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『ウーマン・イン・ホワイト』(2)

2007.11.29(Thu.) 19:00~21:45 青山劇場 1階S席(8列目下手側)

結局再度見に行ってしまいました。
自分にとっては禁じ手の会社帰りソワレ。
実は来月もこれより厳しい開始時間の『MOZART!』ソワレを1回控えていますが。

笹本さんの存在が凄すぎて、もう1回取ってみたこの回。
作品の出来はともかく、チケット的にはこの作品、苦戦していまして、ホリプロ名物のリピーター割引(10,000円)の他に、様々な割引チケット出放題。
そんな中、定価で買った私はきっと阿呆なのでしょうが、実は買った翌日、会社がホリプロと福利厚生契約してることを思い出しまして・・・この回、実は買おうとすれば4000円で買えたのでした(爆)。

まぁ前方席だしと気を取り直して行ったのですが、センターではないとはいえ思ったより前方が開けており、自分的には十二分に”アリ”の席でした。

さて本編。いつものとおりネタバレ全開ですので、ご注意あれ。






1幕の幸せなシーンが、とてつもなく退屈に思えてしまうのはなぜなんだか。
笹本さん、沙也加さん、別所さん3人のハーモニーはとてもきれいでうっとりしてしまうのですが、物語的には物足りなくて。

1幕前半の自分的なツボは、マリアン・ローラがハートライトに自己紹介してるところで、マリアンがおしゃべり大暴走状態の時にローラがぼそっと「私は上手な聞き役なの」って言ってマリアンが拗ねるとこです(←妹にからかわれる姉って場面が、しっかり者の姉がからかわれるだけに、笹本さんのキャラもあいまって好き)。

笹本さんの歌はなんだか場所によって「マリー・アントワネット」のマルグリットだったり(「許さない」あたり)、「ミス・サイゴン」のキムだったり(1幕最後のローラをかばって抱きかかえてるあたりは、キム&タムって感じ)するのはちょっと気にかかるところ。

シーン的にはバルジャン&ジャベールの逆対決があってみたり(しかもジャベールがデフォルトのごとく弱いのも笑ってしまう)、バルジャンがエポニーヌをリトルコゼット張りにぶん回してたりってところにレミゼを感じたりもしますし、結婚式シーンに至っては「佳き日にベルを鳴らそう~」とか言ってしまいそうになるし、マリアンが悪夢にうなされるあたりは「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で見たようなシーンだし、リトルコゼットぶん回し(←そんな略称かい)の後に急に照れてもじもじしちゃうところなんかまるで「SHIROH」の四郎&寿庵みたいだし、ミュージカルのインスパイア大会というところもなきにしもあらず。

今回、センターと下手側ということで、笹本ファン的には上手側から見れなかったのが残念至極。

そのシーンとは2幕中盤、勝負ドレスの真っ赤なドレスに身を纏ったマリアンが、<女はね、やるときゃやるのよ>ってタンカきるシーンが・・・・あの方向の正面から見てみたかったなぁ。
べっしー役得(笑)

何しろ、10歳以上も年上の役で、ローラとの対比もあって地味な服装に終始してたマリアンの唯一の派手所だから(しかも上條さん演じるフォスコ伯爵を誘惑しまくり)。

そういえばいつもアドリブ型じゃない別所さん、真っ赤なドレスに黒いコートをかけてあげていたところで、「こんなひらひらしたもの付けちゃってねぇ」とか珍しくアドリブしてて噴いたら、玲奈ちゃんも焦っていたという・・・・。

そんな小ネタもありながら、内容的なところを見てみると。

姉と妹が同じ男の人を好きになり、姉が妹を思って身を引くという物語、
昔少女漫画で見たことがありまして、10年ぐらい前に「なかよし」(講談社)で連載されていた「ほしいのはひとつだけ」という作品。

姉は聡明で天真爛漫の人気者で、モデル風の美人でまさに「陽」の存在。
妹はそこそこ可愛いけれどいつも姉の引き立て役。
そんな2人が愛したのは、妹の担任である男性。
そして最後は姉が身を引き、妹と結ばれるという物語。

今回の「WIW」では、妹の身分の方がはるかに上ですので、それに対する気後れが姉にもあるのでしょうが、その辺りを差し引けばシチュエーション的にはほぼ同じで、聡明だからこそ、自分の恋を選べずに、「妹の幸せ」が「自らの幸せ」と納得するしかなかった哀しみを感じずにいられません。

未来を見通せる聡明さは、かえって自分自身を不幸にしてしまうのかもしれないと思うと、人はほどほどに愚かな方が、それなりの幸せを得られるのかもしれません。
”物分りのよさ”って、ある意味自己犠牲で成り立っているとも思えますし。

2幕最後、ハートライトから告白されそうになることを予期するかのように、即座に自分が身を引き妹に譲るシーンは、涙なしではいられません。
フォスコに裏切られ、妹を救ったとはいえ、一時的にせよあんな目にあわせた自分が、よりによって妹と同じ人を愛した人と一緒になることなぞありえなかったのだろうなと思うと、マリアンの哀しみがより迫って感じられて、とても泣ける

全てを持った姉がただ一つだけ手に入れられなかったもの。
それを手に入れようとすることが、自分の人生の否定にもなるからこそ、妹の思いを優先するように見せて、自らが傷つくことを選んだのだと思う。

最後の最後、ローラがマリアンに掛けてあげた白い布はローラからの感謝の気持ちなんだろうなぁと思うと、自分の気持ちを殺してローラを想ったマリアンの気持ちも少しは救われたかもしれない、と思ったし、この日の沙也加嬢のパーシヴァル卿に復讐するシーンの迫力が凄くて。

ローラが闘う事を選択したことで、自らの願いを捨てたマリアンの気持ちも、報われたような気がして。

マリアンに感情移入しないと厳しいこの作品ですが、この日はローラの感情もきちんと伝わってきて、自らの手で未来を選択することこそ今の女性に求められること、というテーマが伝わってきたのが良かった。

演出家と主演女優のパワフルさにそれを思い知らされた気がするわけですが、そんな中で男性がなにができるのか、その答えはきっとそれも自分で見つけるべき課題なのでしょう。

そういえば、今回印象的だったのは笹本さんと沙也加さんのあり得ないほどの仲の良さ。
お互いのブログは時に交換日記と化します(笑)。
笹本さんは2003レミゼからみているけど、正直言ってあそこまで現代っ子だとは思っていなくて。
どちらかというと人付き合い少な目のタイプかと思っていたので、2007レミゼメンバーの飲み会にあっちこっち顔を出す様は正直意外で。

今更ながら、2003の時は最年少の新人ということですさまじいプレッシャーと闘ってきたのだなと、思わずにいられません。どちらかといえば友達つき合いに壁を作られていそうな沙也加さんが初めて得られたかのような親密さは、とても微笑ましく思えます。
そんな分け隔てのない親密さが、姉妹という関係にリアリティを持たせているように思えたのでした。

<おまけの蛇足>
この日は富田麻帆さんのブログによれば、2007コゼット3人揃い踏みの観劇だったそうで。
ちなみに前日28日ソワレは、高橋由美子さんが観劇されてたとのこと。
うっ、ちと惜しい。
ALWの歌は厳しいと思うけど、由美子マリアン&玲奈ローラとか面白いと思うんだけどなぁ。

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