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2008年11月

『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』

2008.11.29(sat.) 19:00~21:10 サンシャイン劇場・14列下手側

キャラメルボックスクリスマス公演、東京初日。
札幌で11月初頭に幕を明け、名古屋・神戸経由でこの日が東京初日。

普段、キャラメルは初日に行くことはないのですが、既に3都市の公演を終えており、それなりに出来上がっているだろうと見越して東京初日を取りました。

「雨と夢のあとに」でキャラメルボックスの成井さん・真柴さんの脚本との相性が抜群だった黒川智花ちゃんを客演、ヒロインとして迎えたこの舞台。

智花ちゃんを魅力的に見せることではたぶん日本一であろう成井さんの演出ですから、いやがおうでも期待は高まります。

で、感想ですが。

期待しすぎたのかなぁ。

とりあえず初回ではちょっと微妙な印象でした。

そりゃ文句なしに可愛いのは確かなのですが、舞台的な押し出しが強くないので、その分キンキン声で声を張らせているのが、ちょっと耳に優しくありません。

よくミュージカルとかで「キンキン声」と称される(ちなみにあまり褒め言葉としては使わない)女優さんがいまして、松たか子さんとか由美子さんとかそうだったりするんですが、比べものにならないぐらいの高音です。無理して出している感が智花ちゃんの場合はありありとみれて、特に前半部はなかなかの生意気っ子なので、感情移入がなかなか大変です。

ストーリーを単純に説明してしまいますと、時はクリスマスイブ。

主人公の脚本家は結婚歴1回、1女をもうけるがその後離婚、親権は母親に行ってしまう。
五歳の時に分かれた長女、それから14年目のこの年、19歳になった娘は、家出まがいに自宅に転がり込んでくる・・・

目的は自分の書いた小説を出版して欲しいからだった・・・

その19歳の少女、「日高いぶき」役の黒川智花ちゃん。

というか雨夢の時にはまだ15歳だったのですね。それから4年たってのキャラメル初登場でさえ、まだ10代というのですから、女子団員の皆様から「若いわ~」と羨望の眼差しで見つめられるのも分かります。

雨夢の舞台版をやった福田麻由子ちゃん(ちなみに智花ちゃんに花を贈ってました)を見つめる目が「12歳なのに一人前の女優」だったのに、智花ちゃんを見つめる目が「19歳なのに純粋な少女」だったのは、女優さんとしての力強さの違いということになっちゃうのかな、やっぱり。

ちなみに今回の作品の制作発表で、「雨夢が舞台化されたときに自分じゃなくて悔しかった」と語ってる智花ちゃんのコメントがあってとても意外でした。(こちら

おっとりした感じの彼女でも、やっぱりそういうことは思うんだなぁという当たり前の感想を持ってみたり、おっとりに見えて気が強いようなところは、今回の作品のいぶきの一面に、そのまま表現されているのかもしれません。

今回の作品はあくまで「黒川智花ちゃんをヒロインに迎える」のが一義的な目標に置かれているので、父親役はドラマで共演した西川さんに必然的になるし、岡内さん(脚本家の秘書的存在)は雨夢でいえば木村多江さんが演じた役回りの、いわゆる「素敵なお姉さん」になるのも必然。

さてこの辺りから毎度恒例のネタバレです。
今後鑑賞予定の皆様はご注意くださいませ。




で。

今回の作品のタイトル、すごーく長いわけですが、「心臓の鼓動」という台詞、本編でも何度か使われています。

何かの暗喩かな、と思っていたわけですが、なるほど不幸が様になる少女、黒川智花ちゃんは病気を避けては通れないのですね。

人は自らが危機に陥ったときに、一番大切な人(物)を想う。

というおそらく真理が、物語後半で解き明かされるにつれ、日高いぶき、そしてもうひとりの少女である石狩鈴音の関係とともに判明していきます。

日高と石狩・・・この作品が北海道からスタートしてる公演というのがよく分かります。
主人公の根室、共同経営者の砂川、もうひとりの脚本家の松前・・・北海道の地名目白押しです。


物語前半のちょっとまどろっこしいストーリー進行に比べると、後半のいぶきの叫び、そしてその叫びが実は身体の叫びではなく、魂の叫びだと分かったあたりからの展開は、段違いに引き込まれるものがありました。

いぶきが父親と会えたこと、その「奇跡」のピュアさに一点の曇りもない、確かにそれはキャラメルボックステイスト以外の何物でもないのでした。

いぶきちゃんと父親を応援するみんなという姿は、テレビ版の雨夢の雨ちゃんと父親の姿を彷彿とさせるものがあったし、でも何でかわからないけれど、雨夢にあったカタルシスに比べて、この作品のエンディングへの道のりは、何かちょっとだけ押しが足りない気がします。

「最後に信じるなら、なぜ最初から信じてくれないの」そんないぶきの叫びが、もっと作品の中で生きるように見えてくれば、この作品はもっとよくなる気がします。


登場人物は成井さんを彷彿とさせる脚本家を演じる西川さん(のちょっと押しが出せない感じ)といい、生意気盛りのいぶきを演じる智花ちゃんを初め、キャストはどの方もいい味を出してます。

智花ちゃん、演技にめりはりがもっとあって欲しいかな。
今回は事実上は2役だけど、「全然違う」と周囲が言うのがちょっと首をかしげてしまうほど、差が見えないし。

「力強さ」が見えにくいのは物足りないし(どうしても福田麻由子ちゃんと比べてしまう)、強さを出すのに張り上げだけが武器なのはちょっとつらい。
舞台の声は喉でなく腹から出して欲しい。

脚本家と共同経営者にあたる小説家を演じている大内さん。実は大内さんはキャラメルの男優さんでは一番の苦手な人だったのですが、今回は凄く良いと思う。

無理して出過ぎてないというか、大内さんは上川さんや岡田さんと一緒にやったときは変な対抗意識が表面に出してくる印象を持っているのですが、今回は組んだ相手が西川さんということもあり、無理なく先輩(作品上は恩師)を立てる形になっており、すっきりしていてgood。

そういえば、いぶきという名前は「息吹」にかけているのでしょうね。

表のヒロインがそのいぶきなら、裏ヒロインが岡内さん演じる秘書。「芸能人のような派手さはなく、目も鼻も口も上品で優しげ」という設定(成井さん原作の小説より)からして、キャラメルボックスで演じさせるとするならまぁ岡内さんだろうな、とすぐ想像がついてしまいますが。

素敵なのですが、今回は主人公の別れた妻役を演じた温井さんと役をひっくり返しても多分何の違和感もなかっただろうし、もしかすると春公演の客演・西山繭子さんと入れ替えても違和感なさそう。それこそ木村多江さんでも。

「きれいなお姉さん」であることにとどまってしまっているのは、ちょっと寂しいかも。

でも温井さんの演じた妻役は、何気に出番が少ない技巧者向きな役だから、温井さんじゃないと無理だと思うけれど。難しい役どころをひょいとこなしちゃうようになった温井さん、さつきさんの後を継げるかも。

敏腕プロデューサー、原作では男性ですが今回は岡田さつきさんが演じています。
まぁ男以上に男らしいさつきさん(爆)ですから格好良さは折り紙付き。
實川さんのサポートも上手いことはまってます。

大森さんのおばあさん役もちょいとツンデレ風味入ってて面白いし、おじいさん役の菅野さんは相変わらず微妙にヘタれるし、岡内さんの兄役の三浦さんは相変わらず主人公に余分な邪魔ばかりするし(笑)、畑中さんはメタボ体型を活かして(爆)客席の沸かせ役として存在感抜群だし。脚本家・松前役をやった阿部さんがちょっと「売れっ子の嫌みっぽさ」を出してて、ある意味存在感あるし(ちょっと損な役回りですが)。

全体的に、前半と後半がうまくかみ合っていなかったのが気になりはしたのですが、東京1ヶ月、短いようで長い期間にどれだけ変わっていくのか、楽しみです。

この日、初日特典ということで、初日の半券持参で当日券半額の特典が発表されまして、あ、1回確定(笑)
毎度恒例のビジュアル付キャラメルチケット、欲しいんだよなぁ。

前回のハーフタイムシアター「ハックルベリーにさよならを」と「水平線の歩き方」のDVD(まとめて1枚)も出ていたのですが、2作品まとめて9,800円だったこともあり高くて断念(手持ちが少なかったので。別々に出ると思ってたから油断でした)。
買いに行きたいのでぜひまた行こうかなと。

つかトーク&フォトブックと原作本(成井さんサイン入り)買ってたらDVDのお金が出なくなっちゃったんで(爆)。

火曜日から金曜日までが、お勧めだそうです。
平日ほとんど全部のような(笑)。

そういえば今回、前説が抜群です。
ミニドラマ仕立てですが凄く面白いです。見逃すと絶対損です。

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『篤姫』(9)

2008.11.23(Sun.) 20:00~20:45 NHK総合他

第47回『大奥の使者』

 唐橋役の見せ場といえば、この第47回(その後の見せ場は最終話の第50回)。

 慶喜の助命嘆願書の行方を整理してみると、

1.天璋院→(天璋院付)唐橋→近衛家
2.静寛院→(静寛院付)土御門藤子→朝廷
3.天璋院→幾島→西郷吉之助

 となり、よく見ると、1だけ架空だったりします(2も3も実は史実)。

 この唐橋役については演じている高橋由美子さんがどのように演じているのかは、あまり漏れ伝わってこないのですが、今回は内容的に重要な位置を占めるだけに、NHKの公式HPのインタビューに出ており、そこと見比べながら見ると今回の話の意味がより分かるように思えます。

 唐橋が嘆願書を届けることを立候補するシーンがこの回にはありますが、前々回の「コメディキャラ」とは一転し、由美子さんいわく「ほかの人たちよりも遅く天璋院様に仕えることになっただけに、認めてもらいたい、もっと役に立ちたい」という面が表現されていた回と言えます。

 唐橋が「このような時にしか、お役に立てませんもので」と言うシーンは、何というか、えぐられるほど痛くて、邪推とはいえ「役として」というよりむしろ「役者として」という部分が見えてくるようで、とてつもなく悲しかったなぁ。

 「役者として何かをしたと言えるのか」という呟きが漏れてくるようで、キャスト発表された頃にはこんな思いもするとは思ってなかったなぁ。

 西郷と対するのが再登場の幾島ということもあって、事実上幾島・西郷の組み合わせで進んでいったこの回で、序盤の導入部を担ったのが唐橋ですが、考えてみると、大奥の力関係がほぼできあがった後に登場させてきた唐橋という役どころは今までは非常に微妙なポジションにありまして。

 結果からすると、大奥陣3人には見せ場がそれぞれ順に与えられた形であり、45回の「母からの文」が重野、この日47回の「大奥の使者」が唐橋、来週48回の「無血開城」が瀧山ということになります(原作としては45回だけがドラマオリジナル、47・48回は原作に忠実)。

 幾島は好きな役だし、松坂慶子さんも好きな役者さんだけど、最近失速気味の状態でのカンフル剤として使っている印象は否めなかったし、ともすれば「今いる人は役に立ちません」という流れがもっと強調されるかと実は思っていたんですね。

 ゆえに、それなりに「大奥の精一杯」を表現した唐橋と土御門藤子(ちなみにこの方も全話中最大の見せ場)の存在は良いアクセントだったかな。

 静寛院から藤子に対する「都は動乱のまっただ中、そこに突っ込む覚悟はあるのですね」と念を押した上での委任も良かったし、天璋院に至っては唐橋に一言、「済まぬ」ですべてを表現してる。

 ここで「済まぬ」の一言で終わらせたところに天璋院の大きさを見せた感じがする。

 静寛院→藤子で事情説明が済んでいるからということでもありますが、唐橋の立候補に一瞬たじろいでいますが、瀧山の口添えがあったとはいえ、余計なことを何も言わずにただ任せた辺りは、いままでの唐橋キャラを見ていた方からすると、意外なほど(笑)。

 ※ちなみに原作では天璋院が唐橋を使者に立ててますので、結果は同じですが話の進み方は全く逆です。「唐橋が天璋院にとってなくてはならない存在になっている」ことを認識した上で唐橋を使者に立てています。

 インタビューで由美子さんが語っていますが、唐橋は原作と違って「若輩の新参者が必死で天璋院様のお役に立とうと思っている」というポジションなので、無理に頼りなく見せているところがあって。

「頼りない唐橋が力を振り絞って頼りがいあるように見せるけれど、でもやっぱりちょっと力不足」

という、とてつもない難儀な役どころ、実に演じにくそうな位置づけではあります。

 今まで由美子さんの演技でここまで不器用そうな演技は見たこともないので、本人が「達成感よりも苦労」を感じたのも分かる気がします。
 その割には中途半端な評価しかされないのが忸怩たるところではありますが。

 唐橋は結局近衛家に天璋院の文を渡すことはできず、所期の目的を果たせずに江戸に戻ります。
 「誠に面目もございません」と詫びる唐橋ですが、実は天璋院にとっては一番のお土産を持って戻ります。
 大奥を束ねるために、誰にも頼れない天璋院(勝は例外)、しかし、ただひとり無条件で頼れる存在。

 幾島、ですね。

 幾島を江戸に連れてこれたのは、唐橋だからだったのか、それは描かれてはいませんが、結果的に天璋院お付きとしてきちんと結果を残しました。

 大奥育ちだと、天璋院の名がバックにあるとはいえ、外に出てまで交渉ごとなどとても無理なはずですが、大奥新参な唐橋だと、ちょっと前まで町中にいて、しかも瀧山の目に止まるほどの人物であれば、意外なやり手であってもおかしくはないわけですね。(使者が重野だとちょっと違和感はあるので。第45回の天璋院泣き落としのメインは重野の方がしっくり。)

 というかこの時代、籠に乗っても江戸から京まで500km(当時の単位ではありませんが)、片道10日以上、往復にすれば1月近くを旅できる大奥の女は普通いないかと。唐橋さん、藤子さん、意外にタフです。
(原作だと唐橋は中山道を北に向かい浦和まで、藤子は東海道を西に向かい保土ヶ谷まで、だったはずなのでたかだか1週間ぐらいだったはずですが)

 その実、土御門藤子は朝廷への嘆願を届けることができたそうなのですが、今回の話では一切触れられず。
 唐橋は存在自体が架空ですから、近衛家への嘆願自体が存在しなかったといえ、実現しなかったことで使命を果たせず。
 ただ、唐橋が成功すると幾島の出番はなくなり、かといって幾島が西郷に届けた史実だけを使えば、唐橋の出番がなくなり、かといって土御門の活躍を描くと唐橋と幾島両方の出番がなくなる。

 結局、活躍した土御門がまったく言及されずに一番気の毒ですが、唐橋も「幾島にはぜんぜん敵わないんだな」という印象だけが残り、「やっぱり幾島だよね」という印象が残ってしまうのは、やっぱり残念なところ。

 どっちかといえば、「篤姫」は前半登場陣に役作りの自由が合ったのに比べると、後半登場陣は枠が完全に決まりきっていて、身動きがとれない印象があります。後半のどことなく澱んだ空気は、そんなところが理由にあるのではと思わせます。

 話は戻って。
 唐橋の結果を事前に聞いていた瀧山、重野は目配せして何やら目と目で通じ合っています。(ちなみにこの回のEDで、唐橋と重野が天璋院を挟む形で目と目で会話してます)

 運があったとはいえ、幾島を天璋院のもとに連れてくるとは、「唐橋、そちも意外とやるもんじゃな」と瀧山、重野が賞賛してるようにも思えます。

 なお、かくして唐橋と幾島は近衛家で出会うこととなりますが、天璋院付の唐橋は実は幾島とは初対面。
 役者さんということでは11年ぶり(大河ドラマ「毛利元就」以来)ですが、幾島はもともと近衛家に仕えていたし、ここで会うのも全く不思議ではなくて。

 近衛家が面倒事を抱えたくないから唐橋の持ってきた嘆願書を受け取るはずもないし、途方に暮れたところに幾島が現れて、実は一度会ってる小松に会いに行って、「天璋院から西郷への嘆願書を幾島から届けるしか手はない」と知恵を授けられる。

 大奥の枠に収まりきらない幾島でさえ思いつかない話を出すあたり小松はやっぱりダテではないし、幾島が江戸に一旦戻る理由付けにもなるし。
 
 天璋院の婚礼の準備をしたことで出世した西郷が江戸城攻めの責任者、静寛院(和宮)の元々の許嫁だった有栖川宮が江戸城攻めの名目上の責任者。

 「運命の皮肉」さを見せながら、「大奥一丸」の様を見せるあたりは史実通りとはいえ、実際に見るとやっぱり印象的。かつて反目しあっていた天璋院と静寛院がまさに「同じような立場」であることを見せたのは上手いなぁと思います。

 よく見ると、史実から大河ドラマなりの味付けをしまくって、回想ごった混ぜで「大奥が徳川を救うために奔走した」ことを極限まで表現し切った回に思えます。

 西郷が今までのしがらみもすべて切り捨てて突っ走る中で見せた苦悩は、幾島との対面で存分に表現されていたし、1分1秒見逃せない回は本当に久しぶりだった気がします。

 見た目も存在も重量級な幾島の存在感ですべてを持って行った感のある47回でしたが、出ていたすべての役者をお互い光らせる、上手い脚本・演出だったと思います。

 泣いても笑っても「篤姫」はこれからたった3回(+総集編)。
 まさに最後まで、見届けようと思います。生で(10月以降、日曜の夜には予定を入れていません)。

 インタビューで由美子さんが「最後のバトンを受け取って」と堺雅人さん(家定役、由美子さんとはANB系「婚外恋愛」で共演し、先日の「喧嘩農家」もご観劇いただいたそうです)の言葉を継いで言っていたのが、何だかちょっと嬉しい気持ち。

 天璋院の最後を看取った唐橋が、亡くなった人すべての御霊を語っているかのように、奈良岡朋子さんのナレーションが、聞こえてしまったりするのです。

 ・・・亡くなった人を見送る役は、いつものことですからね。
(「モーツァルト」ナンネール役、「SHIROH」山田寿庵役)

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『篤姫』(8)

2008.11.16(Sun.) 20:00~20:45 NHK総合他

第46回『慶喜救出』

とはいえ、『慶喜脱出』とでも表現したくなるような有様ではありました。

むしろ『朝敵』というサブタイトルでも良かったのではないかというぐらい、徳川最後の将軍・第15代徳川慶喜をとことんまで痛めつけた第46回です。

この回はただひたすらに大奥の長である天璋院の人心掌握術を披露せしめた回でして、実は天璋院は慶喜嫌いだったということを見ている方に忘れさせてしまうほどの回でした。

というか、天璋院が大奥に入ったのはそもそもが夫である家定に跡継ぎとしてこの慶喜を推すためだったんですけどねぇ。その後対面したときに「覇気がない」っつーって養父斉彬の命に背いて慶喜推しを止めてしまったことは、今回ほとんど描写されていませんでしたね。

そりゃ「つかみ所のない方」と称してはいますが。

凱旋帰郷を信じて疑わない本寿院と歌橋の浮かれようにかける言葉を失う大奥の面々が面白すぎです。本寿院そのもの(爆)も面白いのですが、周囲は笑いをこらえるのに必死でございましょう。瀧山の「お耳をお貸しくださいませ」も瀧山がやると何か面白い。
でそんな瀧山の様をどこか困ったように見ている天璋院はもっと面白い。

慶喜を許せない静寛院に対してだけ「実は私もあの方は好きにはなれませぬ」と明かしたことで、天璋院の意向が慶喜個人を救うことではないことを明確にしたこととなり、静寛院の心を掴んだことがスタート地点。

朝廷から輿入れした静寛院を味方にしておかないことには天璋院が大奥全体、ひいては徳川家全体の意向となることができないという戦略的な観点からすれば、さすがの策士です。

薩摩長州の策略により朝敵とされた慶喜は幕府軍を大坂城に残し、江戸に逃げ帰ってきます。

勝に突き放されて会うは天璋院。
その天璋院に「私を侮っておるだろう」と喝破され、「生き恥をさらせ」とまで言われながら、静寛院の助力も得て慶喜の助命を嘆願することになります。

天璋院が静寛院の理解を得ていなければ、薩摩に通じる天璋院と朝廷に通じる静寛院双方が意図を同じくして動くことはできないでしょうし、将軍が江戸に逃げ帰る状態では、大奥のトップである天璋院の意向なしではどうしようもなかったのでしょう。

この回では小物に扱われている慶喜ですが、「朝敵」とされたことが何よりの衝撃だったのだろうということは、実に良く分かります。勝いわく「一度負けたぐらいでむざむざと逃げ帰ってくる」ほどのショックだったと。

これについて意外な発言をしたのが、今週の唐橋。

「慶喜様はよほど誇り高き方だったのでしょう。朝敵の烙印を押されたことが、我慢ならなかったのでは」

江戸へ逃げ帰ってきた慶喜のことを伝え聞く大奥(といってもこの段階では天璋院と瀧山、重野、唐橋の4人だけがその事実を知っている。いつの世でも情報を抑えた者は強いのですね。)にあって、皆呆れながらも、天璋院と瀧山は事の事大さに頭を抱え、重野は江戸へ薩長軍が向かってくることを心配しているのですが、ワンテンポずれた唐橋は、緊迫感がないこんな発言をかまします。

この発言、実は天璋院がしてもおかしくない発言でして、あえて唐橋に言わせてるのは単に出番を作るだけだというのは分かってはいるのですが、「慶喜を責め立てる」方向に行きそうなところであえて慶喜の今回の行動の原因を分析しているのが、意外なターニングポイントになっています。

というのも、「つかみ所のないお方」の慶喜が、なぜ今回むざむざと逃げ帰ってきたのか、慶喜のプライドはどこにあるのか、慶喜のプライドを残しながら、いかにしてこれからの策を練るのか、という点について「慶喜の人となり」を明確にしたこの一言は、天璋院の判断に意外なほどの影響力を与えているように読めます。

もう一方のベクトルが、「慶喜の首を朝廷に差し出せ」と叫んだ本寿院。相変わらずいいキャラしてますが、今回、瀧山もこっち側だったりするんですね。いわゆる徳川家第一派です。静寛院もこちら側なので、12代から14代までの嫁がすべて慶喜嫌いで統一されてます。

この温情派と急進派の両極の中で実現した慶喜と天璋院の会談。

「自分の首差し出して徳川が守れるのなら」と慶喜は本寿院と同じ事を言いますが、天璋院は「綺麗事」と切って捨てます。

「最後の将軍・徳川慶喜は潔く散った。しかしその後に残るのは本来の徳川宗家ではない。当主を殺し、むざむざと生き残ったみじめな抜け殻じゃ。」

この『篤姫』の中での篤姫(天璋院)の言葉の中で最大の名言は、この言葉にあげたいところです。

天璋院にとって、徳川を守るとは、徳川の「心意気」を守ることだったんだと。

その意思も覇気も感じられない慶喜を将軍に据えることは、もともと天璋院の本意ではなかった。

がしかし、現当主は慶喜であり、慶喜の首を差し出すことは、もはや慶喜の自己満足でしかない。
征夷大将軍を返上したからといって多くの石高を抱える徳川宗家とはいえ、当主を殺した家が、これから先も「家」というものの中で一体となれるわけがない。

徳川家を思うからこそ、慶喜を殺すわけにはいかない。

すべからく組織というものは、同じものを信じ、同じものを守ろうとしてこそ成り立つ。組織の存在意義を考えたときに、家を存続させるために当主を殺すのではまさしく本末転倒で、人が付いてくるはずもない。

そう思うと、一時の感情にとらわれることなく判断することのできた人が大奥の中にいたことは、幸いだったのでしょう。

あれだけ慶喜を叩いておいて嘆願書を書くことを申し出る天璋院というのも、いかにも飴と鞭という感じで、ここで静寛院を味方に付けておいたことが功を奏します。

ここで慶喜を「家族」とまで言うのはいくらなんでもやり過ぎじゃないの?と思いはするのですが(あれだけ嫌ってたのに)、孤独で生きてきた慶喜に対してその「孤独」を理解した天璋院の人としての大きさだったのでしょう。

そんな天璋院が慶喜に頭を下げたことに対して、あの静寛院さえ頭を下げます。
静寛院は「人に頭を下げたことのない人」(演じている堀北さんがインタビューでそう言っています)ですが、自然にああいう空気になるのは、いい流れだったと思います。

次回はその嘆願書を届ける「大奥からの使者」(第47回)。
「徳川家のおんため」と言っている唐橋が第一陣の使者、
そして実に久しぶりの幾島と唐橋が出会うことで、新たなる展開を見せます。
(静寛院側は、静寛院付で唯一出番が継続している土御門が使者)

結局のところ幾島に持って行かれそうですが、『毛利元就』以来実に11年ぶり、高橋由美子さんと松坂慶子さんとの競演、楽しみです。

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『新妻聖子 LIVE MOMENTS』

2008.11.15(Sat.) 18:15~20:40 品川ステラボール下手側

[セットリスト]
第一部
1.Seasons Of Love @ RENT
2.ヴァージン・ロード @ 昼ドラ
3.I'll Never Fall In Love Again @ プロミセス、プロミセス
4.青いカモメ (前年に引き続き)
5.Eyes On Me @ セリーヌ・デュオン
6.命をあげよう @ ミス・サイゴン
7.I've Never Been To Me @ CHARLENE
8.私だけに @ エリザベート

第二部
9.I Want You Back @ JACKSON 5
10.Home @ 清水翔太
11.I Don't Want To Miss A Thing @ アルマゲドン
12.魅惑のスタンダードポップスメドレー
 12-1.コーヒールンバ☆
 12-2.にくい貴方★
 12-3.君の瞳に恋してる★
13.Defying Gravity @ ウィキッド
14.ピエタ
15.心の声 @ マリー・アントワネット

アンコール
16.愛を止めないで @ 時代劇
17.ひとつ(未発表新曲)

★は英語、☆はスペイン語、以外は日本語

新妻さん1年ぶりのホールライブ。

2年連続だった赤坂・草月ホールを飛び出し、やってきたるはエプソン品川スタジアム品川ステラボール。(”品川ステラボール”だけだと実は品川駅の案内にないので迷ったりします・・・)

詰め込んだり900人の満員御礼。
草月ホールは530人のキャパでしたので、1年でほぼ倍増なのに満員。

開場は17時30分の予定でしたが、後述の理由により15分遅れとなり、開演もそれにつられて15分遅れの18時15分。新幹線等の遠征組にはちょっと過酷な事態です。
自分自身もこの日は実家に帰る予定を入れていたので、遅れすぎないかちょっと気をもみました。

開演前、花を眺めてみると”新妻さんの永遠の非共演者”笹本玲奈さんからと、MAで共演した涼風真世さんの名前が目立ちます。
家族から花が来ていたのには噴いちゃいましたが(来るのは普通かもしれませんが、飾るのは普通じゃない(笑))

この品川ステラボール、個人的には初めて。
(隣のクラブeXは一昨年の笹本&香寿の黄金コンビでの「CLUB SEVEN」で体験済み)
自分が下手側の席だったことだけで言うわけではないのですが、音響的にはいまいち。新妻さんの声質が特に溶け込んでいないせいもあるかと思いますが、第一幕は微妙に慣らし運転。

歌っている途中にしゃっくりが出るという、新妻さんにしては前代未聞な出来事さえ起こる(M3)波乱の幕開けです。・・・それをMCでばっちり言っちゃうのが良きにつけ悪しきにつけ新妻さんのキャラですな。

印象に残った曲を順にコメント付で。

●M5「Eyes On Me」
これは曲というよりMCがおもしろ過ぎだったのであえてピックアップ。
今年3月にセリーヌ・デュオンが来日して東京ドーム2daysをやったのですが、その時、新妻さんの席は最前列セリーヌ花道ど真ん前だったそうです。
で、終わったときにセリーヌに向かって「Serine,I love You!」とシャウト(笑)したら、セリーヌが気づいて握手してくれたと。

・・・有名人が何やってんですか(笑)

セリーヌ・デュオンを日本人が歌うコンサートは、かの昔1999年に高橋由美子さんがやっておりまして、由美子さん本人は当時の力量からいたく恥ずかしい過去らしいのですが(こちら)、どうせなら次は新妻さんに。

●M8「私だけに」
この曲はやっぱり1幕ラストに持ってきました。
今回のLIVEもそうなのですが、入場時に配られるチラシにセットリストがきちんと載っているのは当たり前とはいえ大したものだと思います。アンコールは除くとしても、曲目をあらかじめ告知した上で更に実際の歌で聞かせるわけですから。

生で初めて聞いた「私だけに」はしかも話によるとCDよりキー上げのオリジナルキーだったらしく、それを力業で持って行ってしまう新妻さんの声量にとにかく圧倒されます。新妻さんに要らないものは、きっと裏声なのでしょう。

●M12-2「にくい貴方」
この曲の説明の時に「浮気ばっかりしてるとこのブーツで踏んづけちゃうぞっ」という説明をしていたのですが、さすがにその台詞は新妻さんの歳では無理がありすぎます(笑)。だからといって笹本さんにこんな台詞を吐かれた日にゃあまりにマジすぎて背筋が凍るような気がしますが(爆)。

たぶんこの曲、噂を総合すると「魅惑のスタンダードポップス」で猫のコスプレして歌ったときの曲じゃないかと思いますが、てっきりそのぐらいのことやるかと思ったのに(苦笑)。

●M12-3「君の瞳に恋してる」
今回、衣装は4着だったのですが、この曲あたりからの真紅のドレスがまっことに綺麗なことで。新妻さんはどちらかというとドレスが似合わない印象があるのですが、目の覚めるような綺麗なドレス姿でした。
まぁ、あのアオザイ姿がばっちり決まる時点で、背はともかくスタイルがいいのは分かりきってる話なんですが、その割にはよく食べますよね。

何しろ有名すぎるほど有名な洋楽の名曲ですから、ノリ方に困っていた感のある今回のライブでも、一番の盛り上がりでした。

●M13「Defying Gravity」
ライブの選曲にあたり、リクエストランキングが”笑っちゃうぐらい”ダントツのトップだったそうなのがこの曲。劇団四季ミュージカル「WICKED」の中からの1曲。

新妻さん自身、「WICKED」を見たことがないそうで(ちなみに私も)、それについて後の席にいたミュージカルファンのお姉様が「それはありえないだろう」と文句を言ってましたとさ(笑)。

そんな聞いたことない曲も新妻さんなりの味付けで余裕を残しつつシャウトしちゃうのが彼女の真骨頂。必死でメトロでの広告見ないふりしてた四季食わず嫌いの自分が「WICKED」見たくなってしまうではないですか。
ま、そこに新妻エルファバはいないんですけどね。

ご本人も言ってましたが、照明がすごく綺麗でした。真ん中から見たかったなぁ。

●M15「心の声」
帝劇ファンからはどことなく忌避されている感じのMAからの1曲が、この日の本編最後の曲。
やっぱり新妻マルグリットにはこの曲、対して笹本マルグリットには「100万キャンドル」だろうと信じる私にとって、この後お目にかかれるかどうか分からないこの曲が、新妻さんの全力で聞けたことは嬉しかったですね。

この歌の前で「あと3時間ぐらい続けてやれそうですが」と言って会場内の大拍手を誘っていましたが、きっと新妻さんは1日歌い続けるのも可能な感じです。何しろ途中に喉を休められる必殺の「ゆるーいトーク」を保持されているので。

選曲の意外性と言えば、絶対来ると思ったレミゼが入ってないのが意外。
あと結局「MUSICAL MOMENTS」から全曲というのは実現しませんでしたが。

全般的に新妻さんの歌に酔い、凄さに感服するのは良いのですが、この日の選曲は微妙にご自身の良さを活かしにくい曲に行くこともあって、ちょっとそこがもったいない感じ(M7とかM9とか)。

が、逆に言うとミュージカル曲で全開に飛ばしまくってるところへの息抜きという意味で言うと、それもありなのかもしれません。ただ、新妻聖子はミュージカル曲歌わせてなんぼなので、あまり”新しい新妻聖子の魅力”という感じでは、印象強くはなかったかなと。

●M17「ひとつ」
アンコールの最後の曲は、意表を突いての未発表の新曲。

新妻聖子作詞、新妻由佳子作曲、新妻聖子ピアノ弾き語り。

新妻由佳子さんとは、実のお姉様。シンガーソングライターをされているそうです(こちら
お顔はさすがに似てらっしゃいますね。)。

聖子さんの思い入れが、良い意味で消えずに残ったすてきな曲だったと思います。

歌詞も姉いわく「聖子らしい歌詞」と言ったそうですが、さもありなん、「私にも一つ生きている意味がある」といった内容の歌詞は確かに彼女らしさを感じさせられるものでした。

お姉様は一時期音楽から離れていたそうですが、どうも妹の活躍に刺激されたらしく、再出発ということで音楽をされているようです。先週のNHK「サタデーホットリクエスト」で、放送では流れなかったのですが、新妻さんがAKINAさんとそんな会話をしていました。

で、ピアノ弾き語りなのですが。

「ピアノ弾き語りは17年ぶりなんです。17年で初めて~(会場内笑)」

ってな訳で。(サイゴンの「17歳で初めて~」にかけています)

え、ピアノ弾けるの?と会場内が一瞬あっけにとられる振りだったのですが、どうしてどうして堂々としていて、「本当に17年ぶりなのかよ」と突っ込みを入れずにはいられない完成度。
なにせ弾き直ししないんですから、相変わらず度胸は凄い人だこと。

ちなみに開場・開演が15分遅れたのは、このピアノ弾き語りの際のピアノの場所を「あーでもないこーでもない」(本人談)で動かしていたから、だそうな。

最後のMCで言っておられましたが、来年は新妻さんは映画に初挑戦だそうです。(12月公開)
アンダンテ~稲の旋律~
ヒロイン・藪崎千華役で、元は引き籠もり。その彼女が農業を通じて自らを見つめ直して再生する物語とのこと。

レミゼ中日劇場公演後の4月から撮影入り。

以前「ガラスのうさぎ」を制作(新妻さんが劇場版の主題歌を歌っています)した方の企画。その前に12月は「旅サラダ」のロケで初のベトナム1ヶ月旅行だそうです(博多座のサイゴンにかけているのでしょう)。

ライブを振り返ると、どことなく駆け足で、特に一幕はあの新妻さんのトークが微妙に緊張気味、歌も緊張気味という不思議なものを見せてもらいましたが、このLIVE ACTならちょっとお高めのチケットも納得というものです。

草月ホールでやったときより、異常におじさん率が高かった気がしますが、何となくスポンサー系の方々へのお披露目の要素が強かった感じ。

とにかくセンター以外が不満が残る会場で、音響もあまり良くないので、次回は座席の傾斜もある他の会場でお願いしたいかな。
東京芸術劇場の中ホールとか音響もいいんだけど、高いか、使用料。(座席数841)

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『篤姫』(7)

2008.11.9(Sun.) 20:00~45 第45話「母からの文」

薩摩の母から送られた文、「薩摩へ帰ってほしい」によって、天璋院が身じろぎもしなかった回。

母・お幸から送られた手紙で印象的だったのは、

「この手紙を読んで心揺れるのであれば」

というくだり。

「薩摩のおなごの筋の通し方」を娘に教えてきたお幸にとって、懇願されたとはいえ手紙を書くことさえ、不本意だったかもしれない。
「どうしても帰ってきてほしい」と言うこともできたろうに、それができないのが「薩摩のおなごの筋の通し方」。

だからこそ「心揺れるのであれば」という条件を付けていて、最終判断を天璋院に委ねている。

この格好良さに痺れます。
きっと薩摩・江戸を離れていようとも、思う気持ちは伝わっていると思わせる、すてきなシーンでありました。

**************************

大奥陣はすっかり登場人物が絞られてしまって、本寿院&歌橋さえ1カット。

本寿院は天璋院を見直したようで、「薩摩から帰ってほしいといわれたところであの者が帰るはずがあるまい」と肝が据わってる。
「嫁がだらしない」とずっと言い続けてた本寿院を覚えていると隔世の感ですが、実際頼れる者が天璋院しかいないのだからしょうがないですね。

静寛院は庭田さえ亡くなってしまい、取り巻きが不在となって事実上の隠居状態。
そして静寛院も1カット。

以前と異なり、大奥はすっかり人がいなくなり、御中臈の花園(和宮付)、常磐(篤姫付)さえ回想での登場。

天璋院と対峙するのは瀧山、重野、唐橋の3人衆だけ。

そしてなぜか、自称「大奥の和み系」(今週のTVガイド参照)の唐橋が絡むと、何だかよく分からないコントモード(笑)。
かの昔、本寿院と歌橋と幾島で、「家定様に篤姫様が気に入っていただけるには~」で同じようなテンポで笑わせていたっけ。これ、演出の趣味なのかな。

瀧山(天璋院を薩摩に返さない派)と重野(天璋院を薩摩に返す派)がまっこうからぶつかってるところに、「あの~」と間を分け入っていく唐橋。

重野がむちゃくちゃ迷惑そうです(笑)

「天璋院様が大奥におられないとなると、誰も我らについてこなくなるのではないですか」

・・・重野も、むろん瀧山もこれは肯定せざるを得ず。
「だらしないなぁ」ってところなんですが、実際に天璋院あっての御年寄の指示なのでしょう。

「静寛院様に伺ってみてはいかがでしょう」

・・・静寛院こそ京都に帰る筈の立場の人で、天璋院を薩摩へ帰す説得なんて無理。

「本寿院様に伺ってみてはいかがでしょう」

・・・本寿院は天璋院が薩摩に帰らないと信じている、こちらも無理。

結局、天璋院に薩摩に帰せる人はだれもおらず、自分たち3人が天璋院様に直談判するしかない、と。

重野が頭を下げて瀧山に頼んでいるところで、実は瀧山と唐橋は目と目で会話しているのですが、「重野がここまで頼むのなら、天璋院様に頼んでみよう。天璋院様はまず帰るとは言わないんだから」というのが見えて。

あぁいう一瞬の静止画の面白さっていいなぁ。

当初の予定なら、唐橋は幾島派のはずだったから、瀧山と唐橋が同調するなんてありえない話だったのですが、意外に演技の相性も良い感じ。

唐橋は瀧山派だから、重野(実は幾島派)とは相容れない部分もあったりするわけですが、瀧山と重野の正面衝突をうまく和らげて落としどころに持ってった、意外なやり手ぶりを見せました。

唐橋と重野はポジションがかぶるとずっと思ってきたけど、真ん中しか見えないけど攻撃力が強い重野と、周囲が見えるけど攻撃力はさほどでもなくて意表攻撃が得意な唐橋の組み合わせが、意外に両立していて。
元祖「大奥の和み系」本寿院の影が薄くなったのは、とても意外。

ただ、ことここまで来て和み系のコントが必要かというと、あまり要らないかな。

緊張感がそこだけ欠けるような感じでもあったし、何より由美子さんは泣きの演技が苦手中の苦手なんで、画面的に締まらないというのが。
予告を見てたので、あぁこれ使っちゃうのか・・・と思ってた由美子さんの泣きシーンだっただけに、あんまり使ってほしくなかったなぁ。

※ちなみにこの泣きシーン、収録に居合わせた大奥陣からスタッフに至るまで、爆笑の渦に投げ込んだそうです(笑)。

大泣きシーンで天璋院が「何だ唐橋、子供みたいに泣いて」と言ってたけど、キャラ的には唐橋は愛玩キャラになったようで、なんか原作のさと姫(飼ってた猫)みたいだ。

重野の意外な程の熱さも良かったし、ちょっとやりすぎのところがあるとはいえ唐橋のキャラもここにきてようやく立ったし(こんな最終盤に本筋を邪魔してまで入れるのは恐縮ですが)、いよいよラストスパート。

由美子さんはキャラ立てる必要があるときには容赦なくキャラ立てするなぁ。
今回はおとなしくしてないパターンとは。

今回は日本シリーズが第七戦まであって裏でぶつかり、視聴率が気になるところではありますが、あと5回、楽しみ。私的な山は唐橋が幾島に出会う47話(11月23日放送)ですな。

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『サタデーホットリクエスト』

2008.11.8(Sat.) 14:00~17:00 
NHKスタジオパーク505スタジオ

『篤姫』クランクアップ日以来、1ヶ月強ぶりのNHKスタジオパーク。

NHK-FMの公開生放送に行ってきました。

観覧希望は往復葉書で出すのですが、締め切りは前週の月曜日必着。

この日のゲストが新妻聖子さんとゆかなさんということに気づいたのが、締め切り日当日、10月27日午前2時。

一計を案じて早起きし、渋谷駅宮益坂口の日本郵便渋谷支店前のポストに速達で投函したのが同日午前8時。
執念が通じたのか、無事、当選連絡の入場券が送られてきました。

キャパは70人ぐらいなのですが、今回は応募が多かったらしく、80人にまで増やした上で一部は立ち見でした。

東京都区内の場合は、配達支店違いは速達でさえ当日配達は難しいので(江東区新砂の新東京支店だけは、都区内のほぼ全支店に便がありますが、それでも朝4時ぐらいに入れないと厳しい)、NHKの配達支店である渋谷支店での直差し出しを選びました。

この番組は14時から19時までのロングランで、観覧は17時30分頃まで。
ゲストが全部で4組ですが、途中入場が出来る旨の記載はない(実際にあまり好まれません)ため、いろんな人目当ての人が混在します。

そんな中、私にしてみれば目当てが2人もいる(新妻聖子さんとゆかなさん)上、司会の杏子さんは『SHIROH』でおなじみのお酒呑みだし(←役職説明ちょっと違う)、AKINAさん(元アイドルグループFolder5のメンバー←昔CD買ったっけ)と知ってる人ばかり。

たぶん、この会場で新妻さんとゆかなさん両方のファンである私は相当の異端児だと自覚。(苦笑)

新妻さんはレミゼで初舞台以来、ほぼ全作見てるし、ゆかなさんは前の芸名の野上ゆかなさん時代から知ってるし(ウェディングピーチ→プリキュア→舞-乙Hime)、我ながらそれはどうよと思うのですが...

●新妻聖子さん(15:00~15:40)

「生まれたときから新妻です」とキャッチフレーズを付けられた新妻さん。
なんだ、その路線なら「独身ですが新妻です」で応募しときゃ良かった(笑)

司会のAKINAさんが新妻さんの大ファンということで、超暴走状態。
どれだけ暴走かと言えば、プロデューサー(と思われる偉い人)じきじきに、客の面前で注意されるぐらい(笑)

何しろ、サイゴンを全キム制覇で合計8回見たんだそうで。

AKINA「新妻さんの千秋楽も見たんですよ」
新妻さん「じゃコケたのも見たんですね」
AKINA「ええ」(会場内笑)

・・・どんなだ。

ちなみに2階X列で見てたりするそうで、帝劇B席仲間だとは夢にも思わんかったですわ。

隣の司会のヒロシさんいわく、「いっつもジーパンなのに今日はすごい正装で」に答えて曰く、AKINAさん「新妻さんとお会いするんですもん、劇場仕様ですから」。

かかった曲は、最初がNHKドラマ「陽炎の辻2」のEDである「愛を止めないで」、最後が今週開幕したRENTの「Seasons Of Love」。
真ん中にかかった曲は、実は自分が会場でリクエストした曲なのですが、

「私だけに」@エリザベート

や、まさかかかると思ってなかったですよ。
願わくば生歌をと思いましたが贅沢言うまい。

AKINAさんは新妻さんのチケットを自分で取ってるそうで、
新妻さん「やー、連絡くださいよ」

という言葉を真に受けて(新妻さんは本気で言ってるんですが)、AKINAさんは自分の名刺を渡してました(爆)
そしてその状況に会場内大爆笑。

先日のキム会沖縄編も話題に上がりました。
AKINAさんは当然のごとく沖縄出身なわけで(沖縄アクターズスクール出身)、「沖縄案内しますよ」と言っていて、新妻さんは「ぜひ」と答えるわけですが。
隣にいたヒロシさんがぼそっと「質問責めにあいますよ」、ごもっとも。

来週土曜日は品川ステラボールでコンサートですが、AKINAさん「行きたいんですよぉ」、新妻さん「この番組ありますよね」(会場内笑)

AKINAさん、全国放送で堂々の仕事放棄宣言ですか(違)

「いなかったら新妻さんのとこ行ったんだなと思いますよ」とヒロシさん、またもやごもっとも。

※ちなみにこの番組、来週は特別編成のため18時に終了(通常は19時)
新妻さんのコンサートは18時からです。
渋谷のNHKホールから品川ステラボールは、まぁ30分ぐらいですか・・・


AKINAちゃんのblog→こちら
新妻さんのblog→こちら

AKINAちゃんにも触れていますが、「Folder5時代から」とか「あのAKINAさんがぁぁ」とか普通に書けちゃう、さすが筋金入りのアイドルヲタ恐るべし。

・・・

で。面白かったんですけどね。
でもやっぱり、司会はゲストを立ててしかるべきでしょう。
新妻さんの歌の魅力をファンの視点で語ってくれるなら止めないけど、ミーハー視点で楽しむんじゃ本末転倒。

AKINAちゃんは特に好きなタレントさんでも嫌いなタレントさんでもないけど、プロとしては越えちゃいけない一線を越えたかなと、それは残念。
新妻さんのまったりトークは、もう少し聞きたかったかも。

生歌で聞いている人全員を圧倒させるって新妻マジックがなかったし(曲が流れただけだから)、まったりトークも薄めだとちょっと物足りない(ちなみに1年前に生歌でこの番組で「命をあげよう」を歌っているそうです。AKINAさんが新妻loveになったきっかけだそうです)。

あと新妻ファン暦5年で初めて気づいたんですが、左利きなんですね。
「今日の一言」を色紙に書くところで、左手で書いてました。ちなみに新妻さんは「気合い」でした。

新妻さんいわく「入念な準備があった上で、気合いがあれば大抵のことは何とかなるということを、舞台デビュー以降5年で知りました」とのこと。

ここで20人ぐらい、女性中心に退席。この辺りの方々が、ミュージカル系のファンの方ですね。


●ゆかなさん(16:30~17:00)
たぶん、この日の観客の60%ぐらいは彼女目当て。

そういえば、生で見るのは初めてでしたが、blogを通して伝わってくる中身そのままの感じ。喩えるなら、「ふわふわの綿菓子だけど、絶対折れない細い芯がある」。

「自分のやりたい音楽ができないから、メジャー(歌手)は10年やっていなかったけど、今回波長があったメンバーと出会えたことで、自分を尊重してくれたこともあってよかった」と。

か細い声のどこから、あんな激する声が出せるのかと、声優という職業が改めて不思議になります。

昔、彼女が演じた「プリキュア」の雪城ほのかという役(2作目まで出演。ちなみに先週末から上映してる現作の映画版では、スピンオフ版として初代からのキャストが出演している作品がくっついており、彼女も出演しているそうです)があったのですが、この役が彼女とほとんど同じような性格。

いつもは温厚ながら、「絶対に譲れない一線、コア」というものを持っていて。
守りたい物を守るために立ち上がるとき、ぶち切れた時の恐ろしさは心底震え上がるほどだったのを思い出します。

一言一言を選ぶように話し、それでも悪意のない猛毒の本音を放つところはさすがはゆかなさん。

「お仕事でやっていると、自分のやりたいことと、周囲がやってほしいと思うこととが必ずしも一致するとは限らないじゃないですか。周囲からのそんな声は時にありがたくないこともあるんで(爆)」とか言っちゃうゆかなさん、司会の杏子さんがうまーく軌道修正してました。
(つかラジオ録っていくの忘れたんで一言一句この通りではないのですが。)

新妻さんの時と違って、司会が加熱してないので(笑)、ゲストのトークを最優先しているので、たっぷりといい話が聞けて良い感じ。生で初めて見た自分でも、人としての魅力が全面に出ているのがよく分かるゆかなさんでした。

音楽に真剣なゆかなさんに、杏子さんとの組み合わせというのもベストフィット。
杏子さんは間近で見ると、進行の巧みさといい息の抜き方といい、抜群の安定感であることを改めて実感。

微笑ましかったのは、デビューしたときのエピソード。
オーディションの時、声優さんのオーディションは画面を前にしてマイクに立つそうなのですが、実はスタッフを背にすることになると。で、マイクには前後が書いてない。

「スタッフに背を向けるのはおかしいだろう」

ってことでスタッフと面と向かうと、スタッフはみんな笑っている。

そう、逆に立ってしまったそうです。

「こっぱずかしかった」とおっしゃられていました。

音楽の話が中心なだけに、真剣な話が中心でしたが、こんな「なんか微笑ましい話」ももっと聞けたらよかったかな。

最後にゲストの方は司会の方と一緒に写真を撮るのですが
公式参照
ゆかなさん、背高い!(それでも160cmですが)
そんな印象なかったので意外でした。

新妻さんが背がそれほど高くないのは知ってるんですが(156cm)、ゆかなさんは杏子さん、AKINAさんと並ぶと顔半分高くなってます(たぶんヒールのせいでもありますが)。

・・・・

さてさて、それじゃようやく到着の新妻さんのヤンキー姿もとい暴れん坊看護婦のDVD、「ガマ王子vsザリガニ魔人」でも見ますね。(現在公開中の映画「パコの魔法の絵本」の舞台版)

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『喧嘩農家』(2)

2008.10.31(Fri.) 19:00~21:00 新宿・シアタートップス
 2列目下手端
2008.11.2(Sun.) 14:00~16:05 新宿・シアタートップス
 2列目上手端

正直なことを言ってしまうと、このお芝居、そして「劇団HOBO」、
話を聞いたときは不安でいっぱいでした。

いったいこの女優さんはどこへ向かってしまうのかと。

本人のやりたいことの一つだったのは実は前から知っていたし、客演だと一度きりだけど、気のおけない仲間との劇団なら、思う存分芝居を楽しめる、ということに気づき、どんな芝居が見られるか楽しみに変わっていました。

そういえば高田聖子さんのブログに書かれていましたが、あれだけ出た新感線も、準劇団員までで、劇団員ではなかったことに気づきます。(しかしこの記事の写真の左側、どれだけ目をこらしても由美子さんには見えないのですが・・・と思っていたらコメントでご指摘いただきました。新感線劇団員の保坂エマさんでした。そういえば。→こちら

なぜかわかりませんが、初日・中日・楽日と見た3回とも、B列(つまり2列目)中央・下手・上手の順でしたが、下手と上手は端だったこともあり、相当な見切れがあって残念。

初日が一番はっきりくっきりでした。
とはいえ、舞台まで3mないと言うことに変わりはないのですが。

次の機会があれば、ぜひ最前で見てみたいもの。

千秋楽は完売に加えて補助席として通路もびっしり埋まり、立錐の余地もないほど。
楽としての変な力みもなく、気づかない程度にアドリブを入れまくってるのもおもしろい。

せっかくですので、久々に各メンバーについてそれぞれ書いてみます。
(全メンバーについての観劇記には今回お目にかかってないので)

●長男・豊一役/おかやまはじめさん
劇団の首謀者(本人談)にして一家の大黒柱...のはずが、
物語の中ではすっかり照美に圧倒される長男。
「なんとかなる」が口癖。

照美の蹴りを受けた回数:1回
鶏の調理ができない、って言ったときに「忙しいんだよ何言ってんだよ」と蹴られてます。
このときの照美の蹴りは大きな溜めがあっての回し蹴りでした。
あれ、役者的には全然痛くないはずですが、蹴る方も受ける方も上手く仕組んでました。

ちなみにこの作品を見たときの感想が「キャラメルボックスに似てる」だったのですが(音楽の使い方とかが)、おかやまはじめさんの奥さんは、キャラメルボックスで脚本を書かれている真柴あずきさんなのだそうです。

ご参考

●次男・繁雄役/林和義さん
いかにも農家の次男という感じの世間知らずと向こう見ずを体現したキャラクター。
劇中では全員が止めるのも聞かず、農家新事業としてダチョウを飼い始め、真坂家の破綻の引き金を引きます。

照美の蹴りを受けた回数:1回
呑を開けたとき。

そういえば酒がなくなって追加するとき、

「照美の許可なしに?」

と秋平が言って、皆がとたんに沈黙になるのは笑えます。
照美は鬼なのか、神なのか、閻魔様なのか。この家族にとっちゃどれかですね。

●三男・恵介役/本間剛さん
村会議員に立候補する兄弟の中の<変わり者>。
この村には立候補に供託金はいらないが、それでも選挙費用はどんどんかかる。
四男いわく「金に食われた」。

”温故知新”で始まる選挙演説が言語不明瞭意味不明。
よくこれで80票も票が取れたもんだ。

村会議員の定員にもよるけど、80票って当落ぎりぎりなんだろうな。
警察から呼び出し食らってるということは実弾も使ったんだろうし、当選してればまだ家に金入れられるし。
実際、選挙違反で上げられやすいのは、当落線のすぐ上とすぐ下というのは、良く聞く話。

照美「恵にぃがお金稼ぎできるような
    悪い議員になれるわけないじゃん」
恵介「なるよ」
照美「なるなよ」

・・・誘導尋問に引っかかっちゃう恵介、
村会とはいえ議員に向いてません

照美の蹴りを受けた回数:1回
立候補が発覚したとき。

照美の「鶏を手で潰したときの手袋で顔面なで回された回数」:1回
最初は「嘘だよーん」だったのに、楽日は普通に直撃でした。

●四男・秋平役/有川マコトさん
兄弟のうち、唯一農業に就いていない登場人物。
ある意味、照美とともに「外の世界」を知っているだけに、後半部で農業に失敗した兄弟を責めなじる時の説得力ときたら相当なもの。
とはいえ、兄弟中唯一おこじょ(妖精とか妖怪みたいなもの、との説明ですが)の音も聞こえず、疎外感がコンプレックスになっていた感じもあり、ひとしきり責めなじった後でつぶやいた「ちくしょう」って言葉は、「自分は農業をやれないけど、兄弟には好きな農業をやっていてほしい」という気持ちがにじみ出ていた。

この四男が悪意じゃないから、この芝居はあったかいと思う。

「お前らこれから借金のために生きるんだ。
好きな農業もできないでよ。」

そんな言葉は、家族のために好きなこともできずに(バスの運転手でしたが、経営多角化の名目の元、道の駅に出向してソバ屋の店長をやってます)、家を支えたからこそ言えるのでしょう。

照美の蹴りを受けた回数:意外なことに実はゼロ

家のことを第一に考えているということでか、照美も秋平には一目置いてる感じがあります。
その頼りになる秋平が、会社をやめてホストやる、と言ったときが照美にとっての本当の危機だったのかも。

●近所のボンボン/省吾さん
役者デビュー作だそうで、その割には良い味出してます。
確かにこういうボンボン、田舎におるおる(笑)
苦労知らずで何不自由なく育った感じ。
そりゃぁいつも他人事でニコニコしてて、ボンボンだけに上から目線で施しモードになってりゃ、血気盛んな次男でなくともむかつきます。

照美の蹴りを受けた回数:2回
物語中最初に蹴られるのはこのお方。
的が大きいから蹴りやすそうだ(爆)。

●入り婿/古川悦史さん
この方も入り婿のおどおどした感じにすごくはまってる。
たまに突っ込まれて本音が出ちゃうところが微笑ましい。

「そういうこと聞かれると思って考えてきたでしょ?」
「はい」
「え?」
「あ、いえいえ」

・・・あるある。

照美の蹴りを受けた回数:当然ゼロ

さすがに旦那さんにまで蹴りを入れる趣味はないと。

というか照美の「蹴り」はだらしない兄貴たちに対するいらだちの象徴だから、農業向きではないとはいえ、必死でやってる旦那に入れるものじゃないし、外で働いてお金を家に入れてる秋平に対して蹴りが出るわけはないですね。

●長女(末っ子)・照美役/高橋由美子さん

お盆のお供え物に鶏を潰して平然としていられる根性(長男いわく、「ためらいなく鶏を潰せるのは照美だけ」)。

血を入れるバケツの場所が狂ったのを直そうとするが、ニワトリをつかんだままなので、手が届かない。

なのに一向に助けようとしてくれない兄貴たち。

「使えねぇ・・・(ぼそっ)」

・・・会場内を爆笑にひきずりこんでました。
黒いよ照美、さすが当て書き(違・・・と信じたい・・・苦笑)。

その鶏、実は旦那が唯一可愛がっていたドリーだったわけですが、照美はその事実を知らず、兄貴たちもそのことを事前に伝えるのを忘れています。
結果的に照美は農業向きでない旦那に引導を渡したようにも見えます。結果論ですが。

前を向いても借金、後を向いても借金。
自分は下着1つ買えずに、そりゃヨーカ堂の鏡に映った姿に呆然としますわ。

ちなみにヨーカ堂ってのが田舎的にはリアルかも。
もしくはイオンSCが田舎の唯一の大SCだったりしますが。

由美子さんの台詞にはいまやNGワードがないんだなぁと言うことを改めて実感。
千秋楽はいくら下着が伸びきってもよかったせいか、思う存分に手を入れてました(笑)。

そういえば、照美が怒ると皆が固まる。何しろ震度3の地震さえ気づかない。
つか震度3ってけっこうな地震なんだけど、照美の怒りがM7ぐらいあるからなぁ(笑)

金曜日は、真坂家の経済状態を説明するシーンで、家計簿を机に叩きつけたら、既に机の上にあったノートが吹っ飛んでいってしまいまして。
皆がフリーズして照美の動きを注視する中、

「ほら、そこに落ちたの取る!」

・・・こえー、アドリブっすか照美さん。
(初見だとアドリブとは到底思うまい)

初日はネタバレ防止のために白文字にしていましたが、今回の巫女さん姿はとてもかわいいです。必殺、年齢不詳。

以前ご一緒した小林高鹿さんも触れていただいておりますが、ここに注目する辺り、さすが高鹿さんです。

今回はとてつもなく姉御系というか、かなり極端なキャラ設定でしたが、基本、由美子さんは極端なキャラに突っ走らせる系統が一番生き生きするので(祈祷師姿に「ショムニ」を思い出しちゃうのは普通の感覚。)、いつもとは言わないまでもまた見られたらいいなぁ。

ストーリー的には、何の変哲もないと言っては何ですが、それほどとっぴょうしもない物語ではありませんが、ただものじゃない役者陣、実は何気にやり手揃いとしか思えないスタッフ陣、思った以上に面白い物を見せてもらいました。

そういえば今公演は、劇団員のつてで「声だけ出演」の客演の俳優さんが入っています。

高橋由美子さんがらみで川平慈英さんと川原和久さん、
省吾さんがらみで柴田理恵さん。

何気に豪華です。

各日とも、挨拶はおかやまはじめさんからのみ。
楽日は何とカーテンコールアンコールという、普段小劇場見てないから分かりませんが、小劇場で普通にあるんでしょうか。(ちなみに中劇場ではいつものこと。)

2度目出てきたときはさすがに間が取れないようで、「酒は呑みますがみんな人見知りなんで」という説明にすごく納得。

次回があれば、今以上に期待していきますんで、
年1でもいいんで是非。
トップスなくなっちゃうから、下北とかになるのかな、やるとすると。

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