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『MOZART!』(16)

2007.11.19(Mon.)17:45~19:10/19:40~21:10 帝国劇場1FS列

やってきました再々演。

自分にとってはミュージカルに通うようになった思い出の作品。
2002年2回(日生1、帝劇1)、2005年22回、2007年8回(予定)ということで、今日が25回目の観劇。
この作品は今日が280回目の公演なので、だいたい10回に1回は見ている計算になります。(2007年の最後が322回目の公演なので、最終的にもそんな比率になります。)

子役・アマデの関係で平日ソワレの開始時間がサラリーマンには優しくない17時45分ということで、大事をとって(←ちょっと日本語の意味違う)会社を休み、開場からちょっと遅れて会場入り。

演出上のネタバレが含まれますので、その辺が気になる方はいつものとおり回れ右で。

結論から言ってしまうと、演出はほとんど変更なし。
というか、「変わった!」と思うところは恐らくキャストのアドリブとも思えて、事実上初演+再演キャストでの純粋な再演。

明確に変わったところといれば、
・「赤いコート」でヴォルフガングがだだっこのようにコートを抱え込んだのを、レオポルトが奪い取ってナンネールの足元へ投げ捨て、ナンネールに「処分してきなさい」というシーン
(もともとは奪い取る感じではなく、かつナンネールに渡して「捨ててきなさい」でした)

・ヴォルフガング最期のシーンの後、アマデの箱を見つけたナンネールが、呆然としたまま立ち尽くす(もともとは足から崩れ落ち、しばしの時の後立ち上がる、でした)。

の2点ぐらい。
コンスタンツェの役者変わりに合わせて衣装が変わった(ピンク色へ)が目立ったぐらいで、まさに2005年再演のカーボンコピー。

それが悪いといっているわけでは当然なくて。
生身の人間が演じる舞台が、2005年再演のレベルのまま、しっかり地に足をつけて2007年再々演に移ってきているということ自体が、ちょっとした驚きでもあります。

○市村正親さん(レオポルト役)
前半は正直この日は市村さんらしくない出来(市村さんが歌詞を間違ったシーンなんていつぶりに見たことやら)でしたが、後半はもう流石としか言いようがないです。

「死ぬまでおまえの顔なんて見たくない!」そう叫んだ父親は、実は自らの死期を分かっていたと思われる皮肉。
直前のシーンで、レオポルトが娘ナンネールに宛てた手紙に、「持病のリュウマチが身体を苛み始めている」と書かれていたことに、レオポルト同様、ナンネールも違和感を感じた様子(がわかるように演じられています)。

自らの力ではなしに成功した息子を認めることは、自分の存在意義の崩壊。
だからこそ、自分が生きている間には、「息子の顔など見たくない」
死んでからなら、自分のエゴを取り去って息子、そして息子の才能と向かい合うことができる、そう思えてなりませんでした。

○山口祐一郎さん(コロレド大司教役)
祐一郎さんの舞台はご贔屓とかちあうこともあって、何十回となく見ている私ですが(かちあった分でM!とレミゼ、かちあってない分でMA)、正直なことを言ってしまうと、慣らし運転という感じ。
登場シーン(「何処だ、モーツァルト!」)は流石なのですが、後半、特に「M!M!」の奇妙に棒読みな歌は、帝劇の怪人にしては、ちょっとびっくりです。

○中川晃教さん(ヴォルフガング役)
「ヴォルフガングとして初日を張るのは、実は初めて」という本人のカーテンコールコメントに、会場中が意表を突かれましたが、言われてみて思い返すと、確かに「M!」の初日は井上芳雄さん、という方程式がいままで存在していました。

初日の緊張のせいか、シャウトが必要以上に多かった気もしますが、(緊張していた)再演よりはずっと落ち着いた感じで、次に見るのが楽しみです。

○香寿たつきさん(ヴァルトシュテッテン男爵夫人役)
2005年再演(大阪・帝劇)以来久しぶりに拝見しましたが、好きな役者さんなのに、あの大ナンバー「星から降る金」の香寿さんバージョンは個人的には苦手。

初演・再演(大阪)の久世さんが歌が弱くても芝居が凄く好きで・・・改めて香寿夫人を見て思ったのが、この曲に関しては他の役者を見て歌ってないのがあまり好きではないんだなということ。
香寿さんはこの曲以外ではそういうことがないように感じるのですが、星金を歌う時、ヴォルフガングに歌いかけるのでもなく、ナンネールに歌いかけるのでもなく、むろんレオポルトに歌いかけるのでもないように聞こえるのです。
(久世さんの場合、ナンネールに歌いかけて了解もらってからヴォルフガングとレオポルトに歌う感じが、自分は好きだったりして。流れ的に自然な気がするのです)

11月中は香寿さん、12月は涼風さんということでまた違った感じで楽しめそうですが、何はともあれ香寿さんの「人は忘れる」は大好き。

○hiroさん(コンスタンツェ役)
この日ミュージカル初登板となった元SPEEDのヴォーカル。といわれなくても十分有名ですが・・・
芸名フルネームを言えてしまう(島袋寛子さん)元アイドルファンがちょっと悲しい(爆)。

製作発表で歌っていた「ダンスはやめられない」の身振り手振りSPEED風歌唱に恐れおののきつつ見てみましたが、この曲についてはマイベストコンス。
hiroさんの場合、あの喉にこもらせて歌声を発する特有の歌声が、ミュージカルとしては耳障りに聞こえるわけですが、この曲は何といっても勢い優先、声量優先。

で実はこの曲、どなたかが言っていたのですが、歌いながらやることが実に多い。歌いながら花瓶から薔薇取り出す、楽譜ひっちゃけ回す、3回転する、上手から下手に縦断するetc・・・・

この日見ていて、なんだか要素いっぱい詰め込みすぎてちょっと失敗した分がタイムオーバーになっちゃった、フィギュアフランス杯、浅田真央選手のFPを思い出してしまった(なんでや)。

台詞回しが特訓必要ですかね。
歌だとまだいいのですが、台詞が入ってくると明らかにコンスタンツェではなくてhiroさんがそこに顔を出す。そこで空気が途切れてしまうのは困ったもの。

何しろ演技巧者が勢ぞろいしているこの作品、この日の市村さんのように、多少ぶれても強引に本線に持ってける役者さんが揃ってるだけに、台詞は無論歌で我に返ることがない、それがこの作品の最大のセールスポイントだけに、何とかして芝居を及第点にまで持っていって欲しい、そう思わずにいられません。

演技方面コンスの松コンス、木村コンス、大塚コンス。
歌方面コンスの西田コンス、hiroコンス。
どちらもの安定派だと、大塚、西田の順かな。なかなか両方に合う人はお目にかかれないだけに、ああいう形で大塚コンスを手放さざるを得なくなったのが、とてももったいないなーと。

hiroさんの話に戻ると、ぐーたらコンスのコアの部分は掴んでいると思うので、あとは技術的な問題かと。
歌に関しては、ミュージカルに挑戦するのであれば、やっぱりミュージカル的な歌唱が必要じゃないかなぁと思う。

○高橋由美子さん(ナンネール役)
さて、メイン所をほぼ語りましたので、個人の趣味に移ります(笑)。

初演日生劇場で演じた時(2002年)は28歳。そして今年は33歳。
1幕「奇跡の子」で演じる少女時代は、年齢的には16歳あたりの設定ですが、寸分の狂いもなく「奇跡の少女」です。

実は由美子さんと私は同い年・月生まれなのですが、33歳ともなると、色んなところに無理がやってくるというか(以下略)、ともあれ人前で演じるプロとはいえ、さすがと脱帽せざるを得ません。
「めぞん一刻」のときに言われていた話なんですが、年齢は顎に出るのだそうで、そこはちょびっと再演(2005年)よりは、心なしか年齢を重ねた感じかもしれませんが、相変わらず上手く空気作るからその辺あまり気にならないというか。テレビじゃないし、ってのもあるのかもしれませんが。

でも正直びくびくでしたよ、「赤いコート」のじゃれあいが寒くなったらどーしよーとか(笑)
再演に比べて、あっきーをより大人に見てるような相手の仕方がちょうど良かった感じ。

「プリンスは出て行った」「終わりのない音楽」いずれも高水準安定ですが、1幕「終わりのない音楽」は若干歌声が堅め。初日の緊張ということも窺えますが、一番いいときを聞いてしまっているのでハードルが高すぎるというだけで、初見的には全然OKかと思います。

この日の小ネタで面白かったのは野菜市場でみんなに「弟は首になったの?」と言われた時に由美子さん、自分の首に手当ててたので心の中で吹いちまいました。

印象的だったのはナンネールの夫・ベルヒトルトとの「世界一の仮面夫婦」ぶり。
とにかく隙間風見えまくってます。漫画的には夫からのキスの間に、壁があるようなそんな感じ。
弟の活躍にしかすがれないナンネールも、結局は自分と折り合いをつけきれなかったところがあるのでしょう。

そういえばこの日、『MOZART!』は280回目の公演でした。
来月、12月2日の夜、貸切公演で300回を迎え、今回の楽が332回目です。
プリンシパルとして皆勤を続ける市村さん、山口さん、そして由美子さんですが、カーテンコールで小池先生に由美子さんだけ触れてもらえないのはちょっとだけ悲しかったけど、パンフで「影のヒロイン」と言ってもらえているので忘れることにします(笑)。ま、振られてもきっといつものごとくとっちらかるのは目に見えてるし(爆)。

2002年、日生劇場で幕があけて、「当たり役」として評価されて、歌にも演技にもこの役に関して言えば何か注文されているのをほとんど聞いたことがない由美子さん。
「アニーよ銃を取れ」で小池先生と組んでいたこともあって、既に「ミュージカル歌い」の素養があって東宝ミュージカルデビューというのは、この日のhiroさんと考え合わせると、ずいぶん幸運の要素があったのだなぁと改めて思わされます。

目まぐるしく変わって実に5人目にもなるコンスタンツェを迎え、よくよく考えると毎回毎回「アイドル同士の競演」(むしろライバル的な見方も)をし続けているわけですが、アイドル時代の売れ方ではhiroさんが圧倒的で、西田さんは紅白にも出てるし、松さんは格的に言わずもがななので、振り返ってみると「継続は力なり」というか、はまり役って大事なんだなと改めて思わされます。

おりしもこの日のカーテンコールの挨拶で、あっきーが言ってましたが「毎回毎回自分は最後だと思って演じている」、これが役者の本音なのでしょうね。

・・・・まぁそんなこんなで始まりました『MOZART!』再々演。

あ、言い忘れましたが吉野シカネーダー最高です。

あともう一つ。カーテンコール時のエピソードを1つ。

今回のカーテンコールはhiroさんの直後が由美子さんなのですが、
(しっかし毎回変わるなぁ)
由美子さんが満面の笑みで(実はちょっと珍しい)挨拶した後、
カーテンコールの次の人を紹介しなかった(要は由美子さんを紹介しなかったってことですが)
ことに気づいてあわててるhiroさんを目ざとく見つけて、「あ、やっちゃったね~」と茶化していたのが
意外にツボ。微笑ましく見守ってる感じでなんか素敵な空間でした。

(同じ新加入メンバーの時でも、木村さんの時には挨拶の時に苦笑い、みたいな感じだったんで。
hiroさんをカンパニー全体で応援してる感じが見えて素敵でした)

hiroさんの成長にただただ期待しつつ、自分は贔屓さん見にひたすら通います。
年内観劇はM!7回、『ウーマン・イン・ホワイト』(青山)1回(なんとなく増えそう)、『ライト・イン・ピアッツア』(ルテアトル銀座)1回。
M!2回を除き全て土日祝日観劇。年内の土日祝日はあと14日しかありませんが、うち6日が既に観劇で埋まってます。

年末、忙しいんですけど・・・<誰も信じない

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コメント

こんにちは♪
ちょっと遅くなりましたが、とうとう始まりましたね。確かに、市村パパや祐様には私も違和感を感じましたが、やっぱり由美子さんは相変わらず素敵ですね。実年齢が分からなくなります(笑)
私も今回はリピートします!!ひろきさんも、体調は観る側にも大切ですし、ご無理はなさらないで下さいね。

投稿: なんねる | 2007/11/22 00:26

コメントありがとうございます。

なんねるさんのところ拝見すると、私はずいぶん甘口のような気もいたしますが(後でコメントにお伺いします)、製作発表で「これほどまでに難しい役とは」とコメントしていた由美子さんがいつも通りの素敵なねーさんだったので、由美子さん以外の色んな気になるところは後回しです(笑)

由美子さんは舞台に立つと年齢が若返るのはいつものことですが、この役は究極ですね。

体調のご配慮ありがとうございます。
健康あっての観劇、きちんと肝に銘じます。

投稿: ひろき | 2007/11/22 02:27

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