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『空中ブランコ』(1)

2008.4.20(Sun.) 17:05~19:30(休憩15分) 
東京芸術劇場I列センター

公演初日、夜の部。

東京芸術劇場は自分自身、地元の池袋の劇場ということもあり、「レ・ミゼラブルinコンサート」、「ハウ・トゥ・サクシード」で来ているけれど、高橋由美子さんをここで見るのは初めて。

東京の中劇場以上はほぼ制覇している彼女ですが、池袋は舞台生活20年目にして初めて。
池袋在住11年の自分としては、地元に贔屓がやってきた、てな感じです。

この劇場自体それなりに新しい劇場で音響もよく、ロビーもこざっぱりしてお気に入りの劇場。
今回の題材がサーカスということもあり、縦のピンク色と水色の交互の幕が華やかさを演出します。

原作が短編(50ページそこそこ)ということもあり、どうやって2時間強の舞台に仕上げるのかと気をもんでいたのですが、そこはさすがにプロの仕事、派手さはなくてもしっかりと笑いを作りつつ、ストーリーをちゃんと着地させてくれます。

坂元健児さん演じるサーカス団のエースフライヤー・山下公平の不振を、宮迫さん演じる破天荒な精神科医・伊良部が治療していくというのがメインストーリーなわけですが、このお2人が予想した以上に役にぴったり。

お2人とも、どちらかというと考えて演じるよりも、感性で反応する印象が強いです(宮迫さんは初見なのであくまでイメージ)。

坂元さんは以前「ミス・サイゴン」でクリス役、ジョン役を演じていたのを見ています。今回、奥さん・エリ役の由美子さんとはこの時、夫婦役を経験済みで(クリスとエレン)、そのときの印象は今回もほとんど変わらず。いかにも姉さん女房なところはその意味で予想通りでもありました。

予告ストーリーでは坂元さん演じる公平が病んでるのに重点が置かれてたけど、負けず劣らず病みまくってたのが由美子さんが演じたエリ。

由美子さんの発狂キャラが久しぶりでずいぶん新鮮。
全てにいらだってるこの感じ、過去に演じた役であまり思い出せない。

あえて言うならテレビ朝日系「愛と死を見つめて」の村中智美役あたりか、舞台ならシアターアプルでやった「真昼のビッチ」の球子役あたりが似てるかも。

公平を信じて支えつづける奥さんを好演していました。

表の引っ掻き回しキャラが宮迫さんで、裏の引っ掻き回しキャラが佐藤江梨子さん。
表の苦悩キャラが坂元さんで、裏の苦悩キャラが由美子さん。

この軸がしっかり出来上がった上で、更にキャラクターの濃い人たちが周囲を取り囲んでいるから、空間が上手く固まっている感じで、心がばらばらになっても、作品としては成立しているといった感じ。


以下はネタバレです





エリはサーカス内では小林高鹿さん演じるメンバーとコンビを組んで、アクロバット・バンジーショーをやっています。遠目にはっきり分からなかったのですが、1幕ほぼ最初、天井からぶら下がる紐をよじ登り、地上10m近くまで腕と足で這い上がる役者さんが2人います。

次回はっきり確認しようと思いますが、下手側の役者さんは非常に由美子さんに似ています。
背格好というのか、動き方というのか・・・・言葉では表現しにくい感覚なんですけど。

「HUMANITY」でもご一緒したG-Rocketsの皆さんかなぁと思ったんですが、パンフレットにも「アクロバット曲芸」という役説明が由美子さんについているので、そこしか該当シーンがないんで。

そういえば、エリと高鹿さん演じる末長が不倫をしてる、って公平が疑念を抱くというシーンがあるのですが、疑うのもむべなるかなというか、こっちはこっちで演技の波長が合ってるというか。

小林高鹿さんとは「真昼のビッチ」で共演したことがある由美子さん。
演技の相性が良いのですが、実は末長の片思いだったことが分かるシーンのエリの拒絶の仕方がけっこう衝撃的で。

「同じ職場で夫婦でいて息子もいて、こんな女よりもっと条件いい女いくらでもいるでしょ!」って叫んだシーンは色んな意味でショックだったなぁ。

ここは末長視点で見てて、エリに迫ってくのが羨ましかった(爆)ので、この拒絶の仕方は「100%望みなし」の拒絶だなぁと思って。

エリは公平のことを心配しながらも、何もできない自分が歯がゆくてしょうがなくて、末長に「女として迫られること」も自分への侮辱としか捉えられない。

「私のことが好きなのは貴方の勝手だけれど、好きならなおさら、今の私が一番に何を心配してるか、それを分からないわけじゃないでしょ?」と。

自分の不甲斐なさが、ある意味自傷的台詞につながっていたのが、痛々しかったなぁ。

「そこまで自分を卑下しないでもいいのに。」と喉まで出かかったけれど、それを言うことは本当の破滅なのかもしれない、と何となく末長の気持ちでそう思った。

見た目的にはきらきら光る赤い衣装(レオタード風)もかっちり決まっていたし、2小節だけだけど、歌もあったし(お姫様風)、思ったよりずーっと楽しめた。

カーテンコールでは愛想振りまかないことが多い由美子さんですが、珍しく手を振ってたぐらいだから、手ごたえはあった感じ。パンフレットの満面の笑みも○。

本人のブログで「髪の毛を明るくした」と話してましたが、若干の茶~金色系。明るい感じになっていますが、明らかな色違いというほどではなかったです。

東京公演は5月5日までの2週間。思った以上には楽しめそうで何より。

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コメント

空中ブランコひろきさんは、まずまずの
感想ですが、他の由美子さんファンの人には不評のようです。私はまだ観劇してないのでわかりません。
ヒロインでもなく、中途半端なポジションの役のようですね。
それより、喧嘩農家出演というニュースは
びっくりしました。TOBOという劇団の旗揚げ公演とか由美子さんも劇団員になるのか?興味津々です。

投稿: てるてる | 2008/04/21 20:01

こんにちはnote
いつも読ませてもらってるのですが、コメントは久しぶりのような…。
空中ブランコ始まりましたね!今回は私も2回は観に行く予定ですhappy01(なので、まだネタバレ部分は読んでいません)
由美子さん、ブログにもお写真ありましたしどんな位置のキャラで来るのか楽しみにしていました。また、なんとも言えない評判も私的には更に観るのがわくわくする感じです(笑)
リピート観劇の記事も楽しみにしておりますheart02

投稿: なんねる | 2008/04/22 00:15

てるてるさん、こんばんわ。

絶賛という感じではないのは、速筆の自分が、今回の原稿を上げるのに3時間もかかったことが証明しています(苦笑)。

もともと今回の舞台でメインヒロインではないのは最初から分かっていたわけですし、今、旬真っ最中のサトエリとぶつかっても確固たる存在感があった時点でやっぱり流石だなぁとは思ったわけですが。

今回中途半端な役じゃないのは宮迫さんと坂元さんぐらい。由美子さんはその次ぐらいの位置にいたので、自分的にはそんなに不満はないんですけどね。ストーリー自体がもやもやが残るような内容じゃないんで、精神衛生上いいというのが、自分にとってはほっとしたところなのかもしれません。

意外と、時間が短く感じましたし。

「喧嘩農家」の件はスケジュール的にはありえなくはないですが、「劇団員」というところで多分違うんじゃないかと思ってます。いくら「小劇場でやりたい」と言っていても、旗揚げ公演というのはさすがに違う気がするんで、公式の発表待ちかなと思います。

投稿: ひろき | 2008/04/22 01:55

なんねるさん、こんばんわ。
「空中ブランコ」、どちらかといえば演劇ファンからはあまり注目されてない公演ですね。
私が見たのは初日ということもあってほぼ満員の客席でしたが、どちらかというと演劇歴浅い人が多く来ているような印象でした。

メインの宮迫さん、佐藤さんが初日でガチガチな中で、坂元さん、由美子さんはさすがに舞台馴れしていて、その差がちょっとあった感じでした。

私が他の人よりこの作品に甘いのは、由美子さんを対にして坂元さん、高鹿さんと好きな役者さんが立っているせいかもしれません。芝居の呼吸が合っている同士で由美子さんを取り合ってる感じが、妙にリアリティがあって面白いというわけです(何か楽しみ方が違う気もしますが)。

ただどなたかがおっしゃっていましたが、登場人物が多すぎてエピソードが増えすぎて、収拾つかなくなっている感じは確かにしました。

東京は後2回取ってますが、果たしてどんな感じに変わるか、楽しみにしています。
名古屋、御園座って結構広い劇場なんですよね。出演者の酒井敏也さんが「埋まるのかなぁ」と製作発表で頭抱えてましたね。
って調べたら・・・1656席ですか。帝劇と300席しか違わないって・・・恐ろしい。
何となく、2・3階席締め切りで1階席だけでやりそうな気もします。

投稿: ひろき | 2008/04/23 01:28

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