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2007年1月

『MOZART!』(15)

年始1月1日、2007年最初のお楽しみはこの作品の再々演の発表。
読売新聞別刷りに、その年の帝国劇場公演の広告が出るのは毎年の恒例ですが、今回は事前に噂で公演の発表が出ていたこともあり、いつもは長寝する元旦もいそいそと起きて、広告見るなりほっと一息。

正直、ここまでメンバー変えずに来るとは思わなかったので、意外の念はあります。

ちなみに、今回は2005年の再演メンバーをほぼ継続。
ヴォルフガング:井上芳雄・中川晃教のWキャスト
ヴォルフの父親・レオポルト:市村正親
ヴォルフの姉(※1)・ナンネール:高橋由美子
ザルツブルグの領主・コロレド大司教:山口祐一郎
ヴォルフのパトロン・ヴァルトシュッテンテン男爵夫人:香寿たつき、涼風真世のWキャスト
現時点では、ヴォルフの妻・コンスタンツェ、劇場支配人・シカネーダーは未発表。

涼風さん加入以外は、再演メンバーどころか初演メンバー。

※1:読売新聞の広告では「妹」になっている(笑)
東宝らしいなぁ・・・・

この作品は初演が2002年・再演が2005年、
そして今回が2007年11月19日から12月25日まで(帝国劇場)。
徐々に再演のスパンが短くなっていますが、初演から見続けている舞台なだけに、他の東宝ミュージカルとはちょっと違った印象を持っている作品でもあります。

特徴的なのは、何しろキャストが少ないこと。
複数キャスト症候群の作品に比べて、同時点の役者は最大Wキャスト止まりのこの作品。

3演目になっても、プリンシパルの合計人数(延べじゃなく)は
6役でたったの13人。(現時点)
コンスタンツェと男爵夫人がそれぞれ最多の4人(松、西田、木村、大塚/久世、香寿、一路、涼風)、Wキャストのヴォルフが2人(井上、中川)、でシングル3人(市村、山口、高橋)となる超ミニマム所帯。歴史が浅いせいもあるのか、他作品でよく見られる複数役経験者もいません。

比較するなら、レミゼが2003年以降だけに限定しても、9役で70人だし、サイゴンに至っては2004年の再演だけで7役で23人(※2)。
「MOZART」の作品の特徴はある意味「大いなる安定感」に尽きるかと思います。(※3)

※2:いずれも複数役を演じた方はそれぞれでカウント。ふう、数えるだけで疲れた(苦笑)

※3:ちなみに
レミのイメージは「重厚感」
サイゴンのイメージは「現実感」
MAのイメージは「空想感」
SHIROHのイメージは「事実感」
って感じでしょうか。

何しろ2007レミが理論上組み合わせが約300万通りになってみたり、2004サイゴンが約4千通りになってみたり、カンパニーのまとまり上、いささか首をかしげてしまうのに対すると、2007モーツァルトは恐らくキャストの組み合わせは最大8通り(ヴォルフ、男爵夫人、コンスタンツェがW配役で、全組み合わせがあると仮定した場合。2005年の時のように期間代わりになった場合、更に減る)にしかなりません。

「ダンス・オブ・ヴァンパイア」、「マリー・アントワネット」と、女性ヒロインがWになる以外、全て同じキャストでやる、ということが続いたことを考えると、Wはおろか、トリプルクアトロ当たり前の作品と、二極化しているということなのかもしれません。

いずれにせよ、リピーターを前提とした複数キャスト作品と比べると、「モーツァルト」のキャスト陣は実に玄人好みというか、知名度に頼らないというか。
今回のキャスト中の一般知名度は市村さんが群を抜いて、涼風さんが少し離れて次、で由美子さんが少し離れて次、その後はほとんど知られておらず・・・・というのが実際のところなわけで、どうやって客を引っ張ってくるのか正直、不思議でしょうがなかったりするわけです。

しかも初演2002年、再演2005年まで中2年丸々空いたのに、再々演は舞台の世界では「すぐ」という時間軸に近い中1年の2007年。

あえて客引きに頼らずにどっしりと正攻法で攻める愚直さが、何だかこの作品がいとおしく感じる理由でもあります。(2005年は4大都市の割に困っちゃうほど劇場外の盛り上がりは薄かったのに・・・・それでも大楽はさすがに大盛り上がりではありましたが)

が、やっぱり売れて欲しいのがもちろん本音。

音楽の爽快さを感じられる「僕こそ音楽」(井上ヴォルフが好み)、運命のエネルギーを思い知らされる「影を逃れて」(中川ヴォルフが好み)もいい。

何といっても歌の迫力ならコロレド大司教。山口祐一郎さんの持ち役では「ダンス・オブ・ヴァンパイア」のクロロック伯爵と並んでお気に入り。祐一郎さんはやっぱりMAXに歌い上げてもらってその歌声に酔いしれたい。

芝居なら渋味全開のレオポルトも、市村さんならではの役作りでこの役が「父親役としては初めて」というのが信じられないぐらい。

ナンネールは贔屓の自分から見ても「どっからどーみてもナンネール」(※4)。自己主張できなかったであろうあの時代の女性の哀しみをそれが実体であるかのように演じられる「歌うフランス人形」。
誰がこの役回りを継ぐのかわからないけれど、ひとまず今回は女性キャスト唯一の完走組の底力を期待。(※5)

そしてなんといってもエンターテインメントといえば吉野圭吾さん演じるシカネーダーですよぉ。まだ続投発表がありませんが、あの立ち振る舞いの華麗さと、胡散臭さを残しつつ存在感をアピールするあの絶品な楽しさはちょっと他に真似できないという。(※6)

※4:この言葉の著作権自体は
駒田一さんにあるのがちょっと不思議(笑)。@V!ブログ
※5:デビュー以来、20数作品1000公演近くやっている由美子さんですが、体調不良を含めた休演が1回もないのは、タフさの証明かも。(他キャスト休演に伴う彼女自身の代演が、サイゴンで1回だけあり)
※6:名古屋・中日楽「しらねーだー」のネタ元は吉野さん曰く→HP、これも由美子さんだそう。


とここまで書いてくると、初演キャストからメンバーが毎回変わってるコンスタンツェ、ヴァルトシュッテンテン男爵夫人に思い入れが少ないことに気づいたり。

コンスタンツェは「芝居の流れを邪魔してくれなければいいや」ぐらいにしか思ってなかったりするんですが、初演で松たか子さん&西田ひかるさんが演じた当時が役としても位置づけが高かったように思えます。
が、そもそもはそれほど目立つ役でもないようで。今回に至っては読売広告に載ってないことからして、優先順位がいたく低く位置づけられているように思えます。

今までのベストコンスは何気に再演の大塚ちひろ嬢だったりします。松さんほど存在感はないけど、松さんは正直この役は任でなかったというか、あらゆる意味で強すぎたので、「壊れていく過程に必然性がある」ちひろ嬢は、「自分に自信がない」役どころにぴったりだったように思えます。

ちひろ嬢はハイテンションとローテンションの落差が大きい、とは由美子さん談。落ち込んじゃうと手が付けられないみたいですが、コンスタンツェ&サラを演じて、彼女自身も自信をつけた印象があるので、ぜひまた見たいなと思ったりします。

今までの慣例だとコンスがWキャストなので、あと1人が誰かな・・・って感じですが、自分的に見てみたい笹本玲奈さんがこの時期、別の舞台なので見られないのが残念。(※6)

※6:「ウーマン・イン・ホワイト」/青山劇場

男爵夫人は香寿さんは安定感抜群でまた見たかったから大歓迎。

新キャストの涼風さんはそろそろちょっともういいかな・・・・みたいな。
「あずみ」の2役は抜群に良かったけど、彼女は油断すると普段の不思議キャラが前面に出てきて遊びすぎるつーのか、「ミーマイ」のマリアも後半は浮きまくってた(※7)し、「マリー・アントワネット」も1幕のお馬鹿キャラ作りがどうにも主人公としちゃ感情移入妨害型だし。しかも1週間前まで同じ帝劇で「イーストウィックの魔女たち」ですか・・・ちょっとやりすぎな気が。

※7:某所でこの役を由美子さんに推してる人がいて軽い絶句状態になったことが。そりゃ不思議ちゃんなのは似てるから面白そうは面白そう。
ミーマイも今となっては井上&笹本コンビで10年やれそうだけど、唐沢さん&由美子さんの組み合わせも何気に面白そうではあったかも。それも今となっては新宿コマであんだけお馬鹿カップルやってりゃ、説得力があるようでないんだけど(苦笑)。


再演の帝劇・2005年8月23日マチネで200回記念公演を迎えたこの作品。博多座の大楽(2005年11月30日マチネ)が279回目だったため、今年の帝劇の21回目が、300回記念公演にあたります。
楽も平日だし、これも平日にあたりそうな気がしないでもなく・・・・公演期間37日で、週1休みで計算すると、おおむね50回ぐらいの公演と推定されますので、だいたい330回ぐらいで再々演は幕ということになりそうです。

思い返せば、帝国劇場に初めて足を踏み入れたのは、この作品の初演、2002年12月。
当時は同一公演を複数回見るなどという考えはなくて、日生(2002年10月)で1回、帝劇で1回が初演の観劇。
他の作品は全キャスト制覇をはなから諦めていますが、この作品は何の巡りあわせか今まで全キャスト体験継続中で、今回も恐らくそれは続けられそう。

高橋由美子さんの帝劇デビューがこの作品で、「夢だった帝国劇場に出られて、こんな素晴らしいメンバーの中で芝居ができて、人生最大の喜び」と記者発表で彼女自身が語ったのが2002年6月。

そこから彼女の帝劇住まい(?)生活が始まり、私自身も帝劇通い生活が始まり。

MOZART(2002年・38回、2005年・76回)、レ・ミゼラブル(2003年・41回)、ミス・サイゴン(2004年・68回)、SHIROH(2004年・31回)と帝劇合計出演回数はここまで254回、彼女自身の帝劇出演回数も300回を迎えそうです。(※4)

※4:ちなみに自分自身の由美子さんの帝劇観劇が、40回番台後半になっているので、今回確実に50回を越えます(苦笑)

帝劇公演にしては異常なまでにチケット発売が遅い(9月発売予定)なのは、この作品の1つ前、『イーストウィックの魔女たち』(2003年12月公演の再演)から、東宝テレザーブ自らホームページでのチケット販売を開始するための準備と思われます。
ネット販売についてはようやく・・・・と遅きに伏した感はありますが、便利になるのは間違いないわけで、楽しみなところです。

本文中でちょびっと触れた『イースト』は大浦みずきさん見に行けるのが楽しみ。何だかんだ言っても、今年後半は帝劇通いが結局確定しました。

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