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『アンダンテ~稲の旋律~』(1)

2009/12/11(fri.) 10:30~12:40
有楽町・朝日ホール 2列目上手側

完成記念有料試写会に、新妻FC枠で参加。

この日は平日昼間、午前中と午後に試写会ということで、よくある「夕方18時30分開始」の類の試写会と時間が違って、予想通りというか客層がまるで違う。
基本的にシニアの方、ご夫婦など年齢層が高め。

最近、芝居関係だと販促の嵐というか平日にごろごろイベントが入ってきますが、さすがに行きたい物全部行ってたら、財布も仕事も問題ありすぎってことで、月1回が休暇というペースにしてます。
今月はこの試写会を休暇日に決め、雨の降りしきる中、有楽町へ。

この作品の主演、新妻聖子さんは舞台挨拶の後、徒歩5分のル・テアトル銀座の「nine the musical」の初日ということで、この日は試写も見られなかったようで、売れっ子は辛いですね(公演は13日に見る予定)。

この日は試写会ということで開始前に出演者メインどころから6名。原作者の旭爪あかねさん、ロケ地の千葉県横芝光町町長氏、そして監督、プロデューサー。でここに司会もいるので11人が登壇。

新妻さんのみ青色のドレスで、他の方は期せずして皆黒系統。

「トークの達人」新妻さんはこの日はさすがに緊張していたようで、今までから想像つかないほど緊張しているのが丸わかり。無難に無難に挨拶。

「いつもの舞台のお芝居と違うので、毎日が緊張で、監督さんに手を取り足を取り教えてもらった」とのこと。実際に映っている映像を見てもわかるぐらいですから相当なもの。

隣におわすは、新妻さんとは「ミス・サイゴン」で共演経験のある筧利夫さん。
が、今回はその話はあえてかどうか触れず、いつものキャラで暴走しまくります。
両隣の新妻さんと秋本奈緒美さんが噴き出すのをこらえているのがかえって面白かったりする(笑)。

ちなみに監督さんが苦労談を問われて曰く、「天気と筧さん以外は順調でした(笑)」という話だそうで。「筧さん言うこと聞いてくれないんだもん」と冗談まじりにおっしゃっていました。(監督さんと筧さんは同じ大阪芸術大学の出身。ちなみに新感線の古田新太さんもここの大学出身です)

「『農業は非効率です。』って筧さん演じる農業家さんが言うシーンがあるのですが、『映画ってなんて非効率なんだろう』と思った」と言って笑いを誘ってみたりします。

存在感と笑いを持っていったのは松方弘樹さん。
「50年近く役者やってると、『あっ』って指を指されることの方が多いんで、海とか山とか、自然の中にいるとほっとしますね」と。で、「いつもは漁師をやってますが、今回は農業をやってます」ってくだりが最強です。

意外にキャラが立ってたのがロケ地・横芝光町町長の佐藤町長。映画の中にも出演されているそうですが(実は見つけられませんでしたが)、映像の中の横芝光町の空気を体現されているような感じで、地元の全面協力という言葉がお題目に聞こえない印象でした。

ちなみに横芝光町がロケ地になったのは、原作者の旭爪さんが農業体験をしたのがこの町だったからだそうです。

ただ、列車だけは同じ千葉県の小湊鐵道を使っており、映画で横芝光町駅となっている駅は、上総鶴舞駅(市原市)が使われています。2日間だけ実際に営業しながら駅名を変えて撮影したんだそうで、列車に乗っていたお客さんは何が何だか分からなかったとか。新妻さん、顔知られてるわけじゃないからなぁ(先日NHKの「歌謡コンサート」に出たから多少顔と名前は知られたかも)。→参考リンク

稲を相手にするわけですから撮影は1年がかりで、今年5月から10月まで。新妻さんが主演に起用されるのが決まってからも、正直ここのところの経済情勢でちゃんと映画が見られないかもと心配していたので、とりあえず上映にはこぎつけられたようで何よりです。

ストーリーは新妻さん演じる主人公・藪崎千華がひきこもりから農業と出会って再生していくまでの物語。千華を受け止める農業家・広瀬晋平役が筧利夫さん。千華の元同僚(というか恐らく先輩)にあたる女性・堀川逸子役に秋本奈緒美さん。晋平の農業の師匠にあたる農業家が松方弘樹さん。とこの4人がメインとキーパーソンということになります。

映画初出演で初主演の新妻さんですが、千華の役作りは「自分の中にある千華らしい部分を表現するようにした」と舞台挨拶で話していたのですが。

基本的に彼女は能動的というか陽気というか、苦労とか悩みとかをあんまり表に出さないタイプの人なので、「そんな私にも悩みはある」という側面で切り取った新妻さん、という意味で、今まで見慣れた彼女のはずなのに、ずいぶん違ったように見えました。
引き籠もってたところはなんか貞子みたいだったし(爆)。

いやーしかし千華が荒れまくるシーン、あれ撮り直しあったら大変だろうな・・・(場面の詳細はネタバレのため省略)。

千華が農業と向き合って再生していく・・・というストーリーが直線的に続くとちょっと飽きちゃうかもな、と思っていたのですがそこはそれ。ちゃんと一ひねりしてあって、ヒロインたるもの悩まずに終われるわけはありません(笑)。

遠目に、いじらしく、諦めたかのように晋平を見つめる感じが良い表情だったなぁ。

最後のシーン、千華が自らのハードルを跳び越えて田圃の中(!)のピアノを弾くシーン。「あの千華がこんなに立派になって。」と母親役の方の気持ちが分かるような気がします。

そして最後のシーンから主題歌のシーンに移行してからが新妻さんの真骨頂。
本編95分を力業でねじ伏せる姉妹初の共作。主題歌、「アンダンテ~稲の旋律~」。
作曲が実のお姉さん、新妻由佳子さん。作詞は新妻さん本人。
主題歌をコンペしたら姉も応募してて、皆が気に入ってこれになったそうです。

本人いわく「姉による妹いじめじゃないか(笑)」とFCイベントで言っていた、超絶スコア。この曲をまともに歌える歌手なんてそうそういないと実感です。
FCイベントで生で聞いて今回2回目(歌の途中で「え、まだ上の音階行くの?」と思ったらマジに上まで行って仰天した)。
姉と妹の無条件の信頼というかが伝わってくる曲なんですね。
姉も妹の力量と魅力をきちんと理解しているし、妹も姉の思いをきちんと受け止めている感じで。

新妻さんの歌詞も良いんですよ。イベントで英語曲に日本語詞を付けるのが彼女の得意技ですが、今回は何しろ千華が歌詞書いてるような感じですからね。

「思うようには生きてゆけない」って歌詞がいちばん好きかな。
昔の新妻さんだとここを全力で歌ってたと思うけど、彼女の歌い方もデビュー時に比べると随分変わりましたからね。抑揚で転回させるのが実に上手になりました。テクニックっぽさが減ったのは、余裕が出来たからなのでしょう。

本編の千華ちゃんは自分に自信がもてない少女だったわけですが、ピアノと自分なりに向き合うことを決めたことで一つハードルを越えて、そして最後に歌い上げるところが、新妻さんではなくて千華ちゃんの「乗り越えた喜び」を表現しているかのようで、ものすごく印象的でした。

最後の主題歌が新妻さんじゃなかったら、映画本編の感想もかなり違ったかもしれない、と思うほどに千華ちゃんPVの主題歌の威力は絶大でした。

さすが歌姫。

この映画は単館上映型の作品で、最終的には全都道府県での上映を目標としているとのことで、東京は1月23日から2月12日まで、東中野のミニシアター、ポレポレ東中野で上映されます。(横芝光町では1月中旬から上映、以後全国各都道府県上映)→作品公式

最後のシーンを見にまた行こうかな。

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