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『ダンス・オブ・ヴァンパイア』(1)

2006.7.2(Sun.) 17:00~20:15 泉見&剱持
2006.7.8(Sat.) 17:00~20:00 浦井&剱持
2006.7.9(Sun.) 17:00~20:00 浦井&大塚

帝国劇場、夏の2ヶ月公演。『ヴァンパイアの舞踏』と訳されていたウィーンミュージカルの日本初演。公演初日、そして役代わりで合計3回、観劇してきました。

見た初日に書かなかったところに思い入れの地味さが現れてますが、何はともあれWキャストのアルフとサラをさらっと3回でざっと見。

全般的に言うと、帝劇前月の『ミー&マイガール』に引き続き、「楽しんじゃったもん勝ち」が別の方向性で続いている感じ。
一応コメディーらしいのですが、あんまりその感じがしないのは演出故なのか・・・

ただ正直、前月の「楽しんじゃったもん勝ち」の作品が、1幕・2幕それぞれにお楽しみ箇所があったのに比べると、ラスト10分でこの作品の楽しみの9割方があるとしか思えない今回の作品は、お買い得感は薄いかも。

何しろ、私も男のはしくれなもので、ヒロインに感情移入できない作品は見てて辛いのですね・・・

確かに、市村正親さんの考え尽くされた小芝居のおかしみとか、吉野圭吾さんのスーパーパフォーマンスに度肝抜かれて大笑いさせられたり、山口祐一郎さんの美声に身体の隅まで酔いしれてはいるんですが、それでもやっぱり、男性の美技に酔いしれるのには限界があるわけで。

Wキャストのサラは剱持たまきさんと大塚ちひろさん。

剱持さんは『レ・ミゼラブル』コゼット役に『屋根の上のヴァイオリン弾き』ホーデル役を見て、拝見するのは今回3役目。ソプラノが音域ですので、1幕はすごく綺麗な歌声を聞かせてくれるのですが、2幕に入って地声モードの曲が続くとさすがに声が細いのがどうしても伯爵役の山口さんとはバランス良くなくて。悪くはないけどもうちょっと、迫力が欲しいなぁと思うのです。
「私もう18」と言っている人が実は三十路直前というのは、あえて触れないことにいたしましょう(苦笑)。
や、「悪くないね」(アルフ風に)。

大塚さんは『SHIROH』リオ役に『MOZART』コンスタンツェ役を見て、こちらも今回3役目。
剱持さんとは真逆で、ソプラノが突き抜けない代わりに地声は迫力有り。
でも、リオ&コンスタンツェを見た自分から言ってしまうと、声が汚くなったなぁというのが正直な感想。もっとクリアーな音が出せるはずだと思っていただけに、実はちょっとショックでした。前の2役はかなり音響効果を弄っていたというのは分かってはいるんですが、迫力があれば声質や音階がどうだっていいとは正直自分は思えない・・・

唯一良かったのは、2幕最後の方の、

ネタバレ反転↓

伯爵にかまれてヴァンパイアになった後

豹変してからの表情がヤンキー入ってたところ(笑)。ここは剱持さんは綺麗に作りすぎて、”お嬢様”抜けきってなかったのですが、さすがヤンキーコンス(※1)経験者、そこは絶句するほど怖かった。

(※1)昨年11月に個人的に命名済

ただ実は。
この作品で一番惹かれてしまった女性はといえばサラではなく、いわゆる「影武者役」のダンサーサラを演じた加賀谷香さん。経歴を見ると正にトップクラスの技能を持った方ですが、その経歴はダテじゃなく、素晴らしいダンスを見せてもらいました。
一流の人の技ってこういうものなのね、ということを実感。

だからサラももう少し、声が綺麗で地声も出せる人を、何とか探してもらえはしなかったのだろうか、とちょっと思ってしまうのです。
お風呂シーンもさんざ「セミヌード」とか脅かされてた割に、あれだとフツーとしか思えない(役者さんが「脱ぎたくない」なんて言うようなものには思えない)。
前月がミーマイじゃなけりゃ笹本さん、ぴったりだったのになー

この作品が日本上陸が噂され出した頃、サラ役に噂が上がってたのはその時期日本初演をやっていた同じウィーンミュージカル『MOZART』のヒロイン・松たか子さんとサブヒロイン・高橋由美子さん(※3)。
でも今回の作品を見終わった感想としては、正直この2人がやるには役不足(※2)な役だなぁという。サラってこんなに小さな役だったっけ、というのが正直な感想でした。

(※2)「もったいない使い方」という意味です、念のため。
ちなみに結果論から言うと2人とも6月まで別の舞台に出てたので今回のスケジュールでは無理でした。

(※3)とりあえず先月の新宿コマを見る限り、18歳の役も大丈夫(笑)

自分は今までヒロインを選んで舞台を見てきたんだなぁということを、痛感させられてしまう次第。
何だか変な話ですが。

2幕最初の螺旋階段で歌われる歌(「愛のデュエット」)の海外版動画を見たことがあるんですが、ものすごいド迫力で、少なくとも現サラの2人にこれ歌わせたら1日で喉つぶれそうな感じでしたので、どうするのかと思ってましたが、なんだかソフトなささやきデュエットになってて、やっぱりちょっと淋しかった。
祐一郎氏の歌は絶品なんですが、ボリュームがどうしても抑え目になってるのが寂しい。ちひろ嬢はけっこう張り上げ系でパワフルではあるのですが、前述の通りに声が綺麗じゃないのが聞いてて辛い・・・

祐一郎氏の歌は『MOZART』のコロレドが実は一番好きな私。
つか相手が井上君に中川君だから、リミッター外して歌いまくってるわけで、相手に合わせた歌はわざわざ祐一郎氏で聞きたいとは、実は思わなかったり。

閑話休題。
この作品、実はコメディーなのですが、初見で自分が一番笑ったのはサラの

ネタバレ反転↓

「お風呂にも入れるのねー」

でした。そういや、サラってお馬鹿キャラの超天然だったなーってことを思い出したのでした。

アルフは個人的な好みは浦井君。『ミス・サイゴン』『SHIROH』に続き3作品目だった泉見君よりも自分的には好きな演技構成でした。何というのか、純粋なアルフの感情が、自然に表情に乗ってた感じが自分は好きでした。

ほか、女性陣では宿屋の女将さんを演じた阿知波さん。この方の必要十分な芝居は『MOZART』でも拝見させていただいておりましたが、とにかく余分なものをすべて殺ぎ落とした磨きぬかれた演技が素晴らしいです。2007年レミゼでテナルディエ妻に復帰されますが、この方は絶対見たいです。

と2007レミゼキャストの話になったところで、とりあえず個人的に気になるキャストは

橋本バルジャン、禅ジャベール、山崎ファンテーヌ、辛島コゼット、阿知波テナ妻

辛島さんは経歴見る限り、とにかく歌のコゼットそうなので一度は。

とりあえずネタのために見ておきたいのは

神戸エポニーヌ、菊地コゼット

菊地美香嬢に関してはデカレンジャーも舞乙Himeも見てた自分(爆)。
とにかく器用な人なので期待してます。

そういえば2階B席は常連のみなさまのリピート席。
「アンサンブルがほとんど変わってる!20周年のSP公演から始まるってのに、素人同様のアンサンブルの前でやってもらうのってどうなのよ~」と幕間に叫んでいた女性がいました。

・・・・気持ちはすごーくわかります。

それと知念エポニーヌだけは見ないで通したい・・・・
舞台降板して子供作りに入ったときに見放した人なので、それを1年足らずで戻す東宝という会社がまったく信用できません。
子供作るの悪いというんじゃなくて、人に迷惑をかけるのはプロとしてどうなのと。

知念嬢がなんでそこまで優遇されなきゃいけないのか全然納得できない・・・

話戻って『ダンス・オブ・ヴァンパイア』、実はあと4回分(たまきサラ1回、ちひろサラ3回)B席を持っているのですが、正直、たまきサラ1回を残して止めちゃおうかな・・・という気分になってます。

祐一郎氏の美声はまた聞きたいんですけど、出番少ないし。
あの哀愁を漂わせた独特の空気、伯爵の孤独さを上手く表現してて流石と思うんですよね。
ダンサーも凄いし、各所各所には「おおっ」と思うところあるんですけど、作品全体としてはどうも消化不良気味。

なんか、年末の『MA』の方が外さないような気がしてきて、そっちに傾こうかなと。

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コメント

こんにちは
いつも面白い感想で楽しませていただいています
帝劇でのみの公演なので浦井アルフ&ちひろサラで
1回しか観れませんが、事前に心積もりができました
ヤンキーコンスでサラ、ちょっとだけ楽しみです

投稿: 小凛 | 2006/07/11 09:35

小凛さん、コメントありがとうございます。
(ココログのメンテナンスでコメントが遅れまして失礼しました)

今回は何気に辛口でしたが(汗)、めげずに楽しんでいただければ幸いです。
浦井&ちひろペアは若いというより幼い感じが残るカップルという感じでした。
また、ご覧になった感想をお聞かせくださいませ。
・・・・と、めげそうなので背中を押して欲しい私でした。

投稿: ひろき | 2006/07/14 00:02

はじめまして。私は最近ミュージカルの世界にハマリ出し、今回このブログを見付け拝見して、コメントさせてもらいましたm(_ _)m先日のHUMANITY観劇が(生の)ミュージカル初観だった私ですが、高橋由美子さんのファンになってしまったので沢山の情報は嬉しいです。あと私も『ダンス・オブ・ヴァンパイア』8日に見に行きます。今私も期待していますが、まぁあまり莫大な期待は持たず行ってきたいと思います(笑)

投稿: ネール | 2006/08/01 21:41

ネールさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。気ままに書いておりますが楽しんでいただいて幸いです。由美子さんの次回作はパルコ劇場ですのでこちらもぜひどうぞ。今回、初見の方には若干の先入観を持たせてしまうような文章で恐縮でしたが、よろしければ観劇後の感想もお聞かせくださいませ。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: ひろき | 2006/08/02 01:35

こんにちは。お返事も頂けて嬉しいです♪
はい『GOLF』とても楽しみにしていますo(^-^o)(o^-^)o
ここにもまた『GOLF』の記事を書いて頂けるのも楽しみです(o^∀^o)
あっ由美子さんの記事も♪
 あと、私は自分のURLを持っていませんが、URLの欄に入力が無いとこちらに投稿出来なかった為、
他のものを入れてしまいました。ふざけている訳ではありませんが、申し訳ありませんm(_ _)m

投稿: ネール | 2006/08/03 15:12

ネールさん、またまたありがとうございます。
ココログの仕様でメールアドレスとURLどちらかは必須のようで・・・・使いにくいんですよね。

『GOLF』はつい本チラシをパルコ劇場までもらいに行ってきました。先行もぼちぼち始まってますんで、通い倒すつもりです。地方は新潟だけになりそうですが。
由美子さんはこの作品ではキャディ役ですが、日本版オリジナルの役のようで(まぁ海外にキャディそのものがないですね)どうなっていくのか興味深々です。

投稿: ひろき | 2006/08/04 00:38

お風呂大好きヤンキーちひろサラ観てきました!
ひろきさんのヒロイン観察はほんとに的を得てる!!!
お城のお風呂で「あんたなの?」って言い放つところとか
最後の悪そうな顔とか地だなと思いましたよ(笑)
>祐一郎氏の歌は絶品なんですが、ボリュームがどうしても抑え目
これは、もしかしたら祐一郎氏自の為かもしれません
お休み開けの歌も体が反応しにくくなっているようですし
あの歌い方が祐一郎氏の喉の為にはいいのかもしれません
ファルセット気味に抜いてから力を加えていくロングトーンも
音割れしてて、痛々しいです
昔なら気にせずに歌えたところなんでしょうけれども。
祐一郎氏の過渡期だと思うのでMAも見守りたいところです。
観劇の感想を書きましたのでTBさせていただきますね

投稿: 小凛 | 2006/08/11 09:51

小凛さん、コメントありがとうございます。
お褒めに預かり恐縮です(ぺこ)
私のV!は昨日のソワレで終わってしまいました。
明日あたり『ダンス・オブ・ヴァンパイア』(2)を書いて自分なりには区切りつけようかなと思ってます。

観劇レポも読ませていただきました。他ではあまり見ないタイプの感想が新鮮でした。感想一つ一つがまとまってて簡にして要、見習いたいです。

投稿: ひろき | 2006/08/13 00:26

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