« 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(1) | トップページ | 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(2) »

『未来講師めぐる』

テレビ朝日系 2008.2.8(Fri.) 23:15~24:10

「南くんの恋人」、再び。

ということで、金曜ナイトドラマ枠、2008年1月クールの第5話目。

主演が深田恭子さん、武田真治さん。
そして、第5話、この日のゲストは高橋由美子さん。

・・・と書くと、あの『南くんの恋人』主演格揃い踏みです。

94年シリーズの南くんが武田真治さん、ちよみが高橋由美子さん。
04年シリーズのちよみが深田恭子さん。

つまり、武田さんと由美子さんが対すると94年版(事実上の初代)、由美子さんと深田さんが対すると新旧ちよみ対決みたいな状態で、視聴率も振るわない中のカンフル材かと思えば、宣伝にも使われず、とりあえず堪能したからいいか、みたいな状態。

武田さん演じる塾長に、「未来が見える」講師役に深田さん。
子供を塾に入れる母親、しかしその実、いわゆる「モンスターペアレンツ」と言われる、一昔前なら「教育ママ」と言われた母親に由美子さん。

クドカンお得意の、妄想癖暴発で笑わせるところは、「モンスター」をジャガー横田さんにまさに「そのまんま」に暴れさせて笑いを取っていましたとさ。

今回のメインゲストの由美子さんですが、まぁ想像通りの超突っ走り型演技で押しまくってくれました。出演者中飛びぬけて背が低いはずなのに、それを感じさせない存在感と威圧感。

深田さん演じる講師との初対面で、「よかった。人間で」と言われて、一瞬で視線で殺すあたりは相当怖いものがあります(由美子さんのガン見は結構な破壊力があります)。

「私たちは戦友なんだから頑張りましょうね」と言ったかと思えば、マニキュアを見つけて即刻お小言。
押されまくった深田さん演じるめぐる、茫然自失でパニックとなってしまう始末。

由美子さんと深田さんは年齢にして8つ離れていますが、こういった若い女優さん(といっても深田さんは既に26ですが)と全面的にガチンコでぶつかるという光景は、最近お目にかかれないので、爽快感がありました。
深田さんはさすがの可愛さですが、由美子さんは存在感とそのオーラという面で、お互い自分の得意分野で正面からぶつかり合うことで、お互いの良さが表現されていたように思えます。

武田さん演じる塾長とは実は同じ大学の同期という設定ですが(この辺はそれこそ「南くんの恋人」の設定とぶつけているのでしょう)、当時を思い返すと噴いちゃいます。

由美子さんが演じていたちよみという役は、ひょんなことから15cmになり、武田さん演じる南くんに助けられていたのですから。(あの「みなみくう~ん」という絶妙な台詞回しが、高橋版と深田版の違いなのだと思う)

ただ、ちよみは実は15cmになる前は結構強気な少女で、南くんが明らかに尻に敷かれていたりしました。ですから、14年後、こういう風に由美子さん演じる女性に押されまくるというのも、話としては成り立たないわけではないんですけれどね。

14年ぶりに見た人だったりすると「あのちよみが南くんを言い負かして圧倒してる」というシチュエーション自体にカルチャーショックを覚えてしまいそうですが、ここ20年ずーっと由美子さんの演技を見てきている立場からすると、あの役作りの巧みさはさすがと思います。

「がっかりだわ」って台詞で、とある作品のあるシーンを思い出してしまった私はちょっと変な人
(以下一瞬反転)

小松彩夏さん演じるセーラーヴィーナスが、北川景子さん演じるセーラーマーズに吐き捨てた
「がっかりだわ。戦士として全然成長していないじゃない」をなぜか思い出した(笑)
(TBS系実写版「セーラームーン」)

由美子さんの演技の売りって、今回の役もそうですが、「リアリティ」が第一なのではないかと思います。
今回の母親に、嫌になるように見えてこそ、これが「絵空事」ではなく「現実」なのだと思わせるものだと思いますので。
こういう役を何のためらいもなくこなせるのは、巧いよなぁ。

今回、由美子さん演じる母親が発した言葉に、印象的な言葉がありました。それは、

「子供の人生かかってるの。
偏差値上げるのが塾の役目なんじゃないの?!」

という言葉。

恐らく塾業界で言われまくってるであろうこんな言葉、親から子への過剰なプレッシャー、それを切り取った台詞だと思います。

それに対して「楽しんで勉強させたい、個別指導ではなく進んだ子は遅れた子を教える、そんな塾でありたい」と答えた塾長の言葉って、5話にきてようやく見えた、「この塾の方向性」なのだと思います。

この作品、前作『モップガール』にドはまりした自分にとっては、超ぐだぐだ視聴でここまで来たのですが、その一因に、「この塾の方向性、さっぱり意味不明」ってところがあったのですね。
塾長も笑ってごまかすだけでそれを表に出すようなことも確かなかったし。

余りにも極端な「モンスターペアレンツ」の発した言葉が、「自分の塾」の良さを見出す、きっかけになったのではと思うのですね。

そういう意味では、ただの友情出演でありながら、物語の一つの転回するキーになった、重要なゲストとしての役割をしっかり果たしていたように思えます。(「友情出演」という表示は、業界的には「クレジット的に上の人に出てもらうための苦肉の策」、なのですが、本当に「友情」があるように見えるのは嬉しいんですよね)

思えば、同じく金曜ナイトドラマ『雨と夢のあとに』では、この「未来講師めぐる」にも出ている黒川智花さんの偽の母親役の幽霊として登場し、沢村一樹さん演じる父に対し、「後悔ないよう生きるよう」説いた事を思い出します。

あれも、全話通してみると、実に効果的な転回になっていて、ドラマの歯車を締めるドライバーのような、そんな役割を由美子さんが期待されて、それを果たしたように思えます。

既に共演済みだったことでもたらす「親近感」、だからこそ、言いたいことが言えるし、その空間に説得力が生まれるのですね。

14年ぶりの武田さんと由美子さんの共演は、接しそうで接しなかった点と線が、「役者としての全力投球」という一点で絡み合い、ドラマにいい風を送り込んでいたように思います。

「久しぶりの共演」がただネタとして話題性に使われる、というのもひとつのあり方でしょう。
ただ、それよりもっと、作品のために使われる方が、役者冥利に尽きると言うものでしょう。
見ている方からも、久しぶりに組むからにはどことなく昔の話題を絡ませつつも、お互いの役者としての成長を見られる方が嬉しい。

アイドル出身者同士が14年もの歳月を経て再共演すること自体が、実は途方もなく難しいことなだけに、結果からすると色々な意味で嬉しい共演になりました。

最後に一つ。
この作品に出てる黒川智花嬢。

この枠では主役を2作もやったのに、今回の中途半端な役柄は正直悲しいものがあります。
「いなかっぺ」的な役柄も、どことなく居心地が悪そうで、はじけられないもどかしさが残念でなりません。
役者として、なぜだか伸び悩みのスパイラルに嵌まり込んでしまったように思えます。
醸し出す柔らかな空気は貴重だと思うのですが、若さの割には小さくまとまっている感じが、物足りなく思います。

由美子さんが武田さんに「変わってないのは髪だけね」と言った後ろの方で素で笑っていたのは
ウケてしまいましたが(笑)。

それこそ前作『モップガール』で主演されていた北川景子さんのように、
若いうちは周囲を食うほどの野望を、適度に表に出してナンボ、だと思うんですけどね。

・・・・さて、今日はまた新宿コマの昼公演だから早く寝ます。11時って早いよなぁ・・・・

|

« 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(1) | トップページ | 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『未来講師めぐる』:

« 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(1) | トップページ | 『星屑の町~新宿歌舞伎町編~』(2) »