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2009年4月

『笹本玲奈 Jewel』(2)

2009.4.25(Sat.)
15.00~16.00
山野楽器7階 イベントスペース JamSpot

1.Never Land/ピーターパン
2.On My Own/レ・ミゼラブル
3~4.ミーマイメドレー ランベス・ウォーク~スマイル
5.All For Laura/ウーマン・イン・ホワイト

去年12月の天王洲・銀河劇場で上演された「Jewel」のCD化記念イベント。山野楽器での購入者先着と、先日まで上演されていた「回転木馬」会場での購入者抽選で250名。

山野楽器でのイベントは去年9月の新妻聖子さん以来ですが、今回は土曜日とあって整理券がもらいに行けるので、開店時に山野楽器本店へ。
開店時間には少し遅れたのですが、もらった番号からすると開店時に来た人は20人ぐらいで、思ったより少な目。とはいえ大雨の中、これだけのために朝、銀座に来た甲斐はありました。

入場は整理券番号順となるので、まぁまぁの前側を確保。
男女比はちょうど半々ぐらいで、開店時の20人は男性10人、女性10人でした。

この日は2部構成、との司会談ですが事実上は3部構成。

第1部 ライブ
第2部 Jewel名場面映像上演
第3部 サイン会&握手会

第1部はピーターパンを除き、これから上演される作品で構成。

ちなみに上手側に出演作のポスターが貼ってあり、「ピーターパン」の時の写真(んでフック船長で古田新太さんがすごい顔(笑))の実物を初めて見ました。
本人登場と同時に「ベガーズ・オペラ」のポスターが落下するハプニングに、司会曰く「笹本さんの登場にポスターも喜んでおります」ってそりゃ無茶だw

今回の司会の方、手際良くなかったなぁ。

そもそも山野楽器の方かホリプロの方か分からないんですが、彼女を「笹本さん」と呼んでみたり「笹本」と呼んでみたりしてたからホリプロの方なんでしょうけど、第1部でそもそも司会が仕切るのか、笹本さんが仕切るのかがわからずに笹本さんがうろたえる始末。
彼女はMC苦手なんだから、ちゃんとした人つけようよ・・・

トークは先日第1話が放送された民放連ドラ初出演作品「ぼくの妹」の話。

●笹本さんは自分を気が強いと思ってない(笑)
この作品で彼女が演じる、理事長の愛娘にして秘書の大河原春奈役について「気の強い女性です。私とは違って。」
会場内がちょっとびっくりしたのが背中からも伝わった(笑)
つか、つい先月「負けず嫌いだから意地になる」とかトークショーで聞いた記憶があるんですが(爆)。

本日(4月26日(日))放送だった第2話も絵に描いたようなツンデレモード。
思い人(オダギリジョー演じる医師。この人は春奈嬢には興味なし。)の大ピンチに「とりなしてあげましょうか?」とか可愛げのない(笑)助け船を出して拒絶されたかと思いきや、父であり理事長の反応が「想像を超えてました」と彼から聞いたとたん、「クビ?!」と焦りまくって、やにわ理事長室に駆け込む始末。
地も出せる感じで、すんごい良い役だと思うんですが。

●第5話、第6話でガツンと出ます
 「1話の登場シーンでは50秒ぐらいではありましたが、ファンのみなさんは我が子を心配する親のような気持ちでご覧になったのでは」、と言ってましたがそのとおりです(笑)

 なんで春奈ちゃんはそんなに首を傾げるの?とか私も見たとき思いましたそういえば(爆)。で、笹本さんは緊張すると手をもじもじさせる癖があるのですが(トークショーの話の途中によく見ます)、第1話はさっそく超緊張モード発動中でしたし。

 何はともあれ、第5話(5月17日放送)、第6話(5月24日放送)では本人いわく「ガツンと出る」そうです。

 ちなみに第1話を見逃した方、本日、4月26日(日)14時~15時まで再放送です。

・ミーマイ
 司会の方から「長丁場の舞台の体調管理の秘訣は」と問われて笹本さん、「とにかく食べること」と。
 でミーマイの場合は「体力的には大変だけど、誰も死なないし(会場内爆笑)、楽しい作品だから何も気にならない」。
 カンパニーが若いので「まるで大学のサークルみたい」だそうです。
 一昨日あたりから稽古が始まったとのこと。

 「ブログを見ていただいている方はおわかりかと思いますが、基本が根暗でインドア派なので、うさぎとかとじゃれてるのが多いので、風邪引くことがないんですよ(笑)」ってどんなトンデモ理論ですか玲奈ちゃん・・・・


歌い終えた笹本さんはサイン会準備で退席。
(とはいえ、実際にはサインはその場でしていたので、恐らく第2部の映像上映のための中休みと思われます。)

第2部は「Jewel」ダイジェスト映像放映会。都合20分ぐらいでしょうか、1幕・2幕ほぼ全ての曲が少しずつ入り込んだ映像で、話を聞く限り「回転木馬」での「笹本玲奈の小部屋」で上映されたものと同じもののようです。

何しろ元があのパフォーマンスですので、絞り込もうが濃度が濃い濃い。
共演の吉野さん(菊田賞受賞おめでとうございます。DTFも素敵でした。)も東山さんも出てくるわけで。
せっかくだから帝劇「ミー&マイ・ガール」のロビーでも流せばいいのに。
それ目当てのお客さんが呼べるかもです(苦笑)。

第3部はサイン会ということで、CDジャケットにサインするか、お持ちでない方は色紙を会場側で準備というアナウンス。

観劇を始める前はアイドルファンなるものを10年近くやっていたのにもかかわらず、サイン会に行った経験がなかったんで、そういえばこういう場所にCDは持ってくるものなんだ、ということをこんな歳で初めて知る(笑)。
というわけで色紙にサインしてもらって、握手もしてもらいました。

そんな経緯もあって、芸能人と握手した経験というのも、実は去年までなかったりしまして。最初に握手した芸能人が新妻聖子さん、次に握手した芸能人がこの日の笹本玲奈さんです。
デビュー当時からファンの高橋由美子さんもデビュー初期はたくさん握手会してた割に、なぜか一度も縁がなかったんですよね。
自分にとっては芸能人は遠くにありて思うもの、なはずなんですけれども。

ドラマに次回作ミーマイの稽古の並行進行と、端から見ていても心配になるような笹本さんに、「身体にだけは気をつけてくださいね」と声を掛けられただけで、ちょっと心安らかになったかも。
頑丈そうに見えるガラス細工みたいなところがあるので、実は少し心配だったりします。
ちょっとオーバーペースな感じがするので。

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『Triangle~ルームシェアのススメ~』

2009.4.14(Tue.) 19:00~21:30
パルコ劇場 K列センターブロックほぼ中央

この作品の観劇、当初は3月末の予定だったのですが、仕事が入ってこの日に。
コメディー作品ということもあって、段々とノリが良くなってきているらしく、東京後半にして結果的に良かったかも。

会社帰りの渋谷はいつもは半蔵門線で入るのですが、いつもと違うルートでと渋谷を目指したのがケチのつき始め。
高田馬場から乗った山手線が新宿駅発車直後に急制動で停止。

「当電車に人間がしがみついていたため急停車しました。人間は逃走していますので追跡しています。そのため一時停車いたします」

何でも思った通り言えば良いってもんじゃ(笑)と思うのですが、最近は色んなクレームがあるからありのままに伝えないとJRの責任になっちゃうのですね。
何とか代々木までは行ったものの、動く気配がなくて諦め、代々木からタクシーでパルコ劇場入り。結局山手線で渋谷に出ても間に合ったようですが。

遅延情報見ていると、最近の山手線は毎日のように遅れてるんですよね・・・

初めてのチケットレスサービス利用だったため利用方法が分かるかと焦りましたが、予想以上に簡単に入手でき拍子抜け。後方席の割に視界が開けていい席です。

この舞台、出演者は3人だけ。

ほぼ舞台作品皆勤の、”腹黒王子”こと井上芳雄さんはこの作品では微妙にヘタレな小説家役。
というか井上君は役者さんとしてヘタレてこそ光るというか、何気に「ルドルフ the Last Kiss」のルドルフ役が、氏の一番好きな役だったりします。

新納さんは最近何気によく当たる役者さんで、初見は「イーストウィックの魔女たち」(2003年)のマイケル役。笹本玲奈さんがジェニファーをやった年の相手役だったのですが、その後「Wedding Singer」、「ルドルフ the Last Kiss」と見て今回4作品目。
blogのどことなく「見た目の不真面目さを打ち消す真面目さ」な感じが意外にツボな役者さん。

紅一点は元宝塚のトップ娘役、彩乃かなみさん。
去年2008年の退団公演「ミー・アンド・マイガール」でサリー役を演じたのを拝見しており、私個人としてはただ一人の「宝塚娘役当時を見たことがある」元宝塚の女優さん。

3人とも「知らない役者さんじゃない」組み合わせでの濃厚な空間・・・なわけで、あるときはショー、あるときは芝居、あるときは歌、とあるときはコント(笑)だったりするんですが、全体としては色んなことをやろうとして中途半端になった感じ。

筋書きからしてちょっとよく分からないというか、いっつもはた迷惑に思ってた隣人がいきなり押し入ってきて住み着くとか、新納さんのキャラでごまかしてるけどいくらなんでもありえなくない?って感じだし、2幕最後に出てくるかなみさん演じる女性の悩みが過食症というのも、もちっと前振りあった方が、、、とか思ったりもしますし。

2幕後半、新納さん演じるミュージシャンが先に成功をおさめ、井上君演じる小説家の卵が目が出ずにすれ違うあたり、「立場の違う他人がルームシェアする」ことの難しさを表現してて、息苦しくなるぐらい。

でも最後ぐらいは明るく、とショー的に締めたところは良かった。あれであのまま暗くどよーんと行かれたらどうしようかと思ったんで。


井上君と新納さんはある意味予想通りの役作りできたということもあって、あぁなるほどという感じだったのですが、一番の興味は紅一点の彩乃かなみさん。

ミーマイ宝塚版を見たとき、「一幕のじゃじゃ馬ぶりは東宝版の笹本さんに一票でしょう」とか書いたのですが、今回の「Triangle」を見る限り、一幕も非宝塚モードですぐやれそうなかなみさん。つか退団後すぐの舞台にしては宝塚色がびっくりするぐらいになくて、ちょっと驚き。

娘役出身にしては凄く思い切りがいいし、線の細さがちょっとあるとはいえ、小さい身体なのに歌含めてパンチがあるし、予想以上に好印象。

そういえば、今回の舞台、ネタ側面が多いかと思ってblog検索をひたすらに避けていたのですが、なぜかこの作品、うちのご贔屓さん
(高橋由美子さん)で引っかかることが何度かありまして。

複数の人が彩乃かなみさんと高橋由美子さんが似てる、と言及してたりするのですね。
この日、改めてそれを意識してみたわけですが、「そこにいると美人な感じなのに、予想外にすばしっこく動く」あたりは共通点かも。

この作品、井上君とかなみさんだけ取り上げてみると、以前、井上君と由美子さんが恋人役をやった「バタフライはフリー」の雰囲気を感じたり(同じPARCOだし)しますね。

由美子さんは井上君に対しては恋人やって姉弟やって夫婦やって突き詰めちゃった感がありますが、さすがに、かなみさんと印象がかぶるのは恋人のパターンだけかも。

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『淫乱斎英泉』(2)

2009.4.12(Sun.) 12:30~15:15 東京千秋楽

東京初日から10日、早くも東京千秋楽です。
骨太にして刺激的なこの舞台と早くも個人的にお別れかと思うととても寂しい。

4月の平日がもう少し忙しくなかったら何回か増やしたのに、とか。

11日は当日券事前予約での席ですが、何とまぁA列ほぼど真ん中。要するに最前列です。あうるすぽっとは当日券に最前列を割り当てる、とは噂では聞いていたのですが、実際に体験するとめっさ驚きます。

まぁ、最前列って劇場によっては首が痛くなるし舞台全部が見えないしで、困ったときもありますしね。

(※)池袋初夏の陣こと「EVIL DEAD THE MUSICAL」(サンシャイン劇場)では海外版と同じなら最前列は着るもの要注意な気もするし(赤いものが飛んでくるという噂ちらほら・・・→こちら
ちなみに演出の河原さんいわく「この人に食われたいナンバー1は高橋由美子さん」だそうで。さすがです、兄貴。今回は期待してまっせ。こちら

はてさて、閑話休題。

この作品、舞台版を見る前に原作本を古本屋で入手して読んでいたのですが、舞台版を見る前は、とにかくものすごい量の記述(要は台詞量)に圧倒され、どれだけテンポを付けて見せられるかなのだろうなぁ、と思っていたことを思い出します。

そのテンポを引っ張っているのは何と言っても英泉役の山路和弘さん。
マシンガンのような台詞遣いが何の違和感もなくダイレクトに伝わってくるのはそんじょそこらの役者さんじゃ無理。

時代物なのに妙にポップな感じがあったのは、ひとえにお半を高橋由美子さんが演じたからですね。
山路さんのマシンガンテンポと妙に合ってる由美子さんの早台詞。重苦しいムードを吹き飛ばすいいエッセンスだったように思われました。

この芝居、タイトルロールが英泉なのに、無意識のうちに長英役の浅野和之さんを主役と思っていたのですが、展開側の主役は実際のところ英泉。

ただし、登場する人物全てが惹かれるという点においての主役は長英、といういささか両面的な芝居でもありました。


ここからいつものごとくネタバレですのでご注意くださいませ
まだまだ地方公演もありますので・・・





●なり損なった人たち

舞台版を見た上で原作版を読んでみると、「ずいぶんカットされている部分が少ないなぁ」と実感しますが、印象的だったのは解説にあった一言。

この作品は「なり損なった人たちでできあがっている」と言う言葉。

長英は「憂国の志士になり損なった男」だし、
英泉は「ユダになり損なった男」だし、
お峯もお半も「マリアになり損なった女」と。

それを見たときに、なるほどなぁと。

見終わったときにすっきり感がなかったのは、「やり遂げた」という形がなかったからなのだなと。
ただ、すっきりしないから悪いとかそういう話ではなくて、むしろそれでこそ人間だよなぁとも思う。
神でもない人間が全てを操って、全てを成し遂げるなんてそれこそ「夢物語」なわけで。

「成功」という目に見えない物に向かってもがき苦しんで、「自分なりの成功」を作るしかない、人間という生き物の限界を見るような気がします。

各blogの感想を漁っていると、由美子さん演じるお半について、「邪気がない故に女性として幸せを掴んだ」という表現が何カ所かにありまして、自分も初見ではそう思ったのですが、2幕後半に重点を置いてみてみると、もしかすると越後屋の旦那とお半は離縁しているのではないかと。

というのも、「ここだけの話」と言いながら自らが友人を救うために、阿片を密売人から買ったことがあると告白していますが、近い将来外国との貿易を拡大するため「一番大事な時期」と言う越後屋主人にとっては、大スキャンダルになりうる訳で。

「救うふりでもしなきゃ、この人(長英)はもっとダメになっちまう」と長英を膝枕に貸してみたり、抱きつかれても振り払わずに優しく包み込んでみたり。

そんなお半の様子を見ていて旦那はすっかり引きまくっていたわけですが、ここまで邪気の欠片もなかったお半の表情が、この辺りで変わったように思えて。

それはお峯の「女としての幸せ」を目にした故のことなのかもしれませんが、「当代きっての大商人・越後屋の正妻」という「体面としての成功」より、もっと別の「女としての幸せ、人間としての幸せ」を求めに行くような表情に見えました。

長英の最後を見送り、その時に見せた夫(越後屋主人)の商人とはいえ人間として軽蔑すべき有様を、どこか冷たい目で見ているような、そんな気がしました。
その意味では、あの場面が本当の意味で「お半が女になった瞬間」なのかなと思わされます。

●英泉とお峯
異母兄弟である2人の関係がこの「淫乱斎英泉」では主軸になっています。

お峯が長英に惚れていることを重々承知の上で、「長英に抱かれろ」と言いながら、その時苛立つように酒を煽る英泉。

人間と猫の魂が入れ替わるという寓話を作ってまで、自分が妹であるお峯に襲いかかろうとして我に返る英泉。陳腐な言葉で言えば「新しい生き甲斐を求めないと生きていけない」のだなと。

英泉はお峯を恐らく好きだったのだろうけど、それ故に歪んだ愛情として、「お峯を精神的に拘束し、悲劇を与える」ことしかできなかったのかと思うと、2幕、お峯の影となってしまうことも考え合わせると、英泉ほど「因果応報」の目に逢ってる人はいないと思えてきます。

英泉が「光」、お峯が「影」となっていた一幕が、一幕最後5分を境に逆転し、お峯が「光」、英泉が「影」となることで、お峯の艶やかさが突然増し、英泉はどんどんつまらない人間へと墜ちていきます。

一幕で英泉が仲間(人情本の為永春水)を売ったことを本心から面白かったと告白する場面で「いやぁな人になっちまったねぇ、おとうさんも」とお半が軽蔑するように言っています。

が、その実、二幕で「自分(長英)に夢を託す野郎に成り下がった」と長英が言及した英泉。
言葉には出さないものの、「つまんない人になっちまったねぇ、おとうさんも」と言い出しかねないほど、お半が半ば呆れた表情で見つめていたのが印象的でした。

●裏切る人々
この物語で特徴的なのは、主要登場人物5人は、他人を裏切ってばかりということ。

「裏切る」という定義を「他人を売ると言う行為」と極小化したとしても、英泉は為永春水と長英を売ってる(1幕の女郎屋で、脱獄してきた長英の存在をあからさまにしている以外にも、実は2幕で「お峯が売ったんなら俺は無罪放免どころがお峯の分の懸賞金も貰えるな」と言ってお半に呆れられている)し、お峯も長英を売ってる(岡っぴきの列に手配画を示してる)、越後屋主人も長英を売ってる。

ということは他人を売ってないのは長英とお半だけ。

2幕で長英がお半にすがったことに、何か腑に落ちるものを感じたのは、そんなせいもあったのかなと。

お半にとって長英は「苦しみが分かる」と言いながらも、『本当の意味では』苦しみが分からない、ことを分かっていた。

「せめて一緒に苦しんでる『ふり』でもしてあげなきゃ、この人本当に駄目になっちまう」と言う言葉は、人が人を救うことがどんなに難しいことなのか、理性ではなく感情で動いていたお半だからこそ言えた言葉なのだろうなと感じさせられます。

2幕から豹変したお峯が、人間として、英泉の妹としてよりも、女として生きることを選んだとするならば、お半は常に人間として生きることを選んでいて。
だからこそ謎の女の、「安全地帯からの侮辱」に対して「あたいの知り合いはみんな一生懸命生きてるんだ。ただ歯車がずれただけなんだ」と叫べたんだろうと思う。

どこぞの作品で聞いたけれど、女郎稼業は男と女と綺麗事以前の世界でつながるから、普通の人よりピュアになるとかいう話は、あながち外れていないのかも。

●お峯とお半
先ほども触れましたこの2人の関係。不思議だなぁと思うのがこの2人、女と女という割りに直接的に相手を忌み嫌うような関係がないのですね。対照的ゆえに、もはや自分はもう一人の女のように生きられないことを端から分かっているせいなのか。

つか、お半があっけらかんとしすぎてるのが全て悪いんですけど(笑)。

「お峯さんも若いうちにお嫁に行っとけば良かったのに。今からじゃ貰い手がないよ」とかお半に言われたのをお峯さんもやっぱり覚えていまして(当たり前)。

2幕で再会したときには「お久しぶりです」と勝ち誇ったように堂々と綺麗に立っておりまして・・・・あぁやっぱり背の高い女優さんって得だねぇ(しみじみ・・・苦笑)。

ここでお峯の綺麗さに圧倒されて、旦那の後にこそこそと隠れるお半がめっさ面白い。
ここのシーン、戯曲ではそんな面白いシーンじゃないんですが、女と女のぶつかり合いを上手く表現する辺りは、さすがに女性演出家さんらしいところですね。

ま、ここは「お半さん、自業自得です。諦めなさい。」ってところですが(笑)

長英と英泉が逆の役者さんというのも考えにくいですが、お峯とお半が逆の役者さんというのも考えにくいところ。

由美子さんは豹変する様は落差激しくインパクトが出せると思うけど、いかんせん美里さんのような色気はちょっと苦しいものがあるからなぁ・・・と贔屓に対してあるまじき暴言をしてみたりする(爆)。

ちなみに高橋由美子さんは田中美里さんより3つ年上。
・・・この芝居では完全にひっくり返ってましたね(爆)。

●芝居の評判というもの
1幕最後のちょっと前、英泉が「木曽街道六十九次」についてお峯に「評判良かった」と褒められながら、「評判なんて関係ねぇ」と断ずるシーンがあります。

「俺が納得しない絵は全部駄目なんだ、俺の誇りは俺にだけは嘘を付いていないってことだ。玄人ってのはそういうもんなんだ、覚えてやがれ」と。

この作品、何しろ最初は漢字5文字の堅苦しさとタイトルから、ちょっと物足りない動員でしたし、初日はカーテンコールも1回と、「どう反応して良いか分からない客席」状態ではあったのですが、その後見た回ではカーテンコールも2回が常道になり、ちょびっと笑いが0.5テンポ先行する辺り、リピーターがそれなりに発生した感じで。

blog巡ってみてもいい評判が多いようですが、ですがプロにしてみればそれこそ「評判なんて関係ねぇ」なのかもしれないと思わされます。

客席からしてみて同じ人間が演じているとは思えないほど、山路さん初めとした、いっちゃった役者さんたちの熱演ぶり。
熱演といいながら熱演さを見せないところが今回の5人の役者としての技量だなぁ、と。
つくづく羨ましい人生だなぁと、そんな技術を持たない客席の一人として羨望の目で見つめたくなるのでした。

素敵な作品に巡りあえたことを、感謝の念でいっぱいです。

そういえば、今回の作品は結果として女優2人が自社(東宝芸能)所属となったわけですが(由美子さんが今年1月から東宝芸能へ移籍)、これも色々な意味で幸運だったなと。

この芝居はある意味、お峯役の田中美里さんを光らせるための芝居と思われます(台詞数は多いとはいえ、なかなか美味しい役かと)ので、そこに印象を被らない賑やかし役として高橋由美子さんを持ってきたのは実に適材適所。

その上、客入りが微妙だったこともあってPRにテレビ・ラジオ・新聞等々奔走することになった由美子さんですが、それは自社所属になったからこそなのかもしれませんし、(作品の客引きへのてこ入れとして)逆に言えば東宝芸能に入れるきっかけにもなったわけで、実に幸運でありました。

前事務所のことをあえて悪く思うことも今までなかったわけですが、移籍してからの芝居への熱意とか活動の多さとか(PRの面が多分にあるとはいえ)を見ていると、実はずいぶん抑えられていた部分が多かったんだなということを実感して。
いい作品に出ることができて、役者としても大きな刺激を受けて、自分に合った事務所に入れて、いい仕事が入ってきて・・・という好循環の入口になったこの作品は、色々な意味で忘れられないありがたい作品にもなりました。


ここからは、ちょっとした超愚痴。舞台そのものへの話ではないので、少しでも不快になりたくない方は、絶対回避でお願いします。
文字も反転して白で行きます。

今回の舞台は、「プロの生き様」をまじまじと感じるきっかけとなったわけですが、ちょっと悲しかった話を一つ。
この舞台について感想を書いた拙文(『淫乱斎英泉』(1))の一部が、一言一句そのまま、某blogで丸ぱくりされていました。(文末の言葉遣いだけ変わってます)


このblogで自分が書いている文章にそれほどの権利を主張するほどのものがあるとも思っていませんが、自分の感じた感情を、それなりの思いをもとに自分の言葉で書いていることだけは事実で、それを何の断りもなく、あたかも自分が書いたかのように引用されるのはいささか悲しいです。


その方がただの素人なら、まぁそんなこともあるやね、と思うのですが、その方はプロの方で、舞台上に立ってる役者さんなのだそうで。


そこに気づいたとき、心底悲しくなりましたね。


「プロの矜持」を吐露した山路さん演じる英泉のメッセージは何も伝わっていないのかと。


作家さんとしてのプロではなくても、役者さんとしてblogをやっているならそれは役者としての活動の一部なわけで。役者が感想を書くのに、そこらの素人の感想をそのまま引用するって、プロとしてのプライドってどこにもないのかよ、と慄然としまして。


人間として、プロとして、超えてはいけない一線というのはあるのだなということを、この作品だからこそだぶって感じさせられたのは、皮肉といえば皮肉です。

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『回転木馬』(3)

2009.4.8(Wed.) 18:30~21:15
天王洲・銀河劇場 3階センターブロック

打ち合わせを無理言って中座して、天王洲・銀河劇場へ。
浜松町で急いだかいがあって、開演5分前に劇場着。
ふだんは会場入りも出もりんかい線ですが、夜公演の入りはどうしても東京モノレールにせざるを得ません。

駅から2分そこらで劇場入り口に着ける東京モノレールと、地下3階のホームから信号待ち含め下手すると10分近くかかるりんかい線では安心度に差がありすぎます。
東京モノレール浜松町からは空港快速(天王洲アイルは通過)さえ選ばなければ安心ですし。

しかもこの劇場、3階席だと劇場入り口から席にたどりつくまで5分は見る必要があるし、男性のお手洗いは劇場1階ではるばる下がっていく必要があり、色々困る劇場です。

3階席から眺めたこの舞台風景は、1階席からよりきれい。とはいえ目の前の第一ホテルシーフォートの夜景の方がきれいと感じたのは微妙ですが(苦笑)。

この作品、3枚のチケットを確保しましたが、千秋楽(4月19日)は所用が入って人に譲ってしまったため、この日が個人的な楽。
4月はもう一方の「淫乱斎英泉」(あうるすぽっと)が当たりだったので、そっちも増やしたいのに・・・仕事が忙しい中、日程調整が大変です。

で、いつもの通りネタバレありですのでご注意くださいませ





作品としては2回目ですが、1回目に比べれば意外に良かったです。

最初見たとき違和感いっぱいだった浦井ビリーもこなれた感があり、無理に悪ぶる感じが薄れています。何しろ本物のワルそのもののような(※)川崎ジガーを前にしては、多少無理に悪ぶったところでお子ちゃま状態になるわけでして(苦笑)、自然体になってきた感じがいいです。

(※)特別カテコの本人談いわく、来る人来る人「地でやってるよね?」って言われて否定してるんだとか。

笹本ジュリーも今までと違ってスロースターター気味に進化してちょっとびっくり。
割合、笹本さんはスタートダッシュ型で会期中変わらない印象が多いので、いい方向に意外です。今まで唯一のスロースタートだったのが、「ウーマン・イン・ホワイト」だった印象なので。

帝劇版を見た人から、『ルイーズが「ぶたれたけど痛くなかった」と言ったことでジュリーがビリーの存在に気づく』というシーンがなくて残念、という劇評を複数のblogで拝見します(岡幸二郎さんもご本人のblogで触れられています)。

が、帝劇版を見ていない自分からすると、あえてその言葉にこだわらない見せ方をしているのかもと思えます。

ジュリーがその言葉を聞くことなくビリーのことに気づく。
それをジュリーの演技の深みで見せることに主眼が置かれている、というか、「ルイーズに気づかされるまでもなく、ジュリーの中にビリーが生きている」ことを示唆したいようにも思えました。

その上でビリーに「人を信じられなかった罪を実感させよう」としたところに今回の肝があるような気がしてなりません。

2回目を見て、実は一番印象的だったのは全編の中でただ一度だけジュリーが弱音を見せるシーンだったりしました。

「これからどうすればいいんだろう・・・」と呟いて従姉妹のネッティの肩に顔をうずめて泣くシーン。
ビリーがいくら働かなくても、ぶたれてもビリーを信じ続けたジュリー。

島に渡る前、ジガーと何やら秘密話をしているビリーが持つナイフ。
アングルからしてジュリーには見えていただろうし、島で歌う時の、「愛する人(ビリー)のすぐそばにいながら、実は満面の笑みではない」光景とか、何かそんなジュリーを見ていると、どこかで最悪の事態を想像していたのかも。

「考えてもどうにもならない」って悟りまくってたジュリー。
「この人の寂しさをわかってしまった自分がたどる運命」としての覚悟なのかなとか思う。

とはいえ「彼を愛してる、それだけのこと」と強くあったジュリーであっても、「ビリーが生きていてくれればこそ」だったわけで、ビリーの死に直面して見せた「弱さ」はこの作品のジュリーの中では、不意を突かれたシーンでもありました。

ただ、ビリーの死体の前でジュリーがつぶやく言葉が・・・

「わたし(ジュリー)はあなた(ビリー)のことは何でも分かった。
でもあなた(ビリー)はわたし(ジュリー)のことを何でも分かってた訳じゃなかったね」

のくだり、ジュリーが分かってたことって何なんだろうというぐらい曖昧な表現にて終わらせてたのはちょっと消化不良かな。

「何でも分かっていた訳じゃなかった」という言葉に、ジュリーの哀しさを感じて。

「ビリーは私のことを何も分かってなかった」と言うのはビリーを支え続けて、ビリーに信じてもらえることを待ち続けたジュリーにとっては言えなかった言葉だろうし、「ビリーは私のことを全部分かっていた」じゃ明らかに嘘の言葉だし。
「ビリーは私のことを少しは分かっていてくれた」と『信じたい』ジュリーの思いが表現されていて、悲しすぎました。

それにしても、全部を描けとは言わないけど、あんなビリーのどこに惚れたんだかな、ジュリー。

観客の拍手の薄さは、その辺の説得力の薄さが究極的なところじゃないかと思う。

ルイーズに問われて「自分のいいところ」をろくに挙げられなかったことで、自分の生き方の薄さを後悔するビリーの図は、そりゃ情けないにも程があるとはいえ、だからこそ「ジュリーにしか見えなかったビリーの『こんないいとこ、あんないいとこ』」が見せられないと、ジュリーにも感情移入できないと思うんですけどね。
ってこの辺りは結局のところ1回目とほぼ同じ感想です。

役としては深まってきていて演技も「おおっ」と思うところも増えてきていますが、「起承転」があって「結」がないような気がします、この作品。
結論を客に考えさせる作品というパターンもあるとは思いますが、いかんせん結論を見いだすための客を感情移入させる道具が少なすぎるように思えます。

でも卒業式の訓辞から「一人じゃないさ」に至る所はすごく好き。
役の位としてはさほどじゃないのかもしれないけど、人間的に大きな人の訓辞って聞いていて心地良い。綺麗事より真実、甘い言葉より為になる苦言。大事だなぁと思う。


さてさて。

本編終了後、この日はスペシャルカーテンコールがありました。
何だかんだいってもイベント好きの私でございまして、この日も当然これ目当ての観劇です。

司会は「主役のスノウを演じました坂元健児です」(会場内笑&拍手)

何しろ、三度の舞台よりトークショーが苦手(爆)な主演コンビ、笹本さん・浦井さんの組み合わせとあってはサカケンに頑張ってもらうしかないわけで。

メインの何人かに、一言挨拶を振りますが、その時に「共演者誰でもいいので何か質問しろ」と打ち合わせにないことを言い出すサカケン(笑)

つか素でてんぱってた上に、そんなことを言われたもんだから笹本さんてんぱるてんぱる(笑)。「無茶振りですねぇ」とか言って慌てまくってます。

何とか絞り出した笹本さんの一言挨拶へにはサカケンから「無難なコメントありがとうございます」とのありがたいお言葉(ちなみにコメントそのものはサカケンのまとめ通りだったりします・・・笑)

でこちらも何とか絞り出した浦井さんの一言挨拶へ「よくわからないコメントありがとうございます」との言いたい放題コメント(ちなみにコメントそのものはサカケンのまとめ通りだったりします・・・何という(役柄上)似たもの夫婦・・・)

サカケンエンジンが切れてきたら絶妙なタイミングで”役作り不要”な川崎さん(本人全面否定(笑))が突っ込む意外なテンションで進行します。

はいださんをどういじるのかと思いきや、物まねさせることに相成りまして。
サカケンの物まねはしょうこさんが固辞し、アントニオ猪木をやって会場中爆笑でした。

そういやはいだしょうこさんの演じるキャリー、無邪気なところが「淫乱斎英泉」で高橋由美子さんが演じているお半にそっくり、と言ってた人がいてびっくりしました。
確かに役柄として似てるは似てるんですが、この2作品を両方見る人がいるんですね。世の中広い。

もとい、それからご挨拶で川崎さん、そして先日結婚式を挙げられた西島さんと挨拶が続き、結婚生活もろもろ経験者の川崎さんから西島さんへ、微妙な祝辞がありましたです。(新婚さんに「結婚生活大変だけど頑張ってね-」とか言うかな(笑))


で、会場の皆さまへの贈り物・・・ということでおそらく回転木馬期間限定のキューピーと思われるもの(3階席なので良く見えず)をキャスト2つずつ取って・・・

サカケン氏いわく
「舞台上から申し訳ありません。2/3階席のお客様には本当に申し訳ありません。温かく見守ってください(笑)」

「有楽町方式で行かせていただきます」

この一言に会場内大爆笑。
この日一番の一体感で包まれます。

あぁやっぱり皆さんいつもは帝劇・日生・東京宝塚系の皆さまなのですね。

有楽町方式って・・と笹本さんも気づいたらしく独り言で吹き出したのをマイクが拾う始末。

※有楽町方式:レミゼの花束投げのことです
サカケン氏がこの日命名しましたが、東宝系の皆さまで用語として定着しそうな気がいたします(笑)

劇中で出てくる花の種を投げようと無茶して手前に落ち(軽いですからねぇ)、悔しがって客席まで渡しに行くサカケンという、突然の客席参加型舞台になりつつ。

最後はキャスト&客席で「一人じゃないさ」を歌って幕。
残念ながらプログラムを持っている人ばかりじゃないので客席からあまり歌声は聞こえなかったけれど、何しろ個人的にはけっこう良い感じで幕を降ろせたのでほっとしました。

で今週末に「淫乱斎英泉」を2回連続(東京前楽、東京楽)、で来週平日に「Triangle」。また平日上がるの大変だなぁ・・・

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『淫乱斎英泉』(1)

2009.4.2(Thu.) 19:00~20:25/20:40~21:45
東京/東池袋・あうるすぽっと

先月はずいぶん多忙だったせいもあって、予定していた「Triangle」も今月に持ち越し、色々チケットの交通整理に追われました。

明けて4月。3月末の休日振替をいつにしようかさんざ悩んだあげく、結局この日に取得。8日の天王洲銀河劇場(「回転木馬」)と迷ったのですが、ご贔屓さんの順序を変えるわけにはいきますまい。

池袋近辺に住んでいながら、なぜか縁がなかったこの劇場。
高橋由美子さんのこの劇場初登場と同日に、初めて自分も足を踏み入れました。

2007年オープンの新しい劇場で何がいいかといえば、席と席の間隔が心なしか広いこと。劇場で観劇するとき、通路から離れたところ(つまり中央付近)だと、座っている人の前を横切る必要があるわけですが、案外に通りやすいです。測ったわけではありませんが、多分少し広いです。

入口で販売されているグッズというものはパンフレット(1部500円)ただ一つ。
うーん、潔い(笑)
普通のパンフレットとは全く違い、特製の角8封筒に入れられたカード式のもの。
ポストカードの大判というか、マキシマムカードという感じのもので、「おおっ」とちょっとびっくりします。由美子さんblogに載ってた千社札(→これ)、欲しかったんですけどね。

久しぶりに今回は役者さん別にこの作品を語ります。
若干のネタバレを含みますので、いつもながらの注意事項でございますが、真っさらな気持ちでご覧になりたい方、ぜひ回れ右でお願いします。






●浅野和之さん/高野長英役
1幕の物語が山路さん演じる英泉がメインで進行するために、主役のはずなのに出番少なし。このまま行くのかと思いきや、さすがはそうはさせじと実力派の反撃が2幕から怒濤のように進みます。

この作品のタイトルからすれば「英泉」がそれこそ主役に見えてしまいますが、内容的な主役はむしろ長英の方。
2幕はたっぷりと見せ場があります。
んで酒に逃げて狂ってるとはいえ、由美子さんに膝枕&頭なでなでされるのがうらや・・・(以下自粛)

●山路和弘さん/英泉役
1幕のほぼ主役。出てくるだけで面白い、喋るともっと面白い、動くともっと面白い。
んで、2幕ほとんど最後に台詞かんじゃったのも台詞の一部にしちゃうぐらいにフリーダム。
この人たちを指して「ちょい悪おやじ」とまとめてしまった由美子さんが何気に名言フリークぶり健在ではあったのですが。

この方の英泉役を見ていてふと思い出したのが、ビックコミックオリジナル誌上の漫画「玄人のひとりごと」の雀士氏。似てる。

「玄人は自分にだけは嘘を付かない」という言葉が印象的でした。

タイトルの「淫乱斎英泉」は英泉が春画の画家だったからで、そういう方面のシーンはごくわずかしかありません。しかも英泉がらみじゃなくて長英がらみ・・・

ちなみにこのお2人、長英がむっつりすけべ、英泉がネアカすけべ、と田中美里さんが評してます(笑)

●木下政治さん/越後屋主人役
由美子さん演じるお半の旦那氏ですが、やり手の商人そのまんま。
長英の改革的考え方を商売に利用しようとしているあたりが利に聡くていかにも商人。

「いつも気を張ってるから、(お半を指して)こんな抜けてる女あたりがちょうどいい」とか言っちゃう辺りが正直すぎ。

基本的にこの作品に出てくる登場人物は、演出の鈴木裕美さんと浅野さんがあうるすぽっと広報誌の今月号のインタビュー(東池袋駅出口や劇場内で配布中の「OWL SPOT SCHEDULE」4~6月号)で対談する中で鈴木さんが言ってる通り、「前後の関係性をまるで気にしていない、まるでちびっこたち」。→こちらが全体版

精神的には子供な登場人物が、素の人間を吐露している作品と言えるのではと思います。

●田中美里さん/お峯役
精神的に子供揃いのこの役者群の中にあって、ある意味異色な、様々な意味で「大人」。
他をコントロールするかのような存在。

山路さん演じる英泉の腹違いの妹ですが、長英にほの字。
前半はただひたすらに自分の思いを押し殺して時だけが過ぎるのですが、とある事件をきっかけに大きく様変わりし・・・

まぁ、「女って怖いなぁ」を地で行ってる役です。

最初は悪巧みをしそうではない外見だったのに、途中から

「全ては私の掌の上なのよオホホホ」

とか言い出しそうなのが素で怖いです(笑)

ちなみに美里さんと浅野さんの対談によれば、美里さん自身もこの役「怖い」のだそうです。良かった、自分の感覚が正常で(笑)
こちら

●高橋由美子さん/お半役
この作品の賑やかし役で、山路さん演じる英泉の女郎屋で働く娼婦の役。
由美子さん曰く10代だそうですが(なお、役の設定は登場時18歳で、最後のシーンが38歳)、まぁいろんな意味で年齢不詳の由美子さんらしい役です。

ちょっと抜けていて天然で、じたばた落ち着きがなくて考えなしで、あんまり役に立たなくて。
でも、必死で、ピュアで、何かしてあげたいと思うという・・・。

そんな役ってどこかであったような気がする
・・・と終演後に考えて思い出しました。

唐橋@篤姫でした(笑)

もうただひたすらにコメディキャラを突っ走ってます。山路さんとの掛け合い漫才で突っ走ってるあたりは最強に面白かったり。
足じたばたさせてるのは何か世田谷パブリックシアターの「地獄百景・・・浮世八景」で松永玲子さんの前でやってましたな。

お峯の逆鱗に触れてしまってあわてて取り繕おうとして玉砕したり、越後屋の主人(自分の旦那ですが)に「こんな抜けてる女ぐらいがちょうどいい」とか言われてみたり、雇い主の英泉に「おとぉちゃぁん」としがみついて迷惑がられてみたり。

じゃぁ嫌われているかというとそういうことは全然なくて、美里さんいわく「子犬みたいなみんなから愛される女性」という表現がぴったりで、お峯とお半はまさに完璧に好対照です。

お峯が「女であることを最大限利用している女性」なら、
お半は「女であることをただ受け入れる女性」という意味では正に好対照です。

つか完璧に愛玩動物。子犬というか猫というか、どちらにしろ「邪気のない人間」って感じではあるのかもしれません。


作品としては幕末の混乱の渦の中で、自らの立ち位置を定めようともがく人物たちの苦闘を描くわけですが、いずれの人物を取ってみても、何が正解とか何が間違いとかそういうのがわからないのですね。
むしろ、どんな人物であれ、人間であれば「自らの軸をどう定めるかが、人生であり生き方である」のだなぁということを実感させられたのでした。

東京最終日の公演を取ってはいるものの、当日券でふらり来てみてもいいかなぁ、と思うような「けっこう好きかも」公演でした。

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