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2007年7月

新マチベン

NHK総合 2007.7.14(Sat.) 21:30~22:30

キャスト→NHK公式

土曜ドラマ新シリーズ、全6回のうちの3回目。
高橋由美子さんがメインゲストということで、いそいそと試聴準備。

この日は台風4号が九州を縦断し、台風情報で放送中止の危機になりながらも乗り越えまして。
直前の野球中継も広島・黒田投手の100勝を飾る熱投で試合進行が早く、予定通り21時30分からのスタート(普段は21時からですが、もともとこの日は30分スライド)。

由美子さんがゲスト出演するのはシリーズ開始前から分かっていたため、1回目/2回目の放送も見ていましたが、正直言って、1回目/2回目はあまり内容に惹かれず、正直途中で観るのを止めようかと思ったぐらい。
ちなみに要約してしまうと、痴漢にあったと叫ぶ女性(黒木瞳さんが演じていました)、その女性を弁護することになった団塊の世代の新米弁護士。
しかし女性の訴えは実は根拠がなく、相手の男性が夫を会社から追い出したことを恨んでの訴えだった・・・

黒木瞳さんって雰囲気的には好きな女優さんなんですが、このシリーズの始まりに相応しく、ということで呼んだゲストということもあって、2話連続にしたことがかえって話を間延びさせた感が。

痴漢冤罪事件にして実は夫を解雇した大企業への報復というのが、いわゆる”会社人間”の団塊の世代に訴えかけるとでも踏んだのかと思いますが、印象からするとこの世代、会社に対する怨みとかがそれほどない世代じゃないかと思うんですよね。
高度成長を会社の成長とともに出世という形で歩んできた世代という意味では。
40代ともなるとその辺が多少変わってきて、30代に至っては会社への忠誠心ってどこにあるんだろう状態で・・・

40代が60代を間違って想像して創ったような感じが、1・2話には微妙にありました。
”団塊”という言葉に囚われすぎた感じ。
しかも、1.5話分の話を無理に2話にしたから間延び。

ひるがえって3話。
団塊の世代は主役の弁護士3人(渡哲也さん、石坂浩二さん、地井武男さん)しか出てきません。
6話の中で平均年齢が最も若いのがこの3話(子役が2人いるんで)。
結論から言うと、脚本の巧さにも助けられて、レギュラーもゲストも持ち味を存分に発揮しまくって、いい感じに物語が転がっていました。

この話も2話分にできればできたのでしょうが、黒木さんと由美子さんの、女優の格という部分の差で、黒木さん2話分、由美子さん1話分になっていたのが逆の意味で功を奏した感じ。

今回の3話の話は、あらすじはNHK公式に載っていますが、ネグレクト(虐待)母親を由美子さんが演じ、子供2人(息子、娘)を子役が演じています。

やさぐれた役という意味では先々月のテレビ朝日系『めぞん一刻』六本木朱美役と瓜二つですが、何というか「やる気のない女性」やると存分にはまります(笑)。

今回はDQN親ということで嫌われ役、悪役ですが、実は振り返ってみると由美子さんが悪役をやったことって、デビュー以来18年間でほとんどないんですね。デビュー年の映画『砂の上のロビンソン』でいじめっ娘役をやって以来、全くといっていいほど記憶にありません。
かろうじて、のテレビ朝日系『愛と死を見つめて』で広末涼子さんへのあてつけ役をやったぐらい。
ちなみに犯人役は1回だけ、テレビ朝日系『相棒-3rdシリーズ』最終話。

あとは今回の役とも多少通じるところがあるのが、『電池が切れるまで』でやった空気を読めないDQN母親。(でも息子は溺愛してた。離婚母だったけど。)

由美子さんの演技を見てていつも思うのが、役に対する思い切りのよさ。(昔、新国立劇場でやった『新・地獄変』の演出家さんが言ってたことがあります)

いわゆる嫌われ役って躊躇いを見せたら終わりだと思うし、「嫌われ役だけど好かれたい」みたいなのは微塵もなくて、むしろ「受けた役だから自分の役者としてのイメージがどうなろうと頓着しない」ってとこが、勝負師みたいで好き。

「自分のイメージから離れた役をやって『意外』と言われるのが好き」というのは昔からの口癖ですが、それだけに意識してDQN的な汚れ役をやることが多く、「若い頃は可愛かったのに」と「役に生きられるいい女優さん」という評価に真っ二つに分かれるのが最近の傾向。

前者は「めぞん一刻」の時はお腹で、「新マチベン」はあごだったようで(苦笑)。

正直、その辺は年相応という意味で気にならなくはないのですが、後者としてゲストとして脚本に恵まれたとはいえドラマの出来に貢献するいい演技を見せてもらえると、満足満足。

何しろ、お相手が30年上の渡哲也さんに石坂浩二さん(地井武男さんとは絡まなかったので)。
生半可な演技じゃ押されてしまいますが、気後れすることなかったのは経験の賜物。

息子娘に対して、どう接していいかわからない母親がした虐待、当番弁護士になった石坂さん演じる堺田弁護士に対して、震えながら吐いた弱音は、子供に対して完璧でいようとした母親の、悲しい心情に思えました。

息子役を演じた子役・泉澤祐希君。初見でしたけど、上手い子役さんですね。
由美子さんが演じた母親と対になるしっかり者(実際には万引きで捕まってますが、「妹におにぎり食べさせたかった」ってどこかの世界の「子供にパンを食べさせたくて牢獄に19年・・・」(※)みたいですが)。

母親から受ける愛情に飢えながらも、母親の不器用さに理解もしているという、出来た息子さん。
母親を捨てようとするも、児童相談所に送られる直前に母親に電話をし、半ば母親を試すようなこともしています。
あのシーンで母親が戻ってこなかったなら、本当に母親を忘れようとしたんだと思う。
母親が戻ってきたから、いずれ和解できる日まで、あの場では本音を言わずに母親を遠ざけたと。

でそういった2人の心情をよく読み取ったのが石坂さん演じる堺田弁護士。
1、2話観てると、自分自身3人の弁護士の中で一番好きな人なのですが、ええかっこしいインテリみたいなところはどうしても拭えなくて。
その辺の心配はあったのですが、今回の虐待される子供が、どことなく子供時代の自分にかぶるのか、当番弁護では意外と思えるぐらいの熱し方で、その熱さが子供に伝わったからこそ、子供は自棄にならないことができたんだと思いますね。

母親は与えられる愛情に飢えながら(離婚していて恋人がいて子供構わず仕舞い)、子供への愛情の与え方がわからずにいる

子供も与えられる愛情に飢えながら、母親からの愛情の受け口を必死で作ってる
意図的に愛情を拒絶することで自分の心の傷を小さくしようともがいてる

弁護士はお互いの気持ちを見抜きながらも、その場ですぐ解決しようとするのではなく、”時間”と”距離”を置いて解決させようとしたのが、”いい”弁護だなぁと素直に思うことができて。

由美子さん、泉澤君、石坂さんそれぞれがやるべきことをやってしかもお互いを慮った演技だったから、物語の説得度も大きく上がったと思うし、誰か1人欠けても、この出来にはならなかったと思う。

1,2話で微妙だった作品を、3話ゲストで「おおっ」と盛り上げたのは、由美子さんでは『雨と夢のあとに』(2005年、テレビ朝日系)もそうでした。
1話でゲストに呼ばれるほどの格はないけど、2番手として呼ばれておいしいところを持っていく、ってのが得意技として定着すれば、仕事もより安定するかも。

久しぶりのクリーンヒットだったから、次の『水戸黄門』(8月13日放送)にも期待。

その前に「火曜サスペンス・軽井沢ミステリー」コンビの菊池麻衣子さんとの仲良し沖縄旅行、『いい旅夢気分』(7月18日放送)もあるから、何気に今年はテレビの年だなぁ。


(※)「ジャンバルジャンという男が、パンを一つ盗んで、牢獄に19年、罪を汗で清めた」。『レ・ミゼラブル』のこと。この日のマチネを観てたんで、何だか妙に話がダブった。

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