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『ミー&マイガール』(4)

2009.6.7(Sun) 12:00~15:05
帝国劇場 2階席上手側

3年振りのミーマイ、2009年版のmy初日。

演出の山田和也さんがご自身のブログで書かれていましたが、とにかく2006年版に忠実に、目先変えることなく投げかけられる普遍的な古典作品。

3月~4月に天王洲銀河劇場で上演され、ミーマイ同様に笹本玲奈さんが主演の「回転木馬」も古典ですが、「回転木馬」が古めかしさゆえにわざわざ上演する意味が薄く見えたのに対すれば、同じ古典とはいえミーマイには違った香りを感じます。

ミーマイのサリー役は東宝版は前回2006年から笹本玲奈さんですが、本人も言っているとおり「自分が死ぬ」役を多くやっている彼女(とはいえ、エポ、キム、マリーだけですから彼女の役の中では実はそっちが少数派です。要は井上さんと組んで死なないのがこのサリー役だけ)ですが、色んな意味で彼女の良さを潰しているかのような役よりも、「地でできる」というこの役は見ていて嬉しくなります。

見かけよりずっと内面に溜めてしまう性格らしい彼女にとって、溜まった精神的ダメージを、気の合う仲間を引き込んで癒しているように見えます。

とはいえ、そんな大得意のサリー役にあって、この日は今まで見たこともないほどの不調。何とかこなしてはいるものの、明るさの中にちょっとだけ見えた翳りが心配になります。

そんな心配は伝染するものなのか、1幕最後、井上芳雄君演じるビル(ウィリアム)のヘアフォード伯爵としてのお披露目パーティーに先頭切って乱入するサリーが・・・

マジゴケしました(笑)

いやぁ、それはまるでコントであるかのような、劇場内があっけにとられた瞬間でした。

その後ランベスの仲間に「私こけちゃったよぉー」って言ってて上手くごまかしてましたが、そこはそれ、玲奈いじりにかけては右に出る者はいない腹黒王子、そのままにするはずもなく。

2幕、書斎でのシーン。サリーがビルに別れを告げるために、わざとお馬鹿な振りをするシーン。

「おまえ、わざと馬鹿なふりして呆れられようとしてるだろ。
昨日のパーティーと同じ手だ。
転げながら出てきたじゃないか。」

(笑)

そうくるか腹黒王子。

ま、そんな小ネタも交えつつ、全編の台詞にちょこちょこと遊びが入っているのですが、逆さ言葉(言葉逆に言う)はあんまり面白くないなぁ。客席もあんまり湧いてなかったし(というか日曜マチネ、正直に言って全体的にノリが今ひとつ)。

キャスト別の完成度で言えば、2006年版より同じキャストである皆様を含め、上がっているように思えます。

●ビル役/井上芳雄さん
前回に比べて遥かに余裕を感じます。ネタが受けないなら強引にでも押したりするシーンもあったりで、変幻自在になった感があります。

公式パンフレットで、宝塚版初演のビルだった剣幸さんと、演出家の山田和也さんと3人の対談がでていましたが、剣さんの言われた「受けるか受けないかはビルにとっては問題じゃない、サリーが好きという軸さえぶれなきゃ、あとは自由でいい」という話をされていて、なるほど経験者の言葉は違うもんだ、と色々なことに納得したのでした。

●サリー役/笹本玲奈さん
3年間の時を経た一番の違いは、ラストシーンのドレス。
ドレスに着られていた感のあった2006年版とは全く違い、まさに堂々たる淑女として非の打ち所がなく存在していました。

2006年版は前半の下町娘・おきゃんさにメインが置かれていて、ドレスシーンがいきなりのように思えたけど、今回は最後のシーンが前提にあって、「ビルを思い続けている」ことに一貫性を持たせているように思えました。
そのせいもあってか、ジョン卿にそそのかされてからの迷いが、前よりずっと短かった。
ジャッキーへのドスとビルとのデュエットがまだまだ物足りない。
ハマり役だけにもっともっとベストな状態で聞きたい。
貴城さんが秋から姉になる(日生劇場「屋根の上のヴァイオリン弾き」)からって遠慮してないよね?

タップが得意な彼女ですが、今回はご自分のblogや月ミュのインタビューやらで、「足腰に来てます」と暴露してます。うーむ女優イメージを気にしない人だ(笑)。まだ20歳と1453日なのにねぇ(爆)。

誕生日(6月15日)が帝劇休館日となる月曜日に当たったのは不運でしたね。
だからって手当たり次第インタビューで文句言わないの!(笑)

●ジャッキー役/貴城けいさん
東宝版でも宝塚指定枠のこの役、前回の純名りささんに変わり、今回は東宝初登場の貴城さん。
誘惑シーンが妙に色っぽいと評判ですが、そこにのっかり、サリーをいらっとさせるあたり、今回の井上ビルはちょっと遊び人です(笑)。
2幕最初の「凄いアイツがやってきた」は貴城さん版の方がいいかな。
理由が言葉にはしにくいけれど、このシーンに限らず、ジェラルド役の本間さんは今回の方がやりやすそうに見えます。

●ジョン卿役/草刈正雄さん
ジョン卿は前回までの村井国夫さんに変わって草刈さん。個人的には村井さんは苦手な役者さんだったので、草刈さんに変わって実は何気に嬉しい。

草刈さんを初めて拝見したのは高橋由美子さんが主演された時の「南くんの恋人」のちよみの父親役、その後去年のNHK大河「篤姫」の堀田老中役、で今回。つまり、舞台・ミュージカル作品は初。

演出家氏がおっしゃった「脱力の見本」という表現が草刈さんの魅力そのもの。
村井ジョンよりずっとあくがなくなって飄々とした感じは、見る前に想像した通りで、思った通りで嬉しかったです。

他キャストも皆本領発揮で、涼風さんもこの役はすごくいいし、惜しむらくは全体的に音が軽いというか、ステージから客席に圧倒的なエネルギーとして送られてこないのがもったいない。
その辺りは、1階席で見ると、また違った印象を受けるのかもしれません。

何はともあれ、肩の力を入れる必要さえ全く感じない作品、6月は通います(爆)。

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