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『篤姫』(3)

このタイトルでブログを書くのは実に久しぶりです。

視聴を継続しているものの、心の中のわだかまりがどうしても取れずに、素直に楽しめない自分がいます。

本日は完全ネタバレで、かなり将来の出来事について記載しています。
かつ、否が応でも主観が混じっています。
贔屓の引き倒しと思われる方がいるかもしれません。
あらかじめ以上の通り申し上げますが、否定しません

一つでもそういうのが嫌な方は、即座に回れ右でお願いします。

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では。

生まれてこの方、大河を完全視聴したことない自分が初めて視聴継続中のこの作品、そのきっかけはこの作品にご贔屓の高橋由美子さんが唐橋役で出演することが決まったことでした。

唐橋という役は、NHK「篤姫」公式HP(6月30日現在)には以下のとおり記されています。

篤姫付き老女。
慶喜の将軍擁立失敗の責任をとって大奥を去る幾島に代わり、篤姫付きとなって幕末の大奥を支えた。


この説明は、第三次製作発表(2007年10月)から一貫して変更がないのですが、実はこの説明は、今となっては間違いで、幾島が大奥を去るにあたって後を託すのは、御年寄である重野(中嶋朋子さん)なのです。

原作では確かに幾島が後を託すのは唐橋なのですが、実はこの唐橋、史実ではこの時期に大奥にはいないのですね。

家斉(11代将軍)の御台所お付の御年寄で、その後水戸の徳川斉昭にお手つきにされて大奥の水戸嫌いに拍車をかけた話が有名ですが、ゆえに歴史ファンの方からは、「篤姫の時代に唐橋はいないのでオリジナルキャラ」と言われます。

拝察するに、製作発表時点でこの話に気づいた人はNHK内部にいなかったようで、今に至るまで公式HPも修正されていません。

ところが、唐橋の登板はずっと後、42話「息子の死」(10月19日放送)であることが今日発売のNHK出版「篤姫 ストーリーブック 後編」で明らかになりました。

※ちなみに先週発売となった新人物往来社刊の篤姫ガイドブックでは、いまだに重野が存在せずに唐橋がそのポジションに存在しています。

唐橋の原作での登場はもっとずっと前で、上巻の前半、篤姫が大奥に入った時にすでに登場しており、要は現時点で初瀬が担当しているポジションも、重野がこれから担当するポジションも、かなりの部分は唐橋のシーンだったのです。

まぁそれからすると、42話という極めて遅いシーンでの登場(おそらく最後の登場キャストでしょう)は、残念至極なのですが、そもそもの疑問があるのです。

原作どおりを想定して唐橋という役を受けたとしたら、今回の話は『仕打ち』という類以外の何者でもないのではないかと。

公式HPが現時点で製作発表時点の内容をそのまま踏襲している以上、当初、唐橋は相当前から登場する予定だったことは可能性が高いと思います。重野役の中嶋朋子さんの人物説明も顔写真もがいまだにないのも、同じ理由と思われます。

※追記
8月10日放送で幾島から重野にバトンタッチされた時点で、さすがに重野の人物説明も追加されました。
公式HPの人物相関図は、実に微妙です。

製作の都合上、原作に比べて役の大きさが前後するのは役者の宿命でしょうし、かつ役者のファンとしても甘受すべき部分だと、理性では分かってはいるのですが、明らかに「後から役が小さくなった」ことについては、違和感とともに憤りを感じざるを得ません。

現実問題として由美子さんは5月まで舞台をやっていて撮影をしていなかった(撮影は7月からの予定)ので、登場時期からして8月3日の幾島退任(31話「さらば幾島」)に間に合いません(大河はおおむね3~4ヶ月先撮りしています)。

舞台の休み期間である3月に撮影をやらなかった時点で、今回の事態は薄々予測できていましたし、重野役の中嶋朋子さんの撮影が始まった時点である程度予想していました(重野役は実在したモデルらしき人がいるのだそうです)。

大奥の位でいけば、重野が天璋院付の御年寄で唐橋が天璋院付の御中臈なので、2階層、重野の方が上にあたります。
その結論そのものに異論を唱えるつもりはあまりないのですね。
別に中嶋朋子さんに対してどうこうみたいな気持ちはないので。

そうではなく、後出しのごとく役が小さくなり、かつ公式HPにいまだに前の設定で人物説明が載っている、この一点がただ納得がいかないのです。

幾島が退任したときに、あの説明が存在すると、見ている人は何を思うかといえば、「何かの理由で唐橋の役は小さくなって重野に取って代わられた」と思うでしょう。

その理由が「唐橋はあの時代には存在しなかったことに製作発表後に気づいた」ということが事実なのであれば(自分は確信していますが)、その事実が公になることはNHKとして、宮尾先生として言い出すことはありえず、その被害は唐橋を演じる高橋由美子さんがただ一人被ることになります。

それは役者に対する『仕打ち』以外の何者でもないでしょう。

最初持ち込まれた時より役が小さくなることでさえ、役者にとっては不本意であり、侮辱以外の何物でもないでしょう。
しかし、それにも増して「幾島の後を託すには役者として力量が足りないから差し替えた」と思われかねない事実を『そのままにして放置する』ことが許しがたいのですね。

作品の進行上、どうしても設定を変えざるを得ない、これは許容されるべきだと思います。
原作どおりに一字一句やれなどと言うつもりなど毛頭ありません。

がしかし、プロの仕事というのは、お互いがお互いに敬意を払い、その力量をお互い借りながら、お互い高めあうものではないかと思うのです。

プロの仕事において、このような『仕打ち』、ある意味晒し者であるかようなことを、”そのままにしておく”「神経」そのものが自分には納得がいきません。

そういう意味で、楽しく見ていたこの作品を、色眼鏡で見るようになってしまったことは非常に残念ですが、作品自体は今後も楽しみに「は」しています。前ほど熱心には見られないけど。

ちなみに、最終的な唐橋の役どころは、ストーリーブックから引用すると・・・・

医者の娘で、医学に明るいことから天璋院の信頼を得て、天璋院付の御中臈となる。
徳川家の救済を願う天璋院の嘆願書を新政府軍の参謀・西郷隆盛に届けるべく、幾島とともに敵陣の真っただ中に飛び込んでいく。

最終的には「医者の娘」以外は原作通りなのですが、そもそも完全創作といえばその通りではあります。
どうせ創作だからどうにでもしようがあるとはいえ、わざわざ役を大きくする必要は感じなかったんでしょうが、それにしてもここまで変えるとねぇ。

今となって振り返れば、「空中ブランコ」の途中から「中途半端な役設定」に憤りを感じたのは、「篤姫」でのこの扱いがある程度見えていたからでもあります。

「空中ブランコ」のエリという役は、実は由美子さんでしか演じようがなかった極めて難度の高い役。
それなのにそれほどまでにフィーチャーされず、評価もされにくかった。
(あえて由美子さんがやる必要がないとも言えはしたけれど)

のにかかわらず、その舞台に拘束されたことが、「篤姫」における登場の遅れ、ひいては作品に対する比重の大幅な低下につながったとするならば、やり切れない思いでいっぱいなのが正直な気持ちです。

今年1年を無駄にしちゃったような気持ちが悔しさとともに湧き上がってくるので。

それこそ、「空中ブランコ」も「篤姫」もやらずに「レベッカ」やってたら納得したかもしれませんが(笑)
祐さんとは合うと思うんだけどなー、ちーちゃんも悪くないけどー(ぼそっ)

「篤姫」に関しては、「役どころが変わったけど、無理に出す場面作りました」みたいな、こんなお荷物扱いされるようなら、最初から選ばれない方が良かった気さえしてしまう自分がなんだか悲しい。

重野が幾島の跡を継ぐことがわかって3ヶ月、唐橋の存在意義がないとずっと思ってきたから。

今回はしょうがないけれど、次回こそはリベンジとしていい役で出て欲しいと思う。
役での悔しさはその役に全力投球して、その上で次の役につなげてこそ報われるというもの。
それだけのポテンシャルを持っている女優さんだと、信じています。

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コメント

由美子さんの篤姫の登場シーンが
42話というのは、間違いであってほしいですね。私も大河ドラマは、由美子さんが
出演するから見てるだけなので、それが本当だとすると、がっかりですね。由美子さんの事務所は、弱小なのでいい役も貰いにくいポジションなのは、感じています。
ブログも、6月は書き込みが少なかったので
篤姫が忙しいのかな?って思ってましたが
あの、中堅女優の書き込みのところが、引っかかってましてその時期に、役どころが変更になったのかな?と勝手に思ってみたりします。とにかく残念です。

投稿: てるてる | 2008/06/30 01:00

こんばんわ。

42話の情報元は本文に書きました通り、ストーリーブック後編で、「滝山が新たな天璋院付の御中臈として唐橋を引き合わせた」と書かれているのが根拠です。実際、41話まで撮影が進んでいる撮影現場では目撃されていませんので、42話は残念ながら確定かと思います。

自分自身同い年なので、都合の良いときだけベテラン扱いになる「中堅」というポジションは、ともすれば自分が泣く泣くかぶる機会も多くなるということでもあります。
今回の場合で言えば降板か役柄の変更の二択だった可能性は高いと思います(正直な本音を言えば、降板だと100%役者のダメージになるのでそれだけは嫌でした)。

由美子さんの存在で言えば、若い層に「知名度」という武器が通じなくなっている現在、非常に難しいポジションにいるのかもしれません。

投稿: ひろき | 2008/06/30 01:58

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