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2007年11月

『ウーマン・イン・ホワイト』(2)

2007.11.29(Thu.) 19:00~21:45 青山劇場 1階S席(8列目下手側)

結局再度見に行ってしまいました。
自分にとっては禁じ手の会社帰りソワレ。
実は来月もこれより厳しい開始時間の『MOZART!』ソワレを1回控えていますが。

笹本さんの存在が凄すぎて、もう1回取ってみたこの回。
作品の出来はともかく、チケット的にはこの作品、苦戦していまして、ホリプロ名物のリピーター割引(10,000円)の他に、様々な割引チケット出放題。
そんな中、定価で買った私はきっと阿呆なのでしょうが、実は買った翌日、会社がホリプロと福利厚生契約してることを思い出しまして・・・この回、実は買おうとすれば4000円で買えたのでした(爆)。

まぁ前方席だしと気を取り直して行ったのですが、センターではないとはいえ思ったより前方が開けており、自分的には十二分に”アリ”の席でした。

さて本編。いつものとおりネタバレ全開ですので、ご注意あれ。






1幕の幸せなシーンが、とてつもなく退屈に思えてしまうのはなぜなんだか。
笹本さん、沙也加さん、別所さん3人のハーモニーはとてもきれいでうっとりしてしまうのですが、物語的には物足りなくて。

1幕前半の自分的なツボは、マリアン・ローラがハートライトに自己紹介してるところで、マリアンがおしゃべり大暴走状態の時にローラがぼそっと「私は上手な聞き役なの」って言ってマリアンが拗ねるとこです(←妹にからかわれる姉って場面が、しっかり者の姉がからかわれるだけに、笹本さんのキャラもあいまって好き)。

笹本さんの歌はなんだか場所によって「マリー・アントワネット」のマルグリットだったり(「許さない」あたり)、「ミス・サイゴン」のキムだったり(1幕最後のローラをかばって抱きかかえてるあたりは、キム&タムって感じ)するのはちょっと気にかかるところ。

シーン的にはバルジャン&ジャベールの逆対決があってみたり(しかもジャベールがデフォルトのごとく弱いのも笑ってしまう)、バルジャンがエポニーヌをリトルコゼット張りにぶん回してたりってところにレミゼを感じたりもしますし、結婚式シーンに至っては「佳き日にベルを鳴らそう~」とか言ってしまいそうになるし、マリアンが悪夢にうなされるあたりは「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で見たようなシーンだし、リトルコゼットぶん回し(←そんな略称かい)の後に急に照れてもじもじしちゃうところなんかまるで「SHIROH」の四郎&寿庵みたいだし、ミュージカルのインスパイア大会というところもなきにしもあらず。

今回、センターと下手側ということで、笹本ファン的には上手側から見れなかったのが残念至極。

そのシーンとは2幕中盤、勝負ドレスの真っ赤なドレスに身を纏ったマリアンが、<女はね、やるときゃやるのよ>ってタンカきるシーンが・・・・あの方向の正面から見てみたかったなぁ。
べっしー役得(笑)

何しろ、10歳以上も年上の役で、ローラとの対比もあって地味な服装に終始してたマリアンの唯一の派手所だから(しかも上條さん演じるフォスコ伯爵を誘惑しまくり)。

そういえばいつもアドリブ型じゃない別所さん、真っ赤なドレスに黒いコートをかけてあげていたところで、「こんなひらひらしたもの付けちゃってねぇ」とか珍しくアドリブしてて噴いたら、玲奈ちゃんも焦っていたという・・・・。

そんな小ネタもありながら、内容的なところを見てみると。

姉と妹が同じ男の人を好きになり、姉が妹を思って身を引くという物語、
昔少女漫画で見たことがありまして、10年ぐらい前に「なかよし」(講談社)で連載されていた「ほしいのはひとつだけ」という作品。

姉は聡明で天真爛漫の人気者で、モデル風の美人でまさに「陽」の存在。
妹はそこそこ可愛いけれどいつも姉の引き立て役。
そんな2人が愛したのは、妹の担任である男性。
そして最後は姉が身を引き、妹と結ばれるという物語。

今回の「WIW」では、妹の身分の方がはるかに上ですので、それに対する気後れが姉にもあるのでしょうが、その辺りを差し引けばシチュエーション的にはほぼ同じで、聡明だからこそ、自分の恋を選べずに、「妹の幸せ」が「自らの幸せ」と納得するしかなかった哀しみを感じずにいられません。

未来を見通せる聡明さは、かえって自分自身を不幸にしてしまうのかもしれないと思うと、人はほどほどに愚かな方が、それなりの幸せを得られるのかもしれません。
”物分りのよさ”って、ある意味自己犠牲で成り立っているとも思えますし。

2幕最後、ハートライトから告白されそうになることを予期するかのように、即座に自分が身を引き妹に譲るシーンは、涙なしではいられません。
フォスコに裏切られ、妹を救ったとはいえ、一時的にせよあんな目にあわせた自分が、よりによって妹と同じ人を愛した人と一緒になることなぞありえなかったのだろうなと思うと、マリアンの哀しみがより迫って感じられて、とても泣ける

全てを持った姉がただ一つだけ手に入れられなかったもの。
それを手に入れようとすることが、自分の人生の否定にもなるからこそ、妹の思いを優先するように見せて、自らが傷つくことを選んだのだと思う。

最後の最後、ローラがマリアンに掛けてあげた白い布はローラからの感謝の気持ちなんだろうなぁと思うと、自分の気持ちを殺してローラを想ったマリアンの気持ちも少しは救われたかもしれない、と思ったし、この日の沙也加嬢のパーシヴァル卿に復讐するシーンの迫力が凄くて。

ローラが闘う事を選択したことで、自らの願いを捨てたマリアンの気持ちも、報われたような気がして。

マリアンに感情移入しないと厳しいこの作品ですが、この日はローラの感情もきちんと伝わってきて、自らの手で未来を選択することこそ今の女性に求められること、というテーマが伝わってきたのが良かった。

演出家と主演女優のパワフルさにそれを思い知らされた気がするわけですが、そんな中で男性がなにができるのか、その答えはきっとそれも自分で見つけるべき課題なのでしょう。

そういえば、今回印象的だったのは笹本さんと沙也加さんのあり得ないほどの仲の良さ。
お互いのブログは時に交換日記と化します(笑)。
笹本さんは2003レミゼからみているけど、正直言ってあそこまで現代っ子だとは思っていなくて。
どちらかというと人付き合い少な目のタイプかと思っていたので、2007レミゼメンバーの飲み会にあっちこっち顔を出す様は正直意外で。

今更ながら、2003の時は最年少の新人ということですさまじいプレッシャーと闘ってきたのだなと、思わずにいられません。どちらかといえば友達つき合いに壁を作られていそうな沙也加さんが初めて得られたかのような親密さは、とても微笑ましく思えます。
そんな分け隔てのない親密さが、姉妹という関係にリアリティを持たせているように思えたのでした。

<おまけの蛇足>
この日は富田麻帆さんのブログによれば、2007コゼット3人揃い踏みの観劇だったそうで。
ちなみに前日28日ソワレは、高橋由美子さんが観劇されてたとのこと。
うっ、ちと惜しい。
ALWの歌は厳しいと思うけど、由美子マリアン&玲奈ローラとか面白いと思うんだけどなぁ。

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『MOZART!』&『ウーマン・イン・ホワイト』

『MOZART!』2007.11.23(Fri.) 12:00~15:20(帝国劇場2F最後列)
『ウーマン・イン・ホワイト』17:30~20:15(青山劇場1F6列目中央)

この日は「姉」を見に行った日でした。

マチネは帝国劇場「MOZART」の高橋由美子さん(ナンネール役)。井上芳雄氏演じる弟・ヴォルフガングをただ支え続けた「静」の姉。

ソワレは青山劇場「ウーマン・イン・ホワイト」の笹本玲奈さん(マリアン役)。神田沙也加さん演じる異母妹・ローラのために闘いつづけた「動」の姉。

自分の幸せが、弟(妹)の幸せ。
ともすれば偽善的になりそうな設定を無理なく見せる2人の姿は素晴らしいです。
というか、以前も書いたことがあるのですが、空気が結構似てます、この2人。

内容的なネタバレが含まれますが,結末は含みません。
その前提で以下をご参照ください。






支え続けた弟(妹)にただ1度だけ、普段と違う感情をぶつけるシーンがあるわけですが、
完璧に感情をコントロールして、相手の幸せを願いつづけた姉が見せた「感情のずれ」。
結果的に両作品とも、そのシーンが作品を動かす転回点になっているのも興味深い共通点。

「MOZART!」ではナンネールがヴォルフガングに言う「パパが亡くなったわ」の台詞。
父親(レオポルト)の死も当然ショックだっただろうけど、常に支えてくれた姉に責められたことは、二重のショックとしてヴォルフガングを混乱に陥れることになります。

ナンネールは自分の幸せを犠牲にしながらヴォルフガングを見守りつづけましたが、父親を失ったことで、自ら犠牲にされた幸せまでも重ね合わせたかのような責めに思えます。

「ウーマン・イン・ホワイト」では別所さん演じる画家・ハートライトを愛してしまった姉のマリアンと妹のローラ。マリアンは”ローラのことを思って”ローラが既にパーシヴァル卿(石川禅さん)と婚約していることを告げ、ハートライトを家から追い出すことになります。そして、結果、ローラを悲惨な運命に陥れることになります。

マリアンが自らハートライトを愛するがゆえのあやまち。
それは女性として素直に持つ、"自分が幸せになりたい願望"のただ一度の正直な発現だったかと思いますが。
それゆえに、ハートライト以上に愛した妹・ローラに悲劇をもたらしてしまったことへの罪悪感。
そのあやまちがあっただけに、より「自らの幸せは、妹の幸せ」、「真実を知りたい」という思いを強くしたのかもしれません。

「MOZART!」はこの後も観劇予定がありますので、ここからは「ウーマン・イン・ホワイト」の内容に絞って書いていきます。

何といってもこの作品は主役の笹本玲奈さん抜きには語れません。

役どころは既に書いた姉役ですが、レミゼ以降全ての作品を見つづけている彼女。
作品ごとにどんどん存在感を増し、今回の作品ではそのレミゼで主役のバルジャンを演じている別所さんを相手役に、一歩も引かない存在感。さすがです。
(正確には、別所さんの相手役は沙也加さん演じるローラですが)

マリアンに共感できるかどうかでこの舞台の評価、大きく左右されそうなところですが、いわゆるメインターゲットとしている20代後半~30代前半のOLからの視点(を想像して)で笹本マリアンを見ると、とてつもなく正義感に溢れ魅力的。見終わって「22歳・・・・・???」と首をかしげるであろうこと、うけあいです。

(トークショーで好きなシーンは?と聞かれて「別所さんにぐるぐる振り回されるところがバルジャンとリトルコゼットみたいで好き」と答えるあたりは、微笑ましいなぁというか22歳なんだなぁというか相変わらず天然だなぁとか)

そういえば事前宣伝で一番噴き出したのは、
「この作品、20代後半のお局さんOLが見て泣くような作品にしたいんだよね」と言った演出の松本祐子さんの発言にマリアン役の笹本さんが爆笑したという話。
松本さんのセンスもさすがですが、そこでツボを突かれる笹本さんもマリアンという役をよく掴んでます。

サスペンスということもあって、一切の劇評も原作も読まずに行ったのですが、2幕の謎解きゲームの展開も最後まで楽しめたし、2幕のマリアン・ハートライトの謎解きゲームの演技の呼吸もすごく良くて。笹本さんは井上芳雄さんともそうだけど、呼吸を合わせるタイプとだとお互いとてつもなくいい演技するんですよね。(井上さんからは花も贈られており、キャストへの有名人コメントは笹本さんについては井上さんでした)

一番好きなシーンは1幕の結婚式前のシーン、ホリプロ公式にも動画が上がってるんですが、パーシヴァル卿の悪事を暴こうとしてすかされたハートライトをなじるマリアン。
その後、ハートライトに「これで満足ですか?」と言われるマリアンときたら・・・・あとのシーンで、マリアンのしたことが実はローラを幸せにできなかったことと考え合わせると、二重三重の精神的ダメージなわけで・・・・報われなさ過ぎる。

そんな報われなさ過ぎるマリアンが、2幕でハートライトとする謎解きゲームは、何だか思いが通じ合っている同志という感じで良かった。マリアンに感情移入しすぎて、苦労人には幸せになって欲しかったな・・・・

本来ヒロインのはずのローラが見た目はともかく声量と存在感で圧倒的に物足りないので、ローラが空気過ぎて・・・・(可愛いんだけど、かっこいい&かわいいを兼ね備えたあの笹本マリアンの前では分が悪すぎる。)

信頼していた医師のフォスコ氏(上條氏)に裏切られて、別のシーンで復讐に出向くような形になった時の勝負ドレスのマリアンも最強(しかもあの赤ドレス、凄く綺麗。身長高いからなおさら映えるし)。女って強いんだなぁとしみじみしてみたり。

他キャストでは光枝氏が良かったかな。上條さんも悪人に思えない役どころが良かったし。

自分の見た限りの初の悪役だった石川禅さんのDVぶりにびっくり。
フランク(アニーよ銃を取れ)→ジャベール(レ・ミゼラブル)→マリウス(レ・ミゼラブル)と見てきた禅さん観劇経験では到底味わったことのない、壮絶な衝撃を味わいました(笑)。

忙しくなければもう1回ぐらい見たいところですが、難しいかなぁ。
しかも1回目いい席で見すぎたなぁ。何せ6列目センター(この作品はXA~XBをオケピとしては潰しておらず、オケピは空中にあります。いつもは踊る塩田さんも、落ちる危険があるからか(爆)、さほど踊ってません)よりいい席が今から取れるはずもないからなぁ・・・

何にせよ、笹本さんのパワフルさが羨ましい限りです。
最後尾まであれ届くんなら、別に後方でもいいか(苦笑)。

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『MOZART!』(16)

2007.11.19(Mon.)17:45~19:10/19:40~21:10 帝国劇場1FS列

やってきました再々演。

自分にとってはミュージカルに通うようになった思い出の作品。
2002年2回(日生1、帝劇1)、2005年22回、2007年8回(予定)ということで、今日が25回目の観劇。
この作品は今日が280回目の公演なので、だいたい10回に1回は見ている計算になります。(2007年の最後が322回目の公演なので、最終的にもそんな比率になります。)

子役・アマデの関係で平日ソワレの開始時間がサラリーマンには優しくない17時45分ということで、大事をとって(←ちょっと日本語の意味違う)会社を休み、開場からちょっと遅れて会場入り。

演出上のネタバレが含まれますので、その辺が気になる方はいつものとおり回れ右で。

結論から言ってしまうと、演出はほとんど変更なし。
というか、「変わった!」と思うところは恐らくキャストのアドリブとも思えて、事実上初演+再演キャストでの純粋な再演。

明確に変わったところといれば、
・「赤いコート」でヴォルフガングがだだっこのようにコートを抱え込んだのを、レオポルトが奪い取ってナンネールの足元へ投げ捨て、ナンネールに「処分してきなさい」というシーン
(もともとは奪い取る感じではなく、かつナンネールに渡して「捨ててきなさい」でした)

・ヴォルフガング最期のシーンの後、アマデの箱を見つけたナンネールが、呆然としたまま立ち尽くす(もともとは足から崩れ落ち、しばしの時の後立ち上がる、でした)。

の2点ぐらい。
コンスタンツェの役者変わりに合わせて衣装が変わった(ピンク色へ)が目立ったぐらいで、まさに2005年再演のカーボンコピー。

それが悪いといっているわけでは当然なくて。
生身の人間が演じる舞台が、2005年再演のレベルのまま、しっかり地に足をつけて2007年再々演に移ってきているということ自体が、ちょっとした驚きでもあります。

○市村正親さん(レオポルト役)
前半は正直この日は市村さんらしくない出来(市村さんが歌詞を間違ったシーンなんていつぶりに見たことやら)でしたが、後半はもう流石としか言いようがないです。

「死ぬまでおまえの顔なんて見たくない!」そう叫んだ父親は、実は自らの死期を分かっていたと思われる皮肉。
直前のシーンで、レオポルトが娘ナンネールに宛てた手紙に、「持病のリュウマチが身体を苛み始めている」と書かれていたことに、レオポルト同様、ナンネールも違和感を感じた様子(がわかるように演じられています)。

自らの力ではなしに成功した息子を認めることは、自分の存在意義の崩壊。
だからこそ、自分が生きている間には、「息子の顔など見たくない」
死んでからなら、自分のエゴを取り去って息子、そして息子の才能と向かい合うことができる、そう思えてなりませんでした。

○山口祐一郎さん(コロレド大司教役)
祐一郎さんの舞台はご贔屓とかちあうこともあって、何十回となく見ている私ですが(かちあった分でM!とレミゼ、かちあってない分でMA)、正直なことを言ってしまうと、慣らし運転という感じ。
登場シーン(「何処だ、モーツァルト!」)は流石なのですが、後半、特に「M!M!」の奇妙に棒読みな歌は、帝劇の怪人にしては、ちょっとびっくりです。

○中川晃教さん(ヴォルフガング役)
「ヴォルフガングとして初日を張るのは、実は初めて」という本人のカーテンコールコメントに、会場中が意表を突かれましたが、言われてみて思い返すと、確かに「M!」の初日は井上芳雄さん、という方程式がいままで存在していました。

初日の緊張のせいか、シャウトが必要以上に多かった気もしますが、(緊張していた)再演よりはずっと落ち着いた感じで、次に見るのが楽しみです。

○香寿たつきさん(ヴァルトシュテッテン男爵夫人役)
2005年再演(大阪・帝劇)以来久しぶりに拝見しましたが、好きな役者さんなのに、あの大ナンバー「星から降る金」の香寿さんバージョンは個人的には苦手。

初演・再演(大阪)の久世さんが歌が弱くても芝居が凄く好きで・・・改めて香寿夫人を見て思ったのが、この曲に関しては他の役者を見て歌ってないのがあまり好きではないんだなということ。
香寿さんはこの曲以外ではそういうことがないように感じるのですが、星金を歌う時、ヴォルフガングに歌いかけるのでもなく、ナンネールに歌いかけるのでもなく、むろんレオポルトに歌いかけるのでもないように聞こえるのです。
(久世さんの場合、ナンネールに歌いかけて了解もらってからヴォルフガングとレオポルトに歌う感じが、自分は好きだったりして。流れ的に自然な気がするのです)

11月中は香寿さん、12月は涼風さんということでまた違った感じで楽しめそうですが、何はともあれ香寿さんの「人は忘れる」は大好き。

○hiroさん(コンスタンツェ役)
この日ミュージカル初登板となった元SPEEDのヴォーカル。といわれなくても十分有名ですが・・・
芸名フルネームを言えてしまう(島袋寛子さん)元アイドルファンがちょっと悲しい(爆)。

製作発表で歌っていた「ダンスはやめられない」の身振り手振りSPEED風歌唱に恐れおののきつつ見てみましたが、この曲についてはマイベストコンス。
hiroさんの場合、あの喉にこもらせて歌声を発する特有の歌声が、ミュージカルとしては耳障りに聞こえるわけですが、この曲は何といっても勢い優先、声量優先。

で実はこの曲、どなたかが言っていたのですが、歌いながらやることが実に多い。歌いながら花瓶から薔薇取り出す、楽譜ひっちゃけ回す、3回転する、上手から下手に縦断するetc・・・・

この日見ていて、なんだか要素いっぱい詰め込みすぎてちょっと失敗した分がタイムオーバーになっちゃった、フィギュアフランス杯、浅田真央選手のFPを思い出してしまった(なんでや)。

台詞回しが特訓必要ですかね。
歌だとまだいいのですが、台詞が入ってくると明らかにコンスタンツェではなくてhiroさんがそこに顔を出す。そこで空気が途切れてしまうのは困ったもの。

何しろ演技巧者が勢ぞろいしているこの作品、この日の市村さんのように、多少ぶれても強引に本線に持ってける役者さんが揃ってるだけに、台詞は無論歌で我に返ることがない、それがこの作品の最大のセールスポイントだけに、何とかして芝居を及第点にまで持っていって欲しい、そう思わずにいられません。

演技方面コンスの松コンス、木村コンス、大塚コンス。
歌方面コンスの西田コンス、hiroコンス。
どちらもの安定派だと、大塚、西田の順かな。なかなか両方に合う人はお目にかかれないだけに、ああいう形で大塚コンスを手放さざるを得なくなったのが、とてももったいないなーと。

hiroさんの話に戻ると、ぐーたらコンスのコアの部分は掴んでいると思うので、あとは技術的な問題かと。
歌に関しては、ミュージカルに挑戦するのであれば、やっぱりミュージカル的な歌唱が必要じゃないかなぁと思う。

○高橋由美子さん(ナンネール役)
さて、メイン所をほぼ語りましたので、個人の趣味に移ります(笑)。

初演日生劇場で演じた時(2002年)は28歳。そして今年は33歳。
1幕「奇跡の子」で演じる少女時代は、年齢的には16歳あたりの設定ですが、寸分の狂いもなく「奇跡の少女」です。

実は由美子さんと私は同い年・月生まれなのですが、33歳ともなると、色んなところに無理がやってくるというか(以下略)、ともあれ人前で演じるプロとはいえ、さすがと脱帽せざるを得ません。
「めぞん一刻」のときに言われていた話なんですが、年齢は顎に出るのだそうで、そこはちょびっと再演(2005年)よりは、心なしか年齢を重ねた感じかもしれませんが、相変わらず上手く空気作るからその辺あまり気にならないというか。テレビじゃないし、ってのもあるのかもしれませんが。

でも正直びくびくでしたよ、「赤いコート」のじゃれあいが寒くなったらどーしよーとか(笑)
再演に比べて、あっきーをより大人に見てるような相手の仕方がちょうど良かった感じ。

「プリンスは出て行った」「終わりのない音楽」いずれも高水準安定ですが、1幕「終わりのない音楽」は若干歌声が堅め。初日の緊張ということも窺えますが、一番いいときを聞いてしまっているのでハードルが高すぎるというだけで、初見的には全然OKかと思います。

この日の小ネタで面白かったのは野菜市場でみんなに「弟は首になったの?」と言われた時に由美子さん、自分の首に手当ててたので心の中で吹いちまいました。

印象的だったのはナンネールの夫・ベルヒトルトとの「世界一の仮面夫婦」ぶり。
とにかく隙間風見えまくってます。漫画的には夫からのキスの間に、壁があるようなそんな感じ。
弟の活躍にしかすがれないナンネールも、結局は自分と折り合いをつけきれなかったところがあるのでしょう。

そういえばこの日、『MOZART!』は280回目の公演でした。
来月、12月2日の夜、貸切公演で300回を迎え、今回の楽が332回目です。
プリンシパルとして皆勤を続ける市村さん、山口さん、そして由美子さんですが、カーテンコールで小池先生に由美子さんだけ触れてもらえないのはちょっとだけ悲しかったけど、パンフで「影のヒロイン」と言ってもらえているので忘れることにします(笑)。ま、振られてもきっといつものごとくとっちらかるのは目に見えてるし(爆)。

2002年、日生劇場で幕があけて、「当たり役」として評価されて、歌にも演技にもこの役に関して言えば何か注文されているのをほとんど聞いたことがない由美子さん。
「アニーよ銃を取れ」で小池先生と組んでいたこともあって、既に「ミュージカル歌い」の素養があって東宝ミュージカルデビューというのは、この日のhiroさんと考え合わせると、ずいぶん幸運の要素があったのだなぁと改めて思わされます。

目まぐるしく変わって実に5人目にもなるコンスタンツェを迎え、よくよく考えると毎回毎回「アイドル同士の競演」(むしろライバル的な見方も)をし続けているわけですが、アイドル時代の売れ方ではhiroさんが圧倒的で、西田さんは紅白にも出てるし、松さんは格的に言わずもがななので、振り返ってみると「継続は力なり」というか、はまり役って大事なんだなと改めて思わされます。

おりしもこの日のカーテンコールの挨拶で、あっきーが言ってましたが「毎回毎回自分は最後だと思って演じている」、これが役者の本音なのでしょうね。

・・・・まぁそんなこんなで始まりました『MOZART!』再々演。

あ、言い忘れましたが吉野シカネーダー最高です。

あともう一つ。カーテンコール時のエピソードを1つ。

今回のカーテンコールはhiroさんの直後が由美子さんなのですが、
(しっかし毎回変わるなぁ)
由美子さんが満面の笑みで(実はちょっと珍しい)挨拶した後、
カーテンコールの次の人を紹介しなかった(要は由美子さんを紹介しなかったってことですが)
ことに気づいてあわててるhiroさんを目ざとく見つけて、「あ、やっちゃったね~」と茶化していたのが
意外にツボ。微笑ましく見守ってる感じでなんか素敵な空間でした。

(同じ新加入メンバーの時でも、木村さんの時には挨拶の時に苦笑い、みたいな感じだったんで。
hiroさんをカンパニー全体で応援してる感じが見えて素敵でした)

hiroさんの成長にただただ期待しつつ、自分は贔屓さん見にひたすら通います。
年内観劇はM!7回、『ウーマン・イン・ホワイト』(青山)1回(なんとなく増えそう)、『ライト・イン・ピアッツア』(ルテアトル銀座)1回。
M!2回を除き全て土日祝日観劇。年内の土日祝日はあと14日しかありませんが、うち6日が既に観劇で埋まってます。

年末、忙しいんですけど・・・<誰も信じない

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