« 『篤姫』(2) | トップページ | 『きみがいた時間 ぼくのいく時間』 »

『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(3)

2008.2.24(Sun.)16:00~19:35/新宿コマ劇場S席2列目下手側
2008.2.29(Fri.)13:00~17:00/新宿コマ劇場S席10列目センター


とうとう千秋楽を迎えました。
公演観劇合わせて5回、色々な思いもありましたが、ひとまずは「終わったなぁ」と。

今回の話は特に前川さんファンの方には辛口になりますので、そういうのがお嫌いな方は最初から回れ右でお願いします。







では。

24日夜の部は、2列目下手センター寄りの通路際。由美子さんの衣装までわずか2m。
心臓が鎮まらないぐらいの席だったけど、芝居的には今までで最悪だった。
芝居にクレームを入れるのが嫌いな自分が、アンケートを書こうと思ったぐらいひどかった。
結局思い直してやめたけど。

前川さんが芝居に不得手なのはわかるから、ある程度は納得してきたつもりだったけど、何しろこの日は台本から超逸脱、台詞回しも壊滅的で何を言ってるんだかさっぱりわからない。

ハローナイツが金を持ち逃げされて、警察より役立つ人がいる、ととん平さん演じる元ヤクザを連れに行くところなんて、手旗信号と意味の通らない、つながらない台詞の数々。

お客さん笑ってるけど、わけわかんなくなっているところ見て面白いもの?
完璧な芝居の中に入り込むアドリブだからこそ、アドリブが生きるんじゃないの?
リピーターが多くなってきたからといって、客全員がストーリーを事前に読んでくると思ってる?

初見の人に台詞と演技と歌で理解・感動させてナンボだと思うよ、芝居ってものは。

「芝居が熟成する」って感じでもなくて、ただ単にぐだぐだが許されている、そんなのはお金取ってみせるプロの作品じゃないと思う。

本業が歌手であれ、役者として評価されるか否かを判断されるべきだと思う。
台詞回しが不自然なことに文句を言いたいんじゃなくて、台詞をきちんと発して、きちんと芝居として台詞を発しようとしない姿勢に文句を言いたくて。
心から悲しい思いで劇場を後にしました。

ハローナイツのみなさんも、由美子さんも、もちろんほかのみなさんもきちんと芝居をしようとしているのに、客を呼べれば全て許されるの?と不愉快な気持ちでいっぱいになって悲しかったです。
この作品は笑顔になって帰れるのが一番いいところだったのに。

今回の作品、初日を確保しなかったかわりに平日の楽を確保。
何しろ、平日にチケットを追加できない作品で、最後の日曜夜の部で最悪な物を見せられては、リカバリのしようもなかったわけで、日曜日の夜が最後になると、最後の最後で良くない思い出で幕を閉じるところでした。

幸い、平日に休みを取れて楽の29日を観劇。

この日は10列目どセンターで、由美子さんの衣装まで(なぜこの基準なのだ(笑))5mと離れたものの、音響最強な上に視界もほぼさえぎるものがなく(前列がちょっと右にずれ込んでいるために前が開けている)、とてもいい席。

24日には相当のダメ出しを出したくなった前川さんの演技も、この日は従来の台詞回しに戻り、むしろ24日夜の部は突然変異のぐだぐだだったのか、疑いたくなってしまいます。
あまりの戻り方に、もしかしてどなたかから「さすがにあれはどうかと」と言われたのではないかと推察します。それぐらいヒドかったので。

5回見ましたが、間違いなく千秋楽が一番いい舞台でした。
普通、千秋楽はお祭りモードで芝居を楽しみにくい空間になるはずなのですが、芝居と歌がきっちりはまった、そのはまり方が間違いなく一番でした。
むろんアドリブは千秋楽仕様でいつもより多いですし、小噺が新作になっていたり(笑)いろいろと変更はあるのですが、出演者の方々のパーツがきちんとはまった感じで、いい意味の混成チーム兼親睦チームのいいところが出ていました。

せっかくですから、今回の芝居で気になった方々を、つれづれなるままに。

○田島令子さん/クラブJのママ(新宿の現顔役)
とん平さんとの年の差が気にならないカップルというのも凄いです。(58歳と70歳ですから本当に1回り違いです)
姐御肌の感じが出ていて、ただ綺麗なだけではない「曲者」な感じがいいです。
由美子さんとは作品としては「南くんの恋人」(1994年)、「愛と死をみつめて」(2006年)で2回共演していますが、いずれも接点が少なかったため、事実上の初共演でした。

○池田貴宏さん/喫茶店のウェイター
最初の喫茶店のシーン、事実上登場人物の説明シーンですが、ここのウェイターさん。
お客さんの顔見て対応変えるところとか、演出なんだろうけど分かりやすい演技で肩をほぐしてくれました。
千秋楽のこの日、全員の挨拶がありましたがトップバッター。実はとん平さんのお弟子さんだそうですね。なんとなく空気が似てる感じが分かる気がします。

○有薗芳記さん/ハローナイツメンバー
背が小さい(小学生の息子さんと同じ背だそうです)でラサールさんにさんざネタにされていましたが、実は初見ではなく由美子さん舞台の「居残り左平次」(2002年)「透明人間の蒸気」(2004年)で2度も見ていたのですが、後から「あぁあの人だ」と思い出す始末。基本的に縁側でトークが似合うハローナイツメンバーの中で、若い暴走してる感じが良かったです。

○平良政幸さん/新宿署の刑事
立ち姿がいかにも刑事って感じで、そのすらっとしたコート姿に感服。
ああいう身のこなしは男から見ても羨ましい。

○新納敏正さん/ホストクラブコザの社長
人生が滲み出た感じの沖縄訛りが聞いていて心地よかったなぁ。

○斉藤レイさん/スリーポピンズ次女・裕子役(兼酔っ払い役)
とにかく背が高くて舞台栄えします。
当初チケットを取った17日の夜の部で、酔っ払いの演技をしていたらコマの舞台から落ちたそうです(本人ブログによる)。新宿コマの1列目って、結構スペースがないのですが、そしたら案の定、お客さんの膝の上に乗っかっちゃったとか。

○植野葉子さん/スリーポピンズ三男・和子役
「三男」は誤植ではありません。
千秋楽の全員個別挨拶、「三男を演じました」とぶちかまして会場内の爆笑を誘っていました。

○高橋由美子さん/ハローナイツ新ボーカル・赤羽ミミ役
1ヶ月間、アフターの後に午前11時からキューティーハニーを歌う試練(本人談)を乗り越え、無事に千秋楽。

歌は高値安定が信条ですが、今回は音域ど真ん中ということもあり、見る限り1度の歌詞ミスも喉枯らしもなく、最後までリードボーカルらしい存在感を見せていました。

特に千秋楽の歌は感動したなぁ。公演最初の頃も良かったは良かったんだけど、ただ歌う以上に、感情で歌い上げる歌は、文句なしに最高でした。
千秋楽の「MISS YOU」に至っては、千秋楽の挨拶と相まって聞いてみると、何だか違うストーリーが浮かんできて。

ちなみに千秋楽の挨拶は、こんな感じでした。
--------------------------------------------------------------------------
10年ぐらい前は歌を歌ってたんですけど
こういった姿(立ちマイク)で歌うのは10年ぶりぐらいで。
(昔は)心から楽しんで歌えるということが
実はなかったんですけれども、
今日歌ったときに、本当に心から楽しんで歌えました。
(会場内大拍手)
キャストスタッフのみなさま、お客様のおかげです。
--------------------------------------------------------------------------

由美子さんがアイドルをやっていた当時は、「孤軍奮闘」という言葉が正にぴったりくる感じで、「楽しむ」よりむしろ「パーフェクトなアイドルを演じる」ところがあったので、あの当時の精神的重圧はそうとうなものだったんだろうなぁと改めて感じます。

その昔「なんであなたはそんなに(アイドルとして)一点の曇りもないの?」と問われた時に「(アイドルとして)そういう暗い部分は見せたくない、光っている部分だけ見せたい」と言っていた、10代らしからぬ責任感には、常に感服していました。

アイドル時代の「孤独な歌い手」とまた違う、「芝居の中で必要とされる歌い手という立場」、いわば「みんなの歌姫」としての心地よさは、とても幸せだったんだろうなと、ふと思ったのですね。

「一人で歌ってからいくつの季節が過ぎた
今はお芝居の中にこの歌があるから」

という歌詞が、ふと浮かんでしまって、なんだか温かい気持ちになってしまったのでした。

そういえば「10年ぐらい前は歌を歌っていたんですけど」と言ったときに、隣のおばさん方が「あぁ、なるほどね」とおっしゃっていたのですが、前段があって「彼女、歌が上手いのねぇ」から始まっていたので、「昔歌手だったのなら、あれだけ上手くても納得だわ」という評で、大変嬉しゅうございました。

今回大変だなぁと思ったのは、2幕で前川さんと2人きりになる芝居。
前川さん、アドリブ入れまくるんだもの(笑)。

基本的にラブコメの場面で、由美子さん演じるミミが前川さん演じる正木さんに告白する場面なのですが、どうにも前川さんはここで遊びまくるのは、やっぱり照れてるからでしょーか。

千秋楽では「おにいちゃんの匂い」と言われた前川さんが「そーか、2月5日から着てるからなぁ。なんだ言ってくれば着替えたのに。何で言ってくれなかったの」と返しており、仕方なく由美子さんまで「だって言わない方が面白いかと思って」って返事をしていたという(苦笑)。

前川さんのいつもより長いアドリブに、由美子さんの普通の台詞がかぶさってしまって、見方的には由美子さんの入りミスに見えちゃうんだろうけど、「おにいちゃんのアドリブを上手くかわして、いかにして不自然にならずに芝居を恋愛モードに持っていくか」を頑張っていました。

脇が長いせいか、自分の土俵で演技する主演をフォローするのって、由美子さんは達人的に上手いから、あまり注目はされないんだけど、何気に結構ハイレベルな技術な気がする。

どんな男性を相手役にしてもしっかりと空気を作るのって、その辺りの技術が寄与している気がします。今までの相手役で前川さんは一番年の差がありましたが(24歳差)、多少無理目な線が残ったとはいえ、何とか形になったといったところでしょうか。

由美子さんの発した「おにいちゃん!」の台詞。
24歳差を埋める凄い技だと思う。
あれ以上でもわざとらしくなるし、あれ未満だと関係がつながらない。
34歳と58歳の組み合わせが何とか見れる形になるってそれだけで凄いんですが。


思ったより楽しめた2月でした。

そういえば新宿コマ劇場は、公式リリースはまだですが、今年9月の北島三郎公演を最後に閉館し、再開発の見込みです、と聞きましたが、今年12月には宝塚出身者の公演が既に発表されており、実際のところは不透明です。
10・11月の休館は間違いないところですが。

自分にとっては1997年「アニーよ銃を取れ」以来、「HUMANITY」、当作と3作品でお世話になりました。今期は西武新宿駅から由美子さん行きつけの沖縄料理屋「かちゃーしー」を横目に新宿コマに入るのが順路でしたが、それも2008年2月29日をもって終わり。
1つの時代が終わったのかなぁ、と思わせられた日でした。

[おまけ]
3次会は出演者のお一人、外波山さん経営する「クラクラ」で真夜中までされたそうです。
椿組HPの写真から→こちら
うちのご贔屓さんは最後列左から3番目、ラサール石井さんの隣。いかにも飲んでる(笑)

|

« 『篤姫』(2) | トップページ | 『きみがいた時間 ぼくのいく時間』 »

コメント

今回歌手としての由美子さんを見られて良かったです。アイドル時代は見たこともないので、
今回は前川さんのショーがメインのような感もあり、お芝居的には観るべきものがなかったように思います。
由美子さんは、プロとして手抜きをしない女優さんなので、応援のし甲斐がありますね。

投稿: てるてる | 2008/03/01 01:51

てるてるさん、こんばんわ。

確かにお芝居的には物足りないものばかり感じましたけど、それを上回るものを由美子さんはまたきちんと作ってくれたのがありがたかったです。

「プロとして手抜きをしない」のはつくづくそう思います。

お客さんに媚びたり甘えたりしないのは昔からですし、楽な方に逃げないからこそ、ごくたまに出てくる弱音が愛しく思えるのかもしれません。

MOZART楽の「本当の家族になれた」のに続き、今回の「心から楽しく歌えた」という挨拶も、この作品らしくて嬉しかったですね。

投稿: ひろき | 2008/03/01 02:07

最後のあいさつの言葉で、
アイドル時代は、心から楽しんで
歌えたことがないと言っていたのですが
この言葉は、その時代からのファンの人たちに失望を与えたような気がします。
星屑の町のコメントが少ないのは
そのためでは?
ひろきさんは、どんな感じを受けました?
キューティハニーも、苦痛のようなコメントがあった?

投稿: てるてる | 2008/03/04 22:32

てるてるさん、こんばんは。

私自身、由美子さんのファンになったのは歌手デビュー(1990年)からですから、アイドル時代の由美子さんには当然思い入れはありますし、あのコメントはできることなら言って欲しくなかったな、というのが紛れもない本音です。

由美子さんはアイドル当時、同時代のアイドルの誰よりもアイドルに徹したプロでした。
プロであればこそ、過去の仕事を貶めているかのように誤解されかねない、あのような発言は慎むべきものだと思っています。
過去の仕事を「好きではなかった」と言わないこと、それは由美子さんのファンである一つの理由でしたので、自分の気持ちの中では、あの日のあの発言で、ファンとしての一つの段階が終わったのかな、という気持ちがあります。

アイドル時代からのファンの人たちがあの発言にあえて触れないのは、応援してきた過去を色あせさせたくない、無意識の感情なのだと思っています。

「歌は苦手で辛かったけれど、アイドルはやれて嬉しかった」
そんな言葉がいつか聞ければ、納得できるのでしょうけれども。

ただ、幸い、由美子さんが感情余ってそんな発言をしてしまうほどの出来の千秋楽だったことも、事実であっただけに、その出来に免じて(というのも変な話ですが)あのコメントは聞かなかったことにしようかな、と思っている次第です。

ことほどさように、由美子さんのファンは精神的に打たれ強くないと務まらないのです(苦笑)。
昔からのファンは、皆知っているから、そういうことにあえて触れない、ように思います。

投稿: ひろき | 2008/03/05 02:03

今日のブログに、セリーヌディオンのコンサートのことが書き込みありました。
消し去りたいほど、の出来だったのですか?
星屑の町でのコメントは、そのこともあってのことだったのでは・・・。
ひろきさんは、そのコンサートご覧になりましたか?どんなコンサートだったのでしょうか?いまならいいコンサートができるようなことを書いてましたが、開いてほしいですね。

投稿: てるてる | 2008/03/10 22:32

てるてるさん、こんばんは。

由美子姫のトークにはいっつも振り回されております(^^;)

コメント1番乗りということもあり、もちろんあのコンサートを拝見していますが、とうてい「消し去りたい」ほどのひどい出来ではありませんでした。
むろん、「なぜ由美子さんでセリーヌディオンを歌うの?」という疑問は当時も今もありますが、胸を張れないような出来では全然ありませんでした。

が、思い出したのは、由美子さんはなんだかんだ煙に巻こうとも、本質的には超が付くほどの負けず嫌いというか完璧主義ということでして。

由美子さんが今回のコンサートの話とかアイドル当時の話に恥ずかしがるのは、
「今からすると完成度の低い出来だった」ことが恥ずかしいからではないかと。
(現に今回は「歌の技術もアップしたし意気込みも違うのに」と、由美子さんにとってはあまりない「本音」を一緒に発言されています)

新宿コマのあの発言も、今回のコンサートの話と絡めて考えてみると、
「自分が思うようなレベルで歌えるようになって、初めて『楽しんで』歌えることがわかった」ということのように思えます。

昔、30歳になったときに由美子さん自身が「思うような芝居ができるようになってきたけれど、これがあと5年早くできればよかったなぁと思う」とおっしゃっていたことがありますが、本質的な部分では「今の自分に満足されない」方なのではないかと
思います。

由美子さんのあのコメントに、あえて非難めいたコメントを一切しなかったのは、
「歌を歌いたいと言い続ければ、由美子さんの歌の力からして声をかけてくれる人はいるから」ということを、信じて欲しいから、だったりします。

ファンは、本人をそうやって応援していくことしかできないのですから。
ブログのコメントは皆ほどよく由美子さんとの付き合い方が分かってる感じでどれも味があって微笑ましくなってしまいます(^^;)

投稿: ひろき | 2008/03/11 00:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/40317683

この記事へのトラックバック一覧です: 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(3):

« 『篤姫』(2) | トップページ | 『きみがいた時間 ぼくのいく時間』 »