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『嵐になるまで待って』(3)

2009.3.19(Thu.) 19:00~21:15 丸の内TOEI・2

本舞台で1回、映画版は今回で3回目の合計4回。
2008年版「嵐になるまで待って」の東京上映も佳境。
なかなか時間が取れないので仕事をとっとと早抜けして銀座に行ってきました。

上映開始の前に同じ銀座の山野楽器本店で笹本玲奈嬢のCDを買いに行くことにしていて、19時に間に合うか焦りまくったのですが、地図を見るととても近い山野楽器本店と丸の内TOEI2。
何のことはない15分足らずで掛け持ち可能でした。

新宿ピカデリーでの上映があっという間に満席になり、とうとう舞台挨拶の1回(2月21日)しか見れずじまい。

新宿FACEでやってたキャラメルボックス・ハーフタイムシアターで共通鑑賞券をまだ売っていたのでつい衝動買い、なんとか連休前のこの日に予定を突っ込みました。
1日4回の上映なのですが、なぜか他の予定と絡めにくい上映時間(11時、13時40分、16時20分、19時)、危うく共通鑑賞券を無駄にするところでした。

この日の客入りは新宿ピカデリーの大入りが遠い昔のように思えるぐらいの寂しさ。
360席の客席中埋まっていたのは多分30席ぐらい。
座席を心配せずとも視界が遮られることなくセンターブロックを取れるのはいいのですが、連休前の夜の回でこの入りというのは、この作品が好きな自分としてはやっぱり寂しいです。

さてさて。もはやネタバレモード発動ですので、苦手な方はスキップしてくださいませ。





この作品の原作となっているのは去年の舞台の時にポプラ社から再刊された「あたしの嫌いな私の声」。
渡邊安理さん演じるユーリの「声のコンプレックス」を表面に出したタイトルになっています。
それに比べると現タイトル「嵐になるまで待って」は、タイトル故により大きなテーマを含ませられているように思えます。

最近のキャラメルボックスの作品は”タイトルが長ければいいってもんじゃないと思う”んですが・・・みたいな作品が続いていますが(「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」にしろ「すべての風景の中にあなたがいます」にしろ)、長い分言いにくいので損をしている気がします。
昔は「TRUTH」とか「スキップ」とか、読み4文字だけとかいう読むのが楽なのもありましたし。

話は戻って。

この作品が初演以来、舞台作品名としては「嵐になるまで待って」として上演されているのは、ユーリの性格表現にプラスに作用としているというか、いじいじしないさっぱりした少女を表現できているようで、とても好きだったりします。

本編中で滝島Dに「自分の声が嫌いなのか」を問われた時に「私の声は綺麗じゃないし」と言い淀みながらも、そのすぐ後に「声優なら(自分の変わった声も)武器になるんじゃないかと思って」と満面の笑みで言われると、その邪気のなさについつい応援したくなってしまいます。男とは現金なものです(苦笑)。

今作で細見大輔さんが演じている波多野が持つ「2つ目の声」。
この「2つ目の声」との対決の場が「嵐」の夜になったという偶然。
「声により操られるのであれば、嵐になってしまえば声が聞こえなくなるじゃないか」というのは、謀ったものとしたなら相当の戦略家ですが、ともあれ

「波多野の暴走を止めるには、嵐になるまで待っているように」

と神様あたりが囁いているようで、それはそれで怖いものがあります。

「嵐」という言葉は広瀬教授が言うように「私の心の中に『嵐』を起こした」という意味としても使われています。
ユーリの幸吉を思う気持ちが幸吉の命を救い、ユーリの声を取り戻させた。
雪絵が初めて見せた「弟への拒絶」という覚悟が、弟の暴走を止め、全てを終わらせた。

「人が人を思う気持ち」が起こした結果は、一面では”幸せ”であても、一面は”不幸”であると。雪絵がユーリに出した手紙はまさにその皮肉を表現していたように思います。
ユーリの出現は自分の気持ちに一区切りをつけるきっかけにはなって、その点は感謝しているけれど、「それでも出会わなければ、弟はまだ生きていたと思うとやりきれない」という気持ちは胸をつくものがあります。

「弟が何かをしている」ことに気づきつつも、あえて気づかない振りをしてきた雪絵が決めた覚悟。
「弟を止める」決意は結果として”自分のために知らない他人が犠牲になっている”苦しみからは解放され、今後二度と同じ犠牲者が出ない気持ちの安らぎを得られることにはなるけれど、”この世界でたった1人の肉親”とは永遠に会えない悲しみを一生抱え続けていく。
この物語を見ていると、「絶対的な善」も「絶対的な悪」もないのだと思わされてしまいます。

広瀬教授も語っていますが、この世に「絶対」はないのだと。

「心の闇を晴らしたのが嵐」だったのかもしれないと、そう思わされます。


2008年版の「嵐になるまで待って」は次、DVDになるまでお預けです。
何しろ渡邊安理嬢のユーリがデフォルトになってしまった以上、岡田さつきさんのユーリとか興味はあるのに一歩踏み出せなかったりします。
別物とは分かっていても、別物と認識できなくなったときに2008「嵐になるまで待って」が自分の中で色褪せるのが怖かったりします。何だかんだ言っても、心に残る作品になったのは間違いないようです。

劇場のことについてちょっと。

この丸の内TOEI2はゲキ×シネ「SHIROH」の際にも見に来たことがあるので、2度目なのですが、映画館初心者の私とはいえ、映画上映中に地下鉄の轟音が響く映画館を他に知りません(笑)。
直下を東京メトロ丸ノ内線が通っているのですが、東京(に限りませんが)地下鉄は古くできた方から地上に近いので、銀座界隈で最も最初に開業した東京メトロ丸ノ内線は地下10m前後の場所を通っており、騒音丸聞こえです。

嵐の音が丸ノ内線の電車の音だって良いんだけど(笑)、でもねぇ。


そういえば。
ちょっと前に書きましたが、先日、新宿FACEでやっていたキャラメルボックス・ハーフタイムシアター。「嵐になるまで待って」に嵌ってしまった私からすると、岡田達也さんを向こうに回して弾けまくってる細見さんを見るのはとってもカルチャーショックでした(笑)

自分の中で細見さんは「死んでしまえ。」の人(←そんな愛称か(笑))なので、いやー凄かった、ギャップが。
あまりの軽さと役のおもしろさに卒倒しそうになりましたとさ(笑)。

その作品(「すべての風景の中にあなたがいます」)のヒロイン役は温井さんでしたが、白い衣装、絶句するぐらいにきれいだった。
そういえばどうでもいい話ですが、最近「ヤマザキパンまつり」ポスターに出ている松たか子さんが温井さんに見えることがある。
あぁ、きっと疲れてるんだな。

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