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2008年10月

『喧嘩農家』(1)

2008.10.28(Mon.) 19:00~21:00 新宿・シアタートップス 2列目

劇団HOBO、旗揚げ公演。

このメンバーの中でも、高橋由美子テイストは全開。

おじさん群の中でのマドンナって役回りは2月の「星屑の町」も同じだけど、飲み屋の中の話から発生したとはいえ(真昼のビッチ以来か)、とにかく不自然なくはまる。
妙に田舎っぽいのも現代的でないのも、すべてが奇妙にはまる。

劇団HOBOという劇団名は、「ほぼ」つー、「劇団らしきもの」というのが思いつきの発端らしい。

振り返るとこの舞台への登場が判明したのは、今年4月の舞台「空中ブランコ」で初日近辺にわずかな数配られた1枚のチラシ。
ある意味1人でずっと役者を生きてきた彼女が、ほとんど初めて集団に属すというのは、ちょっとした衝撃でもありました。

でも、「小劇場でやってみたい」というのは中劇場作品だった2004年「真昼のビッチ」(新宿・シアターアプル)の時に彼女自身が言っていた夢だったし、ある意味”役者としての贅沢”を共有しに行ってきました。

このシアタートップスも、来年3月で閉館ですが・・・


ストーリーをさらっと。

地方のとある農家に、入り婿を迎えるが、先行きの見えない農業一家は、焦るばかりに空廻りして、借金ばかりがふくらむ一方。
いつも喧嘩ばかりしている農家の、行く先やいかに。

古川悦史さん演じる「入り婿」がいる以上、その奥さんは紅一点の由美子さんがやるわけですが、実は末っ子。
それなのに、実は兄貴はこの末っ子に頭が上がらない。

わらび餅食いコンテスト2位で表彰された経験を持つ(居間の表彰状に注目)照美は農家の長女にして一家の大黒柱。兄貴の誰からも怖がられる切れのある蹴りは、照美最大の武器(笑)

由美子さんへの世間一般からすると随分イメージが違うようなこんな役どころですが、まぁなんつーか、久々に全開に黒いので見ててめっさ楽しい(笑)

「篤姫」での由美子さんが「静」の由美子さんなら、「喧嘩農家」の由美子さんは「動」の由美子さん。「動」というよりか「激動」ぐらいかも(苦笑)。

やっぱり彼女ははじけさせてなんぼだとつくづく実感。

表情の特性から「耐える女」を演じることが多いですが、無難にこなしても存在感はどうしても見いだしにくくて。

無限のエネルギーを暴発させてなお、まだまだエネルギー余ってるようなのが、由美子さんには合ってます。
やっぱり、ぶち切れさせてなんぼですよ(爆)。

今までも能動的なキャラの方が好きだと言うことを改めて実感。
寿庵にしろ茜にしろ球子にしろアクティブ方向に走れば存在感もupなのに、どうしても内向的なキャラばかりになってくる30代中盤。そんな欲求不満も、こういう場所に参加することを選んだ一つのきっかけかも、とか思えます。

閑話休題、作品について。

この作品の中で印象的だったのは、借金まみれになってつぶやく、「ずっと農業やってきて、もう、やめ方わかんねーんだよ」という言葉。

きっと三度の飯より芝居が好き、でも芝居より酒が好き(笑)つー役者たちにとって、もはや「ずっと芝居やってきて、もう、やめ方わかんねーんだよ」、だから劇団作っちまいました、というように聞こえて。

今回の芝居で実に興味深かったのは、メンバーのひとりである古川悦史さんのこんな言葉

○俳優というのは個の仕事でありながら、個では成立しない矛盾を抱える悲しい仕事であるがゆえに、どこかに『ヤリタイ』事を共有できる人間をどの現場でも常に探してしまうものなのです

○演劇は不毛な時間の繰り返しの中で何か目に見えないものが積み重なって具現化していくものだと思います

○この『目には見えない、不毛なもの』を多く体現してきた連中には具体的な言葉などいらない

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かっこいいなぁ。
若くないからこそ、こんな味わいのある言葉が自然に出てくるんだろうなぁと思う。

芝居の全体的な印象としては、無理に笑いを取りに行こうとしないという意味で大人の芝居。しかし決して笑えないというわけではなく、けっこう馬鹿笑いしました。
それにしたところでやんちゃな感じは、さすが酒席発劇場経由酒席行。

それでいて作りは丁寧。派手さはないけどほんわかする。
怒ってばかりいる由美子さん演じる照美の存在も、ちょうどいい刺激みたいになって、現状に甘んじて危機感を見せない兄貴たちと上手いコントラストとなっていました。

あぁいうとっぴょうしもない役どころを何の違和感もなくやらかして、しかも笑いを持って行くところ、さすがはがぶりより演技専門家。

だてに「みんなの姉御」と言われた経験を持っちゃいない(この作品じゃ末っ子なのに、兄貴全員相手にしても勝っちゃうんだもんな・・・役柄的に)。

(ネタバレのため白反転)
やーまさか由美子さんの巫女さんが見られるとは、眼福。
つか今年の舞台3作ともそうですが、おじさんたち、由美子さんに5歳以上若返る衣装を着せて面白いのでしょうか(面白いんだろうなぁ)。

無理してイメージを捨てようとはしてない、ただひたすらに自然体、いつも緊張するカテコさえ他人につっこむ余力あり。

大劇場で気負わない彼女は、劇場のサイズが変わろうと、やっぱり気負わない向こう見ずなタカハシユミコなのでした。
どんな場所でも箱に合わせて必要十分な芝居を作る技術は、一欠片も錆びることなくさすが。

本人からのコメントで「小さい身体で大冒険。今まで『石橋も叩かず勘だけで生きてきた』自分を支えてくれた人々に感謝」と。太字部に爆笑。その通りでございます。

そういえば、「空中ブランコ」で共演して、由美子さんがFCイベントにコメントだしてた上山竜司君から律儀に花がきてて嬉しい。
見てもくれたらしい→こちら

事務所社長から花が来てるのはこれが事務所公認の課外活動ってことか(世の中で所属事務所から花が来ている舞台なんて初めて見た)。
なにげに電通から花が来ていてびっくりだ。

あと1回、千秋楽(11月2日昼)観劇予定ですが、案外、当日飛び込みで増やしたいかも。

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『篤姫』(6)

2008.10.26(Sun.) 20:00~20:45 第43話「嫁の決心」

家茂が亡くなり、京に帰るはずの和宮が、自らの意志で江戸にとどまることを選択した回。

和宮は母(観行院)を喪い、夫(家茂)を喪い、兄(孝明天皇)を喪い、実は来週、唯一の側近である庭田嗣子も・・・・・・

何かに呪われているのでしょうか。

家茂の次、徳川幕府最後の将軍となった慶喜ですが、江戸城にも入らず、政は京都で行うということで、天皇が後ろ盾だった慶喜らしい話なわけですが、正室も大奥に入らないとのこと。(実は天璋院が大奥入りを拒んだという説がありますが。)

邪魔者(爆)がこない本寿院は喜んでいますが、

「御台様もおられぬ大奥ともなりますと、いったい何のための大奥なのやら」

そう言った歌橋の言葉が、実に印象深くて。

これは原作にも出てくるのですが、「将軍も正室も入らない江戸城は火が消えたように華やかさも失い」と表現されている言葉は、幕府が勢力を失っていった幕末の大奥を実に的確に表現されていたものと感じたものです。

和宮は、京に帰るはずだったのにもかかわらず、江戸城に残ることを選択します。
むろん、兄を喪ったことで帰る場所を失ってしまったこともあるのでしょうが、和宮の心を動かした天璋院の人としての大きさが実に印象深い今回でした。

自分は京に「逃げ帰ろうと」しているのに、ただひとり徳川を守るために江戸城に残ろうとする天璋院。

あえて悪役として本寿院を立てたことで天璋院が、本寿院を一喝したシーンも印象的。
よくよく考えると天璋院が本寿院に対して反抗したのは、家定逝去以来初めてじゃないかと。常に本寿院のことをいくらでも無理を通していたのに(身分は本寿院よりも天璋院の方がずっと上だったのに)。

今回は天璋院役の宮崎あおいさんも素晴らしかったですが、和宮(静寛院)役の堀北真希さんも流石でした。若手女優のトップ格の2人を起用した狙いが存分に活かされた回とも言えるのではと。2人、22歳と20歳なんですよねぇ。

お姫様として生き、守られてきた和宮が、「天璋院の強さを学びたい」とまで言ったことが、実に印象的で、和宮が「母上」と言った初めての回でもありました。

そういえば土佐藩の山内容堂役として今拓哉さんが出てたのが何気に意外でした。
(ちなみに今拓哉さんの所属されている事務所の社長さんが、久光役の山口祐一郎さんです。
47話で鈴木綜馬さんも出るようですね。この方も事務所は一緒)

しっかし時の流れが異様に速くなっているとはいえ、良く人が死ぬ作品だこと・・・

来週は庭田嗣子が亡くなりますし、タイトルが「龍馬死すとも」というわけで龍馬も死に、妻のお龍の出番もそこまで。
帯刀が認知したからにはお琴の必要性も薄れて出なくなるだろうし、人がいなくなるいなくなる。

大奥はもはや天璋院・静寛院・本寿院・瀧山・重野・唐橋の6人以外は画面にも映りにくくなってるし(今週は常磐と花園が映ったのが一度ずつ、ただ実は2人とも台詞あり)、あとたった7話で終わりなんだなぁということを実感します。


[今週の唐橋]
実に空気でした(苦笑)。

登場シーンはそれなりにありまして、家茂から和宮への京土産(西陣織)を差し出すシーンとか、瀧山・重野・唐橋の順に並ぶシーンもあったのですが、3人の中では唯一台詞がなく、地味な感じでした。

それはそうと、NHK公式「篤姫」の人物説明がようやく修正されました。

(内緒話につき伏せ字)実は先週、NHKにメールでクレーム入れたんですけどね。事情はどうあれ、いつまであんな失礼なことしてるんだと。ちゃんと直してくれてほっとしました。

[修正後]
大奥御年寄。京都の医者の娘で上方に通じていることから倒幕運動が激化する中、
天璋院の嘆願書を京に届ける役を志願。江戸城開城後も天璋院に仕え最期を看取る。

嘆願書を届ける47話は、幾島が再登場しますが、幾島は京にいるので、

・唐橋が天璋院の嘆願書を持ち、京に向かうが、門前払いを食らう
  ↓
・京の人脈を使い、薩長側につながる人脈を洗い出し、幾島を探し当てる
  ↓
・西郷は幾島に頭が上がらないので、天璋院の嘆願書を渡すことに成功する
  ↓
・天璋院に報告を兼ね、幾島とともに江戸に戻る

あたりの内容になりそうな気がします。

10/30追記
この日発売の「篤姫ストーリーブック完結編」に実際のところが書かれていますが、
幾島に口利きしてもらい、帯刀に渡すようです。
西郷への手紙は、また別に存在する模様(こっちは幾島が渡す)。

幾島の出てくる理由付けにもなりますし。

※原作では唐橋は中山道を北へ進み、嘆願書を届けるのですが、埼玉の浦和で命を果たしています。京までは行ってません。

そういえば、クランクアップ時の動画がNHK動画サイトに上がってますので記録。
こちら

由美子さんのコメントも上がっていますが、長い付き合いを伺わせる(※)親密な感じが、ともすればちょっと意外。

(※)前出ですが、現在あおいちゃんと由美子さんは同事務所です。
昔から忘年会を合同でやったりしてたので、知らない仲ではなかったりしますお2人。

昔から知っているせいか、妙に先輩ぶりを見せてますが(笑)
飛ぶ鳥落とす勢い、事務所の大黒柱のあおいちゃんにこんなん言える人なんて由美子さんしかいないような(笑)
相変わらずどう取られるかわからない怖いコメントつーか、由美子さんのファンはこれだから胃薬なしでは耐えられない(爆)。

NHKのHP担当者がテキスト起こししてますが、
「撮影が終わる日が近づくにつれて、これが終わったらどんな感じになるか
わからないねと(宮崎さんに)言っていました。」

は、実は(宮崎さんは)と言ってるようにも聞こえます。
由美子さんが主語を略してるので、どっちか分からないんですけどね。

さて、明日は唐橋の中の人のお芝居へ行ってきます
こちら

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『ミス・サイゴン』(7)

2008.10.21(Tue.) 18:15~21:20 帝国劇場1階センター

・・・
なぜ私はナビザーブのボタンを押しているのだろう・・・
なぜ私は帝国劇場の1階に座っているのだろう・・・

というわけで、10日前の舌の根も乾かないうちに前言撤回で、帝劇my楽は、ずれてしまいました。

たまたまこの日に休みを取ってふと考えてみると、この日が帝劇の新妻キムの楽。
意外や意外、A席のとてもいい席が残っており(センターなのにA席、最後列なので後を気にする必要がないというX列)、即決。

そんなんで取った帝劇の新妻キム楽は、なぜだかお気に入り比率高く、照井クリス、ほのかエレンで池谷ジジなら100%文句なしだったんですが(実際のキャストは原田クリス、浅野エレン、菅谷ジジ)、エンジニア(橋本)とキム(新妻)とトゥイ(泉見)がお気に入りな時点で鉄板の回。

結果的には某シーンで新妻キムがやらかした(後述)以外は2004年以来のベスト回。

新妻キム、エンジン全開でまさに2004年の新妻キムが帰ってきた感じ。迷いもためらいもなくキム。
これこそミスサイゴン。

座った席が1階A席なのにもかかわらず、どセンターで音響直撃のせいもあり、持ち味が全く消えることなくダイレクトに伝わってくる。
最後がこれで良かったー

エンジニアが「俺たち兄弟」って言ってジョンに即座に無視されてるけど、橋本エンジニアと新妻キムは唯一「それもありかも」と思ってしまう不思議なコンビ。

何気にエンジニア&キムの最強コンビなのではと思える組み合わせで帝劇楽を迎えられる至福。

この日見たシーンで印象的だったのは結婚式のシーン。

蝋燭に火を付けてふと気づくと、隣にいたはずのクリスがいない。

「えっ?クリス、どこにいるの? 私、捨てられちゃったの?」

とあわててうろたえるんだけど、後方にクリスの姿を見つけて、本心から安心したように笑顔になるのは初めて気づいた。良かったなぁ。

今回の再再演の新妻キムは、1幕の弱々しさが特に印象的で。
「クリスに捨てられることを怖がっている」ことにつけては全キムで一番じゃないかと思うぐらい、自分の幸せが自覚できないでいる感じ。

そういえばキムの中で、ソニンキムのことを「サファリパーク」と名付けた岡幸二郎様がいらっしゃいますが(実に名言)、この日新妻キムを見ていて、改めて名付けてみると

 ソニンキム → サファリパーク @ ライオン
 笹本キム  → 動物園     @ キリン
 新妻キム  → 水族館     @ イルカ
 知念キム  → 博物館     @ 恐竜・・・

・・・主観です。単に主観です。他意はないつもり・・・つか、知念キムすんません。
他に思いついたら直します。

なぜ知念キムがオチなのだろうと思いつつ、この4人だとどうしてもオチはこの人だな・・・

この作品のエンディング、キムが自らを殺めた後、エレンはタムを引き取るかどうか、という点は再演以来、キャストによって随分揺れてきた話なのですが、ほのかさんが今回インタビューに答えたところによれば、少なくとも今回は「エレンはタムを引き取る」ことが演出的に明示されているそうです。

ほのかさんは再演(2004年)には出演されておりませんので、初演(1992年)は確実に「エレンがタムを引き取るかどうかは役者に一任」だったようです。

振り返ってみると、再演(2004年)はエレン3人、高橋由美子さんもANZAさんも石川ちひろさんともに、タムを抱きかかえに行くようになったのは随分公演の後半になってからで、当初は手さえ握らないぐらいの時もあったんですね。

エレンが気持ちが決まらないままに幕が下りてしまうといったことは、そういえば今回は確かになくて、抱きしめるまでのことはなくても、少なくともタムの手は握って終わっているので、その意味としては結論がはっきりした分、キムの願いは成就されるように変わっているわけですね。

そういえばキムの願いということで何度見ても分からないのが、1幕ほぼ最後、エンジニアがキムに対し、タムを指さし「こいつ愛の子か?」と聞いているとき、一度としてキムがうなづいたのを見たことがないということ。

その直後「息子かよ、GIの」と聞いたら間違いなくキムは頷くのですね。

この違いが何度見ても分からないのですね。
”愛する前にできてしまった子供”なら、2幕でジョンを引っ張っていくときに「愛のしるし」と言っているキムと矛盾する・・・

もしかすると最初は「愛の子」ではなかったのかな。

「命をあげよう」で「愛し合い、生んだのよ」と言っているのだから、即座に肯定しても良さそうなものなのに。そこが不思議。

・・・・とここまで書いたところで、コメントを頂きました。
「愛の子」ではなく「あいのこ」ではないかと。(ベトナム人女性キムと、アメリカ人男性クリスの混血)

あぁなるほど。
それではキムがうなづくのに抵抗あるのは当たり前ですね。
よく考えると、フランス人と現地人の混血のエンジニアと、タムはそういう意味では同類でもあるのですね。
エンジニアがタムを「パスポート」と言いながらただ利用しているだけではないように見えるのも、そんな思いがあるのかもしれません。


さてこの日の舞台。

新妻キムは超フルスロットルで2004新妻キムを思わせる暴走特急でしたが、それゆえにハプニング発生。

Room327、エレンのいるホテルに向かったキム。エレンにタムを引き取るよう思いをぶつけて部屋を出て行くキム。

あまりにぎりぎりのタイミングまでエレンを追い詰めていたせいか、予想以上に音楽は進み、慌ててキムはドアまで直行し、ドアを閉めて・・・

あれ?

ドアが一瞬閉まらず、普段は見えるはずのないキムの姿が、ホテルの部屋の隙間から、しかもよろけるように・・・

何かを理解したかのような浅野エレンの「キム!」という叫び声(上手い時間稼ぎでGood Job)、そして劇場全体に流れる、「何かが起きた」という感触・・・

何が起きたのかをこの日の特別カーテンコールの新妻キムの挨拶から

「ホテルのシーンですっころびまして」(会場内爆笑)
「やっぱりきづいてました?あっはっは(まるでおやじ)」
「最後まで何かをやらかす新妻キムってことで」

ちなみに本人の自白→こちら

やっぱり完璧でないから新妻キムなのかもしれない、というある意味腑に落ちた帝劇・新妻楽でありました(苦笑)。

追い出し音楽後、この日楽を迎えた新妻キムと浅野エレンは2人で蚊帳の前へ。

終始笑顔で手を振る浅野エレンの横で、新妻キムは両手を高々と上げてガッツポーズしてるし・・・
やっぱりこの女優さんも男なんだなぁ、中身。

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『篤姫』(5)

2008.10.19(Sun.) 20:00~45 NHK総合ほか

本編を生で視聴したのは前回、実に数ヶ月ぶり。

今回はようやくの唐橋登場回ということで、楽しみにしていました。

おおまか予想通りの出番でしたが、瀧山に紹介されたときの役説明がなぜか「御中臈」ではなく「御年寄」になっており(職階では「御年寄」の方が上、つまり重野と同格)、ちょっとそこだけびっくり。

NHKストーリーブックには「御中臈」ってなってたんだけど、まさか「御中臈」と「御年寄」の区別付かないでテロップ作ってるなんてことはないだろうなぁ・・・

唐橋演じる高橋由美子さんは基本的にかつらは似合う方なので(今まで見た作品で唯一の例外は水谷豊さんの奥さん役だった「潮風の診療所」ぐらい)、予告写真でも上手いことはまってましたが、実際に見てもまぁまぁの仕上がり。

瀧山、重野までの威厳はないけれど、他の女中よりはちょっと上の感じが上手く見えていて、初回としてはこんなもんかな、という感じ。

ただでさえ幕府が時代に取り残されつつある幕末に、将軍様もいない江戸城の、しかもさらにその奥の大奥が、いくら天璋院が英明な女性といえどどれだけの情報を掴んでいたのか、という点はいささかの疑問符が付くわけで。

その意味では、大坂の事情に詳しいという設定をもって何とか登場させられた唐橋の登場意義はあるわけですが、その回に家茂様は大坂城で亡くなってしまうわけで。

「公方様の様子を知るにも上方の事情に通じていれば好都合」という理由での唐橋の登場意義は、実はこの回(42話)限りで終わってしまったわけですが(苦笑)。

以前も書きましたが、唐橋のもともとの存在意義は、相当の部分が重野(一部瀧山)に持って行かれているわけで、既にここからどう存在感を発揮しようもないところもあるので、ある意味消化試合といいますか、制作発表に出てなければこのままなくなってたかもしれない役なぐらいな空気が存分にするわけですが。

実際のところ、番組冒頭のクレジットにしても単独キャストにしては最下位の場所で、「出さなきゃいけないから出しましたが。」という空気が強い印象。

何しろ大河二度目なのに、大河初登場のお琴(原田夏希さん)やお龍(市川実日子さん)より扱いが下というのは、いかにも登場時に色々な問題があったことを伺わせます。

誤解を恐れずに言えば、スケジュールの都合で出番が後になったこと(それにまつわる諸々の調整が必要になったこと)に対してNHKが罰を与えているような感じさえ受けます。

果たして今後出番らしい出番をもらえるのか、それともほどほどに空気で終わるのか。

嘆願書を届けに行く時は幾島に持って行かれるだろうし、本当の最後のシーン(天璋院が亡くなるシーン)のためにだけ存在する、とかならないように淡い期待を持ってみます。

ともあれ、42話を通してみるとお龍とお近(ともさかりえさん)の霧島での人妻語らいシーンが実に良い味を出しています。旦那に浮気されて「愛されてる気持ちになれない」と旦那を許せないお近に対して、京で夫の龍馬の危機に直面し龍馬を救ったお龍が、実に自然に諭します。

「生きてさえいてくれたなら、いいじゃありませんか」

死に直面し、夫のために身を張ったからこそ言える妻の台詞は、実に重くて。

夫の帰りを待ち続けたお近も、それは辛かったのだろうけど、夫の危険はどこか別の世界と感じていたお近にとっては、自らの立場(夫が愛人を作っている)を受け入れる効果的な話になっていたと思います。

しかも、この回は家茂が亡くなる回。

大奥から、天璋院が、和宮が、和宮の夫である将軍・家茂の快癒を祈り続けます。
唐橋が提案した漢方医の派遣も実らず、家茂はわずか二十歳(満二十一歳)で亡くなります。(なお西洋医がリウマチと診断したのに対し、漢方医は脚気と病名を正しく診断しており、意味がないわけではなかったのですが)

わかり合えなかった天璋院と和宮が、家茂の死に直面し、目と目で通じ合って崩れ落ちる姿。

家茂が将軍であるからというよりむしろ、身内の大切な人を失ったことへの気持ちの共有。

「生きてさえいてくれたなら」

そう、天璋院も和宮も思っただろうことを思うと、この回の脚本の巧みさが見えてくる気がします。

とうとう幕末へラストスパート。

家茂&和宮の「幕末ベストカップル」もこの回で終わり、江戸城無血開場、天璋院逝去までまっしぐら。
あと9回、気づいてみるとゴールはあともうすぐなのですね。

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『ミス・サイゴン』(6)

2008.10.11(Sat.) 17:00~19:45 帝国劇場1階M列

随分通ったサイゴンも、この日が帝劇my楽。たぶん博多には行かないので、現キャストで見るのはこれが最後。
今期、得チケは大量に出ているし、客の入りとか、現キムの年齢層からして、次にキムでクアトロ組めるほどの女優が揃うには、正直10年かかるかも・・・

レベルの違いは多少はあれ、キムとして成立してるのが4人もいるとは贅沢な時代だなと思いつつ。

この日はクリスの中で唯一未見だった照井クリスと、新妻キムの組み合わせ。
ぶっちゃけ、この2人だけを見に行きました。

照井クリスは良い意味で生活感のあるクリスという感じですかね。歌はちょっと物足りないところもあって、何カ所か「おやっ」ってところはあるんですが、新妻キムとの相性の良さには満足。

新妻キムと笹本キムの違いについて、

 新妻キムは女王様

 笹本キムはお姫様

と、とある場所で表現したことがあるのですが、これからすると新妻キムはキムを崇め奉るタイプのクリスがバランス良くて、笹本キムはキムを愛するタイプのクリスがバランスが良い。

すると新妻キムは照井クリスと原田クリスとの組み合わせが良くて、
笹本キムは井上クリスと藤岡クリスとの組み合わせが良いのが腑に落ちます。

この作品はいろいろな意味でキムが全面に出ないとストーリーがきっちりしないので、たとえばキムの良さを力づくで抑えにかかるような(あくまで喩えですので念のため)新妻キムと藤岡クリスの組み合わせは個人的にはもう見る気にはなれなくて。(誤解を恐れずに言うと、藤岡さんは相手を見ずに芝居をし過ぎだと思う。)

照井クリスの話に戻りますと、クリスの中ではキムに出会って一番人生が変わったように見えたんですね。

井上クリスは現地のちょっとしたお遊びが含まれる印象を感じてしまうし、
藤岡クリスに至っては100%お遊びに見えたりする。
原田クリスはまじめで「責任をとる」的な方向性が強いけど、
照井クリスはノーマルというか、キムを愛したという言葉に嘘が少ないように思えて。

キムのことを愛してない、と素でいいそうなクリスはエレンにとって嬉しいことではないでしょうし。

事情はどうあれ女を捨てることを、エレンは望むかといえば・・・
「自分が選ばれるためなら、相手はどうなってもいい!」とは肯定しない女性だからこそ、精神的に病んだクリスの伴侶たりうるわけだし。

照井クリスで印象的だったのがもう一つ。ほのかエレンとの相性が良かったこと。

ほのかエレンは特に藤岡クリスあたりとだと年齢差が明確になってしまって、姉弟だよとか母親と息子だよとかいう邪念が入り込むのですが(爆)、照井クリスは良い意味で「夫」で、一番夫らしいクリスの気がした。井上クリスもかなり「夫」らしいクリスなので、単純に年齢による現実味という感じもしますが。

だからこそ結果的に捨てられた新妻キムが悲惨に見えたというか、キムともエレンとも合うクリスだっただけに、両天秤にかけた結果キムが捨てられた形になっている図式が鮮明で、キムがよりぼろぼろに見えた感じがした。

この日新妻キムを見ていて、我に返った台詞があって、それはトゥイに投げかけるこの言葉。

「嘘をついては生きてはいけない」

だからキムは自ら死を選んだのだと、今更ながらに気づいて。

タムをアメリカ人にしたいのは本音だったけど、
「そのためにクリスをあきらめる」という、
『自分の気持ちへの「嘘」』はつけなかった。
だから自ら命を絶ったんだと。

そう捉えたら、ちょっともやもやしてたキムの最後の結論が合点がいった。

すんなりこの物語に自分なりの納得が行ったのが、この日見て一番良かったことかも。

同じ作品をリピートしていると、感じ方が薄い日とそうでない日があって、キャストの出来にも左右されるけれど、自分の精神的なテンションの相性もあるなぁといつも思う。

2008年の帝劇はこの日でmy楽。
来年は6月のミーマイ、7/8月のヴァンパイアで帝劇通いが確定してるけど、それ以外はどうなることやら。

そういえばちょっと余談。
照井クリスはサイゴンが熱かった8/9月がお休みで、10月に復帰ということで各キムともに組む回数が少なく、もっと見たかったクリスだけに残念だったわけですが。

その理由はといえば、井上クリスが9月30日をもって楽となり、日本テレビ系ドラマ「OLにっぽん」(水曜22時)に出ているためで。

井上君初ドラマということで、初回はご祝儀で見たのですが。
クリス役の最中ということもあり、髪が茶髪全開でかなりの違和感。な割に、演技は普通。
舞台系の癖は意外になく、癖のない演技なんだなと認識したはいいのですが、ドラマの中身自体が中国ばんざい、日本だらしないって話なので、今後見る気にはならなくて。(わざわざドラマ見てどんよりしたくない)

残念ながら初回だけで脱落です。

井上君は「歌が上手い」という設定らしいので(裏設定では、「ミュージカルスターになる夢をあきらめて会社員やっている(爆)という本当かどうかわからない設定があるらしいんですが)、カラオケボックスに行って歌うシーンを見たい気もするんですが、録るだけ録っておくかな。

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ビッグアップル

高橋由美子さんがデビュー以来所属してきた事務所が、今年9月末で消滅し、親会社のヒラタオフィスに吸収合併されたことが分かりました。

とはいえ、公式のHPでは両会社とも何も起きていないように思えるわけですが、ご本人も10月4日付ブログで公表しており、今まで所属されていたタレントさんも何人か書かれております。

同じく10月4日付の東京スポーツ(東スポ)にも写真付きのベタ記事が載ってまして、今日知ったもんで前日の新聞をコンビニ廻りして探しました。

まさか東スポ探してコンビニ10軒以上はしごする日が来るとは(笑)

ちなみに東スポの記事では「高橋由美子の所属事務所移籍騒動を追う」というタイトルで、「経営者が同じなので単純に合併です」という事務所(ヒラタオフィス)のコメントと、「広告と映画に強いヒラタオフィスと、舞台とドラマに強いビッグアップルが相互補完するのでは」(某芸能プロダムションの人のコメント)というように載ってました。

まぁ只の吸収合併なのに「騒動」と見出しを付けるのはさすが東スポですが(笑)、中身は実は至って普通でした。

噂としては先月下旬から聞いてはいたのですが、10月3日現在でも会社登記は直っておらず(おおむね2週間以内に届けることになっているそうで、即日登記は必要ないそうです)、公式な確認は出来ていないのですが。
ちなみに登記上は「株式会社 ビッグ・アップル」だそうです(登記簿による)。

ビッグアップルに所属されていたタレントさんは、①ヒラタオフィスへ移籍、②退社してフリーになる方に分かれるようで、今時点で分かっている方をリンク付にて。

①ヒラタオフィスへ移籍
高橋由美子さん 
あゆみさん(「藤間(とうま)あゆ美」さんに改名)
宮平安春さん
小川淳史さん 
荻野なおさん 
 ※当初はフリーでしたが、最終的にヒラタオフィス所属に。

②退社してフリーへ
千葉ひとみさん 
成海亜紀さん 
米倉憲将さん
吉乃奈穂さん

ビッグアップルは1985年設立で、高橋由美子さんがデビュー以来ずっと所属してきた事務所。1988年初夏に事務所に所属(初仕事は当時、役所だった郵政省関東郵政局の電子郵便ポスターで、1988年9月)していますので、20年を若干越えてビッグアップルがなくなったことになります。

この事務所は20年の間に何人か2番手の方が入れ替わっておりまして、井上晴美さん、村田和美さん、仲根かすみさんと入られた期間があったのですが、最近では桐山漣さんが売れ出していますが、実質上、高橋由美子さんが支えてきた事務所ということで、それが同一グループ内の吸収合併とはいえ、名が消えるのはやはり寂しいものがあります。

端的に言ってしまえば、支えきれなかったのだなぁ、と思ってしまって。
昨期も赤字でしたし、必然の帰結と言えばそうなのですが、少し前から事務所の規模の割には妙に人が増えているなぁと心配していたので、ある意味、心配が的中したと言いますか。

この辺が邪推になってはしまうのですが、今年、由美子さんは東宝に呼ばれていなかったので、割の良い(と思われる)東宝仕事がないのは事務所的には厳しかったのではないかと。
大河があるのに4・5月に舞台を入れたのは、あそこで稼いでおかないと事務所的に成り立たないんじゃなかと、実は勘ぐっていたりしました。

その辺はわざわざ今まで書いていなかった話なのですが、由美子さんの場合、自身の意向だけで出番を決められないという、厳しい現実があったのではないかと思えて仕方がありません。

大河は影響力が大きい反面、いわゆるギャラ的な物は二の次の仕事だけに、大手であれば大河専属という関わり方もできますが、中小であるとなかなかそこまでのことが物理的にやりようがないと思われるのですね。

由美子さんは事務所を支える女優として、大河に専念できる「贅沢」を許されなかったということなのでは、と実は思っていました。

ヒラタオフィスグループとして、大河の主役を所属の宮崎あおいさんが演じている以上、その側でお世話する役に由美子さんをあてがうのは、女優としてのランクを上げることとして講じられた戦略だったと思うのです。

が、事務所的に大河を優先させられなかったことで、「ビッグアップルに由美子さんを縛り付けておく訳にはいかない」ことをグループとして悟らざるを得なかったのではないかと。

今後のことを考えると、舞台中心にやってきた方針は、恐らく少しくの方向転換があるものと思います。

だからこそ、由美子さん自身が劇団の旗揚げに自ら関わったという、今までではちょっと考えにくいようなことが起きたのではと。演出される立場だけでなく、芝居に能動的に関わる願望も抱いたのでしょうが、「自主的に劇団に関わっているのであれば、その時は(好きな)舞台をやっていられる」という気持ちがあったのでは、と邪推ながら感じます。
その辺が事務所の意向でなかったからこそ事務所が公にリリースしてないというか、半ば黙認だけど応援してないとかいう微妙な空気が流れてたりする気がするわけで。

そういえば今まで、バラエティには出ない方針だったり(知ってる人がいるときにしか出ない、と本人が言ってました)、映画はとことん避けてきたり、苦手な分野には避けて通ってきた感もある由美子さんではありますが、むしろそちらの方の「贅沢」はなくなるかなと。
逆に言うと、テレビを初め、出る機会が多くなるような気がします。

それが果たして良いことなのかどうか、今のところ分かりませんが、どちらかというと高橋由美子さんの女優としてのポジションを考えると、実はプラスに働く可能性が高いのではないかと思っています。

由美子さんの場合は今まで割合に「好きなことをやってきたことが評価」されてきた反面、「好きでなくてもやった方がいいことを避けてきた、もしくは(事務所の余裕がなくて)やりようがなかった」一面もあり、その辺りの微妙なバランスの変化が、今後女優を続けていく前提では、プラスに出る方向性の方が強い気がします。

”弱小事務所なのに頑張ってる”ところは、由美子さんが気になる一つの要素ではあったのですが、現実、こうなってくるとそうも言ってられないので。

何はともあれ、「篤姫」登場時は宮崎あおいさんと同事務所という、実に分かりやすすぎる結論になりました。
来期(2009年4月~9月)の朝ドラの主役は同じくヒラタオフィスの多部未華子さんなわけですが、元アイドルのローテーション役と化した「母親」役に、まさか入ったりしないですよねぇ。そもそも、大河の後に朝ドラってあり得そうなので。

2008/10/28追記
多部さんの母親役は、本寿院様(高畑淳子さん)でした。なんか噴いちゃう。

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