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『メタルマクベス』

2007.2.11(Sun.) 新宿バルト9 15:20~17:05、17:20~18:40

新宿初シネコン、新宿バルト9のオープニングシリーズ、ゲキ×シネ第1弾となる同作品。

舞台の上演は2006年春ですが、2006年見に行きたくて唯一チケットが入手できず(と都合が付かずに)に涙を飲んだこの作品、DVDが既に出ていますが後回しにして、ゲキ×シネで初の遭遇です。

演出とかストーリーとか、実は余り興味がなくて。

ちなみに簡単に説明してしまうと

「マクベス」の世界を過去の世界と、現在より少し前の世界のメタルバンド「メタルマクベス」とシンクロさせて見せる

って感じでしょうか。

ランダムスター(マクベス)が内野聖陽さん、ランダムスター夫人が松たか子さん、レスポール王(夫人の煽動によりランダムスターに暗殺される)が上條恒彦さん。

この作品、自分の興味は、「松たか子嬢がどこまで凄いのか」という、ただ一点でした。

す。すごひ。

松さんが演じるのは歴史上のランダムスター(マクベス)夫人と、現世のマネージャーの2役(見た感じフリーのやり手プロモーターぽいところも)。

新感線初出演の松さんですが、
お遊びからシリアスまでここまでこなすとは、普通の女優さんと格が違いすぎ。

顔は崩すわ変踊りするは、ドス効かせて歌うは、赤セーターだわ(松さんいわく「新感線最初の衣装がこの衣装と物真似だとは・・・と、一生心に残る」そうです・・・笑)、内野さん演じるランダムスターを蹴飛ばすわ、松さん本人曰く「生まれて初めて言って、舞台が終わってからは言ってない」とんでもない台詞があったり(一応・・・・梨園のお嬢様なんですよね(爆笑))、かと思えば、まさかこの世の中で井上&笹本のミーマイコンビよりすごいバカップルが見られるとは思ってなかったし(笑)。

つか、いのうえさん、松さんを弄ぶのを楽しみまくったっぽいですね。

松さんもここまでコメディチックに役をやったことは多分ないんだと思うんですが(自分の見た数少ない経験の中では、「モーツァルト!」のウェーバー家3姉妹のお馬鹿晩餐準備ぐらいしか記憶になく・・・・あれもかなり構えた感じがあったしコメディチックといってもかなり寒かった)、ただひたすらに物語のスピード感についていった感じ(だからたまに奇妙に不自然なところはあったりする)。

コメンタリーで恥ずかしがってるあたりは妙に面白いんですが、もともとカーテンコールが「素に戻るので苦手」と言ってる人なだけに、自分の演技を見るのは恥ずかしいらしいですね。

現世の芸能事務所マネージャー役は、この舞台で王様Jrを演じていた森山君と共演していたCX系「役者魂!」の元ネタとも思えますが、宮藤官九郎氏脚色・いのうえひでのり氏演出のこの作品で、あんなにリミッター外しまくって新境地を開いていた松・森山両名が、テレビドラマではなんであんなに魅力なく見えたんだろ、と今ごろ季節はずれのため息。(ちなみに4話だったかで脱落しました。)

そういえば変踊りで思い出したんですが、どことなくキャラが「花の紅天狗」の上川端麗子さんに見えたり(川崎悦子先生の持ち役)したのに笑ったり(まぁ今回の振り付けも悦子先生だから分からんでもないですが)。

で変踊りはちょっと前なら高田聖子さんのやりそうな立ち位置だなぁとか。

作品のスケールが一気に大きくなってしまっているから、ヒロインも松さんレベルを持ってこないと、どうにも作りようがなくなっている印象を感じます。

歌も初見の「モーツァルト!」コンスタンツェ役や「ラマンチャの男」アルドンサ役で感じた、「ちょっと無理した声出し」から脱皮して、「ミス・サイゴン」のキムで化けたせいか、多少危ないといえども芝居歌としてはちゃんと成立してて、痺れます。

翻って芝居のシリアス方面の話をしますと、女性が男性を煽動する構成になってますが、1幕で松さんの作り出す強さと内野さんの演じる脆さは壮絶な説得力を感じさせて。
男を動かすのは女性の狂気なんだなぁと、痛感させられてしまうのです。

夫を煽動して動かしながら、許容量を超えてしまった時の壊れ方も、壮絶なものがありました。「小さなものだけ求めていればよかったのに」と呟く姿。
「もっと上手くやれればよかったのに」と言われるよりは、人間的で納得したかな。

「小さなものだけ求めたら、それ相応のものしか得られない」のかもしれません。逆説的には。ただ「大きさ」「小ささ」だけでは測れない幸せがあるということを、隠喩しているようにも思えました。

「もっと相応しい死に場所があったろうに」という内野さん演じるランダムスターの台詞は、男だからこその感情というか、なんか納得するものがありました。

女性が男性を扇動する「悪女」の象徴のような位置づけのマクベス夫人ですが、松さんの演じたランダムスター夫人はなんだか転落していく様にどことなく隙がある気がして。

ストレートでなく音楽劇だからそうなのかもしれないけど、「とことんまで悪女を貫く」予想をしていたので、後半のそこはかとなく道化師的な動き方は、ちょっと意外ではありました。

一分の隙もない狂気を実は期待していたのですが、この作品のランダムスター夫人は隙あればこそ、物語がただ陰鬱に終わらない効果を出しているのかもしれません。


会場限定で舞台パンフレット(3000円)も販売中。DVDも松さんの男前コメンタリーを聞きたくて(通常版とはいえ)買ったんで、映画1回分含めて福沢諭吉先生が1枚飛びました(笑)。

そういえば新宿バルト9、新宿三丁目駅下車とありますが、丸の内線の駅からは少し遠く、どちらかというと都営新宿線の方が近いです。(来年6月開業予定の東京メトロ副都心線の新宿三丁目駅が一番近くなります)

スクリーンが9つもあります。9階が入り口で、9・10・11階にそれぞれスクリーン3つずつ。(1~3が9階、4~6が11階、7~9が13階。1階からのエレベーターは9階止まりです。)

入れ替え時間が重なると3基(各24人乗り)のエレベーターで運びきれずに、かなり待たされます。
開演20分前までにエレベーター前に着くか、むしろエスカレーターの方が早いです。

なお、「メタルマクベス」開始前に、「SHIROH」「アオドクロ」「アカドクロ」と、ゲキ×シネ上演の逆順に予告編が流れます。また、3作品ともバルト9用の新チラシが入っています。

とりあえず次の新宿バルト9詣では来月の「SHIROH」までお預けですが、いい物を見せてもらいました。個人的には寿庵'sアップシーンを見れたので良かったし。(「SHIROH」予告編)

そういえば文章中、「ランダムスター夫人」を何度となく「ランベススター夫人」と書き間違えて書き直しました。
ランベスじゃミーマイだってのそれこそ(苦笑)。

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