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『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(2)

2008.2.16(Sat.) 11:00~14:00 1FS席上手寄り 新宿コマ劇場

昼の部11時、夜の部16時開演が基本スケジュールのこの作品。
日比谷界隈からは2時間前倒しになっているために、いささか調子が狂いかけます。

19時、せめて18時開演であれば更に通い倒すところですが、逆の意味で危ないところでした(財布が)。

いつ見てもおばさんおじさん率が高い新宿コマ劇場、今回はメインが前川さんですから、なおさらその傾向が強く、下北以来の星屑ファンといわれる人がどちらあたりにおるのか、実は判然としません。

2幕後半が歌謡ショーとなる構成も、最初から分かっていたためかそれほどの違和感もなく、なじんでいる自分がちょっと不思議になります。

そんな私であっても、前川さんのお芝居は、見る側に慣れたとはいえ「歌が本職」で来た方の演技としての不自然さを感じざるを得ません。演出の水谷さんは「全員と絡ませるために旅館の主とした」と語っておられますが、緊張されているせいか明らかに台詞回しはせわしなく、聞き取りにくさはいかんともしがたいものがあります。

そのあたりは前川さんご自身がテレビで「歌だけの出演にしておけばよかったかなと。」と語っておられるので、その違和感は感じていらっしゃるご様子。

ですが。
(以下、ネタバレを壮絶に含みますので、不都合な方はお戻りください)


この作品、一番好きなシーンが2幕最後の「涙」だったりするのです。

この「涙」という曲は、中島みゆきさんが作られ、前川さんに提供された曲なのですが、劇中ではハローナイツのボーカルである赤羽ミミ(高橋由美子さん)が1番を歌い、間奏から前川さんが歌い、最後を2人で歌うのです。

劇中では、赤羽ミミは前川さん演じる旅館主を「おにいちゃん」と呼ぶのですが、奥さんがいる手前、「お嫁さんになりたかった」とは言えなかったと告白するのですね。
この「涙」という曲の歌詞は、愛する男性をあきらめようとした女性の物語なのですね。

「今ごろどうしておいでだろうか」「あんないい人、いやしないもの」

このシーンの赤羽ミミの歌唱がもう情感たっぷりで・・・

実は初回見たときはそれほどまでに感じなかったこの曲が、何回かこの芝居を見てからこのシーンを見ると、涙なくしては聞けない曲で。

前川さんが芝居のシーンに出ているからこそ、この曲は赤羽ミミと、「おにいちゃん」とのつながりの曲になっているわけで、前川さんのぎこちなさとか、そういうところもあるとはいえ、最後のシーンの感動は、それでこそのものと、思えてしかたがありません。

由美子さんが歌う5曲はどれも見せ場があるのもファン的には予想外の当たり。

1曲目のキューティーハニーは衣装もそうだけど1曲で一気に客を掴むところが快感(笑)
この層でお義理じゃない拍手ってそれだけで快感。

2曲目の「ミスユー」は歌声に艶やかさがあっていい意味で色っぽい。

3曲目の「ほんきかしら」は由美子さん的には苦手系の曲かなと思えるけれど(ウィークポイントの超高音もあるし)、海外ミュージカルの曲と違って、日本の曲って空気でカバーできるところがあるんですよね。上手いこと消化してます。

4曲目の「中の島ブルース」は由美子さん自身「歌っていてぴんとこないので、前川さんの物まねにした」と言っていたのですが、実は会場内、大受けしてます(笑)。

5曲目の「涙」は前述ということで。

この作品、前川さんあってのコマ劇場進出ですが、だからこそ相手役が由美子さんなのだと思います。もともとハローナイツのボーカルは太平サブローさんで、前作・東京砂漠編のボーカルが戸田恵子さん。そして今回が由美子さん。

残念ながら東京砂漠編以前の作品を拝見できていないので、以前との空気との違いは評せないのですが、無意味に出張らずに、温かみとボリューム感のある声で、星屑にしては大きすぎるきらいのあるコマでやるということの、間隔を詰めることに寄与しているのではないかと思います。

由美子さんの演技と存在感は、舞台でもテレビでも共通して、「役割より半歩でさえ前に出ない」ところが特徴で、派手さはないのですが、ミュージカルでもストレートでも、そしてどんなドラマにゲストに出ても、なぜかそこにいつもいるような存在として溶け込むのが凄いなぁと思うのです。

あれだけ色んな作品見ているのに、浮いてるって思うことがまずめったにないというのも。(その昔、妹役として共演した馬渕英里何さんが同じようなことをおっしゃっていたことがあります。)

ちなみに、このシーンで由美子さんが着ている衣装は、チラシに出ている南国風の黄色の衣装(ご本人は「ラジかるっ」で「歌舞伎町系の衣装」と言われていました)を見て、歌声を聞かないで見てみると、アイドル時代からの仲良し・三浦理恵子さんかと思ってしまったのは、ちょっとしたひとり言。

この作品、あと2回の観劇予定ですが、今のところNHKでの放送の見込みがあるそうです。
まだカメラが入っているのを見たことがありませんが。
前作「東京砂漠編」もテレビ放送されたことがあるため、それなりに期待してもいいようです。

そのためには、あの毒舌吐きまくりのMCは、お願いですから収録日には飛び出ないように・・・
一発で放送不可ですがな・・・・

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コメント

こんにちはhappy01
由美子さん、相変わらずのご活躍で嬉しいですねheart01いつもと違うお客さんにもアピール出来る機会ですもんね。今回、私は(実家に引きこもり中なので…)行けてないのですが、ひろきさんの記事を拝見して楽しんでおりますnote

投稿: なんねる | 2008/02/19 13:13

なんねるさん、ご無沙汰しています。
今回は観劇されないようで残念です。

お芝居としてはちょっと薄いところもあるのですが、新宿コマの大きさと由美子さんの小ささを全く感じさせない由美子さんの歌いっぷりはさすがだと思います。
いつものごとく「あの歌の上手い女の人、誰?」って会話を客席で耳にします。

むしろ予想外に当たりだったので、次の「空中ブランコ」が心配です。
舞台化に合わせて文庫が出ていて読んだのですが、超短編なので、あれをどうやって2時間強にするのか・・・
坂元健児さん演じるサーカスのフライヤーの奥さん役のようですね。

投稿: ひろき | 2008/02/20 00:02

先々週くらい滞在先のホテルでNHKBSでこの芝居を見ました。
ほんきかしら
の歌だけ見て、すごく歌のうまい綺麗な女優さんだなぁと思って、検索してたら、高橋由美子だと知ってびっくり。
アイドル時代しか知らなかったので、今の活躍を知って同世代として、非常にうれしく思います。
当時はファンではありませんでしたが、これからファンになってしまいそう。。。

投稿: よこよこ | 2010/09/13 19:58

よこよこさん、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。

2年も前の作品がこういう形で放送されて、当時の自分の文章が検索という形で目に止まったことをとても嬉しく思っています。

由美子さんってどうしても同年代の女性からは名前で損しているところがありますが、きっかけもあったことですし、せっかくですからぜひファンになってください(笑)

ちなみに次回作の宣伝動画です(爆)
http://www.youtube.com/watch?v=Ee9s8bKH7Hc

投稿: ひろき | 2010/09/13 23:12

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