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『ミス・サイゴン』(2)

2008.7.18(Fri.) 18:15~21:05 2F・B席センター
2008.7.22(Mon.) 13:30~16:20 1F・S席センター

2004年再演時に通い詰めたこの作品。
今まで見た舞台作品を回数順に並べると、たぶんレミゼが何気に一番多くて(約30回)、SHIROHも30回近い(ゲキ×シネ含む)だけれども、実はこの作品も20回超。

記録を探ってみると、2004年に高橋エレンだけで15回見たということは、ANZAエレンと石川エレンも3回ずつぐらいは見たはずだから、今回の公演の最後にはレミゼ抜いちゃうかも・・・(今年は10回ぐらい予定)

プレビュー公演は見る気になれずに、初日を本公演初日に持ってきて、立て続けに2回観劇。
両公演ともほぼファーストキャストの公演で、市村エンジ、井上クリス、岡ジョンが両日とも共通で鉄板状態。

市村エンジは「ミスター・サイゴン」ながら、再演時にはどこか疲れた感じで、そろそろ年齢的に潮時かも、と失礼ながら思っていたのですが、再演されて父親にもなって若返った感じ。たまに濃すぎる演技に困ってしまう市村さんですが、今年の再々演は抜群のエンジニアです。早抜けが残念。

岡ジョンは2004再演の時は、今井ジョンと対照的なポジションで毎回楽しませていただいていました。
岡ジョンは正論に生きて、今井ジョンは正義に生きている感じというのか。
たぶんどちらもジョンの一面として正しいように思えて、作品を多面的に楽しめるいい助演だったのを思い出します。
今回、今井ジョンにあたるポジションを誰が支えてくれるのかはちょっと不安。

サカケンはジョンには軽すぎるというか、空論に生きるような感じを見せてしまうのがますます不安。

井上君は、再演の度に思うのですが、初演と同じ再演を作り出すことをしない人なので、どれだけ+αしてくるのかいつも楽しみ。
今回も、役からすると今回の方が年齢不相応なのですが、精神的な成長がクリスを無理なく表現しています。

クリスといえば、キムからまるで犯罪人であるかのように不誠実さを糾弾される、別名「ミュージカル界男性配役悪人の筆頭格」らしいのですが(再演パンフレットで確かそんな話をキム4人がしていたような・・・キムが集まるとクリスの悪口が出るとか(笑))、今回の井上クリスは再演の時以上に「自らの立場の中で最大限の努力をした誠実さ」が表現されていたような気がします。

前回の井上クリスはどこかに「しょうがないじゃん、自分にはどうしようもなかったんだから」みたいな他人事の立場が感じられたのですが、やっぱり大人になったのですね。

役にしても「自らの立場になって自らを責める」感じが表現されていたように思えます。

で。この作品のメインヒロインであるキムの話に。

1992年初演では本田美奈子さん、入絵加奈子さんが演じ、
2004年再演では松たか子さん、新妻聖子さん、知念里奈さん、笹本玲奈さんが演じ、
今回の再々演では新妻聖子さん、知念里奈さん、笹本玲奈さん、ソニンさんが演じています。

初日公演が新妻さんということで2004年の松さんに代わってのファーストキムの位置づけで、格としては楽日の知念キムがセカンド、笹本キムがサードということでここまで続投組、ソニンが初演ということになるわけですが。

見たのは新妻さんと笹本さんですが、実は両極端の感想です。

新妻さんは2004年再演で一番好きなキムで、公演開始前は松キム中心で取ったのに、キムとしては新妻キムから目を離せなかったのですね。もう「演じる」じゃなくて「キムとして生きてる」感じそのもので。その後、本人もいろいろな場で話されていますが、「歌い手」が「役者」になったターニングポイントのような作品であり、役なのですが。

再演の時の新妻キムの完成度がすごすぎたせいか、今回の初日を見た感想が、「流石だけど、プロのキムだな」という感想。
ちょうど、2004年の松キムに感じた印象とほとんど同じ。

レミゼのコゼットとエポニーヌには暗黙のうちに「30歳定年説」があって、現に30歳になったANZAが卒業していたりするのですが(ちなみに次の順番では真綾エポ。2010年3月に30歳になる)、つくづくキムの「25歳定年説」を実感します。

よく考えると、新妻さんはすでに27歳だし、2004年の松キムと同い年。
「17歳で初めて店に出るのよ」って時点で、「おいっ」という突っ込みが入るわけで(爆)、2004年公演ではエレンをやった由美子さん、当時キムをやる噂も出ていたのですが、その時点で30歳だったわけで、まぁ普通に無理ですね・・・

新妻キムはすごさはこんなモノじゃないはず。
変に小さくまとまらずに2004年キムと違った熱さを見せてほしいと熱望。

前回は石井クリスがいたから、上智カップルということで上手いこと引っ張ってもらっていたところがあるのですが、今回は組む相手に苦労しているというか、テレビ出演(NHK「今宵ゴージャス」7月29日放送)も、パンフレット対談も井上クリスと一緒なのですが、井上クリスは相性的には笹本キムとのカップルが外せないわけで。

井上クリスを新妻キムと笹本キムが取り合いつつも、笹本キムは藤岡クリスとも相性良いようで(エポ・マリで相性良し)、なんだかこの辺、いい相性の取り合いみたいになってます。

そういえば、新妻さんといえば、先週発売になったCD「MUSICAL MOMENTS」の「私だけに」(エリザベート)は最強です。ミュージカル若手女優一番手の実力はやっぱりダテじゃないと。ついついイベント狙いで山野楽器で買ってしまいました。

そして笹本さん。

正直言ってしまえば、笹本さんのやった役の中で一番微妙な評価していたのがこのキムという役なのですね。

ニンじゃないと思っていたのですが、今回の再々演のキム、言葉が出ないぐらい良いです。

役の大きさと歌の難易度に振り回されっぱなしだった2004年の若輩キムの時の苦労は、4年間の様々な役の積み重ねにより、今回リベンジを果たせたんだなと感慨しきり。

本人、「歌には自信がない」と言い続けていますし、確かに歌が抜群に上手というわけではなくて、芝居に乗せる技術に比類ないものがあるという方が実態にあっていると思うのです。

とはいえ、小手先の技術に頼らずに、キムの感情を途切れさせずに突っ走る様は、2004年に無理してでも彼女にキムをやってもらって良かったと思うに余りあります。

この日は井上クリスとの組み合わせということで、2004年公演のベストカップルと言われたカップル。
私見ではもう一つのベストカップルが新妻×石井、こっちがアダルト系なら笹本×井上はヤング系。
その相性の良さに頼る必要もないほどの出来。

ちなみに本人いわく、稽古をほとんど一緒にしなかったそうです。
藤岡クリスとの方とずっと稽古していたそうで、今回は稽古組はほぼ固定(パンフレットの対談の組み合わせ)。

再演と再々演を比較してみると、今まで見たところではこんな感じで受け継がれている印象。

2004松キム  :2008新妻キム
2004新妻キム :2008笹本キム
2004橋本エンジ:2008市村エンジ
2004石井クリス:2008井上クリス

ちなみに今回のサイゴン、公演前にびっくりしたことが一つあって、
笹本さんが本人のBlogで「聖子姉さん」と言ったこと。

この2人は「共演したことが一度もない」近いんだか遠いんだか分からない関係なのですが、以前は「聖子ちゃん」と言っていたはずの玲奈嬢から新妻さんへの気持ちの変化が、なんだか妙に新鮮だったりしました。

平日ソワレが18時15分とけっこうきつい開演時間ですが、けっこうそれなりに通います。ま、17時45分のM!ほどじゃないからまだましですが。

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