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『きみがいた時間 ぼくのいく時間』

2008.3.14(Fri.) 19:00~21:40 サンシャイン劇場1階後方列下手端

ホワイトデーにこの芝居を男一人で見に行くのはどういう人種なのだろう(笑)という疑問を感じつつ、サンシャイン劇場へ。

「サンシャイン劇場」「キャラメルボックス」「上川隆也」のAND条件で結ぶと、3年前の「TRUTH」以来になります。

今回の作品は「時を飛び越える」クロノスシリーズの4作目。

キャラメルボックスの作品は、気に入った時だけ見に行く軽いファンの自分ですが、クロノスシリーズは全部見ていて、案外にタイムトラベル物好きということに、今更ながら気づきます。

主人公を演じるはキャラメルボックスに3年ぶりにゲストに登場(←日によってはこういうトークで笑いを取っている)の上川隆也さん。
ヒロイン役は客演の西山繭子さん。上川さんとはテレビドラマ(シンデレラは眠らない)で共演経験がある女優さん。

キャラメルボックスで客演で「まゆこ」といえば福田麻由子さん(雨と夢のあとに)を思い出すのですが、なぜそんなに「まゆこ」に縁があるのは不思議。高部あいさん(カレッジ・オブ・ザ・ウィンド)を挟んで客演3人に「まゆこ」2人ですから妙に高い比率。

この作品、上川さん演じる里志と西山さん演じる紘未とのストーリーを、里志の妹を演じる岡内美喜子さんがストーリーテラーとして進行させるという流れです。

客演の西山繭子さん、清楚で綺麗な素敵な女優さんですが、上川さんとの演技の相性はというと、悪くはないけれど、もっと胸を鷲掴みされると思っていたのに、何かが違う。

繭子さんの役がどこかで見た感じと思ったら、クロノスシリーズ第1弾の「クロノス」で菅野さん演じる吹原さんの相手役だった来美子役-というか演じたのは岡内さんなのですが-どことなく雰囲気が似ています。

男主人公が技術者として女性に関心もなく脇目もふらずに研究に没頭するあたりが、どうにも上川さんと菅野さんがだぶってしまい、ひいてはその相手役の岡内さんと繭子さんにも共通点を感じてしまって。

結果。岡内さんと妙にキャラクターがかぶっているせいで、どうにも岡内さんが2人いて上川さんの面倒を見ているように思えてしまうのですね。

男性が自分の命をかけて女性を救いにいくというストーリーが同じというせいもあるのでしょうけれども。

個人的な話ではありますが、上川さん演じる役名と、実は私の本名の読みは同じでして、繭子さんが愛情を込めて自分の名前を読んでくれるということでありまして、多少こそばゆい思いはしてしまうのですが(笑)。

以下、ストーリー的にはネタバレです。
ちなみに、会場でも販売されている原作本とは、多少展開が違い、個人的には舞台版の方に若干違和感を感じます。






では。

ストーリーをざっくりなぞりますと、
里志と紘未は結婚し、紘未は里志の子を宿しますが、ある日交通事故に遭い、母子ともども亡くなってしまいます。
里志は紘未を救うべく、過去の瞬間に飛び、事故の瞬間を自らの手で回避しようとします。

ストーリーブック等でも語られていますが、他のクロノスシリーズが「クロノス・ジョウンター」という機械で、過去に飛ばされ、それより大きい幅で未来に飛ばされる、のに対し、今回は「クロノス・スパイラル」という機械で、過去に飛ばされたまま過去にとどまる、という点が異なります。

未来を知る人が過去からを生きるということで、「未来におけるデータ」を持って過去に行った里志は、一財産を築くわけなのですが、その舞台が原作では工務店、舞台ではホテルになっている等等、もろもろの相違点があります。

タイムトラベル物というと、基本的なお約束として「過去は変えられない」があり、応用編として「変えてしまった過去は、もともとそうであったように再構成される」あたりがあります。
今回の作品は更に再応用編といった感じで「(未来で)里志と紘未が出会う前提に基づいて、過去を変えていく」という、よく考えるとけっこうマイルール気味な構造になっています。(時の神様は本当に怒らないのだろうか?)

舞台版を見終わった後に原作を読んでみると、設定の無理のなさという点では明らかに原作に分があるというか、原作の巧みな構成を舞台版はかなり無理をしてごちゃごちゃにしてしまっている印象があります。

ホテルに作業員として入りながら徐々に信を受け、坂口理恵さん演じる副支配人・純子に一目置かれ、最後まで寄り添われることになります。

が、里志と紘未との関係と同じぐらい、里志と純子との関係も重く作りこんでしまったもんだから、どっちがメインなのか分かりにくくなった感じ。
そのうえ、上川さんと坂口さんは演技の相性がいいから、なおさら西山さんの存在が薄くなってしまったようで。なんだかちぐはぐな感じでした。

純子が里志を思うほどに、紘未は里志を思えていたのかどうか。
そのあたりが純子(坂口さん)が良すぎて、若干、本末転倒方向に行っていたかも。

岡田達也さんの素が黒いのは前述「雨と夢のあとに」舞台版の福田麻由子ちゃんにさんざ暴露されてっきり、すっかり慣れっこなのですが、役柄上黒いのを見たのは初めてで結構な衝撃でした。
(上川さんの黒い役は「TRUTH」で経験済み)

そんなこんなをいいながら、ラストに向かうキャラメルテイストの「人が人を信じることで奇跡を起こす」は健在で、1幕・2幕の長かった微妙な気持ちを吹き飛ばすかのようなハッピーエンドは、やっぱりほっとするものがあります。
今回は年老いた里志の存在が、「人が人に支えられて生きている」、「思いは人から人へ受け継がれていく」ことをあわせて感じさせ、心温まるものがありました。

キャラメルお得意の小ネタも随所に健在。
あまりに多すぎて覚えきれない(笑)のですが、そうとう笑いました。
いまだに通用する「山内一豊の妻@功名が辻」(会場内笑い付き)も絶賛公言中だし、キャラメル内では上川さんのニックネーム一番手の「メカ」ネタも登場し、色々笑わせてもらいました。

それにつけても上川さん、自分自身は「SHIROH」「TRUTH」と来て3作品目ですが、前2作のような揺ぎない存在感とは別の役柄で、しかしながら芯はまっすぐで一途な感じが良かったかなと思います。
が、正直な本音を言ってしまうと上川さんはずしっと重く存在してこそ上川さんって感じなので、里志という役は、心なしちょっと軽い感じがしました。なんとなくの印象ですが、どことなく本人の素のイメージが含まれているように思います(あんまり素は表に見せない人ですが)。

そういえば、今回はキャラメル初の休憩付き芝居!(15分休憩)
場内アナウンスもそれに合わせて「初の休憩付き」を煽って、客席から期せずして笑い声があがるのは、キャラメルのアットホームムードとあいまってなんだか素敵。
休憩内で販売される新聞(売価100円・税込み)つー企画が大好き。
ついつい買ってしまいましたとさ。

あと里志が未来から持ってきたノートパソコン(mac)を力いっぱい地面にたたきつけるシーン。
windowsなら確実にだめだけど、macならなんとか回復できそうな気が。
よっぽど水に漬けたほうが壊滅しそう。
昔、ビルの屋上から落として起動したとか、象が踏んでも壊れなかったとか、macのノートPCにはいろいろ伝説があったんで。

そんなことは過去に生きてる人にはわからないわけで、あれは里志の賭けみたいな感じはしました。

自らの大切な人の思い出が詰まっている機械の大切さあってこそ、それを勢いよく地面にたたきつけることでしか、岡達演じた男の暴走を止められないという判断なのでしょうから。
なんとなくあの後も、あのmacは普通に動く気がします。
何しろ里志は技術屋さんだし、多少の故障なら直しそうな気もします。

起動しないと思い込んでいたPCだったけど、奇跡が起こって起動したとか、何かそんなシーンがあったら涙腺刺激されちゃいそう。
お金貯めるのに使ってたデータは全て消して、紘未の写真を見るためだけに起動するようになるとか。
何か微妙に別のストーリーですが。

未来のデータでお金儲け、うっほほーい、って話は意外にタイムトラベル物でお見かけしたことなかったんで、「必要に迫られて」とはいえ、罪悪感が表現されていないのはちょっぴり不思議。

最後の挨拶より。本日の担当は史上最高の台詞数となった岡内さん。
「今年のキャラメルボックスは4つもお芝居をやります」
「私たちはいつでもここにいます」
「かっこ上川隆也を除く」(原文のまま。敬称なし)

・・・ああそういえば、キャラメルボックスにとって上川さんは、「いなくて当たり前」「いるとネタ」という存在ということに思い至り。お互いそれを分かって掛け合いやってるのが面白いです。
(日によって「ゲスト」として西山繭子さんご指名の際に横入りする上川さん(笑))

後から検索して気づいたこと。
いつもの社長前説がないと思ったら、あのアナウンス前説は上川さんの生アナウンスだったのか!
「何よりも危険なのは油断です!!」

最後の挨拶、上川さん編
「今年のキャラメルボックス、たくさん芝居をやるそうです」
「ま、私はいませんけど」
「どこまでも他人事です」

・・・・あぁそんな上川さんテイストはやっぱり大好き。
上川さん演じるコメディ、いまだ未体験。見たいなぁ。

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