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『雨と夢のあとに』舞台版(1)

2005年春クール、テレビ朝日「金曜ナイトドラマ」枠で放送された連続ドラマの舞台化作品。キャラメルボックスサマーツアーとして、テレビ版でも脚本を担当した成井豊氏、真柴あずき氏が舞台版も演出。

テレビ版放送時にどっぷり浸かったこの作品。
その頃の感想はこちら→とぶ

並々ならぬ思い入れがあるので、舞台版はどうかなと、期待半分・不安半分で見に行って来ました。脚本演出は何せドラマ版と一緒のお2人ですので、何も心配してはいないのですが、キャストは当然のことながら総入れ替えとなり、この辺りが幸とでるかそうならないか、そちらに不安が多少なりともあったわけです。

テーマ曲はテレビ版と同じ奥田美和子さんの『雨と夢のあとに』。
この曲聴くとやっぱり空気は雨夢ワールド。一瞬であの空気に戻せるこの曲のパワーは凄いといつも思う。


以下は内容的にネタバレを含みます。ネタバレお嫌いな方は、テレビ版感想のリンクも行かないのが吉かと思います。


何故かと言えば。

要はテレビ版のダイジェスト版といって差し支えないかと思います。
ストーリーが多少はしょられている程度で、ENDまで全て同じ。

ゲスト幽霊が毎回(第8話以外)登場したテレビ版と比べると、今回の舞台版に入っているのは第4話(バンド親子)と第9話(テレビ版は上川隆也さんだったシーン。舞台版は三浦剛さんが演じています)だけで、他のエピソードはありません。
何せテレビ版で10時間かけてやった作品を2時間でやるわけですから、相当なかけ足で、テレビ版が持っていた「ゆったりとした時間進行」はいきおい、なくならざるを得ないわけです。

キャスト別に言いますと、あくまで個人的な好みでどっちかを選ぶとするなら、

テレビ版の方が良かったなと思うのが

雨(黒川智花さん)、朝陽(沢村一樹さん)、暁子(木村多江さん)

舞台版の方が良かったなと思うのが

北斗(畑中智行さん)、マリア(岡田さつきさん)、霧子(楠見薫さん)

どちらもそれぞれいいなと思うのが

早川旦那(テレビ版はブラザートムさん、舞台版は久松信美さん)

という感じかなと思います。

まずは主役の桜井雨役、舞台版は福田麻由子さん。
正真正銘の小学生(6年生、12歳)がここまで出来るのは正直言って凄いです。間違いなく末恐ろしい逸材です。
が。いかんせん声質が硬いのがテレビ版の黒川さんに比べると少しく冷たい印象を受けます。
黒川さんと沢村さんの間のどことなく「暖かい空気」がすごく好きだった自分には、舞台版で福田さんと岡田達也さんが醸し出す関係は、ちょっと距離があるように思えてしまうのです。
あと違うところといえば佇まいに「弱さ」を感じさせて、ストーリーとともに「強さ」を得ていった黒川さんに比べると、福田さんの場合は最初からかなり「強い」空気を纏っています。実年齢は福田さんと黒川さんは4つ違いますが、印象からすると、黒川さんは登場時はすごく心細げで頼りなげで、経験するごとにぐぐっと大人になっていったのに対して、福田さんは最初からかなりの大人びた空気を持っていて、それが最後まで貫き通されたような感じがします。(印象では黒川さんが最終的には年相応に福田さんを追い抜いた感じ)

あえて言うなら、テレビ版は「雨の成長の物語」の側面が垣間見えたのに比べれば、舞台版は時間の短さもあいまって「雨に起きた出来事」の側面が強く見えたように思われます。

一例を挙げるならラスト場面、朝陽が雨に秘密を打ち明けるシーンの雨の返事は、テレビ版では「雨の成長」を表現するカタルシスを持っていたわけですが(最初の頃の黒川さん演じる雨ではあの台詞を言うと嘘になってしまう、成長したから言える台詞だと思う)、最初から強さを持っている福田さん版だと、その辺りがちょっと感動には弱いかな、とか思ってしまう。

最初からこの台詞言えそうだよとか
ほっくん尻に敷かれてるよほっくん(笑)とか

初見ならストーリーが早く進みすぎると思うし、テレビ版を見ている自分にしてみれば雨と朝陽の関係は物足りなげに感じてしまうのです。

朝陽はキャラメルの劇団員でやるなら確かに岡田達也さんしかいないだろうし、相手役の福田さんを12歳と思わないで相手しているのは、そりゃもう凄い光景なんですが、何だろう、前作の『ミス・ダンディライオン』の相手役を思い入れ入れすぎて見てしまったからか、なんだか「どこを見て演じていいか戸惑って」いるように見えてしまう。

その時岡田達也さんの相手役だったのは何しろ相性抜群の岡田さつきさんだったからなのですが、彼女は今回は雨の実の母親になるマリア役。テレビ版では杏子さんが演じていました。

テレビ版の杏子さんは嫌いとまでは言えなかったけど、無理にヒステリックな感じが痛々しすぎて正直自分は苦手でした。ところが舞台版はキャラメル役者中一番推しの岡田さつきさん。

杏子さん同様けっこうひどいこと言って雨を追い詰めて(るように見え)るのに、なんだかマリアの肩持ちそうになってる自分が怖い(苦笑)。役者で芝居を見すぎるのも良し悪しだなぁと思うけれど、マリアの言い分をただのエゴイストとして見せていないところに、さつきさんの巧さがあるように思えます。

雨を支える隣人・小柳暁子役は、舞台版では岡内美喜子さん。何度か拝見していますが、ファンの方には申し訳ないのですが、正直、私は苦手な役者さん。
(振り返るとDVDで『SKIP』、生で『クロノス』『TRUTH』『ミス・ダンディライオン』『広くて素敵な宇宙じゃないか』と全部で6作も見ているのにびっくり。つか『広くて素敵な宇宙じゃないか』はDVD出たのね。こちら 次回買おう。)

何というのか、役としてのエネルギーが上手く昇華されて伝わってこないというのか、やっぱりなんだかんだいっても自分にとってのキャラメルボックスの良さは押し寄せてくるエネルギーの強さだと思うので、キャラメルであえて彼女の演技を見なくても、という気持ちが、正直、してしまいます。

そんな気持ちとはいえ、今回はなかなかいい存在感を出せていたように思います。が、この役はテレビ版の木村多江さんがあまりにハマり役でしたから、比べられるのが可哀想なんですよね・・・・

役者さん一人一人を全員書いてると凄まじい長さになりそうなので、あとは短めコメント。

久松さん、早川の熱さを上手く演じられていて素敵です。

篠田さん&青山さん、朝陽が実家で頭を下げるシーンは、テレビ版同様泣かせていただきました。息子を思う気持ちを暖かく掬い上げていたシーンは、すごく感動でした。
一番良かったのは舞台版もテレビ版もここのシーンかな。
父親に朝陽の姿が見えてるのが(いい意味で)ショックで泣ける。

全般的な印象としては、
テレビ版の気持ちを引きずりまくってはしまったけれど、締まるところは締まって、分かりやすくまとまってはいるように思います。
あとは笑いが分かりやすくていいです。テレビ版はシリアスホームドラマ風でしたが、舞台版はシリアスギャグドラマ風かも。特に畑中氏演じるほっくん(北斗)と他の人たちの絡み(特に篠田さんの突っ込み)最高です。

あと2回見るので、特に雨役の福田さんが演じるごとにどう変わっていくか、感受性の豊かな彼女の成長に期待。

そしてこの日の翌日は休演日。ご挨拶の岡内さんに「麻由ちゃん、明日は何をするの?」って問われて元気良く「宿題!」と答えていました(会場内大拍手でした。さすがだわ)。

彼女の宿題が劇中通り、7月中に終わりますことを。家庭教師いっぱいいますしねー(@制作の加藤氏の前説で噴き出してしまった)

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受信: 2006/08/07 00:12

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