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『MOZART!』&『ウーマン・イン・ホワイト』

『MOZART!』2007.11.23(Fri.) 12:00~15:20(帝国劇場2F最後列)
『ウーマン・イン・ホワイト』17:30~20:15(青山劇場1F6列目中央)

この日は「姉」を見に行った日でした。

マチネは帝国劇場「MOZART」の高橋由美子さん(ナンネール役)。井上芳雄氏演じる弟・ヴォルフガングをただ支え続けた「静」の姉。

ソワレは青山劇場「ウーマン・イン・ホワイト」の笹本玲奈さん(マリアン役)。神田沙也加さん演じる異母妹・ローラのために闘いつづけた「動」の姉。

自分の幸せが、弟(妹)の幸せ。
ともすれば偽善的になりそうな設定を無理なく見せる2人の姿は素晴らしいです。
というか、以前も書いたことがあるのですが、空気が結構似てます、この2人。

内容的なネタバレが含まれますが,結末は含みません。
その前提で以下をご参照ください。






支え続けた弟(妹)にただ1度だけ、普段と違う感情をぶつけるシーンがあるわけですが、
完璧に感情をコントロールして、相手の幸せを願いつづけた姉が見せた「感情のずれ」。
結果的に両作品とも、そのシーンが作品を動かす転回点になっているのも興味深い共通点。

「MOZART!」ではナンネールがヴォルフガングに言う「パパが亡くなったわ」の台詞。
父親(レオポルト)の死も当然ショックだっただろうけど、常に支えてくれた姉に責められたことは、二重のショックとしてヴォルフガングを混乱に陥れることになります。

ナンネールは自分の幸せを犠牲にしながらヴォルフガングを見守りつづけましたが、父親を失ったことで、自ら犠牲にされた幸せまでも重ね合わせたかのような責めに思えます。

「ウーマン・イン・ホワイト」では別所さん演じる画家・ハートライトを愛してしまった姉のマリアンと妹のローラ。マリアンは”ローラのことを思って”ローラが既にパーシヴァル卿(石川禅さん)と婚約していることを告げ、ハートライトを家から追い出すことになります。そして、結果、ローラを悲惨な運命に陥れることになります。

マリアンが自らハートライトを愛するがゆえのあやまち。
それは女性として素直に持つ、"自分が幸せになりたい願望"のただ一度の正直な発現だったかと思いますが。
それゆえに、ハートライト以上に愛した妹・ローラに悲劇をもたらしてしまったことへの罪悪感。
そのあやまちがあっただけに、より「自らの幸せは、妹の幸せ」、「真実を知りたい」という思いを強くしたのかもしれません。

「MOZART!」はこの後も観劇予定がありますので、ここからは「ウーマン・イン・ホワイト」の内容に絞って書いていきます。

何といってもこの作品は主役の笹本玲奈さん抜きには語れません。

役どころは既に書いた姉役ですが、レミゼ以降全ての作品を見つづけている彼女。
作品ごとにどんどん存在感を増し、今回の作品ではそのレミゼで主役のバルジャンを演じている別所さんを相手役に、一歩も引かない存在感。さすがです。
(正確には、別所さんの相手役は沙也加さん演じるローラですが)

マリアンに共感できるかどうかでこの舞台の評価、大きく左右されそうなところですが、いわゆるメインターゲットとしている20代後半~30代前半のOLからの視点(を想像して)で笹本マリアンを見ると、とてつもなく正義感に溢れ魅力的。見終わって「22歳・・・・・???」と首をかしげるであろうこと、うけあいです。

(トークショーで好きなシーンは?と聞かれて「別所さんにぐるぐる振り回されるところがバルジャンとリトルコゼットみたいで好き」と答えるあたりは、微笑ましいなぁというか22歳なんだなぁというか相変わらず天然だなぁとか)

そういえば事前宣伝で一番噴き出したのは、
「この作品、20代後半のお局さんOLが見て泣くような作品にしたいんだよね」と言った演出の松本祐子さんの発言にマリアン役の笹本さんが爆笑したという話。
松本さんのセンスもさすがですが、そこでツボを突かれる笹本さんもマリアンという役をよく掴んでます。

サスペンスということもあって、一切の劇評も原作も読まずに行ったのですが、2幕の謎解きゲームの展開も最後まで楽しめたし、2幕のマリアン・ハートライトの謎解きゲームの演技の呼吸もすごく良くて。笹本さんは井上芳雄さんともそうだけど、呼吸を合わせるタイプとだとお互いとてつもなくいい演技するんですよね。(井上さんからは花も贈られており、キャストへの有名人コメントは笹本さんについては井上さんでした)

一番好きなシーンは1幕の結婚式前のシーン、ホリプロ公式にも動画が上がってるんですが、パーシヴァル卿の悪事を暴こうとしてすかされたハートライトをなじるマリアン。
その後、ハートライトに「これで満足ですか?」と言われるマリアンときたら・・・・あとのシーンで、マリアンのしたことが実はローラを幸せにできなかったことと考え合わせると、二重三重の精神的ダメージなわけで・・・・報われなさ過ぎる。

そんな報われなさ過ぎるマリアンが、2幕でハートライトとする謎解きゲームは、何だか思いが通じ合っている同志という感じで良かった。マリアンに感情移入しすぎて、苦労人には幸せになって欲しかったな・・・・

本来ヒロインのはずのローラが見た目はともかく声量と存在感で圧倒的に物足りないので、ローラが空気過ぎて・・・・(可愛いんだけど、かっこいい&かわいいを兼ね備えたあの笹本マリアンの前では分が悪すぎる。)

信頼していた医師のフォスコ氏(上條氏)に裏切られて、別のシーンで復讐に出向くような形になった時の勝負ドレスのマリアンも最強(しかもあの赤ドレス、凄く綺麗。身長高いからなおさら映えるし)。女って強いんだなぁとしみじみしてみたり。

他キャストでは光枝氏が良かったかな。上條さんも悪人に思えない役どころが良かったし。

自分の見た限りの初の悪役だった石川禅さんのDVぶりにびっくり。
フランク(アニーよ銃を取れ)→ジャベール(レ・ミゼラブル)→マリウス(レ・ミゼラブル)と見てきた禅さん観劇経験では到底味わったことのない、壮絶な衝撃を味わいました(笑)。

忙しくなければもう1回ぐらい見たいところですが、難しいかなぁ。
しかも1回目いい席で見すぎたなぁ。何せ6列目センター(この作品はXA~XBをオケピとしては潰しておらず、オケピは空中にあります。いつもは踊る塩田さんも、落ちる危険があるからか(爆)、さほど踊ってません)よりいい席が今から取れるはずもないからなぁ・・・

何にせよ、笹本さんのパワフルさが羨ましい限りです。
最後尾まであれ届くんなら、別に後方でもいいか(苦笑)。

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