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『バンデラスと憂鬱な珈琲』(3)

2009.11.9(Tue.) 19:00~20:45
世田谷パブリックシアター 1階補助席

会社をダッシュで抜け出し、向かいましたる三軒茶屋。
世田谷パブリックシアターがあるキャロットタワー3階に着いたのは、18時ちょうど。
前には5人の列。何とか当日券にセーフです。

すでに2回観劇、会期中にもう2回の観劇を予定しているというのに、あぁ悪い癖。前売りが完売なので、当日券がダメだとショックが大きくなりそう。
一かばちかで挑んだ最短ルートアクセスに勝利っ。

というわけでそうとう浮かれてますが(爆)この作品、色んな意味で飽きがきません。時間が経つのがあっと言う間です。

2日目の3日に観劇して以来、ちょうど1週間ぶりのこの日。

そしてネタバレいっぱいです。ちょーご注意くださいませ。。




開演前の注意アナウンスは高橋由美子さんが担当。ちょっと前にNHKでナレーションもやった彼女ですが、どちらかといえば上擦るか沈むかがいつもなのに、とてもリラックスモードな様子に期待がもてます。そんな見方してるのここで1人だけでしょうが。

このお芝居、7人の役者で51役を演じています。
単純に比較しても別に意味はないのですが、先日見た、「レ・ミゼラブル」が、主役(ジャン・バルジャン)以外全員が複数役をやる舞台ですが、28人で約70役。
それを考えると、7人51役ってもはや別世界です(笑)

3回見たこともあって、役毎に登場場面を思い出してレミゼを見習って香盤表(笑)を作ってみたのですが、役者が役名を名乗ってるとも限らないので、名前と場面がつながらないつながらない。

バンデラスとかダズラー元帥とか、間違いなく発音できないけどシフラスタフスキー大統領とかその辺はインパクトで擦り込みされてるんですけど。

役者さんごとに振り返ってみます。

●堤真一さん/全4役・登場9シーン
もっとも登場場所がわかりやすいのが堤さんです。主役だから当たり前ですね。
バンデラスは全役中最多の6シーンに登場します。

バグス大佐の「鬼軍曹」と言われながら乗せられて「パーティ、パーティ」って踊るところが最強にツボです。
ネフチェンコが難易度高。ACT6「ロシアの秘密研究所」の頭にょき研究員氏です。

そして最後のシーン、新感線の罰ゲームでもないのに堤さんが歌うとな。
ネット上の衝撃、気持ちはよく分かります。

●高橋克実さん/全11役・登場12シーン
役数最多、登場シーンもいちばん多い役者は実は堤さんではなく克実さん。
ま、堤さん演じるバンデラスを狙ってる男A、男B、男Cというのも3役で計算してますけど(笑)。

引き金引いたダズナー元帥と、ロシア大使のキニスキーを両方やってるってのも、狙ってるんでしょうが普通で考えるとありえないですよね。むろん、それが面白いんですが。

●小池栄子さん/全9役・登場12シーン
登場シーンは克実さんと同じ12シーンですが、役としてのインパクトの平均で行けば彼女は突出しています。

インパクトが薄いのは大統領夫人・ジェーンぐらい(それでも「ぎっちょんぎっちょん」はかなり秀逸)で、他はキャシーの「ロボットのマネしますから」も、女性駅員の「イケメンよりつけ麺よ、だじゃれじゃないからね」も、ベティの「泣きながらパン食い」も、超スタールのベロニカの「きゃしゃーん(他に擬音思いつかず。爆)」とインパクトの嵐です。

難易度ではスーザンとマリア。前者はバーのお客(振られた女)、後者は某SP(こら)を取り囲む旅芸人集団の一員です。

●村杉蝉之介さん/全7役・登場11シーン
基本的に飛び道具で使われるキャラクターの村杉さん。
インパクトでは、絶対に正しく名前を呼んでもらえないシフラスタフスキー大統領が筆頭でしょうか。Mr.ビーン(役名は「執事」)も笑いが起こってます。

難易度ではトガシです。最初さっぱり分かりませんでした。パンフレットの役名紹介が登場順だったので、チーズ副操縦士(Act9/鬼軍曹)と執事(Act12/絶体絶命)の間ということで、こちらも旅芸人集団の一員です。(「それ面白いですかねぇ」とか座長に突っ込んでる役)

●中村倫也さん/全7役・登場10シーン
登場シーンは他の人に比べてちょっとだけ少ないのですが、何気にこの芝居をしっかり支えているのは彼かもしれません。バンデラスと首脳陣を結ぶオーエンは意外なことにやり手に見えます。

役としてツボなのは意外にジャック(Act5/ジャック&ベティ)。
あの車の痴話喧嘩の暴力振るう彼なのですが、年齢がぴったり役にあっているせいか、ありえないほどのリアリティです。

トニー操縦士から空軍兵士へ、舞台上での早替えは印象的。超効率的に早替えして次シーンへ進みます。

●段田安則さん/全6役・登場9シーン
大統領があるので役数が少ないのですが、サノバチェフ博士の「うぃーん」が妙にツボです(笑)。
全役者中、最後までmy香盤表が埋まらなかったオマリーとダニー。
前者が旅芸人集団(Act10/列車での出来事)、後者がバンデラスに銃を突きつける、50歳にして中学生の役のオーディションを受ける男(Act12/絶体絶命)です。

浮気が確定的になり、由美子さんが演じるベーカー国務長官が「夫人の浮気」を宣言した後の呆然とした大統領の感じもなかなか味があります。
このシーン、この日の由美子さんは溜めに溜めまくって「うっ、うっ、うわきっ、していますっ」って感じの直立不動コントでした。

●高橋由美子さん/全7役・登場11シーン
まず、極めて不本意ながら、まず最初に何たることか由美子さん演じる役のうち、ナンシーとマチルダの区別が付きませんでした。
ちなみに前者がめぞん一刻の朱美さん、もとい場末のママさん。
後者が実年齢物ともせず女子高生(vsバグス大佐)です。

そこ以外は由美子さんの場合はわかりやすいです。

ベーカー国務長官はバンデラス以外の役としては最多の5シーン(2/3/7/11/13)に登場するやり手(村杉君演じるフレディ国防長官も5シーン)。

いきなりの指令で戸惑うバンデラスを説き伏せる役目がベーカー国務長官ですが、そういえば8年前、由美子さんが美泥で堤さんが野獣郎だったときは、

 美泥「可愛いねーちゃんの言うことは何でも聞くんじゃなかったの?」
 野獣郎「問答無用ってか!」

でしたそういえば。

今回も反論を許さないところは同じですが、完全な理詰め説得で説き伏せています。
大人の関係ですか。
かつ、政府内では大統領の次の第二順位なんでしょう、国務長官。

老婆もこれまた実年齢感じさせない(爆)おばあさん。このシーン、笑いがきちんと入るんです。確かに、こういうおばあさんよくいます。駅よりむしろ郵便局でよく見かけます。

女忍者オイチはよろけ方が初日・2日目に比べてますます年期が入ってきまして、客席から拍手が起こるほど。なんですかあの頼りげのなさと来たら、愛玩キャラったらありゃしないです。「いつもより多くよろけております」状態でした。

この日は、バンデラスを見捨てていなくなるところで、初日・2日目にあった「仕える方が見つかりました」と言ってからドロンする、その台詞がなくなってました。

なぜなら直前にいなくなる通称・Mr.ビーン氏が奇声上げて上手に消えてって、客席・舞台含めて笑いが止まらなかったんで、時間節約で由美子さんが台詞すっ飛ばしました。
結果、あえてすっ飛ばしてオイチが右往左往して、かえって面白いシーンになってました。

マクベス夫人はバンデラスいわく血の匂いが足りないらしいですが(というかその時点では座長の妻)、最後のマクベスミュージカルシーンでの白いドレス、とても良いです。

今回、嬉しかったのは由美子さんに「白」を着せてくれたことですね。
ポスターでも白が基調ですが、より若く躍動的に見えますし。

ここ、テイストが限りなく新感線の「花の紅天狗」のラストシーンです。

由美子さんはここのシーンで、わずか2小節、合わせて10秒ほどのリードボーカルポジションをばっちりと決めてくれます。入り方がとてつもなく難しい歌い出しですけど、さすがはミュージカルで培った音程取りの名手で、それに続く皆さんも随分歌いやすそうな感じです。それにちょうど背がいちばん小さいので列のいちばん前というのがしっくりきます。中央で見たかったなぁ、図式綺麗だろうなぁ。

あとAct8「ダイナー」でのローラースケートのママさん・ナンシー。
日に日にローラースケートで舞台下手側に走る距離が長くなっております。
そろそろ舞台下に落ちそうで、堤さんよろしくお願いします。


・・・と、そんなつらつら書いてきたお芝居、次は16日ソワレです。
座席表見る限りは後方とはいえ中央みたいで、ラストの楽しみ大です。

今日最後の余談。

今回のお芝居、

『バンデラスと現実逃避な珈琲』

な気がしましたが気のせいですか。

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コメント

レポ楽しく読ませてもらってます。
というか観劇予定えらく増えてませんか^^

内容に直接関係ないかもしれませんが
由美子さんのブログ読んでいて気になったことについて
少し伺ってみたいと思って。

これまで由美子さんがやってきた芝居で
一生懸命演じることそれ自体が面白いっていうのはそれこそいくらでもあって
個人的にはコメディエンヌというのはそれで十分なのかなと思っていました。
今回は意識的に笑いをとりに行くというスタンスのようですが
根本的に何がどう違うんだと思いますか。
臨機応変の程度か、それともイニシアティブの所在の問題か…

一見厳然とした区別があるようであり
おそらく由美子さんもそれを肌で感じてのことだろうとは思う一方
そのような感覚自体が、本人言うところの「頭でっかち」のような気もしていて。

投稿: pausa | 2009/11/15 00:15

こんばんわ。
あと3回見る予定です(^^;)

確かに昨日の由美子さんの発言は、色々な意味で興味深いものがありました。

今まで彼女が出た舞台は作品数にして20作超、回数にして1000回を超えていますが、いわゆるコメディに属する作品はものすごく少なく、作品がコメディだった「GOLF THE MUSICAL」でさえ、由美子さんの役は”笑わないことで笑わせる”という、いわば由美子さんの真面目さを逆手に取った役柄でした(ちなみにこの時も、本人は「コメディは瞬発力が必要で、四苦八苦している」とインタビューで言っていました)。

今回の舞台と今までの舞台の差として感じるのは、「笑わせることについて能動的」なことじゃないかと。他の役者さんに対しての演出家さんの指示が、「自分が面白いと思う風にいじってね」と言われてるようにしか思えない、最近のフリーダムさなのです(村杉さんが特に暴走中)。

基本的には由美子さんは”受け”の女優さんじゃないかと思っています。どちらかといえば「ここまでが限界」というのを見えないように巧みに作るタイプの役者さん。
その限界を巧みに破らせようとしているように見える今回の演出家さんとプロデューサーさんに、感謝していたりします。

由美子さんも今年から再出発するにあたって、どこかに「今までの限界」を見たんじゃないかと思うんです。迷ったり悩んだりするのは、どこかに「今までの自分のウィークポイント」が投影されているからではないかなと思えます。(個人的には、「全てを緻密に考えて作り上げる」ところが魅力でもあり、大化け出来ない一つの要因でもあると感じています。その長所でもあり短所が、この舞台では重荷になっているのではないかと感じています。)

投稿: ひろき | 2009/11/15 02:15

お答えありがとうございました。

>どちらかといえば「ここまでが限界」というのを
>見えないように巧みに作るタイプの役者さん。

というあたりがなるほどな感じです。
確かに舞台の外から見ているもうひとりの自分による抑制が
かなり強いタイプに見えますね昔から。
もちろんそれが長所にもなってるんですが。

今年はいろんな挑戦がありましたけど
おそらく由美子さんが思っている以上に何をやっても許される、
むしろみんなもそれを期待していることを
頭の片隅にでもとどめておいてくれるといいなと思っています。

投稿: pausa | 2009/11/17 07:22

アナウンスが由美子さんだったとはこちらを読むまで全く気付きませんでした(汗)
つまり千秋楽後に知ったということです。
ばぁかもにょぉぉぉ!
やだやだやだやだ〜と言ったところでWOWOWではそこんとこ放映してくれないでしょうね…。

> 「仕える方が見つかりました」

これ言ってましたね!
完全に失念していましたがバンデラスフリークとしては思い出せて嬉しいです!
ありがとうございました!

投稿: がら | 2009/12/06 19:35

がらさん>

えっ、お気づきじゃなかったですか(びっくり)。

確かに由美子さんファンの中でも初見では気づかない人もいたぐらいですから無理はないです。いつもよりずっと落ち着いたアナウンスでしたので。

自分は初日のアナウンス第一声を聞いて、「由美子さんの声だけどやけに緊張してない声だな」と、そこでこの舞台の出来(リラックス具合)に安心したクチなので。

「仕える方が見つかりました」がなくなったのは特に印象的です。

シーンの説明としては必要な台詞なのですが、台詞が吹っ飛んだらそっちの方が面白くて定着しちゃった、というのはいかにもバンデラスらしいエピソードだったかと思います。

投稿: ひろき | 2009/12/07 00:00

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