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『トップランナー』

2008.4.27(Sun.) 24:10~24:50
NHK総合

この日のゲストは、笹本玲奈さん。 公式

NHKスタジオでの公開収録、応募しようか迷っていたけど、こんなに面白いなら応募だけはしておけばよかったなぁと後悔。

基本的に司会の人はミュージカルに興味がなさそうな感じで、いかにも台本通り&事務所予定通りの進行なことは否めませんが、若干22歳にして若手の一番手であることを十分にうかがわせるものではありました。

とにかく負けず嫌い。
司会の方が「負けず嫌いコンテスト第1位」なんじゃないかと言うのもわかります。

最初は猫かぶって(爆)無難に話してたのに、「自分の人生を変えた最初の出来事」としていつも言っている「アニー」との出会いを語る様は強烈。

笹本さん本人が語ったままに書きますと、

「子供たちが歌って踊って、大きな拍手をもらって、ものすごい笑顔で、あいさつもはきはきしてて、そんな様子にものすごく『腹が立ちました』

「はじめてそこで『悔しい』って思いが立ちましたね」

「どうしても子役たちを超えてみたくて」

「なんであの子たちはできるのに、私はできないのって(司会のSHIHOさんがあまりの迫力に手で遮る始末(大笑))」

「でもアニーは受けたくなかった。もっと上を目指したかった。アニーも好きな作品だったんですけど。」


・・・・思いっきり笑ってしまいましたよ。

この人の本質はこの負けず嫌いなんですけど、誤解されやすい性格というか、ねじまげられて理解されやすい性格かもしれないですね。今は勢いがあるのでそんなに言われないのでしょうが。

基本、女優さんは男っぽい性格が多くて、舞台女優ともなると更にそれに輪をかけて男っぽいとは実体験でつくづく感じますが、笹本さんもありえないぐらいに男前。やりたい役にアンジョルラス(レ・ミゼラブル)、オスカル(ベルサイユのばら。ま、女性ですが)って挙げてるのがよく分かります。

岐路に立った高校2年生の時のエピソードも印象的。

笹本さんの「売り」として少し前までよく挙げていた「10代のミュージカル女優主演記録(149回)」の「ピーターパン」(1998~2002年)が終わって、「レ・ミゼラブル」(2003年~)のエポニーヌ役を受けるまでの期間。

2003年のレミゼはキャスト総入替の年で、今から考えても「ミュージカルの世界の人材が入れ替わったターニングポイント」に挙げられる時期。

色々な意味で冒険が成功した時でもありますが、笹本さんはこの時エポニーヌに受からなかったら、この番組では「大学に行く」と言っていました(以前は「宝塚に行こうとも思った」)。

今回の番組で印象的だったのは、このタイミングについて、

「青春時代を割いてまでミュージカル(ピーターパン)をやってきたという意地があった」

「今の年齢じゃないとやれないことはたくさんある」

「今の年齢(10代)だからこそやらなきゃいけないんだという変な使命感があった」

って語っていたこと。

無意識のようにそう語っていた笹本さんなのですが、何だかんだ言っても、彼女の売りは「若さ」そのものということを、本人が本能的に理解していたということは大きいな、と思うのですね。

実際、ミュージカルの世界で20代前半までにプリンシパルクラスで芽が出る人は本当に数えるほどしかいなくて、しかも笹本さんのような叩き上げ自体がほとんどいない。

例えば最近新しく入ってきた人でも、アイドル系から入るパターンでも、若そうに見えるソニンでさえ25歳。笹本さんより3つも年上。(意外に思われるのですが、キムでもエポニーヌでも、実は未だに笹本さんが最年少だったりする現実)同系統の新妻さんでさえ実際には今年で28。

19歳で「新アンの愛情」、23歳で「アニーを銃を取れ」を演じた高橋由美子さんも当時では相当珍しい”若手ミュージカル女優”主役候補ではあったのですから。
その後ミュージカル方面には進まずに、ミュージカルの世界に再び足を踏み入れるのは28歳の「モーツァルト!」ですが、既にこのあたりの年齢からは舞台でも助演の位置付けになるのですね。

去年、「モーツァルト」でミュージカルデビューしたhiroも24歳だったし、「芸能界でそれなりの地位を確保した後に、舞台に流れてくる」という時には、既に年齢は25に近づいているんですね、皆さん。

そこにあって、現段階で22歳というのはそれだけで大きなアドバンテージだと思うのですね。

大学にそのまま進み(彼女は青学の附属中学・高校出身です)22歳で卒業し、それからミュージカルにかかわったのなら、アンサンブルからのスタートになったでしょうし、メインに立てるのはそれこそ25ぐらいになっても無理だったのかもと思うのですね。

それからすると、色々考えた末とはいえ、最善のルートをたどってきた女優さんなんだなぁと。

運にも恵まれてます。事務所が大きいと言うのも無論ですが、「若手の主演女優枠」を喉から手が出るほど欲しい舞台の世界において、「賞を与えやすい」ポジションにいて、「ウーマン・イン・ホワイト」の実績で読売演劇大賞杉村春子賞、その前年に菊田一夫演劇賞と立て続けに取っているのも、結果から見ると「上手いことはまったなぁ」という思いは感じます。

最近読んだものの本の中に、少女漫画家さんが主役の作品(※1)があって、「私は好きなことを仕事にしたけど、『好きでないことを仕事にした人』に引け目を感じてしまう、辛いと思うことはわがままなのかな」という主人公の台詞があったのですが、それに対してのアドバイスが印象的で。要約してしまうと、こんな感じ。

「好きだからこそ大変なことだってあるし、
楽しいことばかりじゃない。
好きなことを仕事にするためにリスクも負ったし、
努力もしたんだろ。
その上で手に入れた今の生活に引け目をもつ必要なんてない」

(※1)集英社クイーンズコミックス(コーラス)「スパイシーピンク」1巻(吉住渉さん)
2巻まで続刊。昔から好きな漫画家さんです。

その言葉を見たときに、この日の笹本さんのコメントと妙にかぶって。

「好きこそものの上手なれ」、昔の人はずいぶんと上手いことを言ったもんだなぁと改めて思います。

笹本さんも今年でデビュー10年。

同じ仕事を10年続けるのは、向いてる証拠。
同じ仕事を20年続けるのは、天職。
同じ仕事を30年続けると、名が残る。
同じ仕事を40年続けると、生き字引。
同じ仕事を50年続けると、第一人者。

そんな感じかな、と思います。

10年記念に銀河劇場でコンサートやらせてもらえるって、しかも玉野さんが演出って、つくづく羨ましい。
無論、見たいんで見に行くんですが。

なんか写真が微妙ですが⇒こちら
吉野さんと東山さんだもんなー、とてつもないダンス大会になりそうで楽しみ。

ちなみに、この番組は再放送予定あり。興味ある方はどうぞ。

5月3日(土)25:35~26:15 NHK教育
5月7日(水)15:50~16:30 NHK BS2

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