2009.7.26(Sun.) 17:00~18:55 シアタークリエ4列目下手側
2009年7月はこの時のために生きてきました。
35年生きてきて、恐らく一番沢山のことがあった2009年7月。
個人的なことなので詳細は差し控えますが、2009年7月26日午前0時30分に、何とか仕事を終わらせて会社を出たとき、「もう自分のやることはこの日夕方にクリエに行くことだけだ」・・・と冗談抜きで思いました(笑)
1日だけのライブですので、ネタバレも何もなしで突っ走ります。
読むのが面倒な方はスルーしてください。
【セットリスト】
1. PEACE BOMBER(アルバム「PEACE!」M1)
2. Good Love(シングル10th)
3. コートダジュールで逢いましょう(シングル7th)
4. yell(シングル12th)
5. すき…でもすき(シングル17th)
6. 夢やぶれて(ミュージカル「レ・ミゼラブル」より、ファンテーヌ役)
7. オンマイオウン(ミュージカル「レ・ミゼラブル」より、エポニーヌ役)
8. やさしい悪魔
(ドラマ「ちょっぴりセクシーガール」より、アイドル歌手・星沢ミカ役)
9. 涙そうそう(堀越同級生・夏川りみさんの曲)
10. ETUDE(アルバム「Prelude」M3)
11. 夏の約束(アルバム「PEACE!」M6)
12. シングルメドレー
Fight!(シングル2nd)~
笑顔の魔法(シングル3rd)~
Good-bye Tears(シングル14th)~
元気!元気!元気!(シングル5th)~
はじまりはいま(シングル11th)~
だいすき(シングル9th)~
と・き・め・き(シングル4th)~
アチチッチ(シングル8th)
13. Step By Step(デビューシングル)
~アンコール~
14. 瑠璃色の地球(松田聖子さん)
15. 友達でいいから(シングル13th)
※シングルメドレーは一部記憶が飛んでます。記憶違いのご指摘、歓迎します(笑)。
今回の衣装は4着。オレンジ色のドレスでM1~M5。
ここから白のドレスでM6~M11。
アイドル時代を彷彿とさせる黄色のヒマワリつけまくり衣装(※)でM12~M13。
この日唯一のライブグッズとなったライブTシャツを着て、M14~M15。
(※)友人が作ってくれたそう。器用だ。ちなみに本人は「アイドルぽい衣装で」とだけオーダーしたらこれで上がってきた。照れて「どんだけヒマワリ付けてるんじゃ」って感じですねと関西弁で。ちなみに1stライブの「Promotion」のDVD版の裏ジャケットの衣装とほぼ同じ。
アイドル衣装のM12~M13はアラフォー(本人談)なのにばっちり決まってるのに、ドレスを着るとサマにならないのは、ちょっとした謎。
まぁ、基本小さいですからね。
ま、そんな贔屓に対する暴言はともかく・・・
セットリストだけ見ると物足りなさを感じるかもしれませんが、ここに入り込むMCがとても長かったりしまして・・・由美子さんの体力回復のための時間なのかもしれませんが、緊張から逃げるためなのかとてつもなく饒舌。そしてなぜか抜群に面白い。
何しろ、客いじりの上手さではアイドル時代に右に出る人がいませんでしたからね。
デビューした年の早稲田祭で司会の大学生のgdgdさに呆れて、手を挙げて司会を代わった前歴もあるし、かの昔、日テレでエース中のエース女子アナだった永井美奈子さんをやり込めたことのある人は高橋由美子さんと早坂好恵さんだけでしたし。
●同窓会みたいだね
アイドル時代のことを無理に揶揄することもなく、いい思い出であるかのように語ってくれたスタンスは、終演直前に由美子さんが言った「同窓会みたいだね。」って言葉に見事に集約されています。
「ライブでもやりたいね」と軽口叩いたら、なぜか「ライブやりませんか」って話になったと。
「軽く言うけど、大変なんですから!」と言った後、とにかくひたすら悩んで、阿修羅展を見て気持ちに区切りが付いた、とは本人がblogで書いていた話。
「仏像を見て、自分が『偶像』(アイドル)として見られていたことに気づいて。望んでくれる人のためにも、やらなきゃいけない、これは使命だと思った」
というコメントは、ライブの発表があった日本テレビ系「思いっきりDON!」でも語っていた話なのですが、この日のライブでもこの話は出まして。
一度決めたら梃子でも動かない彼女が、なぜ気持ちを動かされたのか、この話がないと意外と納得できないものがあったかもしれません。
だからといってライブとなればそりゃ嬉しいのですが、「納得してやった」ライブだからこそ、ありがたさもひとしおだったのかもしれません。
それにもまして感動だったのはこの日の彼女のMC。
「リハーサル中、ずっとネガティブだったけど、お客さんを前にして、『お客さんと一緒にライブは作っていくんだな』ということが実感できて、本当にお客さんに感謝。」と言ってくれたこと。
悪い言い方をすれば独立独歩、そういった気持ちを表に出さないことが由美子さんの強がりだと思っていたから、もはや由美子さんはそういう人、という納得をしていただけに、「人はみんな誰かに支えられて、誰かを支えている」という言葉も聞けたことが、何より嬉しかったかな。
もともとそういう人だったからこそ、芸能界で20年も過ごしてこれていることはわかってはいるけれど、照れ屋だからかそういうことをいつも言いませんからね。強がって生きてきた彼女が、「同窓会」だからこそ、そんな弱いところも本音も、全部出してくれたのが何より嬉しく思えて。
10年ぶりにライブをすることの意味を何よりも分かっていたのは、やはり由美子さんご本人だったのかもしれません。
●歌は流石の一言
歌はもともと心配していませんでしたが、かえって本人の歌に苦戦しているという皮肉。
本人、「意外に自分の曲が難しい。キーも高いし。機械で調整されてたかも知れませんが(笑)、昔の高橋由美子はずいぶん努力していたんだなぁ。別に今努力していないって訳ではないですけど。」とお得意の自虐モードで笑いに持って行っていたんですが、いやーMCが走りまくってます。
「心配なのよ。多分見ないでも済むと思うんだけどね。」と言い訳しながら、歌詞台を持ってくる
21世紀最初の元アイドル、そろそろアラフォー(笑)。
歌詞台はほとんど利用されませんでしたが、見ないで済むと思った最後の「友達でいいから」で派手に歌詞を間違えてました。この曲は実は「みんなも歌ってね」と言っていたのですが、歌い終わったときの言い訳が「一緒に歌ってくれないから間違えたじゃん!(笑)」
さすが姫。言い訳も堂が入ってますがな。
歌として一番良かったのは、本人お気に入りの他人曲、松田聖子さんの「瑠璃色の地球」かな。「夜明けの来ない夜はないわ」という歌詞がとても意味深。アイドル時代に落ち込んだときにいつも励まされていた曲。今でも明け方(本人言葉を濁していたが、夜明けと思われる)にカラオケで歌う(爆)。
上から振ってくる銀色の紙吹雪がとても綺麗。
「お金かかってますね」(笑)
幻の高橋エポニーヌもまさに「一夜限り」に相応しいもの。5年ぶりに高橋ファンテーヌの「夢やぶれて」を聞けただけでも感動だったのに、「オーディションで一度だけ歌った曲」という前振りがあって聞けた「オンマイオウン」は堅さこそ見られたものの堂々たるもの。
これはエポニーヌとファンテーヌで迷っただろうな。どっちも甲乙つけがたい。
2003年レミゼといえばファンテーヌで受けた新妻聖子さんがエポニーヌになり、エポニーヌで受けた高橋由美子さんがファンテーヌになったということなら、多分決め手は年齢だけだったんだろうな・・・
このレミゼ絡みの2曲は、狭いシアタークリエとはいえ、マイクを使わずに完全に生歌。
本人の意向なのか、スタッフの構成ゆえかわかりませんが、前者ならここを生歌にしたのは舞台女優、ミュージカル女優としてのプライドの故かなと思います。
東宝芸能所属になったとはいえ、今にでも復活できそうな高橋ファンテーヌが復活しないのはどんな事情なのかわかりませんが、ファンテーヌももしかすると本当にレア物なのかも。
アイドル曲はといえば、振りを思い出すのが大変そうです(笑)。
そこかしこに年齢相応な面が顔を覗かせる(それを全く隠そうとしない彼女にはさすが漢と思うことしきり)のですが、歌えば往年の歌唱力を上回るすばらしさ。
芝居小屋としては色々言われるシアタークリエですが、新しい劇場なだけに何しろ音響だけは素晴らしくいいので、とにかく音が響き渡ります。
とはいえ本人が言う「自分の曲は意外に難しい」というのは、恐らく「自分の曲は意外に自分のキーに合ってない」ってことじゃないかと思います。
由美子さんの得意な音域はアルト域で、よくよく振り返ってみると音域がかなり限定されます。
ところが、あの当時、ほぼ唯一の「正統派アイドル」に歌わせたい、と作り手が思う曲がかなりの部分、由美子さんに集中していたのではないかと思います。
由美子さんが歌える曲というより、由美子さんに歌ってもらいたい曲が集中する状況。
そう考えてみると、彼女が「意外に難しい」と言ったことと符合するような気がします。
そんなことを言ったところで、15年前とか10年前の曲が、歌声だけパワーアップさせて聞けるのは至福の喜びであることには変わりはありません。「ETUDE」とか最高。すべての偶然に感謝。
また、今回、歌については構成の勝利だと思います。
アイドル時代の曲に偏りすぎているということもありません。
本人、「全部歌ったら1日じゃ終わらない」(ちなみに持ち曲は113曲+バージョン違い4曲、1曲5分で10時間近くかかります)こともあってほぼシングル曲に絞り、残念な部分も残りはしますが、アイドルから舞台女優になるまでずっと見続けてきた自分だから思うのかも知れませんが、バランスが良いです。
ミュージカル曲もきっちり2曲入っています。
このミュージカルも言われてみればとは良いながらも、意外な選曲で。
サイゴンでエレンとキムを1曲ずつ歌ったりしたらあらゆる意味で問題ありすぎなんだろうけど
(↑どっちの曲もハード、それ自体いじめみたいなもん)。
そして自分以外の曲も意味がある選曲。
堀越の同級生だった夏川りみちゃんとの話も印象的。
『ポップスを歌っていたときからクラスみんなで応援していて、CDも買ってた。
一度沖縄に帰っちゃったけど、東京に戻ってきて「由美子ちゃんと同じビクターに決まったよ」って電話をくれて。
あれよあれよと思った間にミリオンヒットになって紅白に出て。
紅白を見ながらみんな電話して「これから出るよ~」て言ってみんな泣いてて。』
そんな思い出を話してくれたのですが。
そのエピソードを聞いてて、色んな意味で複雑で、色んな意味で感動。
由美子さん自身、1994年に紅白出場のチャンスを逃しており(本人が今年初めて語ったところでは、「最終的には民放ドラマの主題歌だったことが落選の理由」とのこと)、それでも友人の紅白を涙を流しながら祝えるというのが凄いなぁと。
しかもこの1994年、今と違って紅白ポップス出場枠が少なかった最後の1枠を競い、敗れた相手が、篠原涼子さん(ストリートファイター2「愛しさと切なさと心強さと」)。
で、この篠原涼子さん(元東京パフォーマンスドール)と、三浦理恵子さん(元CoCo)の3人はデビュー前の養成所で一緒になって仲良くなった。『2人は「歌手になりたい」と言っていて、私は「役者になりたい」と言っていたのに、デビューしたのは私が一番最初(笑)。あ、理恵ちゃんがちょっと早かったかな。その辺は皆さんの方が詳しいと思いますが(爆笑)。』(※)
(※)三浦理恵子さんはグループとしては一番早く1989年(平成元年)9月6日にデビュー。ソロデビューは1991年(平成3年)2月14日。篠原涼子さんはグループとしては1990年(平成2年)5月21日デビュー。ソロデビューは1991年(平成3年)1月21日。
高橋由美子さんは1990年(平成2年)4月21日デビュー。ソロとしては3人で一番先。
紅白の最後の1枠を争った、とか外野席から見ればそうだけど、実はこの2人は大の仲良しで、しかも『市村(正親)さんを通じてまた会うとは思っていませんでしたけど(笑)涼子ちゃんに「由美子ちゃんも頑張ってね」、って言われて(笑)、何を?って(笑)』(※)
(※)俳優の市村正親さんは、篠原涼子さんの旦那さん。
高橋由美子さんは帝国劇場デビューを果たしたミュージカル『モーツァルト!』で市村さん演じるレオポルト(ヴォルフガング・モーツァルトの父)の娘・ナンネール役を演じています(2002年10月~2007年12月で、332回連続出演中。来年2010年冬に公演がある噂がありますが、由美子さんが続投するかも含めて不明。)
ちなみに「市村正親さんの娘役」をやったことがある人は、日本に1桁しかいない希少な経歴です。
MCで面白かったのを2つ追加。
由「歌、出したら買ってもらえますかね」
客「(会場内大拍手)」
由「その手には乗らんぞ~(笑)」
あー、さすがです。
(ヒマワリ付の衣装で)
由「この衣装、良かったら貸し出しますよ」
客「結婚式で着て!」
由「や、結婚式でこれはないでしょ。私はイヤ(笑)」
客「ここまできたら!」
由「(敏感に反応)え!なんか聞き覚えのある声が聞こえたけど・・・
そうだよね、ここまできたらねぇ、
中身と一緒にもらってもらえませんかね」
もう、二の句が継げない(笑)
というか、その声、もしかしてお父上ですか。
そういえばこんなのも。
由「150人ぐらいしかチケット売れないだろうなと思って。知り合いに声かけてさばいてもらおうかと思ってたんですけど。おかげさまで杞憂で。もちろん来たくて来れなかった方もいらっしゃるとは思うんですけど、その方の分まで楽しみましたよね?」
客「(拍手)」
ちなみに私の予想も実は150人ぐらいでした。
多分、アイドル時代から付いてきている人も含めた固定数が150という数だったんだと思います。
その辺の勘はきちんとしてますね、由美子さん。
それでいて600人も集まったという「予想外の事態」が、由美子さんの今後にはとても大きなものになると思います。「自分の頑張り」以外で動く物事への感謝というものが、今回のライブでもコメントされていましたが、色んな意味で由美子さんをより魅力的な女性にする第一歩だったように、今回のライブは思えてきます。
今回のライブのプロデューサーは東宝芸能の市村朝一さんで、「SHIROH」「ゴルフ・ザ・ミュージカル」のプロデューサーでもあり、東宝芸能において由美子さんの適性を一番よく知ってる人と思われるだけに、この企画そのものに、深い感謝を抱かずにはいられません。
●全体を振り返って
アイドル時代の歌も、ミュージカルの歌も、そしてポップスの歌も。
そして何より、「緊張してる」とか言いながら、20年来一番ラフなんじゃないかと思うほどのMCの滑らかさ、どれをとっても素晴らしいライブだったと思います。
今回、「10年ぶり」を売りにして行なったはずのライブではありますが、実は、それに惹かれて来た人はそれほどまでには多くなかったように思えます(少し招待客が多かった印象はありますが)。
ま、何を言いたいかというと、またやってよと(笑)。
そう思ってくださった、実際に見た方、ぜひアンケートを送りましょう。
以前聞いたことがあるのですが、大したことないと思っているこの「アンケート」というもの、制作現場では意外に影響力があるものだそうです。
由美子さんが抵抗するかもしれませんけれども(苦笑)、「Live@クリエ」唯一の「満員御礼」(609席中、なんと当日券はたったの9席)の実績は、あなどれませんよと。
あと「ドラマや映画にも積極的に出たい」と言っていたのが新しいコメント。
「また会いましょう」と言っていたのも印象的でして、えぇ、また来月下北沢で(爆)。
さて「Live@クリエ」、あとは28日の辛島さんと31日の土居さんに参戦します。
平日だから仕事的にはかなり厳しいんですよね。特に28日。
【7/29追記】
なんか、ビクターからベスト盤CDが出るみたいです。
9月21日発売「ゴールデン☆ベスト 高橋由美子」(VICL-63455)
収録曲がわかりませんが、タイトルから見る限りはフルのベスト盤を期待してもいいんですかね。
【7/30追記】
収録曲情報がCDジャーナルHPに載りました。→こちら
24曲のシングル中、1st「Step By Step」から、19th「負けてもいいよ」までの19曲。
なぜか収録順序は非リリース順で、なんとデビュー曲がトリ。どっかのライブみたいだ。
ちなみに何でかというと理由は単純で、売上枚数の多い方から順に並べて、CDの収録限度の最後が、たまたまデビューシングルだったということで、分かりやすすぎる話でした。現実は厳しいものよのぉ。
以上の理由により、「WILL YOU MARRY ME?」、「今までどんな恋をしてきたんだろう」、
「笑ってるだけじゃない」、「ふたりの距離」、「螺旋の月」の5曲が未収録です。