『ミス・サイゴン』(7)
2008.10.21(Tue.) 18:15~21:20 帝国劇場1階センター
・・・
なぜ私はナビザーブのボタンを押しているのだろう・・・
なぜ私は帝国劇場の1階に座っているのだろう・・・
というわけで、10日前の舌の根も乾かないうちに前言撤回で、帝劇my楽は、ずれてしまいました。
たまたまこの日に休みを取ってふと考えてみると、この日が帝劇の新妻キムの楽。
意外や意外、A席のとてもいい席が残っており(センターなのにA席、最後列なので後を気にする必要がないというX列)、即決。
そんなんで取った帝劇の新妻キム楽は、なぜだかお気に入り比率高く、照井クリス、ほのかエレンで池谷ジジなら100%文句なしだったんですが(実際のキャストは原田クリス、浅野エレン、菅谷ジジ)、エンジニア(橋本)とキム(新妻)とトゥイ(泉見)がお気に入りな時点で鉄板の回。
結果的には某シーンで新妻キムがやらかした(後述)以外は2004年以来のベスト回。
新妻キム、エンジン全開でまさに2004年の新妻キムが帰ってきた感じ。迷いもためらいもなくキム。
これこそミスサイゴン。
座った席が1階A席なのにもかかわらず、どセンターで音響直撃のせいもあり、持ち味が全く消えることなくダイレクトに伝わってくる。
最後がこれで良かったー
エンジニアが「俺たち兄弟」って言ってジョンに即座に無視されてるけど、橋本エンジニアと新妻キムは唯一「それもありかも」と思ってしまう不思議なコンビ。
何気にエンジニア&キムの最強コンビなのではと思える組み合わせで帝劇楽を迎えられる至福。
この日見たシーンで印象的だったのは結婚式のシーン。
蝋燭に火を付けてふと気づくと、隣にいたはずのクリスがいない。
「えっ?クリス、どこにいるの? 私、捨てられちゃったの?」
とあわててうろたえるんだけど、後方にクリスの姿を見つけて、本心から安心したように笑顔になるのは初めて気づいた。良かったなぁ。
今回の再再演の新妻キムは、1幕の弱々しさが特に印象的で。
「クリスに捨てられることを怖がっている」ことにつけては全キムで一番じゃないかと思うぐらい、自分の幸せが自覚できないでいる感じ。
そういえばキムの中で、ソニンキムのことを「サファリパーク」と名付けた岡幸二郎様がいらっしゃいますが(実に名言)、この日新妻キムを見ていて、改めて名付けてみると
ソニンキム → サファリパーク @ ライオン
笹本キム → 動物園 @ キリン
新妻キム → 水族館 @ イルカ
知念キム → 博物館 @ 恐竜・・・
・・・主観です。単に主観です。他意はないつもり・・・つか、知念キムすんません。
他に思いついたら直します。
なぜ知念キムがオチなのだろうと思いつつ、この4人だとどうしてもオチはこの人だな・・・
この作品のエンディング、キムが自らを殺めた後、エレンはタムを引き取るかどうか、という点は再演以来、キャストによって随分揺れてきた話なのですが、ほのかさんが今回インタビューに答えたところによれば、少なくとも今回は「エレンはタムを引き取る」ことが演出的に明示されているそうです。
ほのかさんは再演(2004年)には出演されておりませんので、初演(1992年)は確実に「エレンがタムを引き取るかどうかは役者に一任」だったようです。
振り返ってみると、再演(2004年)はエレン3人、高橋由美子さんもANZAさんも石川ちひろさんともに、タムを抱きかかえに行くようになったのは随分公演の後半になってからで、当初は手さえ握らないぐらいの時もあったんですね。
エレンが気持ちが決まらないままに幕が下りてしまうといったことは、そういえば今回は確かになくて、抱きしめるまでのことはなくても、少なくともタムの手は握って終わっているので、その意味としては結論がはっきりした分、キムの願いは成就されるように変わっているわけですね。
そういえばキムの願いということで何度見ても分からないのが、1幕ほぼ最後、エンジニアがキムに対し、タムを指さし「こいつ愛の子か?」と聞いているとき、一度としてキムがうなづいたのを見たことがないということ。
その直後「息子かよ、GIの」と聞いたら間違いなくキムは頷くのですね。
この違いが何度見ても分からないのですね。
”愛する前にできてしまった子供”なら、2幕でジョンを引っ張っていくときに「愛のしるし」と言っているキムと矛盾する・・・
もしかすると最初は「愛の子」ではなかったのかな。
「命をあげよう」で「愛し合い、生んだのよ」と言っているのだから、即座に肯定しても良さそうなものなのに。そこが不思議。
・・・・とここまで書いたところで、コメントを頂きました。
「愛の子」ではなく「あいのこ」ではないかと。(ベトナム人女性キムと、アメリカ人男性クリスの混血)
あぁなるほど。
それではキムがうなづくのに抵抗あるのは当たり前ですね。
よく考えると、フランス人と現地人の混血のエンジニアと、タムはそういう意味では同類でもあるのですね。
エンジニアがタムを「パスポート」と言いながらただ利用しているだけではないように見えるのも、そんな思いがあるのかもしれません。
さてこの日の舞台。
新妻キムは超フルスロットルで2004新妻キムを思わせる暴走特急でしたが、それゆえにハプニング発生。
Room327、エレンのいるホテルに向かったキム。エレンにタムを引き取るよう思いをぶつけて部屋を出て行くキム。
あまりにぎりぎりのタイミングまでエレンを追い詰めていたせいか、予想以上に音楽は進み、慌ててキムはドアまで直行し、ドアを閉めて・・・
あれ?
ドアが一瞬閉まらず、普段は見えるはずのないキムの姿が、ホテルの部屋の隙間から、しかもよろけるように・・・
何かを理解したかのような浅野エレンの「キム!」という叫び声(上手い時間稼ぎでGood Job)、そして劇場全体に流れる、「何かが起きた」という感触・・・
何が起きたのかをこの日の特別カーテンコールの新妻キムの挨拶から
「ホテルのシーンですっころびまして」(会場内爆笑)
「やっぱりきづいてました?あっはっは(まるでおやじ)」
「最後まで何かをやらかす新妻キムってことで」
ちなみに本人の自白→こちら
やっぱり完璧でないから新妻キムなのかもしれない、というある意味腑に落ちた帝劇・新妻楽でありました(苦笑)。
追い出し音楽後、この日楽を迎えた新妻キムと浅野エレンは2人で蚊帳の前へ。
終始笑顔で手を振る浅野エレンの横で、新妻キムは両手を高々と上げてガッツポーズしてるし・・・
やっぱりこの女優さんも男なんだなぁ、中身。


Comments
お邪魔します。
「愛の子」ではなくて「あいのこ(=アメリカ人とのハーフ)」ではないでしょうか?
Posted by: みずたましまうま | October 22, 2008 at 02:55 AM
コメントありがとうございます。
ご指摘いただいた件、目から鱗でした。
おっしゃる通りだと思います。
元の記述はあえてそのまま残して、
追記させていただきました。
ありがとうございました。
Posted by: ひろき | October 22, 2008 at 08:01 AM