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2008年5月

『ミス・サイゴン』(1)

2008.5.26(Mon.) 19:00~20:15 シアタークリエ

ここ1週間、東宝系のイベント参加が異様な日程なのですが、21日(笹本玲奈の小部屋)に25日(ルドルフファン感謝祭)に26日(ミスサイゴントークショー)と、普通におかしい日程です。

というか今まで全くといって良いほど縁がなかったこの種のイベントにここまで立て続けに当選するのも、まぁ東宝系の運は使い果たしたかなと。

この日はメトロ有楽町駅で降り、普段なら地下道を通って日比谷駅経由でシアタークリエに入るところ、帝劇への階段を上がり。

時は18時26分。この日の「ルドルフ」の開演は18時30分というわけで開演直前ですが、その場に何も起きていないことを確認してひとまず一安心。

前日、笹本さんがトークショーを欠席した後、本公演でちゃんと復帰できるかが心配だったので見にきたのですが、いつもと同じ帝劇であることに胸をなでおろし、別のキムを見にシアタークリエに向かいます。今のところ、キムは4人中2人が帝劇にいるのは、なんだか不思議な感じ。

この日のトークイベントは400人限定ということで、正確な応募者数は忘れましたが倍率が6倍ぐらい。2800人ぐらいの応募だったようです。

上手側から椅子が5つ並べられ、司会が音楽監督のビリーさん(山口さん)、隣にエンジニア役の筧さん、クリス役の照井さん、大型ディスプレイを挟みキム役の新妻さん、エレン役の浅野さん、トゥイ役の神田さんの5人。

途中、演出のフレッド・ハンソン氏も登場しましたが、ほとんどの時間は司会+メンバーのトークと歌。
あとこの日の企画として「とある日の稽古風景」のビデオが流れました。司会のビリーさんもおっしゃっていましたが、「ミュージカルの稽古とはこういうもの」みたいなものはあまり表に出ないので、面白いのではとおっしゃっていましたが、確かに新鮮でした。

歌は全部で4曲。
「トゥイの侵入」(神田トゥイ&新妻キム)
「世界が終わる夜のように」(照井クリス&新妻キム)
「今も信じてるわ」(浅野エレン&新妻キム)
「命をあげよう」(新妻キム)

当然のごとく新妻キム大活躍。

この日のメンバーはことごとくアンサンブルから昇格の初プリンシパル組ですが、その中でも仕上がりが早い人を選んでいるようで、この組み合わせ、なかなかいいかもと思わせる出来です。

その中でも照井クリスはいいかな。伸びしろを感じさせる印象。

浅野エレンは無難という感じはあって、あえて選ぶまでのことはしないかな・・・
今回のエレンはほのかさん軸にするつもり。
エレンは演技とか立ち位置を考えすぎると歌に置いていかれる凄く難しい役なのですが(過去に色々と苦い思い出が。)、今のところ決め手に欠く感じの浅野エレンでした。

神田トゥイは単独で見れば若い勢いが表に出ていたと思うけど、何しろこの役は泉見トゥイという完成版みたいな人が既にいるから、こちらもあえて見る感じでは・・・・

ミュージカルをリピートし始めたのは2003レミゼからで、2004サイゴンまではクアトロキャスト含め全キャスト制覇をやっていたのですが、さすがに2005レミゼあたりからは鈍り始めて、よほどの評判がなければ追加しないようにしてきているので、今回もキムを軸にする以外はあんまり増やさないことになりそう。
照井クリスだけはちょっと興味でたから入れようかなと思う。

そいでもってキムの新妻さんですが、
もう稽古1週間未満の時点で既にここまで入り込んでるんだから、キムと一心同体という意味が良くわかります。やっぱり新妻さんはキムで見てこそだと改めて思う。

この日のトークで印象的だったのが、新妻さんがキムについて

「4年経って、自分がしてきた経験を『こんなこともできる、あんなこともやりたい』そんな気持ちにうずうずしている自分に気づいてしまって。これはまずいと。今回のキムの目標は、『白紙に戻って役に取り組む、です』

と語られていました。

新妻さんはもともと頭の切れる人ですが、思い入れと思い込みで突っ走るところがあって、2004年のキムはそれが壮大にいい方向に出たわけですが、作りこむ悪い癖が今回出ないかと心配していたところ。
例えば2005エポあたりは相当に斜め上方向にやりすぎていたから・・・

しかしながら稽古1週間でそこに気づいたというところに、彼女の役者としての成長を見た気がしました。

自分の印象ですが、役者さんは自分の演じたいことを100%演じると、だいたいお客さんの心の置き所がなくなるといいますか。

新妻キムはチケ売りスタート段階でも一押しでしたが、今回の話を聞く限りは死角なしと見ます。
事実上、2008サイゴンのキムの筆頭のポジションですからね。

「ミス・サイゴンのプロモーション担当」としてのあまりにも澱みない締めにも脱帽します。
今回のは感動しすぎて全てを覚えていないのですが、とにかく多分「プロモーションコメント」として添削しても100点以外付けようがないようなコメントをしていました。

全文を思い出せないのが本当に悔しいぐらいの完璧なコメント。

「本番に向けて一日一日、日々進化していくキム、そしてこの作品。本番になってからも毎日毎日変わっていく舞台をぜひ何度も見て、進化を目に焼き付けるべく、劇場に足をお運びください」

が要約なのですが、本当はもっと語彙が多くて、言葉一つ一つどれが欠けても完璧じゃないというような絶妙な言葉の組み合わせに圧倒されました。

新妻さんを最初見始めたころは、話す言葉にわざとらしさを感じることが多かったけれども、役者として進化したことで役者の大きさが言葉の大きさに追いついてきた感じがして、心強いです。

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『ルドルフ』(3)

2008.5.25(Sun.) 17:30~21:05 帝国劇場 2F上手側S席(ぴあ当日割引)

3回目(チケット5枚目・・・泣)。

3回見た中で今回が一番納得できたかな。

席も割引席の割にはそれほど気にならず、前列の席の人の頭で舞台どセンターが隠れてしまうのですが、ここで歌うのは笹本マリーの「愛してる、それだけ」ぐらいだったりするんで、思ったよりはストレスが少なく、S席料金なら微妙ですが、A席料金だしまぁ許容範囲。

いつも直情型のマリーは特に2幕、緩急を織り交ぜてどことなくいつもと違う空気で演じていて、何か笹本さんの演技がいつもと違って、それを受ける井上君の演技もなんだかいつもと違う。

終演してわかったのですが、笹本さんが体調不良で本調子じゃなかったので、井上君が要所要所で気を配っていたようですね(終演後行なわれたトークショーはもともと出席予定だった笹本さんは体調不良のため、欠席されました)。

割合突っ走ることが多い笹本さんが、久しぶりに井上君に支えられていたような空気が時々あったのは、ハプニングとはいえ新鮮で、むしろいつも以上に熱がこもっていたように思えます。

押す演技が多くて時々身の置き所に困ってしまう笹本さんの演技ですが、むしろこの日のような引きの演技は、そういう演じ方もあるという点で、新しい発見ではありました。

とはいえ、シングルキャストで楽まであと1週間、舞台デビュー以来1度として休演したことがない笹本さんのことですから、衝撃に近い驚きです。

先日の「笹本玲奈の小部屋」に参加させていただいた時は、終演後にもかかわらず(その日は1回公演とはいえ)元気いっぱいでしたし、わずか4日間でダウンというのはびっくりです。

その時に話していたのですが、「ミス・サイゴン」の稽古入りが来週(26日の週)で、「今はマリーしか頭に無くて、キムをどう演じようか考える余裕がない」と話されていて、器用に見られがちな彼女の、努力家というか不器用さをかい間見た気がしました。

本人のブログによれば、サイゴンのディスカッションが24日のマチネ終演後に3時間かけてあったそうで、そこでマリー一辺倒の生活にキムが入り込んできて、オーバーフローしちゃったのかもしれないな、と思ってしまいました。

さて話題は変わって。

この作品を見ていると、あれ、これってどっかで見た場面・・・ってのがあるものでして。

筆頭は劇場開場の日に、ルドルフ皇太子の馬車に飛び込んだ女性が、助けに入ったルドルフに唾を吐きかける場面・・・ファンテーヌ&バルジャン(レミゼ)そのものですね。

ルドルフがマリーの言葉により自らの進むべき(と自分が思う)道へ進む「明日への階段」を見つめるラリッシュ伯爵夫人の姿は、シロー&寿庵(SHIROH)にちょっと印象がだぶります。

暴走するルドルフの先にある破滅は、どことなくシローが進む破滅に通じる印象があります。
井上君のヴォルフは以前は理性のある破滅だったけど、どんどん初演中川君に近づいているような気がするからなぁ・・・

このラリッシュという女性は、マリーの姉的な存在として物語に登場して、実にものわかりのいいお姉さんなわけですが、トークショーでも語られていたのですが、その実、海千山千でして。

いとこなのに昔はルドルフと付き合っていたことがあったり、ターフェにルドルフ・マリーのスパイをやらないかもちかけられていて、さすがにそれは断ったんだけどみたいな下手すると悪女らしいんですが(爆)、なんだか「いい人」だけが残っちゃって。

演じる香寿さんも「悪女に演じなきゃいけないかと思ってたら、意外に物分りのいいお姉さんになっていて」とトークショーで言っていたのですが、それはもしかするともっとやりがいがあったのに、という意味にも聞こえて。
香寿さん演じるラリッシュは、岡さん演じるターフェとのデュエットがハンガリー版にあるそうで、そこがばっさり削られているのは、ラリッシュの立ち位置が変わったためかなとも思いますね。

1幕最初でマリーとラリッシュが歌う通称「お買い物ソング」(誰が名づけたんだろうこれ)にあたる「恋は戦争」(どうもお買い物ソングだと「MOZART!」の「まぁ、モーツァルトの娘さん」をどうしても思い出してしまう)を聞いていてもわかるのですが、ラリッシュは基本は男を利用して手玉に取ることで生きてきた女性なわけで、マリーがルドルフと深い仲に落ちて、まさか心中までに至るとは到底考えられない。

「真実の愛」を尋ねるほどの女性だったマリーの真剣さを見抜けなかった誤算がラリッシュの運命さえも変えてしまうのですが(2人の心中の後、全ての責任をかぶせられた彼女は国外追放され、ルドルフの母・エリザベートの暴露本を出します)、マリーもはた迷惑な女性だ・・・

そういえばこの日のトークショーで話題に出ていたのですが、役の実年齢を完全に無視しまくってるこの作品。ルドルフは役設定30歳で、ラリッシュが実は同い年(笑)。
マリーが18歳で、エドワードに至ってはルドルフとタメ年に思えるのに、一回り以上上の48歳(爆笑)。

年齢の話を執拗に振るエドワード役・新納さんに「うるさいよ」と普通に素で(笑いながらも)キれていた香寿さんがなんだか可愛いです(笑)

芝居の話に戻って。

この作品の中で一番の疑問ポイントは、「なぜルドルフは死を選ぶのか」なわけですが、3回見てようやくその辺りが腑に落ちました。

劇場のこけら落としの時に、ルドルフの馬車の前に飛び出した老女がルドルフに吐き出した「少しずつ死ぬならば、いっそ一思いに死ねばいいのよ」の言葉。
貴族は気にもとめない、目をそむけようとする庶民の苦しみ。
劇場に乱入した庶民が排除される様子を、ルドルフとマリーは同じ視線で見つめています。

時は経て。
ラリッシュの必死の説得に、マリーはルドルフとの別れを選びます。
駅に送りにいかないと手紙だけよこしたルドルフ。
そこでマリーは自分の気持ちに素直に、列車には乗らずにルドルフの元へ戻ってきます。
ここでそのまま列車に乗っていってしまうとこの物語はそこで終わりになるからしょうがないんですが(爆)、戻ってきたマリーが言った「少しずつ死ぬならば、いっそ一思いに死ねばいいのよ」という言葉。

ルドルフにとってその言葉は、劇場の前の言葉と同じ。普通に考えれば相当ありえない偶然のように思えるこの言葉がマリーから発せられたことで、「死に場所」を見つけたのかもしれないと思う。

前回も書きましたが、政治的にも追い詰められ、皇室内の居場所はもはやなく、妻との関係に戻ることも考えられない。なぜなら、皇太子としての自分はもはや「自分らしい皇太子」を目指せるような立場ではなく、「自ら選択できないお飾り」への復帰でしかない。

自ら人生を切り拓く機会を奪われたルドルフにとって、自らの最後の選択は、「自分の最大の理解者と死にたい」ということであったと。

ルドルフとステファニーは、演じる2人がトークショーで語って曰く、「性格が一致していればベストカップルだと思うんだけど」という話らしいんですが(苦笑)、ステファニーがルドルフにとってなぜあそこまで嫌だったかといえば、要は「自分が苦しんだしきたりそのものをことごとく肯定してる」からなのですね。

「選択」という行為そのものが不要である皇太子という立場そのものを肯定されるということは、自ら道を切り開きたいルドルフにとっては拷問でしかなかったのでしょう。
マリーが戻ってきたその時、「あなた(ルドルフ)と一緒なら、死も怖くない」「死ぬならばいっそ一思いに」と言われたことは、ルドルフに「最後の『選択』」の決意をさせるに十分な言葉だったのでしょう。

さて、終演後のトークショーですが、笹本さんが欠席ということで残念でしたが、何しろ司会は井上&新納の毒吐きコンビでございますので、基本的に口数の少ない知念さん・香寿さんでも普通に間が持っておりました。

ネタをいくつか。

「役を離れて一人の女性としてルドルフとエドワードを見るとどっちを選ぶか」の問いに、女性2人とも「エドワード」。知念さんに至っては「ルドルフって面倒くさそうなんだもん」とまで言う始末(爆笑)
そういえば、キム役だったとき、クリスに同じようなこと言ってたような(苦笑)

「ファンレターってネガティブだったものってなぜか続く。3通連続ダメ出しされたりするとけっこうへこむ」@井上君
「男優って思ったよりナイーブです。女優さんは思うよりずっとタフだけど」@井上君

・・・うん、知ってます。井上君さすがよく分かってますね。
女優さんは男(バイタリティetc)じゃなければやっていけません。
男優さんは女(気配りetc)じゃなければやっていけません。

実に味わい深い至言が出たところで、本日はここまで。

今日は夕方からシアタークリエです。半年振りに新妻キムが見れるのが実に楽しみです。

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『ルドルフ』(2)

2008.5.21(Wed.) 13:30~17:40 帝国劇場 1F最後列中央他

10日以来2度目の観劇。

実は、前日の20日に昼夜とチケットを取っていたのですが、後輩がこの日付で退職し、その引継ぎ担当に任ぜられていたため、泣く泣くぶっちぎってしまいました。

それならばと急遽取った休み。マチネ、帝国劇場へ足を運びます。

ちなみに今日のレポはそれなりに長いです。

その理由は上の時間にあります。
この作品の上演時間は休憩含んで3時間弱です。

さて。

というわけで本編。いつものごとくネタバレですので、嫌な方は、後半まですっ飛ばしてください。

前回が2階席最後列中央(B席)、今回が1階席最後列中央(A席)ですが、あの帝劇の広い舞台を縦横に使っているので、スケール感を考えると、後方席が意外な程にお得感があります。
中途半端に高い、帝劇真ん中あたりのS席より、もしかすると満足感を感じられるかも。

この席で見る「愛してる、それだけ」(1幕最後の笹本マリーのソロ)は鳥肌どころじゃない勢いだし、「明日への階段」は初回以上に、井上ルドルフのオーラ全開。

”進歩的な皇太子”として民衆に嘱望されながら、皇帝である父、そして首相であるターフェに実権を奪われていくルドルフ皇太子。

ルドルフのどこが「進歩的であった」のかは、初回では見えてこなかったのですが、2回目を見てみると、公演中に井上ルドルフの存在感が増してきているのも手伝い、「自分らしい皇太子になるべき」とマリーに言われた言葉の大きさが、実にきっちりと表現されていました。

「皇太子らしく生きる」ことが、ルドルフにとっては苦しみ以外の何物でもなく。
それを強いる父・フランツ皇帝にも、妻・ステファニーにも、心を開くことはできず。
「自分らしく生きる」ことに踏み出せなかった自分の道を切り開いてくれた、

「自分らしい皇太子として生きる」という言葉。

マリーからの一目ぼれで始まったルドルフとの関係、
ルドルフがマリーを離せなくなったのも、わかる気がします。

ルドルフがハンガリー独立派と通じていたことが発覚した翌日のドイツ大使館での舞踏会。

ルドルフはあれだけ着るのを拒んだプロイセン・ブルーの軍服を着て、マリー・ヴェッツェラとともに現れます。

ルドルフはオーストリア・ハンガリー王国が利用されるだけのプロイセンとの同盟には反対で、何度もフランツから促されたのにもかかわらず、プロイセン・ブルーの軍服を着ることはこれまではなかったのです。

が、このドイツ大使館での光景を見たときに、なるほど、と思ったことがあるのです。

プロイセン・ブルーの軍服は、ルドルフにとっては「主義主張にこだわることはしない」気持ちの現れであり、自らの今までの生き方への終止符。

自らの国が時代に乗り遅れぬよう、必死に国を変えようとしてきたルドルフが、挫折を味わった時に、「マリーと一緒に舞踏会に出る」ことと、「プロイセン・ブルーの軍服を着る」が同時に併存していることに興味深いものがあります。

つまるところ、自らの主義主張、そしてもちろん自らの立場を捨てても、マリーが大切なのだということ。
その気持ちこそが、マイヤーリンクへの2人の旅立ち、だったのかもしれません。

ブログめぐりをしていると、マリーの役どころは賛否両論で、比率的には「否」が多いかなと思います。

マリー役は「好きで好きでしょうがない」という”若さ”を見せる女性のように思われるのですが、笹本さん自体、年齢不相応なほど、演技が若くない(裏を返せば「堂々としている」とかいうのですが)という点があり。
また、演出の亜門さんのスタンスとしてマリーは「大人っぽく」がコンセプトらしいので、ミュージカルのメイン客層を占める女性層に、”この”マリーで「不倫」を肯定してもらうのには、ちょっと無理があるのではないかなとは思います。

しっかり者キャラが定着しすぎたのかなぁ。
若い未熟さを若い時に表現できなくなるというのも、何と言うか、気の毒と言うか、もったいないというか。

25ぐらいの人が演じるまでの役を全部笹本さんが引き受けていますからね。
ま、実は今回のマリーは18歳って設定で、ルドルフとは一回り違うんですが、そう見えない(笑)

女性のお客さんからはその意味でおいしい役どころはステファニーになるのですが、知念さんは役にはあっているものの、それ以上の段階までは踏み込めず、チャンスを逃しかけているのは気になるところ。ここで準ヒロインがヒロインを食うようにならないと、年齢的にも厳しい時が続くでしょう。

なんだかこの日。ルドルフが井上さんということもあり、ステファニーを見ているとコンスタンツェに見え、マリーを見ているとナンネールに見えたりして。

知念さんはナンネール役を噂で聞いたこともあるけれど、あの声質は合わないと思っていたので(由美子さんと同じ張り上げ系の声でも、知念さんの発声は聞いていて安らぐような声調ではないので)、夫とのすれ違いで夫を救えないキャラという、今回のステファニーと同系統、コンスの方が合うような気がします。確かあまり踊れなかったと思いますが(余計か)。

しかしこの作品、音楽を聴いていると、妙に昼メロみたいな音楽が押し寄せてくるかと思いきや、「愛してる、それだけ」とか「明日への階段」みたいな昼メロとは全く縁のない曲も出てきて、面白いは面白いんだけど、いずれにせよ後に残らないのは何でなんだろう。
聞き倒して楽しむタイプのこの手の作品、CDが欲しいと毎回思うんだけど、今回も多分CD出ないんだよなぁ。

何にせよ、平日マチネにして1階はほぼ9割近い入り、3回目のカーテンコールでスタンディング8割ですから、リピーターは掴んだような感じで、千穐楽に向けて中々いい空気になっていると思います。

あと2回、25日ソワレはもちろん、毒舌コンビ司会の女性ゲストファン感謝デー狙い。
30日マチネでラストにする予定ですが、1日は日曜だし、当日券も考えようかな。

帝劇1階奥には、井上&笹本コンビにて「ミー&マイガール」の再演(来年6月)の告知もあり、舞台写真も掲げてあり、このコンビ好きにはたまらない今月の帝劇です。

ちなみにこんな動画もありますが→こちら



さて、閑話休題。

この日はマチネのみの公演ということで、公演終了後に「笹本玲奈の小部屋」が開催。

午後5時から午後5時40分まで、2階喫茶室に「小部屋」ならぬ椅子が50脚並べられました。

と、こんな詳細に書いてる時点でわかりますが、なぜか当選です(笑)

無論、狙ってこの日に休みを取ったのですが、この手ので当選したのは初めて。

定員50人の中で3人が当選に気づかずに帰り、残り47名。

夫婦が3組ぐらいおられましたが、男性1人というのは私だけで、しかも最前列中央って何の話ですか(爆)
↑そこにいた人はこれで絶対人が特定できる

客層からして想像通りというか、井上さんファンが多数で、浦井さんファンがいて、新納さんファンがいて、岡さんファンがいて・・・みたいな構成。
私は笹本さんファンと答えましたが、あの感じだと超少数派でしょうね(最前列だから後を振り返れない)。

あの場ではきっと数少ない笹本さんファンだから、最前列もありがたく頂戴しました(別に選択権は無いのですが)。

井上さんファンにしろ、浦井さんファンにしろ、新納さんファンにしろ、相手役として笹本さんという存在は実に羨ましい存在だと想像するのですが(実際にブログでも何箇所もそんな記述を見かけます)、無用に嫉妬されずに、むしろ頼りにされているのは上手い役回り。

男の私から女優さんを「いい女優さんだなぁ」と思う時、その相手役の男性俳優さんを「羨ましいなぁ」とは思っても、「あれだけ凄い役者なら嫉妬とか抱きようもないや」と同時に思ってしまいます。
多分、それと同じような感情でしょうね。

井上さんより実は6つも年下(浦井さんよりも4つも年下)なのに、この作品でマリーがルドルフを叱咤してるところ、普通に同年齢程度に頼りがいがあるという不思議。

「小部屋」へこの日、緑色のワンピースで登場した笹本さん。

喫茶室側に東宝演劇部の男性が司会で座り、向かって逆側に笹本さん、その左にHDDプレイヤー&ディスプレイ(つまりビデオ上演用)。
事前に応募用紙に書かれた質問に笹本さんが答えていく形で進行します。

その間に、作曲家・ワイルドホーン氏が笹本さんを絶賛しながら笹本さん(すっぴん←本人はそのビデオを本気で嫌がっていた(笑))がワイルドホーン氏と会話するビデオが流れ、今回共演している浦井さんが笹本さんを語る、でビデオが流れます。

ビデオからいくつか。

●「英語はできるの?」byワイルドホーン氏
本人即答「できません」。

「ぜひ一緒に仕事をしたいから英語を勉強してくれ」とのことで、翌日に英会話学校に申し込みに行ったそうです。
今はとても通う時間がないので、「ミス・サイゴン」本番中に通うつもりだそうです。

※動画前半は東宝公式「ハプスブログ」と同じものでした。
以前なら井上さんだけにコメントもらうところなのでしょうが、笹本さんも同じ賞(読売演劇大賞杉村春子賞)をもらったということで、今回からは同格(両主役)のポジションになっていますね。

●「飲ませ上手」by浦井さん
「ルドルフ」トークショー用の打ち合わせの一コマ。

「自分はお酒があまり飲めないので」、みんなしらふだとつまんないから(笑)、浦井さんに飲ませちゃったら、真っ赤になってました(会場内笑)

さすがブラック属性・・・
井上さん、新納さんに隠れて気づかれませんが、笹本さんは何気にブラックです(ピーターパンの演出をされた女性演出家・鈴木裕美さんもそうおっしゃっています)。
ホワイトに見せかけてブラックなあたり、グレーって感じかも。

昔うちのご贔屓さんがアイドル時代に、とある少女漫画家さんが「『女の子』であることを無意識に利用している感じ」って表現してたことがあるんですが、なんとなく通じるものを感じます。

●「腰に手を当てる」by浦井さん
1幕最後、一緒に出ていた香寿たつきさん(ラリッシュ役)と浦井さん(ファイファー役)と笹本さんで帝劇のエレベーターに乗る。

「今日も凄く良かったね-」って浦井さんが褒めると、「やー、今日はだめだなー(声が出てないなー)」とか笹本さんが腰に手を当てて返すらしい(笑)←話してる時、本人実演付き(大受け)

本人曰く、「毎日、今日は良かったですよー、とか言うのもおかしいじゃないですかぁ。」(笑)
うん、ごもっとも。
でも、おやじみたい(笑)、基本、女優さんは男前なほどいい演技するけれど。

●「浦井君は2時間前に会場入り」by司会さん
浦井さんのビデオ終わった後、司会の演劇部某氏が浦井さんを絶賛して曰く。とにかく真面目。
2時間前に来ていて、入り時間が違ってるのかと思ったら、その時間からダンス練習したりアップしたりしている。

・・・と会話しているのだけれど。

この話をしているときの笹本さんの様子がなんだか挙動不審。
自分に話が振られるんじゃないかとびくびくしてる感じ。

で、席の後方からも「何かを知ってる人たち」の空気が伝わってきます。
そう、基本、出待ち&入り待ちの皆様が多いので、笹本さんの入りの時間は当然、皆様ご存知なのですね。

そしてこういう空気になっている以上、そして思わせぶりな演劇部某氏の話の振りからして、ほとんどの人はその事実を知っている・・・・

笹本さんの入りは、

”30分前”だそうです(笑)

いたずらっこが怒られるときのようなびくびくした感じの笹本さんは、この日、舞台&このイベント含めて、ただ唯一、この瞬間だけ、年齢相応でしたとさ(笑)

「朝忙しいんですよぉ」「朝ヨガとかやってるんで」と必死に弁解していました(爆)。


質問からいくつか。

●「共演者が汗っかきだと大変じゃないですか?」
会場内爆笑、本人撃沈。

無論、この「共演者」とはルドルフ皇太子殿下・井上芳雄様のことでございますが。
「汗をあれだけかくのに汗臭くない、それはすごい。」と予想外のお答え。
いい香りがするらしい。へぇ。

●「役を引きずりますか?」
本人はひきずりまくる。この「ルドルフ」ではひきずってる人が多いらしい。

「カーテンコールでは笑顔でと初日に亜門さんに言われたが、仲々そうはできなくて。」

「知念ちゃん(里奈ちゃん、と言ってたかも)とは屋根でも一緒だったし、その時(かサイゴンの時かははっきり覚えてないです)は雑誌を交換したり普通に恋ばなしたりしたけど、今は朝、挨拶するだけ(苦笑)」
別に役作りじゃないそうですが、結果的にそうなっちゃってるらしい。

そういえば、ルドルフ組のサイゴンは、来週から始まるそうです。
つまり、5月最終週は、ルドルフ本番とサイゴン稽古の並行、ということだそうです。

●「共演者の井上君(質問のまま)とのお芝居はいかがですか?」
もう5回目ですかね。
(ちなみにサイゴン、井上君のコンサートとミーマイに今回なので、実は4回目)

(司会から)「井上君のブラックなところが好き、ってファンの人が言ってるんですが(笑)」

「あぁ、仲間内では「毒舌王子」って言われてますね(笑)」

「日々の気持ちで私が芝居を変えても、どんなときも受け止めてくれる。」
それが嬉しいし頼りになる、と。

「身体が柔らかい。何しろ1人アレグリアの人ですので。(笑)」
同じアングルでやろうとしたら誰もできなかったとのこと。

笹本さんのblogで超短期公開されていた、1人アレグリアの写真が、パネル化されて公開されていました。
「パネル化された」という事実そのものに笹本さんが突っ込みを入れていました。
「引き伸ばすような写真じゃないですよ(笑)」


これで実はトークの半分ぐらいしかないという、けっこう濃いイベントでした。
お土産ということで笹本さんのサイン入り(マリー)の写真をいただきました。

実際のところ、別に帝劇1階席使ってやってもいいようなイベントな気がしましたが、帝劇の舞台は広いので、イベントとはいえ司会ともう1人、とかだと間が空きすぎるのかもしれません。

それに1,209席の1階を使うと、それほど人が残らなかった時にというリスクを慮ったのかもしれません(2階から1階へ移動させるのも相当無理があります)。

笹本さんは銀河劇場で12月にソロコンサートをやりますが、もともと名前を出してのソロコンサート(吉野さんと東山さんも出られますが)と、こういった芝居では、”笹本さん目当て”がどれだけいるか読めないところですしね。

現実、笹本さん目当ては私以外で多分10人ぐらいだったと思いますし。

でも共演者のことを笹本さんにしゃべってもらおうとする人を過小評価していたと思われ(笑)、そんなことを横においても笹本さんの人柄というか、アットホームさが感じられ(芸能人と2m以内というのはさすがに初めての体験でした)ありがたいイベントではありました。

舞台の上に立ってる方は、離れて見ていてナンボ、近づけばそれだけ落胆する。とかよく言われますが、人柄も思った通りに素敵で、期待を裏切らない素晴らしい女性だったことは嬉しかったです。

そんな笹本さんを前にして、私も「ルドルフ」に出てる中では笹本さんのファン、ということで贔屓さんは別なのでごめんなさい、って感じなんですが(笑)

そいでもって笹本さんのファンとか言ってFC入ってなくてごめんなさい、って二重に謝ってみたり。
そろそろ考えようかな、FC。

そういえば笹本さんのブログに載っていたその時の写真とご本人のコメントを見て思い出したこと。→こちら
笹本さんのおでこはこんなに大きかったんだ、というのが生で見た一番のびっくりでした(苦笑)。
重ね重ねごめんなさい(笑)

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『ルドルフ』(1)

2008.5.10(Sat.) 17:30~20:30
帝国劇場 2FB列最前列センター

井上&笹本のゴールデンコンビの新作。
初日は祝日でしたが、たまたま別の用事で行けずに、この日が観劇初日。

帝劇はセンターとサブの音響の差がありすぎるので、何も意識しないで取ったのにこの席はラッキーでした。

全体的な印象はといえば、1幕がやたらに長くて、最後の笹本さんのソロでようやく気持ちが乗ってきて、2幕は時間が短く感じます。印象的には「SHIROH」に似てる気がします。

絶賛と言う感じには遠いのですが、台詞が通りにくかったり、音響が雑だったり、とか言いたいことはいくつも出てくるのですが、それでも「良くなるかも!」と思わせるシーンが随所にあって、全部がかっちり嵌った時には、凄いものが見られそう。

ある意味お客さんが舞台の進歩と一緒に歩いていくような感じで、「これから」を思わせるところは楽しみです。

あと耳に残る曲が少ないのは・・・動画とかCD(井上さんの最新CDに1曲だけ収録されています。後述)とかならすごいいい曲なんだけど、不思議。

初っ端からネタバレを混ぜ込みますので、真っ白な感じで見たい方は、観劇後にどうぞ。

ではスタート。

先述の井上芳雄さん&笹本玲奈さんのゴールデンコンビの話は後に回すとして、笹本マリーの両極を固める2人の女性。

知念さん演じるステファニー(井上ルドルフの妻。皇太子妃)と香寿さん演じるラリッシュが2人して実に役として魅力全開。

マリーと合わせてこの3人は、実は2004年「屋根の上のヴァイオリン弾き」の3姉妹(長女:香寿、次女:知念、三女:笹本)で自分も見ていますが、それとも全く違うこの3人の関係。

知念里奈さんは「屋根ヴァ」のほかに「ミス・サイゴン」(キム)、「レ・ミゼラブル」(コゼット)と見ていますが、どの役も「感情」が演技と歌から伝わってこなくて、どちらかといえば苦手な女優さんでした。

が、今回のステファニー役。
彼女で初めて「いいかも!」と思った役でした。
そうか、彼女の活かし方はこんな方向にあったのかと目から鱗でした。

ステファニーは皇太子妃として、皇太子・ルドルフとの関係が冷め切っているのですが、それが彼女のどちらかといえば冷たい声質にぴったりフィットして。

彼女の演技がどうしても淡白に感じる理由の一つに、彼女の声に「温かさ」というものが薄いからかなと思うのですね。
もともと歌手だったわけで、歌手としてはそれでもいいのでしょうが、女優としてみるとどこか他人と距離を取るような彼女の声は、感情移入を許さないようなところを感じていたのですね。

その特性を逆手に取ったかのような、「皇太子と気持ちが通じ合えない皇太子妃」という役どころ、皮肉な褒め方ではありますが、役の特性に合ったということも加味しても、知念さん今回は良かったです。

インタビューで語ってる「皇太子を支えようとして、でも支えられずに壊れていく様子」は、表現されきってなかった気がしますが、これだけ聞くと、そういえば、ステファニーってヴォルフガングにとってのコンスタンツェのようなものにも聞こえますね(エレンもクリスを支えようとしてるけど壊れちゃいない)。

香寿さん、今回は笹本マリーと井上ルドルフの恋のキューピッド役。かつ、笹本マリーの恋の指南役。

姉属性(笑)の私にとってはこんなに物分りのいい姉さんはそれだけで嬉しいのですが、相変わらず出過ぎない存在感が上手すぎです。

前に見たのが男爵夫人、今回が公爵夫人ですから、つくづく「いいところのお嬢様」役を多く見るのですが、香寿さんが演じると、貴族であるとか以前に「人として存在が大きい」ところが好き。

実は香寿たつきさんが演じたラリッシュは、もともとの海外版では、ルドルフとも(ターフェとも)わけありらしいんですが、それがばっさりなくなっているので、マリーのためにルドルフを紹介してあげた、懐の大きなねーさんになってます。

視点が分かりにくくならずに、今の帝劇版の方がすっきりしてる気がして、何よりラリッシュが打算的に見えないのが見ててほっとします。

その2人に挟まれる井上&笹本のコンビ。

笹本マリー、一目ぼれモード一直線。

で、これは笹本さんの役に良くあるのですが、特にお相手が井上さんだと顕著。
井上さんとの芝居の相性も抜群なのに比べると、
ソロの時の芝居の存在感が地味すぎるという・・・

歌はいいのですよ相変わらず。

「ウーマン・イン・ホワイト」1幕ラストの「ALL FOR LAURA」を髣髴とさせる、この作品1幕ラストを飾る「愛してる、それだけ」の笹本さんソロは、圧巻以外の何もでもなく。

歌での見せ方は「ウーマン・イン・ホワイト」で一皮向けた感じはするのですが、存在というか声は元々軽いので、シリアスシーンを飾る重みが欲しいなぁと思います。

”帝劇の広さを埋められる役者”さんというのは意外に少なくて、笹本さんは最近のミュージカル女優では群を抜いて背が高い(キムでも一番背が高い、167cmもある)のに、帝劇2階からは小さく見える。

で、歌とか井上くんとの芝居だとぐいっと背が伸びる(笑)。

あと、笹本さんの芝居で胸を鷲掴みにされる経験というのが、実はほとんど記憶がなくて。
歌なら毎回満足できるんだけど、芝居ではやっぱり若いんだなぁということを痛感します。

そして井上さん。

男だてらに5月8日発売のミュージカルCDを買ってしまった私がここにおりますですよ。
(今後ろでは「明日への階段」が流れてます)

2作連続amazonで買ったので、顧客データベースに「30代男性」の購買履歴という、世間一般では異常値としか思えないものが残っている気がします(笑)

ルドルフ役者として有名な彼ですが、私はエリザには縁のない人間でして(ラスト井上ルドと言われた一昨年のエリザも見逃しているので)、実在の人物であるルドルフへの思い入れは、本人からの又聞きでしかわからないのですが。

ルドルフと井上さんの共通点を一語で語るなら、『責任』の一語でしょうか。

自分が何とかしなくてはという理想を求めるばかりに、政治的に行き詰まり、追い詰められていくという、この作品で語られているルドルフ。皇太子であるより前に、人間としての『責任』を追い求めたルドルフは、妻・父が必要とした皇太子の『義務』を果たすことはしようとはしなかった。

自らが抱く『責任』をまっとうしようとした彼にとって、その『責任』に見向きもしない妻にも父にも、愛想を尽かしていたのかもしれません。
その時、「自分にしかできないことを自らやるべき」と背中を押したマリーの存在は、孤独なルドルフにとってのただ一つの光だったのかもしれません。

が。一回見た限りは、マリーに惹かれるルドルフの心情の説得力が、笹本&井上の相性頼りというか。
このキャストだから何とかなっているとはいえ、それでも力技というか、丁寧さに欠けると思う。
この辺は慣れればよくなるかも。

芝居のシーンで印象的だったのは、
笹本マリーと岡ターフェ(首相)の対決シーン。

ターフェはルドルフを止めるためのキーになるのはマリーだと見抜いていて、誘い出すわけですが、このお2人、笹本&井上と別の意味でお互いの芝居を知り抜いているので、あらゆる意味でスリリングです。

「ミス・サイゴン」ではアオザイ着た笹本キムの登場シーンで、こちょこちょくすぐって笑わせようとした岡ジョン、というシーンが幻に終わったことがあるんですが(笑)。

「愛」に生きるマリーですが、実は、「マリーの考え方」-「ルドルフへの愛」=「ターフェの考え方」みたいなところがあって、お互い超がつくほど現実的なんですね。

マリーにしても恋愛指南元・ラリッシュから「恋は戦争」って言われてるぐらいで、「男漁り」に精を出そうと思ったら、その過程でたまたま運命の人となるルドルフとに一目ぼれしただけ。ルドルフ相手じゃなきゃ、男を利用しただけの人生だったような気がする・・・・

現実的な考え方を持ったマリー、ターフェはお互いの手ごわさを知った上での直接対決。
この後の女同士の戦いのマリーvsステファニーよりずっとスリリング度は高かった。

マリーとターフェはある意味似たもの同士のように思えて、そのターフェの攻撃はとてつもなく嫌なところを突い来るという。それを毅然とした態度で跳ね返したマリーの、ルドルフへの気持ちの強さは否が応でも印象付けられた。

その後、そんなマリーの気持ちはわかりながら、現実との妥協を促すラリッシュは、その行為そのものにも苦しさが表現されていて、さすが香寿さんの重みだと思う。

そういえばシーンとしてはマリー&ターフェは、どこか「ウーマン・イン・ホワイト」のマリアン&フォスコ伯爵ぽかった。別にマリーがターフェを誘惑するわけではないですが、あの赤いドレスの奇妙なミスマッチさが妙にデジャブ。

そういえばこの日、開演前に帝劇前で配布されていた笹本玲奈さんの10周年記念ショー。
(多分配っていたのは帝劇の人でも東宝の人でもなく、何となくホリプロの新人ぽかった)

個人の名前を出したショーということもあり、共演経験者からのメッセージが付いているのですが(これっていい企画だと思います。最近はパンフでもこういうのやらないんですよね・・・)、演出家の鈴木裕美さんからのコメントに爆笑。

「玲奈はとてもチャーミングなくせに、どっか底意地悪いところが素晴らしい」

そう!そうなんですよ!(机を叩いて同意を力説・・・笑)

さすが有能な女性演出家さんの目の付け所は他の人と違いすぎる!

昔、笹本さん自身が一度だけおっしゃっていたことがあるのですが、この鈴木裕美さんは「自分を叩き直してくれた人」だそうです。

ピーターパンを5年続けた彼女、最後の2年間は鈴木裕美さんが演出だったのですが、開口一番「若いことに甘えている。それじゃダメになる」と言われたことが、笹本さんの負けず嫌いに火をつけちゃったようで。

今の笹本さんあるのも鈴木裕美さんあってこそ。本当に一緒に舞台やって欲しいものです。

さてさて。
「ルドルフ」、開幕前の3枚のチケットに、2枚を追加して5枚。
たった1か月間なのに。

何しろ、25日ソワレの後の、女性キャスト勢ぞろい&井上・新納の真っ黒トークとあっては、ファン感謝デー、行かないわけにはいきますまいて。

あ、いまさら、なんか盛り上がってきた(笑)

ところで東宝ナビザーブ、なんでセブンイレブン受取が選択できないんだろう・・・と思ったら、5月公演がシステム切替時期にあたってるようですね。6月公演以降は、申込日と受け取り可能日が間が置かれた形でセブンイレブン受け取りが復活するそうです。

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『空中ブランコ』(3)

2008.5.5(Mon.) 17:00~19:35
東京芸術劇場中ホール 13列目下手側

東京楽。
初日・東京楽ともに休日という勤め人にはたいそうありがたい日程設定のこの舞台。
中日を含め3回観劇。

中日の時にはさんざん毒を吐きまくりましたが(苦笑)、今日は少し抑え目で行こうと思います。

この日はさすがに楽ということもあり、動員に苦戦したこの舞台も、空席は数えるほどしかありませんでした。中日の時には2回席の人数が、野鳥の会の会員の皆様のお力を借りなくても数えられる(15人)という人数だっただけに淋しかったものですが、この日は数えるほどしか空き席がなく、さすがに何とか面目を保ったという感じ。

とはいえ、舞台が始まる前の諸々の出来事もあって、メディア向けの売り込みが鈍ったせいもあってか、ドガッチを始めとするチケットプレゼントの山でなんとか形にしただけなので、これから始まる1ヶ月の地方公演、動員の面では東京以上に大変な目にあいそうな感じです(後述)。

そういえばロビーに大量に飾ってあった花はほぼ撤去され、「お花ありがとうございます一覧」が出ていました(中日の後からそうらしい)。

この日はロビーに「土曜ワイド劇場」から由美子さんあてに花があって何だか嬉しい。
また使ってくださいね~

それはそれとして。

3回目に見てみると、1・2回目で見逃した伏線も拾えるようになってきます。
が、やっぱり根本的には交通整理漏れだと思う。

色んな登場人物に愛情をかけるのはいいけど、出番をメインに絞らないと物語の主眼が見えにくくなる。
「全員が主役」は聞こえはいいけど、全員の存在が客席にぐいっと迫ってくるほど本がいいとは思えないし、群衆の中から役者の力技で抜け出してくるのを待つというのも、客に対して不親切な気がする。

贔屓目に見ても、感情込みの芝居やってるのって、由美子さんと尾藤さんだけだし。

この日観劇した時の席、後ろにミュージカル好きのカップル(男性も女性も結構な数見てる感じだった)がいて、一昨日かにクリエの「レベッカ」を見たそうなのですが、「空中ブランコ」を一幕見ていわく。

「由美子さんがもったいない、クリエに行って『わたし』をやって欲しい」って言っていて噴くかと思いました。

その昔、由美子さんがファンテーヌをやったとき、祐さんのファンの人から「由美子ファンテと『だけ』妙に恋愛感情を感じる。それもいいけど他のファンテーヌも愛してあげて!」って書いてた人がいました(笑)

うーん、ミュージカルファンには受けが悪いはずだったのに、東宝に熱心に出なくなってから妙にお客さんからラブコールがあるなぁ。

今回、由美子さんの役でしみじみと身に沁みたのは、「もったいない」という言葉。
いわゆる正しい意味での「役不足」。

あの役になったのは、ひとえに2004年「ミス・サイゴン」のクリス&エレンの演技の相性によるものでしょうし、「姉さん女房」ぶりは、あの作品そのままでした。

坂元さんと由美子さんは、実年齢では由美子さんの方が3つも年下。

坂元さん37、由美子さん34。

役柄上の設定は、公平が32でエリも幼馴染ということは、その前後の年齢と思われますが、それでいてあの堂々とした姉さん女房ぶり、いつも演技を見ていて当たり前だと思っている物が、実は当たり前ではないということに改めて気づきます。

今回の舞台はほとんどの人に忘れ去られていますが、アトリエ・ダンカンのプロデュースで、坂元さんはそこの所属。
舞台レポで「宮迫さんより坂元さんが主役みたい」とよく書かれていましたが、それも道理で、本質的には「坂元さんを売り込む舞台」な訳で。

極論、坂元さんを売り込むのにベストな奥さんとして、共演済みの方から選ばれたのが、由美子さんというわけです。

相性という意味で選ばれたのはありがたいところではあります。「相手の芝居を見て自分の芝居を作る」タイプの由美子さんの場合、「相性が悪い」ということ自体があまりないとはいうものの、作品選びでは最近随分「ついていない」というか、当たり役に恵まれないもどかしさを感じずにはいられません。

時期的にはいまは我慢の時というか、しにくい役で実力を磨く時期なのかなぁと、ちょっと溜め息を付いてしまいます。

クリエあたりには使いやすい女優さんなはずなんだけど、東宝に全くといっていいほど評価されていないからなぁ。レミゼを卒業したっきりなのがそんなにお気に召さないのだろうか。5年間務めたナンネール役には何らかの評価がされるかなと思ったけど、ことごとく何もなかったし、あそこまで冷たいと一言愚痴も言いたくなると言うか。

この舞台の存在で、「篤姫」への入りが遅れて、しがいのない役になりやしないかと、日々ひやひやしているんですが。

さて、ここからはストーリー的なネタバレです。


空中ブランコの若手チームの紅一点(恐らく優紀役の関根あすかさん。G-Rocketsのメンバー中、三枝子役の山中陽子さんとともに、芝居参加組です)の方が言った、「丹羽さん(団長)の言うことを聞いてたら、内田さんだけ辛いじゃないですか」ってとこ。

公平は1幕最後まで、自分のフォームが崩れていることを知らずに、妻のエリもどうしても言い出せずに、夫から頼まれたビデオ撮影も逡巡しているわけです。

エリと団長は公平のために医者を探し、”あの”伊良部医師を見つけるわけですが、このコメントを見る限り、団長である丹羽は、公平の「フォームを崩れている」事実を知りながら、キャッチャーである内田にも口止めしているということになります。

公平はエースフライヤーであるがゆえに、当然にプライドも高いでしょうし(地かわかりませんが、坂元さんはその辺、すごーくはまっています←念のためですが褒めてます)、それだけにどう知らせていいかわからなかったのかもしれません。
この団長の弱気なところがこのサーカス団を混乱させてる最大の原因なのではないかと。

それに加えて「閉鎖的な世界」、エリがいみじくも叫んだ「50人だけの宇宙」という言葉は、この作品を語るにはどうしても逃げられない台詞です。

「50人だけの宇宙」である「閉鎖的な世界」にあって、過去のように「大部屋で皆の考えていることがわかる時代ではなく」、「会社組織」となっているサーカス団。

本当に伝えなければいけない気持ちが伝えられないことで、お互いがお互いを信じることができずに、ばらばらになってしまいそうな空間。

その隙間に入り込んでくる伊良部医師とマユミ看護婦が、ありえないほどのとっぴょうしもない存在感で、それらの問題をかき回してくるわけですが。

前回、「引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、一つも解決にたどり着いていない」と書いたのですが、この本の狙い自体は「解決させない」ことなのではないかと思います。

FLIP-FLAP(※1)演じる双子の女の子のうち、内気な子の方(カエデ。姉)の対人恐怖症のことを、モミジ(積極的な方。妹)がマユミに、「伊良部先生に聞いてみてくれない?」と頼んだとき、
「何で私がそんなこと頼まれなきゃいけないの」って一蹴するんですが、「人に頼るより自分で何とかすることを考えるべき」というポリシーは分かる気がするのですね(ただの面倒くさがりやという説もある(笑))

※初稿ではカエデを妹、モミジを姉と書いていましたが、逆でした。演じているFLIP-FLAPのゆうこさん(カエデ役)のブログで初めて認識しました(苦笑)。姉が内気って珍しいなぁというのは、姉属性の私だからの感想でしょうか。

物語的な締めにあたるところで由美子さん演じるエリが言った「一緒に集まることがなくても、みんな『サーカス団にとってよかれと思うこと』を考えてるってことでしょ。良かった。」というのが、結果的にこの物語の結論と。

伊良部医師とマユミ看護婦の存在意義は、かき回すだけかき回して、吐き出させた課題を、「それぞれに解決させる」ことだったのだろうなと思うのです。

ただ、そんなカタルシスとはどちらかというと無縁の結論は、この東京芸術劇場中ホール、そして宮迫さんというエンタテインメント方面のキャスティングとは、どうしても相性が良くなかったようで。

宮迫さんはお笑いで培った間の取り方はさすがだし、それは芝居にも生かせ(て)るように思うけど、今の宮迫さんは「お客が笑わなくなったらどうしよう」ということに怖がる段階からまだ抜け出せていないように思えて。これから芝居をやるのなら、お客さんが笑わないことに耐えられるようにならないと、芝居としては座りが悪いような。

芝居を見にくる層からすると、今の宮迫さんが引っ張ってくるお客さんは、笑いのツボは芝居そっちのけなわけだし、逆に今の宮迫さんファンにしてみればこのディープな結論はカタルシスのかけらもないわけで・・・・

音楽とかを聞いてると、そこかしこにキャラメルボックス風味があって、シアターアプルとかサンシャイン劇場あたりでやると、ちょうどいいお芝居だったんじゃないかなぁ、と今更ながらに思うのです。

(※1)FLIP-FLAPといえば、妙にルックスが知念里奈さん、剱持たまきさんに似てるんですが。
稽古休みの前日に、由美子さんとFLIP-FLAPのお2人で演出の河原さんを囲んで、朝6時まで深酒&ダーツしていたそうです(笑)。


東京芸術劇場中ホールも800人の中規模劇場でしたが、これからの全国公演の席数を並べると、ちょっとした絶望を抱くのに十分です(笑)

東京芸術劇場中ホール     23回×800席
高知県立県民文化ホール    1回×500席
福岡市民会館大ホール     2回×1,775席
神戸国際会館こくさいホール  1回×2,022席
君津市民文化ホール大ホール  1回×1,200席
オーバード・ホール      1回×1,684席
和光市民文化センター大ホール 1回×1,286席
御園座            4回×1,656席
神栖市文化センター      1回×1,026席

ちなみに全部足すと(2階席・3階席も全部足すと)、36,292席(笑)
何のお手伝いもできないけど、頑張って欲しいものです。

つまりいまのところ遠征もするつもりがない、と。
和光は会社帰りに何とかならないこともないし、
君津は日曜でもあり東京駅から直通バスあるけど・・・

君津の会場から見える高校は、由美子さんのゴールデン枠初ソロ主演作「お願いダーリン!」(フジ系、1992年)のロケ地だそうです。へぇ。

追記
由美子さんのところの事務所では、事務所枠で後輩に舞台を見せているようで、今回はお2人がそのときのことを書いてました。20代前半の方からは「大先輩」なんだなやっぱり。

吉井さんのところに書かれてた由美子さんからのコメント、

『頑張り過ぎても、空回りしちゃうから ほどほどにね』

って言葉は、ガス欠を起こさないための、由美子さんならではのアドバイスなんだろうなぁと思ったり。

千葉さんのところで、エマ役の太田 緑ロランスさんが同事務所であることを初めて知りました。

吉井宇希さん→こちら

千葉ひとみさん→こちら

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