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『嵐になるまで待って』

2008.8.12(Tue.) 19:30~21:45 サンシャイン劇場1階席

新装なったサンシャイン劇場のこけら落とし公演。

キャラメルボックスは春公演ハーフタイムシアター「水平線の歩き方」「ハックルベリーにさよならを」(シアターアプル)以来で、この夏公演を見るつもりはなかったのですが。

春公演でつい書いたアンケート(キャラメルボックスでは初めてでした)で、「ハテナ」(サポータークラブ会報)が送られてきまして、読んでいたら行きたくなってしまいまして。

理由その1。
この作品のヒロイン、ユーリを演じる渡邊安里さん(入団5年目)。
キャラメルボックス初、主役に立候補!という、イメージからすると絶対ありえないことが実現してしまったとあっては、なんか見たい。

理由その2。
平日夜公演があまりに座席が埋まらないらしく、平日夜公演限定で特別製作CD、「観終わってから聞いてください」(今後ろで流れてます)が配られる、と。

理由その3。
ネット予約はキャスト写真付のチケットだからいいんだよなぁ(水平線~で体験済み)

ますます前売りを買わなくなりそうなんだけど・・・

閑話休題。

今回が4演目になる劇団の代表作の一つということもあり、さすがの完成度。

ストーリーをかいつまんで。

ユーリは自分の声が嫌いだった。
(「あたしの嫌いな私の声」がこの舞台の原作。成井さん執筆の唯一の小説だそう)
そんなコンプレックスがあったが、声優ならそんな声が生かせるのではとオーディションに応募、合格する。
その作品の製作現場で、波多野という作曲家と姉・雪江と会う。

波多野との出会いはユーリから声を奪ってしまう。
波多野の声はユーリの声とそっくり。
ユーリにだけ聞こえる波多野の”第二の声”は、聞いた者を操る声だった・・・

失った声を取り戻すために、ユーリは自分の弱さと向かいあい、波多野に立ち向かっていく。
・・・・・

理由その1に安理嬢の話をしたのですが、よくよく振り返ってみると、ほぼ初見。
キャラメルもそれなりに見たのですが、そういえば名前は知っていたものの、初見はずいぶん最近で、今年初春の「きみがいた時間 ぼくのいく時間」。

ある意味「できあがっていないピュア」な感じは、ストーリーの印象どおりの配役。
成井さん自身も「役作りしていると思えない」と言っていますが、いかにも少女漫画チックな主人公を熱演。
なんか、あの衣装は妙にぽっちゃりしてるように見えてしまうんですが、突如として声を失った出来事のきっかけがとても印象的。ネタバレになってしまうので今回は省きますが、とにかく何しろいじらしい。

「女として見られていない」感じがすごく良く分かりやすいユーリ・幸吉の組み合わせでもありました。

でも、あとなんか一押し欲しい。
言葉にしにくいのですが、思い入れのある役だそうで、あと一歩押しがあると感動が増すと思う。
ただ役が彼女に合ってるだけだとちょっともったいない。

波多野が発した、ある意味「言霊」がユーリの声を奪うのですが、恐ろしいほどユーリの「最大の弱点」を突いた攻撃に背筋が寒くなります。

というか細見さんが演じた波多野、怖すぎです。
理知的で隙がなく、敵を確実に追い詰める緊迫感は、この作品がサスペンスであることを否が応でも印象付けます。

ユーリと幸吉がハッピーエンドになって欲しいのに、波多野は確実に2人を追い詰めていくわけで、それだけに最後、ユーリが声を取り戻すカタルシスが胸に迫ってくるのだと思います。

そして他のキャストも凄くいい。

温井さん演じる波多野の姉・雪絵の「全編手話」から表現される、もどかしさ、苦しみ、哀しみ。
凄く光ってました。温井さんは何度か見た女優さんですが、今回は出色の素晴らしい出来だと思う。

全てを知る男、西川さん演じる広瀬教授の優しさ。
西川さんはいつも思うんだけど、「弄ばないで茶化す」「あしらっているようで親身」というすごい不思議なキャラクター。「誰も傷つけない」のがいかにもキャラメルらしい。

ユーリの苦しみをいち早く汲み取った、小林千恵さん演じるアベチカコ(なんか2ヶ月前にも2つほどの舞台で見た(笑))の、外見とはまるで似つかわしくない「大人」さ。

客演の幸吉役・土屋さんがユーリへの気持ちを自覚していく様子もいい。

あまりにいじらしいユーリにとって、幸吉が自分を支えようと思ってくれたことは、何より嬉しかったことなんだと思う。

・・・・うん、予想以上に良かった。
東京公演、もう1回見て、DVDも買おう。

そういえば、今回の「見終わってから読んでください」に冬公演の告知が出ていますが、
個人的には待望の、黒川智花嬢のキャラメル初客演。

「君の心臓の鼓動が聞こえる場所」(11月~12月、札幌・神戸・名古屋・東京)

あのテレビ版「雨と夢のあとに」の雨ちゃんです。

若手にしては伸び悩んでいる風の彼女ですが、彼女の魅力を表現することにかけては日本一(と信じてる)成井さんだからすごく楽しみ。

相手役は西川さんだし、みっこさんもさつきさんも出るし、水平線で好演だった前田さんもいるし、今回すごくよかった温井さんもいるし、なんだか俄然楽しみです。

西川さん、テレビ版雨夢では変な先生で出て、雨ちゃん(黒川さん)が引いてた(笑)のに、相手役とは(爆)。

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