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『喧嘩農家』(2)

2008.10.31(Fri.) 19:00~21:00 新宿・シアタートップス
 2列目下手端
2008.11.2(Sun.) 14:00~16:05 新宿・シアタートップス
 2列目上手端

正直なことを言ってしまうと、このお芝居、そして「劇団HOBO」、
話を聞いたときは不安でいっぱいでした。

いったいこの女優さんはどこへ向かってしまうのかと。

本人のやりたいことの一つだったのは実は前から知っていたし、客演だと一度きりだけど、気のおけない仲間との劇団なら、思う存分芝居を楽しめる、ということに気づき、どんな芝居が見られるか楽しみに変わっていました。

そういえば高田聖子さんのブログに書かれていましたが、あれだけ出た新感線も、準劇団員までで、劇団員ではなかったことに気づきます。(しかしこの記事の写真の左側、どれだけ目をこらしても由美子さんには見えないのですが・・・と思っていたらコメントでご指摘いただきました。新感線劇団員の保坂エマさんでした。そういえば。→こちら

なぜかわかりませんが、初日・中日・楽日と見た3回とも、B列(つまり2列目)中央・下手・上手の順でしたが、下手と上手は端だったこともあり、相当な見切れがあって残念。

初日が一番はっきりくっきりでした。
とはいえ、舞台まで3mないと言うことに変わりはないのですが。

次の機会があれば、ぜひ最前で見てみたいもの。

千秋楽は完売に加えて補助席として通路もびっしり埋まり、立錐の余地もないほど。
楽としての変な力みもなく、気づかない程度にアドリブを入れまくってるのもおもしろい。

せっかくですので、久々に各メンバーについてそれぞれ書いてみます。
(全メンバーについての観劇記には今回お目にかかってないので)

●長男・豊一役/おかやまはじめさん
劇団の首謀者(本人談)にして一家の大黒柱...のはずが、
物語の中ではすっかり照美に圧倒される長男。
「なんとかなる」が口癖。

照美の蹴りを受けた回数:1回
鶏の調理ができない、って言ったときに「忙しいんだよ何言ってんだよ」と蹴られてます。
このときの照美の蹴りは大きな溜めがあっての回し蹴りでした。
あれ、役者的には全然痛くないはずですが、蹴る方も受ける方も上手く仕組んでました。

ちなみにこの作品を見たときの感想が「キャラメルボックスに似てる」だったのですが(音楽の使い方とかが)、おかやまはじめさんの奥さんは、キャラメルボックスで脚本を書かれている真柴あずきさんなのだそうです。

ご参考

●次男・繁雄役/林和義さん
いかにも農家の次男という感じの世間知らずと向こう見ずを体現したキャラクター。
劇中では全員が止めるのも聞かず、農家新事業としてダチョウを飼い始め、真坂家の破綻の引き金を引きます。

照美の蹴りを受けた回数:1回
呑を開けたとき。

そういえば酒がなくなって追加するとき、

「照美の許可なしに?」

と秋平が言って、皆がとたんに沈黙になるのは笑えます。
照美は鬼なのか、神なのか、閻魔様なのか。この家族にとっちゃどれかですね。

●三男・恵介役/本間剛さん
村会議員に立候補する兄弟の中の<変わり者>。
この村には立候補に供託金はいらないが、それでも選挙費用はどんどんかかる。
四男いわく「金に食われた」。

”温故知新”で始まる選挙演説が言語不明瞭意味不明。
よくこれで80票も票が取れたもんだ。

村会議員の定員にもよるけど、80票って当落ぎりぎりなんだろうな。
警察から呼び出し食らってるということは実弾も使ったんだろうし、当選してればまだ家に金入れられるし。
実際、選挙違反で上げられやすいのは、当落線のすぐ上とすぐ下というのは、良く聞く話。

照美「恵にぃがお金稼ぎできるような
    悪い議員になれるわけないじゃん」
恵介「なるよ」
照美「なるなよ」

・・・誘導尋問に引っかかっちゃう恵介、
村会とはいえ議員に向いてません

照美の蹴りを受けた回数:1回
立候補が発覚したとき。

照美の「鶏を手で潰したときの手袋で顔面なで回された回数」:1回
最初は「嘘だよーん」だったのに、楽日は普通に直撃でした。

●四男・秋平役/有川マコトさん
兄弟のうち、唯一農業に就いていない登場人物。
ある意味、照美とともに「外の世界」を知っているだけに、後半部で農業に失敗した兄弟を責めなじる時の説得力ときたら相当なもの。
とはいえ、兄弟中唯一おこじょ(妖精とか妖怪みたいなもの、との説明ですが)の音も聞こえず、疎外感がコンプレックスになっていた感じもあり、ひとしきり責めなじった後でつぶやいた「ちくしょう」って言葉は、「自分は農業をやれないけど、兄弟には好きな農業をやっていてほしい」という気持ちがにじみ出ていた。

この四男が悪意じゃないから、この芝居はあったかいと思う。

「お前らこれから借金のために生きるんだ。
好きな農業もできないでよ。」

そんな言葉は、家族のために好きなこともできずに(バスの運転手でしたが、経営多角化の名目の元、道の駅に出向してソバ屋の店長をやってます)、家を支えたからこそ言えるのでしょう。

照美の蹴りを受けた回数:意外なことに実はゼロ

家のことを第一に考えているということでか、照美も秋平には一目置いてる感じがあります。
その頼りになる秋平が、会社をやめてホストやる、と言ったときが照美にとっての本当の危機だったのかも。

●近所のボンボン/省吾さん
役者デビュー作だそうで、その割には良い味出してます。
確かにこういうボンボン、田舎におるおる(笑)
苦労知らずで何不自由なく育った感じ。
そりゃぁいつも他人事でニコニコしてて、ボンボンだけに上から目線で施しモードになってりゃ、血気盛んな次男でなくともむかつきます。

照美の蹴りを受けた回数:2回
物語中最初に蹴られるのはこのお方。
的が大きいから蹴りやすそうだ(爆)。

●入り婿/古川悦史さん
この方も入り婿のおどおどした感じにすごくはまってる。
たまに突っ込まれて本音が出ちゃうところが微笑ましい。

「そういうこと聞かれると思って考えてきたでしょ?」
「はい」
「え?」
「あ、いえいえ」

・・・あるある。

照美の蹴りを受けた回数:当然ゼロ

さすがに旦那さんにまで蹴りを入れる趣味はないと。

というか照美の「蹴り」はだらしない兄貴たちに対するいらだちの象徴だから、農業向きではないとはいえ、必死でやってる旦那に入れるものじゃないし、外で働いてお金を家に入れてる秋平に対して蹴りが出るわけはないですね。

●長女(末っ子)・照美役/高橋由美子さん

お盆のお供え物に鶏を潰して平然としていられる根性(長男いわく、「ためらいなく鶏を潰せるのは照美だけ」)。

血を入れるバケツの場所が狂ったのを直そうとするが、ニワトリをつかんだままなので、手が届かない。

なのに一向に助けようとしてくれない兄貴たち。

「使えねぇ・・・(ぼそっ)」

・・・会場内を爆笑にひきずりこんでました。
黒いよ照美、さすが当て書き(違・・・と信じたい・・・苦笑)。

その鶏、実は旦那が唯一可愛がっていたドリーだったわけですが、照美はその事実を知らず、兄貴たちもそのことを事前に伝えるのを忘れています。
結果的に照美は農業向きでない旦那に引導を渡したようにも見えます。結果論ですが。

前を向いても借金、後を向いても借金。
自分は下着1つ買えずに、そりゃヨーカ堂の鏡に映った姿に呆然としますわ。

ちなみにヨーカ堂ってのが田舎的にはリアルかも。
もしくはイオンSCが田舎の唯一の大SCだったりしますが。

由美子さんの台詞にはいまやNGワードがないんだなぁと言うことを改めて実感。
千秋楽はいくら下着が伸びきってもよかったせいか、思う存分に手を入れてました(笑)。

そういえば、照美が怒ると皆が固まる。何しろ震度3の地震さえ気づかない。
つか震度3ってけっこうな地震なんだけど、照美の怒りがM7ぐらいあるからなぁ(笑)

金曜日は、真坂家の経済状態を説明するシーンで、家計簿を机に叩きつけたら、既に机の上にあったノートが吹っ飛んでいってしまいまして。
皆がフリーズして照美の動きを注視する中、

「ほら、そこに落ちたの取る!」

・・・こえー、アドリブっすか照美さん。
(初見だとアドリブとは到底思うまい)

初日はネタバレ防止のために白文字にしていましたが、今回の巫女さん姿はとてもかわいいです。必殺、年齢不詳。

以前ご一緒した小林高鹿さんも触れていただいておりますが、ここに注目する辺り、さすが高鹿さんです。

今回はとてつもなく姉御系というか、かなり極端なキャラ設定でしたが、基本、由美子さんは極端なキャラに突っ走らせる系統が一番生き生きするので(祈祷師姿に「ショムニ」を思い出しちゃうのは普通の感覚。)、いつもとは言わないまでもまた見られたらいいなぁ。

ストーリー的には、何の変哲もないと言っては何ですが、それほどとっぴょうしもない物語ではありませんが、ただものじゃない役者陣、実は何気にやり手揃いとしか思えないスタッフ陣、思った以上に面白い物を見せてもらいました。

そういえば今公演は、劇団員のつてで「声だけ出演」の客演の俳優さんが入っています。

高橋由美子さんがらみで川平慈英さんと川原和久さん、
省吾さんがらみで柴田理恵さん。

何気に豪華です。

各日とも、挨拶はおかやまはじめさんからのみ。
楽日は何とカーテンコールアンコールという、普段小劇場見てないから分かりませんが、小劇場で普通にあるんでしょうか。(ちなみに中劇場ではいつものこと。)

2度目出てきたときはさすがに間が取れないようで、「酒は呑みますがみんな人見知りなんで」という説明にすごく納得。

次回があれば、今以上に期待していきますんで、
年1でもいいんで是非。
トップスなくなっちゃうから、下北とかになるのかな、やるとすると。

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コメント

いつもきめ細かいコメントで敬服いたします。
高田聖子さんのブログ左側の人は
保坂エマさんです。劇団新感線の人です。
本人のブログでも、観にいったと書き込みをされてます。

投稿: てるてる | 2008/11/02 20:54

コメントありがとうございます。
確かにエマさんのブログは拝見していました。
既視感はあったのですが、もやもやが取れました。
ありがとうございます。

投稿: ひろき | 2008/11/02 21:43

ごぶさたしております。
某腹黒王子(現ミュージカルが夢だったサラリーマン?)ファンのぴらふです。

実は私、この劇団の首謀者おかやまはじめさんとその所属劇団(ラッパ屋)の大ファンなので、この話を聞いた時から凄く楽しみにしていました。おかやまさんと高橋さんが共演!?って。そして、この作品、劇団をひろきさんがどう観られるのかも気になっていました。なんか気に入っていただけたようで嬉しいです。

キャラメルボックスに似てるですか?私はラッパ屋に似てると思いましたが(おかやまさん演出だから当然か)、ラッパ屋同様大人のお芝居って感じですね。しみじみ染みるといいますか・・・。ラッパ屋もぜひ観てみてほしいです(由美子さんはいませんが・・・)。

ちなみにラッパ屋の時は、は二度目のカーテンコールの拍手のあとは何度見ても「カーテンコールに慣れていないので・・・」って、戸惑っている風ですよ(苦笑)

投稿: ぴらふ | 2008/11/04 08:24

ぴらふさん、コメントありがとうございます。

人気のいないオフィスで一人「見果てぬ夢」を歌っちゃう人ですね、某腹黒王子さん(←なぜかあの回は見ていた私。)

感想を気にしていただけたとのこと、ありがとうございます。

振り返ると由美子さんは昔、毎日のように下北に行っていた時期があったり、キャラメルは上川隆也さんと共演して以来ずっと観ていらっしゃるそうなので、おかやまさんとはその辺からのお付き合いかな、と思っていました。

キャラメルとの共通点は「激しても、傷つけることはしない」みたいなところが、心に残ったせいかもしれません。

ラッパ屋は未見なのですが、機会を作って拝見できればと思っています。

千秋楽だけ、2回目のカーテンコールがあったようですが、まさかそうなると思わずにみんな奥に引っ込んじゃってましてですね(苦笑)、バツが悪かったせいもあるのかもしれません。

今後ともよろしくお願いします。

投稿: ひろき | 2008/11/05 02:04

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