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『回転木馬』(3)

2009.4.8(Wed.) 18:30~21:15
天王洲・銀河劇場 3階センターブロック

打ち合わせを無理言って中座して、天王洲・銀河劇場へ。
浜松町で急いだかいがあって、開演5分前に劇場着。
ふだんは会場入りも出もりんかい線ですが、夜公演の入りはどうしても東京モノレールにせざるを得ません。

駅から2分そこらで劇場入り口に着ける東京モノレールと、地下3階のホームから信号待ち含め下手すると10分近くかかるりんかい線では安心度に差がありすぎます。
東京モノレール浜松町からは空港快速(天王洲アイルは通過)さえ選ばなければ安心ですし。

しかもこの劇場、3階席だと劇場入り口から席にたどりつくまで5分は見る必要があるし、男性のお手洗いは劇場1階ではるばる下がっていく必要があり、色々困る劇場です。

3階席から眺めたこの舞台風景は、1階席からよりきれい。とはいえ目の前の第一ホテルシーフォートの夜景の方がきれいと感じたのは微妙ですが(苦笑)。

この作品、3枚のチケットを確保しましたが、千秋楽(4月19日)は所用が入って人に譲ってしまったため、この日が個人的な楽。
4月はもう一方の「淫乱斎英泉」(あうるすぽっと)が当たりだったので、そっちも増やしたいのに・・・仕事が忙しい中、日程調整が大変です。

で、いつもの通りネタバレありですのでご注意くださいませ





作品としては2回目ですが、1回目に比べれば意外に良かったです。

最初見たとき違和感いっぱいだった浦井ビリーもこなれた感があり、無理に悪ぶる感じが薄れています。何しろ本物のワルそのもののような(※)川崎ジガーを前にしては、多少無理に悪ぶったところでお子ちゃま状態になるわけでして(苦笑)、自然体になってきた感じがいいです。

(※)特別カテコの本人談いわく、来る人来る人「地でやってるよね?」って言われて否定してるんだとか。

笹本ジュリーも今までと違ってスロースターター気味に進化してちょっとびっくり。
割合、笹本さんはスタートダッシュ型で会期中変わらない印象が多いので、いい方向に意外です。今まで唯一のスロースタートだったのが、「ウーマン・イン・ホワイト」だった印象なので。

帝劇版を見た人から、『ルイーズが「ぶたれたけど痛くなかった」と言ったことでジュリーがビリーの存在に気づく』というシーンがなくて残念、という劇評を複数のblogで拝見します(岡幸二郎さんもご本人のblogで触れられています)。

が、帝劇版を見ていない自分からすると、あえてその言葉にこだわらない見せ方をしているのかもと思えます。

ジュリーがその言葉を聞くことなくビリーのことに気づく。
それをジュリーの演技の深みで見せることに主眼が置かれている、というか、「ルイーズに気づかされるまでもなく、ジュリーの中にビリーが生きている」ことを示唆したいようにも思えました。

その上でビリーに「人を信じられなかった罪を実感させよう」としたところに今回の肝があるような気がしてなりません。

2回目を見て、実は一番印象的だったのは全編の中でただ一度だけジュリーが弱音を見せるシーンだったりしました。

「これからどうすればいいんだろう・・・」と呟いて従姉妹のネッティの肩に顔をうずめて泣くシーン。
ビリーがいくら働かなくても、ぶたれてもビリーを信じ続けたジュリー。

島に渡る前、ジガーと何やら秘密話をしているビリーが持つナイフ。
アングルからしてジュリーには見えていただろうし、島で歌う時の、「愛する人(ビリー)のすぐそばにいながら、実は満面の笑みではない」光景とか、何かそんなジュリーを見ていると、どこかで最悪の事態を想像していたのかも。

「考えてもどうにもならない」って悟りまくってたジュリー。
「この人の寂しさをわかってしまった自分がたどる運命」としての覚悟なのかなとか思う。

とはいえ「彼を愛してる、それだけのこと」と強くあったジュリーであっても、「ビリーが生きていてくれればこそ」だったわけで、ビリーの死に直面して見せた「弱さ」はこの作品のジュリーの中では、不意を突かれたシーンでもありました。

ただ、ビリーの死体の前でジュリーがつぶやく言葉が・・・

「わたし(ジュリー)はあなた(ビリー)のことは何でも分かった。
でもあなた(ビリー)はわたし(ジュリー)のことを何でも分かってた訳じゃなかったね」

のくだり、ジュリーが分かってたことって何なんだろうというぐらい曖昧な表現にて終わらせてたのはちょっと消化不良かな。

「何でも分かっていた訳じゃなかった」という言葉に、ジュリーの哀しさを感じて。

「ビリーは私のことを何も分かってなかった」と言うのはビリーを支え続けて、ビリーに信じてもらえることを待ち続けたジュリーにとっては言えなかった言葉だろうし、「ビリーは私のことを全部分かっていた」じゃ明らかに嘘の言葉だし。
「ビリーは私のことを少しは分かっていてくれた」と『信じたい』ジュリーの思いが表現されていて、悲しすぎました。

それにしても、全部を描けとは言わないけど、あんなビリーのどこに惚れたんだかな、ジュリー。

観客の拍手の薄さは、その辺の説得力の薄さが究極的なところじゃないかと思う。

ルイーズに問われて「自分のいいところ」をろくに挙げられなかったことで、自分の生き方の薄さを後悔するビリーの図は、そりゃ情けないにも程があるとはいえ、だからこそ「ジュリーにしか見えなかったビリーの『こんないいとこ、あんないいとこ』」が見せられないと、ジュリーにも感情移入できないと思うんですけどね。
ってこの辺りは結局のところ1回目とほぼ同じ感想です。

役としては深まってきていて演技も「おおっ」と思うところも増えてきていますが、「起承転」があって「結」がないような気がします、この作品。
結論を客に考えさせる作品というパターンもあるとは思いますが、いかんせん結論を見いだすための客を感情移入させる道具が少なすぎるように思えます。

でも卒業式の訓辞から「一人じゃないさ」に至る所はすごく好き。
役の位としてはさほどじゃないのかもしれないけど、人間的に大きな人の訓辞って聞いていて心地良い。綺麗事より真実、甘い言葉より為になる苦言。大事だなぁと思う。


さてさて。

本編終了後、この日はスペシャルカーテンコールがありました。
何だかんだいってもイベント好きの私でございまして、この日も当然これ目当ての観劇です。

司会は「主役のスノウを演じました坂元健児です」(会場内笑&拍手)

何しろ、三度の舞台よりトークショーが苦手(爆)な主演コンビ、笹本さん・浦井さんの組み合わせとあってはサカケンに頑張ってもらうしかないわけで。

メインの何人かに、一言挨拶を振りますが、その時に「共演者誰でもいいので何か質問しろ」と打ち合わせにないことを言い出すサカケン(笑)

つか素でてんぱってた上に、そんなことを言われたもんだから笹本さんてんぱるてんぱる(笑)。「無茶振りですねぇ」とか言って慌てまくってます。

何とか絞り出した笹本さんの一言挨拶へにはサカケンから「無難なコメントありがとうございます」とのありがたいお言葉(ちなみにコメントそのものはサカケンのまとめ通りだったりします・・・笑)

でこちらも何とか絞り出した浦井さんの一言挨拶へ「よくわからないコメントありがとうございます」との言いたい放題コメント(ちなみにコメントそのものはサカケンのまとめ通りだったりします・・・何という(役柄上)似たもの夫婦・・・)

サカケンエンジンが切れてきたら絶妙なタイミングで”役作り不要”な川崎さん(本人全面否定(笑))が突っ込む意外なテンションで進行します。

はいださんをどういじるのかと思いきや、物まねさせることに相成りまして。
サカケンの物まねはしょうこさんが固辞し、アントニオ猪木をやって会場中爆笑でした。

そういやはいだしょうこさんの演じるキャリー、無邪気なところが「淫乱斎英泉」で高橋由美子さんが演じているお半にそっくり、と言ってた人がいてびっくりしました。
確かに役柄として似てるは似てるんですが、この2作品を両方見る人がいるんですね。世の中広い。

もとい、それからご挨拶で川崎さん、そして先日結婚式を挙げられた西島さんと挨拶が続き、結婚生活もろもろ経験者の川崎さんから西島さんへ、微妙な祝辞がありましたです。(新婚さんに「結婚生活大変だけど頑張ってね-」とか言うかな(笑))


で、会場の皆さまへの贈り物・・・ということでおそらく回転木馬期間限定のキューピーと思われるもの(3階席なので良く見えず)をキャスト2つずつ取って・・・

サカケン氏いわく
「舞台上から申し訳ありません。2/3階席のお客様には本当に申し訳ありません。温かく見守ってください(笑)」

「有楽町方式で行かせていただきます」

この一言に会場内大爆笑。
この日一番の一体感で包まれます。

あぁやっぱり皆さんいつもは帝劇・日生・東京宝塚系の皆さまなのですね。

有楽町方式って・・と笹本さんも気づいたらしく独り言で吹き出したのをマイクが拾う始末。

※有楽町方式:レミゼの花束投げのことです
サカケン氏がこの日命名しましたが、東宝系の皆さまで用語として定着しそうな気がいたします(笑)

劇中で出てくる花の種を投げようと無茶して手前に落ち(軽いですからねぇ)、悔しがって客席まで渡しに行くサカケンという、突然の客席参加型舞台になりつつ。

最後はキャスト&客席で「一人じゃないさ」を歌って幕。
残念ながらプログラムを持っている人ばかりじゃないので客席からあまり歌声は聞こえなかったけれど、何しろ個人的にはけっこう良い感じで幕を降ろせたのでほっとしました。

で今週末に「淫乱斎英泉」を2回連続(東京前楽、東京楽)、で来週平日に「Triangle」。また平日上がるの大変だなぁ・・・

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