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2008年7月

『ミス・サイゴン』(3)

2008.7.27(Sun.) 12:00~14:45 2F・最後列下手側
2008.7.28(Mon.) 13:20~14:00 テレビ朝日系「徹子の部屋」
2008.7.29(Tue.) 18:15~21:00 1F・10列目上手側
2008.7.29(Tue.) 22:00~22:20 NHK総合「今宵ゴージャス」

サイゴンリピート週間継続中。

最近、漢字変換をATOKに切り替えたので、「サイゴン」と書く度に《地名変更→ホーチミン》という突っ込みが入ります。ありがたいんだかそうじゃないんだか・・・

29日ソワレは仕事が18時近くまでかかって、帝劇へタクシーで滑り込み。というか、平日ソワレはタクシーでないと間に合わないので、B席であっても2千円上乗せという経済的に困ったことになってます。
竹橋・大手町界隈が妙に電気工事が多くて信号にひっかかりまくり、帝劇前に着いたのは18時15分30秒。

蛍嬢の先導で進むも暗転する直前で、席に座るとともに真っ暗に。

ここまでぎりぎりなのは久しぶりです。昔、2004年サイゴンで地下鉄全面ストップで1時間遅刻したことはありましたが、開演時にここまでぎりぎりなのは記憶する限り初めてで、周囲の方にはご迷惑をおかけしました。

当初想定していた組み合わせをだいたい見終わって、自分の中ではようやく落ち着きを見せつつあるサイゴン。

キムは知念キム以外の3人を見ましたが、キャッチフレーズを付けるなら
 オーラキム@新妻
 ピュアキム@笹本
 リアルキム@ソニン

という感じ。

新妻キムはまさに貫禄そのもの。2004年の時のバズーカ歌唱といいますか、向こうみずな突破型が抑え気味に変わった代わりに、確固とした存在感と歌唱、丁寧な感情表現が出色。キムがヒロインであることを疑わせない存在感があります。そして、本当に2004の松キムに似てきた印象。別のキャッチフレーズなら「ドラマチックキム」

笹本キムは前回も書きましたが、あまりの成長ぶりに今回予想外の収穫です。キムが生娘であることを疑わせないピュアな少女ぶり。前回はそれがあざとく感じられることもあったのですが、今回は地力がついたこともあってある意味”堂々と少女”になっています。

ソニンキムは歌が安定した新妻・笹本キムと比べれば、「キムってこんなに歌が大変な役なんだ」ということを実感させるために存在しているキムとも言えるのですが、なんと言ってもキムがベトナム人女性であることを疑わせないリアルさは魅力。別のキャッチフレーズなら「エキゾチックキム」

お気に入りのシーンをキム別に挙げてみますと。

笹本キムは「身の上話今聞きたいの~」。
クリスに初めてを捧げた後に自らの出自を問われて感情が爆発するシーンのこの少女っぷりはある意味において破壊力抜群。
クリスが自らの「軽く発した問い」に精神的にえぐられたキムが感情を爆発させ、クリスが思わずキム抱きしめてしまう流れがとても自然。
今のところゴールデンコンビの井上クリスとだけしか見ていないけど、ついつい相性が良いと言われる藤岡クリスともチケット取ってしまった(←悪い癖)ので、これも楽しみ。

ソニンキムは「私にはあるのよ、隠された力が~」。
トゥイに結婚を迫られ拒否したキムが、タムを見せて母親としての力を発する場面。
この辺がリアリティのなせる技といいますか、誤解を恐れず言えばあの部屋にいることに何の違和感も抱かせないというのが・・・(なんだかんだ言っても笹本キムとか、あそこにいるにはいかにもキャラが小綺麗)
ここが好きな理由は「生き延びてた」が一番胸に迫るからとも言えるかも。
続投3人キムがある意味、ミュージカル女優としてはエリート街道を歩んできたのに対して、ソニンはキムを「勝ち取った」という言葉が一番似合うからとも思えます。
歌は弱いけど、それでもこの役を通せるだけで相当な実力がある証左だし、繊細な表現力はこなれた頃に見たくなるキムかも。


新妻キムはラストのタムを見送るシーン。ここで彼女は笑顔でタムを見送るんですね。自らの役割が終わったことに安堵して、「よかった。これで私の役目は終わったんだわ」という表情で去っていくのですね。
ここのシーン、笹本キムとソニンキムはほぼ共通していて、タムをエンジニアに引き渡したことですべての支えを失ったかのように崩れ落ちかねないぐらいに弱ってます。

ここは2幕フルを全力で突っ走れる新妻さんと、2幕フルを何とかこなしきれる笹本さん、ソニンさんの違いと言ってしまえば身も蓋もないのですが、少しく最後の解釈が違っているような気がします。

笹本・ソニンキムの場合、それこそ「タムに命をあげ」たら、自ら命を絶たなくてもそのまま亡くなってしまいそうなのに、新妻キムの場合、「タムに命をあげ」てから、「自らの意志で命を絶つ」ことを自覚的にやっているという感じというか。

確か再演では「自らの意志で命を絶つ」がずいぶん強調されていた感じがあるので、今後各キムの最後を見てどんな感じで印象が変わるのか楽しみ。
とはいえ、今のところは新妻・笹本キムのいずれかしか見ない予定ではあるのですが。

そういえば、新妻・笹本キム、最後の表情にそんなに差があるのに自殺直前のカーテンを引くのが似ていて、乱暴にカーテンを引くんですね。

気持ちの中では分かっていても、自分だけが死を選ばなればならなかったことに対する抗議という意味で、年相応に子供だったのかなと思った。

キムを死なせた十字架を背負って生きていくクリスと、
目の前に絶対的な壁であるタムを育てていくエレンの方が、
生きた期間での苦しみの大きさは大きかっただろうに。

タムを生かすためには自分がいなくなるしかない、それが理性として分かってはいても、なぜ自分がそれを被らなければならないのかと。「タムさえ生きられれば、私の命はいらない」(命をあげよう)というところからすれば、”怒り”さえ感じさせるあのカーテン引きはちょっと違和感があるかも。

そういえば、キムの違いで印象的といえばソニンキムと新妻キムの、エレン対面シーン。
ソニンは驚くぐらい顔、固まってます。20秒ぐらい全く身じろぎもしない。
顔の前に手をぶらぶらさせても気づかないぐらいに
(←あのシーンでそんなことやっちゃいけません)

新妻キムは手を出して固まって、時とともにぶるぶると震え始める。
今日ソワレの新妻キムは、ほのかエレンが優しいのをいいことに、下手の椅子にまで追い詰めて(!)座らせてた。

あんなところまで行ったら部屋出るの大変だよ!間に合わないよ!と思ってたら、やっぱり案の定、超全速力だったのでした(笑)
キムの衣装、ルーム327の扉に挟んだらどうするんだ!というぐらいに凄まじい風を起こして去っていったキムなのでした(笑)

そいでもって、月曜日夜には「徹子の部屋」を見て井上君の「神よ何故?」を堪能。
で、高橋ナンネールとの「赤いコート」も見られて嬉しい誤算。

火曜日夜に至ってはつい1時間前に見た市村さんの「アメリカン・ドリーム」と新妻さん&井上君の「世界が終わる夜のように」をTVで。

「アメリカン・ドリーム」はあの帝劇の広い場所で見てこそだと思ったけど、「世界が終わる夜のように」は素晴らしかった。開始直前の「山手線・京浜東北線運転再開」のテロップは余計だったけど(爆)。

来年6月公演(3日~28日)のミーマイのPRビデオも流れ始めた帝劇。楽しみがまた増えて何より。

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『ミス・サイゴン』(2)

2008.7.18(Fri.) 18:15~21:05 2F・B席センター
2008.7.22(Mon.) 13:30~16:20 1F・S席センター

2004年再演時に通い詰めたこの作品。
今まで見た舞台作品を回数順に並べると、たぶんレミゼが何気に一番多くて(約30回)、SHIROHも30回近い(ゲキ×シネ含む)だけれども、実はこの作品も20回超。

記録を探ってみると、2004年に高橋エレンだけで15回見たということは、ANZAエレンと石川エレンも3回ずつぐらいは見たはずだから、今回の公演の最後にはレミゼ抜いちゃうかも・・・(今年は10回ぐらい予定)

プレビュー公演は見る気になれずに、初日を本公演初日に持ってきて、立て続けに2回観劇。
両公演ともほぼファーストキャストの公演で、市村エンジ、井上クリス、岡ジョンが両日とも共通で鉄板状態。

市村エンジは「ミスター・サイゴン」ながら、再演時にはどこか疲れた感じで、そろそろ年齢的に潮時かも、と失礼ながら思っていたのですが、再演されて父親にもなって若返った感じ。たまに濃すぎる演技に困ってしまう市村さんですが、今年の再々演は抜群のエンジニアです。早抜けが残念。

岡ジョンは2004再演の時は、今井ジョンと対照的なポジションで毎回楽しませていただいていました。
岡ジョンは正論に生きて、今井ジョンは正義に生きている感じというのか。
たぶんどちらもジョンの一面として正しいように思えて、作品を多面的に楽しめるいい助演だったのを思い出します。
今回、今井ジョンにあたるポジションを誰が支えてくれるのかはちょっと不安。

サカケンはジョンには軽すぎるというか、空論に生きるような感じを見せてしまうのがますます不安。

井上君は、再演の度に思うのですが、初演と同じ再演を作り出すことをしない人なので、どれだけ+αしてくるのかいつも楽しみ。
今回も、役からすると今回の方が年齢不相応なのですが、精神的な成長がクリスを無理なく表現しています。

クリスといえば、キムからまるで犯罪人であるかのように不誠実さを糾弾される、別名「ミュージカル界男性配役悪人の筆頭格」らしいのですが(再演パンフレットで確かそんな話をキム4人がしていたような・・・キムが集まるとクリスの悪口が出るとか(笑))、今回の井上クリスは再演の時以上に「自らの立場の中で最大限の努力をした誠実さ」が表現されていたような気がします。

前回の井上クリスはどこかに「しょうがないじゃん、自分にはどうしようもなかったんだから」みたいな他人事の立場が感じられたのですが、やっぱり大人になったのですね。

役にしても「自らの立場になって自らを責める」感じが表現されていたように思えます。

で。この作品のメインヒロインであるキムの話に。

1992年初演では本田美奈子さん、入絵加奈子さんが演じ、
2004年再演では松たか子さん、新妻聖子さん、知念里奈さん、笹本玲奈さんが演じ、
今回の再々演では新妻聖子さん、知念里奈さん、笹本玲奈さん、ソニンさんが演じています。

初日公演が新妻さんということで2004年の松さんに代わってのファーストキムの位置づけで、格としては楽日の知念キムがセカンド、笹本キムがサードということでここまで続投組、ソニンが初演ということになるわけですが。

見たのは新妻さんと笹本さんですが、実は両極端の感想です。

新妻さんは2004年再演で一番好きなキムで、公演開始前は松キム中心で取ったのに、キムとしては新妻キムから目を離せなかったのですね。もう「演じる」じゃなくて「キムとして生きてる」感じそのもので。その後、本人もいろいろな場で話されていますが、「歌い手」が「役者」になったターニングポイントのような作品であり、役なのですが。

再演の時の新妻キムの完成度がすごすぎたせいか、今回の初日を見た感想が、「流石だけど、プロのキムだな」という感想。
ちょうど、2004年の松キムに感じた印象とほとんど同じ。

レミゼのコゼットとエポニーヌには暗黙のうちに「30歳定年説」があって、現に30歳になったANZAが卒業していたりするのですが(ちなみに次の順番では真綾エポ。2010年3月に30歳になる)、つくづくキムの「25歳定年説」を実感します。

よく考えると、新妻さんはすでに27歳だし、2004年の松キムと同い年。
「17歳で初めて店に出るのよ」って時点で、「おいっ」という突っ込みが入るわけで(爆)、2004年公演ではエレンをやった由美子さん、当時キムをやる噂も出ていたのですが、その時点で30歳だったわけで、まぁ普通に無理ですね・・・

新妻キムはすごさはこんなモノじゃないはず。
変に小さくまとまらずに2004年キムと違った熱さを見せてほしいと熱望。

前回は石井クリスがいたから、上智カップルということで上手いこと引っ張ってもらっていたところがあるのですが、今回は組む相手に苦労しているというか、テレビ出演(NHK「今宵ゴージャス」7月29日放送)も、パンフレット対談も井上クリスと一緒なのですが、井上クリスは相性的には笹本キムとのカップルが外せないわけで。

井上クリスを新妻キムと笹本キムが取り合いつつも、笹本キムは藤岡クリスとも相性良いようで(エポ・マリで相性良し)、なんだかこの辺、いい相性の取り合いみたいになってます。

そういえば、新妻さんといえば、先週発売になったCD「MUSICAL MOMENTS」の「私だけに」(エリザベート)は最強です。ミュージカル若手女優一番手の実力はやっぱりダテじゃないと。ついついイベント狙いで山野楽器で買ってしまいました。

そして笹本さん。

正直言ってしまえば、笹本さんのやった役の中で一番微妙な評価していたのがこのキムという役なのですね。

ニンじゃないと思っていたのですが、今回の再々演のキム、言葉が出ないぐらい良いです。

役の大きさと歌の難易度に振り回されっぱなしだった2004年の若輩キムの時の苦労は、4年間の様々な役の積み重ねにより、今回リベンジを果たせたんだなと感慨しきり。

本人、「歌には自信がない」と言い続けていますし、確かに歌が抜群に上手というわけではなくて、芝居に乗せる技術に比類ないものがあるという方が実態にあっていると思うのです。

とはいえ、小手先の技術に頼らずに、キムの感情を途切れさせずに突っ走る様は、2004年に無理してでも彼女にキムをやってもらって良かったと思うに余りあります。

この日は井上クリスとの組み合わせということで、2004年公演のベストカップルと言われたカップル。
私見ではもう一つのベストカップルが新妻×石井、こっちがアダルト系なら笹本×井上はヤング系。
その相性の良さに頼る必要もないほどの出来。

ちなみに本人いわく、稽古をほとんど一緒にしなかったそうです。
藤岡クリスとの方とずっと稽古していたそうで、今回は稽古組はほぼ固定(パンフレットの対談の組み合わせ)。

再演と再々演を比較してみると、今まで見たところではこんな感じで受け継がれている印象。

2004松キム  :2008新妻キム
2004新妻キム :2008笹本キム
2004橋本エンジ:2008市村エンジ
2004石井クリス:2008井上クリス

ちなみに今回のサイゴン、公演前にびっくりしたことが一つあって、
笹本さんが本人のBlogで「聖子姉さん」と言ったこと。

この2人は「共演したことが一度もない」近いんだか遠いんだか分からない関係なのですが、以前は「聖子ちゃん」と言っていたはずの玲奈嬢から新妻さんへの気持ちの変化が、なんだか妙に新鮮だったりしました。

平日ソワレが18時15分とけっこうきつい開演時間ですが、けっこうそれなりに通います。ま、17時45分のM!ほどじゃないからまだましですが。

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