちょっと拍子抜けです。岡さん司会の方が絶対良かったのになぁ、ってこんなところで言ってもしょうがないんですが。

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『ウーマン・イン・ホワイト』(3)

2010.1.12(Tue.) 18:30~21:20
青山劇場 1階F列下手側

笹本さんの役で1、2を争う好きな役がこの『ウーマン・イン・ホワイト』のマリアン・ハルカム役。

当初、初日は平日ソワレということで回避したのですが、イープラスで舞台写真版チケットというモノについつい釣られてしまいました。
まぁ、ただのインクジェットで、光沢紙でさえありませんでしたが(爆)

2年半ぶりの再演、前回は日程の都合が付かずに2回しか見られなかったので、今回は倍の4回の予定。

そうは言ってもこの作品、音楽は最高なのですが、物語は1回見るとネタバレてしまう致命的な弱点を抱えてまして。文庫まで買ったけどストーリーはお世辞にも面白み満載とまでは言えないかな・・・

ただ、今回2年半振りに見て久し振りに思い出したことばかりでしたが。
「All For Laura」って1幕ラストじゃなかったんだ、とか。
かように人間の記憶はあてにならないものです。

今回、プリンシパルはマリアン役の笹本玲奈さん、フェアリー役の光枝明彦さん以外は総入れ替えで、かなり空気が変わっています。

一番化学変化が大きかったのが別所哲也さんから田代万里生さんに変わったハートライト役。初演の笹本さん&別所さんの年の差が醸し出す空気とはがらっと変わっていました。個人的に好みなのは初演かな。マリアンがちょっと背伸びした感じが好きだったので。マリアンも初演よりは圧倒的な存在感が心なし薄まった印象です。

その代わりにハートライト登場時に笹本マリアンが別所ハートライトに話しかけた「こんなお若い方」という腹筋のこらえどころがなくなったのは幸いです(苦笑)。

メイン4人が同年代(笹本さんだけ「(2つ)年下」)なだけあって、どことなく高校生の恋愛のような空気を感じます。

才色兼備な生徒会長が笹本マリアン、有能な補佐・副会長が田代ハートライト。書記が内気な大和田ローラで、会計が勝ち気な和音アン、みたいな(笑)
野心家のパク伯爵が校長で、策謀家の岡フォスコが教頭で、生徒会と全面対決みたいな(爆)

ま、余談はそれぐらいにして。

とにかく歌上手キャストを集めまくっただけあって、歌には隙がまるでありません。
「EVIL DEAD THE MUSICAL」以来2度目の大和田美帆さんがちょっと心配でしたが、十分に合格点だと思います。

ただ、これは相性の問題があるのでどうしようもないのですが、姉妹という組み合わせでは初演の笹本&沙也加に対抗できる空気はまだ出し切れていない感じ。初演の2人は理屈抜きで姉妹って感じでしたが、再演の2人は理屈で姉妹って印象。
実際のところローラとアンが似てるのは明らかに再演でして、マリアン・ローラは父が違う姉妹ですから、似てなくても不思議はないですが(2人とも母親に似たら、似てしまいますが)。

話を戻してしまいますと、笹本マリアンと田代ハートライトは同級生チック。
なので、別所ハートライト版の時に「フォスコに勝ち目はないぞ」と年上感を入れて励ます感じとは代わり、「フォスコに勝ち目はないな」と同士を励ます感じになって。ここは初演も再演も甲乙つけがたい、変わらないいいシーンになっています。

「女はね、やるときはやるのよ」は別所ハートライト版というか、どうも田代ハートライト版だと「私だってやるときはやるのよ」の方がしっくり来る感じがします。それだとマリアンにしては自虐的すぎる気もしますが、ローラのためなら何が何でも、がポリシーのマリアンならそれもありかなと。

キャスト変更で一番楽しみだったのはやはり、笹本マリアンが岡フォスコを誘惑するシーンです。
一部、「これタナボタ企画じゃないの?」と思ってしまったのは、終演後にも口に出しちゃいけないことなんだろうな、きっと。

マリアンがフォスコに「サボテン(ネタバレ→※サボテンとはヒゲのこと)を抜いていただけます?」とお願いした後、時を置かずして出てきて、綺麗にサボテンがなくなっていた(ネタバレ→※鬚が剃られていた)時に会場が大爆笑になったのは笑いました。
きっとそこ、本来は笑うところじゃないです。が、この舞台はミステリーなので笑う場所ここしかありませんけど。

個人的に笑ってしまったのは、これ初演からある台詞なのですが、パーシヴァル&フォスコの密談を誰かが聞いていたことに気づき、「あのすばしっこさはマリアンに違いない」とフォスコが断言するところ(笑)。

さすがすばしっこいものを捕まえることが趣味(としか思えない→ネズミ飼ってる)なフォスコ伯爵らしい目の付け所です。

ともあれ、笹本マリアンが岡フォスコの誘惑シーンから対決シーンに移行してからというもの、「ルドルフ」で痺れたとおりの出来。
まさに他人を射貫く笹本マリアンのあの視線を正面から受け止めるシーンはある意味後半の白眉です。

騙され、最愛の妹を苦しめることになってしまった自らの不甲斐なさをも、全てパワーに変えたあの視線の威力は、初演の上條さんに対してよりもずっと、再演の岡さん演じているフォスコに対しての方が強いように思われました。

ある意味、いつも一緒に演じている役者に「裏切られた」ように客から見えてしまうからかもしれません。ちょっとした本末転倒ではあるんですけれども。

今回、東京の会期が2週間弱ということもあり、4回見ようとすると平日まで休んだ上に今週は3回も見るというちょっとしたハードローテーションです。
物販ではパンフレット(1800円)が、久しぶりに見た「役者他からの応援メッセージ版」(地下1階に降りていく階段に内容サンプルが貼られています)。
各メンバーへの応援メッセージは以下の通りです。

笹本玲奈さん(←内野聖陽さん)
田代万里生さん(←安蘭けいさん)
大和田美帆さん(←河原雅彦さん)
岡幸二郎さん(←G2さん)
和音美桜さん(←彩乃かなみさん)
パク・トンハさん(←石丸幹二さん)
光枝明彦さん(←大澄賢也さん)

ちなみに内野さん→笹本さんが内容的に面白すぎます。

初日現在ではパンフレット購入者特典として、田代さんが渋谷でWIWのプレイベントやったときの笹本さんCD(All For Laura、On My Own、命をあげようの3曲を「Jewel」から音源抜き出したもの)をプレゼントしていました。

カーテンコールは4回で、3回目に笹本さんと、笹本さんからの無茶振りで「新加入メンバーを代表して」田代さんがご挨拶。

笹本さん
「ご観劇いただきありがとうございます。新たなメンバーを迎えて、個性的なキャストとなっております(会場内笑い・・・笑われて焦る玲奈嬢)。キャストスタッフ一同24日まで一丸となって頑張っていきます。それでは、新加入のメンバーを代表しまして田代さんから」

田代さん
「(振られるとは思っていなかったらしく狼狽しまくり)僕自身この作品がミュージカル3作品になるんですけど。

・・・と、ここで会場内の微妙な空気に一瞬戸惑って笹本さんに助けを求めると・・・

『どうぞ言ってください』と両手広げて堂々の座長OKを出す笹本さん。
さすが、れなぞう(パンフ参照)。

この作品が最高傑作です!(←それ言って大丈夫なの?)
今月青山劇場でやっております。僕も毎日ここにいます(会場内笑い)。またいらしてください」

・・・田代さんまで天然?
たしか笹本さんが天然キャラだったはずなんだけどなぁ。
立場は人を変えるのね。

でも笹本さん、座長の責任を背負いすぎというか、初演比で周囲を見すぎで落ち着きなくなっちゃってる気がするのはちょっぴり心配。軌道修正上手な人なので、軽く心配、程度ですが。

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